大型に狙いを定めた昨年秋の一泊釣行

今回、36㎏のオオマサを仕留めた柴田治幸さんは福岡県糸島市在住のロコアングラー。玄界灘のヒラマサゲームはジギング、キャスティングともに、その黎明期から親しんできた。これまでの自身のレコードは、昨年6月にジギングでキャッチした27㎏。キャスティングでは25・6㎏。年間40回前後のヒラマサ狙いの釣行を繰り返す柴田さん。釣行の約8割を占めているのが糸島市の人気船「IZANAGI」だ。今回のヒラマサ36㎏も同船でキャッチした。
釣行は11月4、5日の2日間。一泊二日での壱岐島泊まりのプランだった。

「例年、11月には大型ヒラマサのシーズンを迎えます。夏に30㎝くらいのシイラが回遊しますが、より大型の50〜60㎝のシイラもベイトになってくるのが秋から冬にかけての大型ヒラマサシーズンの特徴です。今回の釣行もシイラは十分にいて、これに加えサンマが入ってくるかどうか、という感じでした」

釣行初日はシケに見舞われた。出船時間を遅らせたため、夕方のみ、2〜3時間程度の釣りしか出来なかった。同船者が一発掛けたがバラシという結果に終わった。短い時間ではあったが潮が流れず雰囲気はいまひとつ。それだけに翌日は潮が流れるであろう、午前中が勝負になるはず、と同船者、船長ともども予想した。

シイラのヒットに続いた36㎏のビッグバイト!

釣行2日目。スタートから潮は1ノット強と理想的な速さで流れていた。最初のポイントは空振り。
2か所目のポイントでヒットが続いたが、すべてが良型のシイラだった。ほどなく同船者がヒットを得た。手を焼きながらキャッチしたのは12㎏のヒラマサと同サイズのクエのツインヒット。このミラクルヒットに船上は盛り上がった。何かが起こりそう、そんな予感も同時に沸き起こったが、その後も続いたのは10㎏クラスもまじえた、シイラのヒットだった。

船を流しながらキャストを繰り返すうち、船の風上でシイラが追われるナブラが沸き起った。同船者が対応しキャスト、ヒットを得たが、またもや10㎏オーバーのシイラ。ミヨシにいた柴田さんもナブラへ目掛けてキャストしたがヒットまでは至らなかった。 あらためて、通常通りに風下側にキャストして1投目。60ⅿほどキャストしたルアーをアクションさせながら20ⅿほど引いてきたとき、右からかっ飛んで来た魚体がルアーを襲った。その捕食の仕方から一瞬シイラを連想したが、黒い魚体を確認したこと、そしてすぐにボトムへと疾走していったことからヒラマサ、しかもあきらかに20㎏オーバーと認識した。

10ⅿほどのファーストランを凌いだが、さらにセカンドランでは20ⅿ以上走られた。このときに自らのキャスティングでのレコード、25・6㎏に匹敵するサイズを確信した、という柴田さん。 これもキツかったというサードランでも10ⅿほど走られたが、なんとか耐えきり、浮かせることが出来た。

「以前に、24㎏を同じポイントでキャッチしていたこともある実績大のポイントです。水深は30ⅿくらい。根ズレがないポイントではないので、少しヒヤヒヤしました。潮が手前に流れる向きだったので、ワイルドレスポンス240Fを軽く潜らせてから、移動距離を長く取れるように意識してジャークし誘いま した」

シイラのヒットに続いた36㎏のビッグバイト!

オシアプラッガーBGフレックスエナジーS83Hを曲げ、36㎏のヒラマサのランに耐える柴田さん。「しっかり曲がり込んでくれるので、耐えていれば魚が浮いてきてくれる」というリフト性能が味方になった。リールはステラSW14000XGを使用。

36㎏をキャッチ&リリース出来た背景と理由とは

あらためて柴田さんに当日の状況を振り返ってもらった。

「潮は流れていても、ヒラマサのバイト数自体はとても少ない日でしたね。でも、経験上、こういうときこそ大型が出ることが多いと思います。当日もその傾向に当てはまっていました。朝一番に同船者が大型に切られて、その後、ミラクルなツインヒットがあり、その後に36㎏が出ました。そのあとにもまだ出るのでは、という予感もありました。予想通り、という感じで、お昼過ぎに同船者が26・8㎏をキャッチしました。全体的にバイトが少ないので、ダレ気味な雰囲気になることも多いですが、こういうときこそ大型が出るという意識を持って、頑張ってキャストを繰り返すことが大切だと思います」

多くの経験があってこそ集中力を絶やすことなく釣り続けられた要因のひとつであったことは間違いない。

バイト数はとても少ないけれど、出るのは大型ばかりという日がある。

36㎏のヒラマサは、オシアワイルドレスポンス240Fを長めに移動させるイメージでジャークしヒットに持ち込んだ。フックはツインのシングルフック5/0をバーブレスにしてセットしている。

バイト数はとても少ないけれど、出るのは大型ばかりという日がある。

そして、36㎏のヒラマサを無事にキャッチ&リリースで終えることが出来た理由はどこにあるのだろうか?

「根ズレに注意しながらですが、2〜3回は走られることを覚悟して、相手が走るときは走らせます。自分が通常耐えられるのは、直線測りで13㎏というドラグ値。それでもラインが出され、根に向かって走られるときはしっかりロッドを立て、ハンドドラグも使って止めるときもあります。相手が止まったらとにかく巻き取る。魚が下を向くことがないよう、とにかく巻いて浮かせることを意識します。ファースト、セカンド、サードランまで凌いだら、あとは脇挟みにチェンジ、魚を誘導しながら丁寧に寄せてきます。脇挟みに変える理由は、何回かのランに耐えたあとは、脇ばさみでも耐えられる、ということがひとつ。でも、それ以上にバラシを避けるためです。バーブレスのシングルフックを使っているので、魚が頭を振ったときに腕でショックを吸収し、外れるのを防止するためです」

どうやって持ってもデカいヒラマサ

どうやって持ってもデカいヒラマサ。しかし、乗船した「IZANAGI」のレコードは42㎏。「ナンバー2です。まだまだですよ(笑)」とは謙虚な柴田さんの弁。

今回の魚までにキャスティングだけでも20㎏オーバーのヒラマサを5本キャッチしている柴田さん。まさに獲るべくして獲った魚、と言えよう。

ノンストップジャーク用のタックルとセレクト理由

ここからは柴田さんの大型ヒラマサシーズン用タックルを紹介しよう。シマノオフショアモニターを務める柴田さんだけに、ほとんどがシマノ製で統一されている。しかし、メインに使用するタックルは2セットと厳選され、ルアーセレクトもすこぶるシンプルだ。特徴的なのはこの2セットを近年流行中のノンストップジャーク用と通常のダイビングペンシルのジャーク用に分けて用意している点だ。

「朝一番や誰も叩いていない、というポイントではノンストップジャークから入ることが多いですね。あとは周りの状況や、同船者などの状況で判断しています。ノンストップジャークはやる気があってしっかり喰ってくる魚、反対に食い気がないような魚を喰わせることができる、二面性がある気がします。ルアーに着いてきていることが確認できれば、スピード変化で喰わせることができることが多いと思います」

まずはノンストップジャーク用タックルから紹介していこう。ロッドはオシアプラッガーフルスロットルS83Hを使用する。

オシアプラッガーフルスロットルS83H

オシアプラッガーフルスロットルS83H

「張りがあるロッドで、シャキッとしたキャストフィーリング。向かい風などでも投げやすいロッドだと思います」

リールはステラSW14000PGをセットする。

「PGはノンストップジャーク専用という感じで使っています。HGに比べると巻き上げ力に優れるので、楽に継続して巻き続けることが可能です。加えて、船の近くでヒットすることが多いのがノンストップジャークの特徴。この場合は終始、脇挟みでのファイトを強いられます。至近距離でのゴリ巻きファイトでもPGは負担が少なく優れていると思います」

ラインはオシア8の8号 180lbを使用している。

  • ステラSW

    ステラSW14000XG&PG

    通常のダイビングペンシルをジャークして使うときはステラSW14000XG。ノンストップジャーク用には巻き上げのトルクに優れるステラSW14000PGを使用している。(写真はステラSW14000PG)

  • OCEA 8

    オシア8 8号

    メインラインにはオシア8の8号を使用。状況によって6号、10号を使用することもある。

ルアーは、オシア フルスロットル240F AR-Cがノンストップジャークでのメインルアーだ。

「水面をバシャバシャさせるような使い方もしますが、どちらかといえば水面下をユラユラと泳がせるイメージで使うことが多いですね。ステラSW14000PGで少し速めに巻くのが 基本です。これに魚が着いてくるのを確認できたらスピードを上げるか落とすかを状況次第で使い分け、口を使わせることが多いですね」

オシア フルスロットル240F AR-C

オシア フルスロットル240F AR-C

ノンストップジャーク用のメインルアー。柴田さんは水面下を泳がせるイメージで使うことが多い。

ダイビングペンシル用のタックルとセレクト理由

限界値ではなく個人の体力に適した、タックルセレクトをおすすめしている。

続いて、一般的なダイビングペンシルをジャークして使うタックルを紹介しよう。
ロッドはオシアプラッガーBGフレックスエナジーS83Hを多用する。

オシアプラッガーBGフレックスエナジーS83H

オシアプラッガーBGフレックスエナジーS83H

36kgのヒラマサと戦ったロッドはオシアプラッガーBGフレックスエナジーS83H。

「このロッドはキャストもしやすいですが、とりわけファイトが楽なロッドです。しっかり曲がり込んでくれるので、耐えていれば魚が浮いてきてくれるイメージです」

リールはステラSW14000XGをセットしている。

「ヒラマサキャスティング用の定番リールだと思います。使いやすいサイズとギア比、とても信頼できるリールで、とくに言うことはありませんね(笑)」

ラインはノンストップジャーク用と同様が基本だが、より細くしたり太くしたりすることもあるようだ。

「ラインはPE8号を6号にしたり10号にしたりすることもあります。6号にするときはルアーを160、190㎜と小型にしたいとき、飛距離が欲しいときなどです。10号はステラS W18000HG&ヘビーロッドを使うときにタックルバランスを取るために使います。自分的には少しヘビーすぎる感じですけどね」

ルアーはオシア ワイルドレスポンス240F、オシア 別注平政220Fの2つを多用している。

  • オシア ワイルドレスポンス240F

    オシア ワイルドレスポンス240F

    今回のヒットルアー。シルエットの大きさを生かし、大型ベイトが捕食されているときのメインルアーとして多用する。

  • オシア ペンシル 別注平政

    オシア ペンシル 別注平政

    大型のヒラマサを狙うとき、動きの大きさでアピールしたいときに多用するのがオシア 別注平政220F。(写真はイメージカットとして別注平政145Fを使用)

「サンマ、シイラ、ダツといった大型ベイトを捕食しているとき、マッチザベイト的な感覚で使うのがワイルドレスポンス240Fです。大型ですが細身なので使いやすいルアーです。ワイルドレスポンス240Fに乗りにくかったり、全体的に喰い気がないなと感じるとき、そんな中でもアピール力を上げたいときに使うのが別注平政220Fです。抵抗が大きく、生み出す波動も大きいのが特徴。動きでアピールするタイプのルアーですね」

以上のルアーには5/0を前後にセット、すべてバーブレスにしている。

「ツインタイプのシングルフックを使っているのは、リリース前提で釣りをしているので、余計なところに掛からないでほしいから。さらにキャッチ後に外しやすいこともシングル&バーブレスにしている理由です」

柴田さんは、個人個人の体力に合わせたタックルの使用をおすすめしている。フルドラグで勝負!というイメージがある人も多いが、柴田さんとして否定的。柴田さんも道具の限界値ではなく、直線で測って13㎏という数値を自身で耐えられるベストなドラグセッティングと考えている。もちろん、この数字は人それぞれになるが……。

以上、柴田さんのオオマサキャッチの模様と、それを実現したタックル、ファイト理論などを紹介した。読者諸兄、諸姉のヒラマサゲームの参考になれば幸いだ。

柴田さんはリリースを前提にヒラマサゲームを楽しんでいる

柴田さんはリリースを前提にヒラマサゲームを楽しんでいる。しかし、それはひとりでは出来ない。「スムーズにリリースするための蘇生措置の準備(蘇生プールや海水ホース)やデッキ上の片付けなど、同船者や船長の協力があって初めて成立します」と、柴田さんは周囲への感謝の意を表していた。