狂鱗の進化要素として、「強さ」を望む声が上がった

2019年にリリースされたシマノ独自のリアル鱗デザインホログラム、狂鱗。
釣り具メーカー自身が新たなホログラム作りに着手したことも驚きだが、生きたイワシから鱗を採取してスケッチすることから始まり、特殊技術を駆使して描き出されたリアルさ、対象魚を狂わせるほどの本物感は、国内外のルアー業界に波紋を広げ、各地のフィールドで熱狂的狂鱗信者を生み出すほどのムーブメントを引き起こした。その釣獲力は魚だけでなくアングラーさえも狂わせるほどの実績を重ねてきた。

しかし、より多くの魚とのコンタクトを求めるアングラーの飽くなき欲求は留まるところを知らない。狂鱗の登場以降、当初想定していたシーバスゲーム、オフショアゲームに限らず、釣果実績の報告や新たなアイデアの提案が舞い込んできたのだ。

数多くの提案に共通していたキーワード、それは「強さ」だった。

 

「目立ってナンボという状況も多いので、ナチュラルさのなかにもより強さを備えたホログラムが欲しい」。ヒラメハンター、堀田さんの要求はハードルの高いものだった。

– 元祖ヒラメハンター、堀田光哉さんの主戦場であるフラットフィッシュフィールドからも、さらなる狂鱗の進化要素として「強さ」を望む声が上がっていた。
「サーフを舞台にしたヒラメゲームということを考えると、ナチュラル系というよりはピンクであったり、ゴールドであったりのアピール系カラーが主力になります。アピール力の強さはヒラメゲームはもちろん、外海での釣りで求められる要素のひとつと考えていいでしょう。やはり目立ってナンボという状況も多いので、ナチュラルさのなかにもより強さを備えたホログラムが欲しいですね」(堀田さん)

堀田さんがリクエストしたのは、広大なサーフで強烈にアピールすることができる強いフラッシング能力とホログラムの効果を最大限に発揮する光彩の幅広さ。しかも狂鱗の基本的な開発思想である、フィッシュイーターを狂わせるほどの本物感を失うことなく、それらの要素を盛り込むという難題だった。

魚を探す、引き寄せるとき輝きの強さが必要になる

– 狂鱗の名づけ親でもある、ミスター狂鱗、鈴木斉さんからも、新たなホログラムを求める声があった。これも「強さ」が大きなキーワードだった。
「狂鱗は小さいベイト、具体的にはカタクチイワシをイメージしたホログラムです。でも、フィッシュイーターは大きな魚も捕食します。大きなベイトフィッシュを捕食している魚へのアピールを意識する場面も実は多い、というのが現実です。加えて、たとえばサーフ、河口、磯などの大場所では、ルアーの存在感が求められる場合も少なくない。バイブレーションをビュンビュン投げて魚を探すときはもちろん、逆にベイトフィッシュが多く、ナブラがありフィッシュイーターが狂っている状況などでは、本物のベイトフィッシュ以上に目立たせないとヒットに結びつかないときもあります。
魚を引き寄せる、魚を探すというキーワードがある状況ではアピール力の強さが必要になる。より強さのあるホログラムが効果的だと考えますね」(鈴木さん)

サワラキャスティング対応ミノー、オシア シュートジャーク125SP AR-Cケイムライワシカラーのプロトモデルで仕留めたシーバス。強鱗のフラッシュが寄せた1本だ。

リアルな大型の鱗たちにホログラムの強さを与える

– シマノルアー企画開発チームは、これらの強さをテーマにした新たなホログラム製作をスタートした。コノシロやボラの幼魚、マブナなどの鱗をルアーに貼り付けるイメージで鱗の大きさを調整していった。さらにホログラムの効果を生かし、強烈なアピール力を生み出せるよう、新技術での処理を一枚一枚の鱗に細かく加えた。ルアーに施された数多くの鱗、それぞれが別々に輝くことによって得られるさらなるリアルさ。一枚一枚の鱗が強く輝きを放つことによるアピール力の強さを両立した。「強鱗」ホログラムの誕生である。

「鱗のひとつひとつが大きく、乱反射の面積も大きくなるので、よりギラギラ感がアップしてアピール力が絶大です。ルアーを目立たせたい状況では、ヒット率は一気に上がるでしょうね」(鈴木さん)

「強鱗は鱗一枚一枚が大きくなったので、ギラギラです。少し虹色がかっていて艶めかしい感じもあります。コノシロをはじめとした、大型ベイトフィッシュのイメージばっちり。今後はナチュラルとアピールという感じで、狂鱗と強鱗の使い分けをしていくと思います」(堀田さん)

強鱗とフラッシュブースト最大のハイアピールで釣る!

– 2020年夏~秋にシマノからリリースされるソルト用ハードプラグ、メタルジグの多くに強鱗ホログラム仕様がラインナップされる。ハイアピールという意味では、フラッシュブーストと強鱗を兼ね備えたルアーが登場する点も興味深い。

「現状、フラッシュブーストと強鱗の組み合わせは、最大のハイアピール。強鱗のフラッシュで魚を寄せて、最後のひと押しとしてフラッシュブーストの輝きで喰わせる、というイメージで使いたいですね。喰わせの間、その一瞬の間のひと押しになってくれるでしょう」(鈴木さん)

「フラッシュブーストとの相乗効果、ダブルの効果は期待大ですね。これまでで最大のフラッシングを生み出してくれることは間違いない。ルアーのサイズ以上のアピールが可能になるので、大型ベイトを好んで捕食しているシチュエーションではより効果が出ると思いますよ」(堀田さん)

今秋にリリースされるヒラメミノー135 F/Sフラッシュブーストは、強鱗とフラッシュブーストのダブルフラッシュの恩恵でアピール力は強大だ。

手練れの2人ともに強鱗とフラッシュブーストの相乗効果に期待を寄せている。
進化したテクノロジーがルアーという疑似餌に命を吹き込んでいる。そして命を与えられたルアーはさまざまな生物へと多様化を進めている。ルアーがライブベイトを超える日はすでに訪れているのかもしれない。