アカイカ型(赤アオリ)は沖縄から和歌山にかけて、シロイカ型(白アオリ)は同じく沖縄から北海道まで広く分布しており、本州でアオリイカと呼ばれているのはほとんどが白アオリ。

大きな赤アオリは触腕1本で掛かることが多い。このことが釣りをさらに面白く、タックルを進化させる

– 赤アオリは大型に育ち、白アオリよりも深い場所で生活する。沖縄や種子島の遊漁船では2~6月に専門で出船し、主に水深35~45メートルを狙う。
「赤アオリは白アオリよりも大きく育ち、力も非常に強いのですが、実は身が大変軟らかいのです」

たとえば白アオリの3、4キロ級は1キロ前後に設定したドラグで力勝負しても身切れしないが、赤アオリはあっけなく切れてしまう。 しかも、触腕に掛かる確率が白アオリ以上に高い。そのうえ先端に掛かる場合が多く、バラしやすい。つまり、見た目は同じアオリイカでも、別のイカと思ったほうがいいほど難易度が高い相手なのだ。

– 赤アオリと対峙するには、タックルに求められる要素は非常にシビアになる。しかしそれらは決して複雑ではなく、シンプルで根本的だ。
「まずロッドは硬さの前に、折れないこと、立ち上がる反発力が必要です」

– 種子島など赤アオリを狙う海は黒潮の影響を受けて潮が速く複雑。しかも赤アオリは目がいいと言われ、エギをしっかり動かさないと反応しない。そして大型が掛かった際はロッドを立てて引きを受け止める力が要求される。
「BBからエクスチューンまで、シマノのティップエギング専用ロッドは軟らかくても硬くても、すべてしっかりシャクれて、折れないように作られています。軽さや快適さなどは仕様によって変わっていきますが、根本はすべて共通しています」

赤アオリとのファイト。イカが引いているときはハンドルを巻かず、ロッドで耐えつつドラグを滑らせる

ティップエギングの開発者である富所さんは、種子島遠征ではパワーモデルとして「セフィアエクスチューン ティップエギング レッドデビルS608MH-S」、深場対応のメインロッドとして「セフィアエクスチューン ティップエギング S605M-S」、そして潮が緩いときや浅場までカバーする「セフィアCI4+ティップエギング S68ML-S」の3本を持参している。

  • 種子島にて、富所さんの自己記録となる4.4キロ

  • 今年3月、種子島にて3.2キロ

  • こちらは和歌山にてシロアオリの3キロ級。今のところ和歌山が赤、白両方釣れる北限

しっかりとアクションを加えてステイさせたエギに巨大な赤アオリが掛かると、強烈なジェット噴射で疾走する。その距離1ストロークで20メートルほど。とんでもないパワーだ。掛かる瞬間まで、リールのドラグはエギをしっかりシャクるために1キロ近くに締めてある。身切れの心配が少ない白アオリならこのまま強気のファイトに移るが、身の軟らかい赤アオリでは身切れする。

– そのため、富所さんは合わせたら即座にドラグを緩め、ラインを出してファーストランをしのぐ。そして徐々にドラグを締めて相手との距離を詰める。
「このときに最も重要なのがドラグです。細かいピッチで、スムーズに、安定した利き方をしなくてはいけません」

– また、ドラグとともにリールに求められる要素が「剛性」と「軽さ」と「巻の滑らかさ」だ。富所さんはティップエギングでは「ヴァンキッシュ」、「ステラ」、「ツインパワー」のC3000サイズを使用しているが、その使い分けを次のように説明する。
「いずれもマイクロモジュールギアⅡを搭載し巻きは秀逸なのですが、その中でヴァンキッシュは物理的な軽さ、ステラは動的な軽さと感触が突出しています。ツインパワーは巻きと剛性、耐久性を高次元で備えています」

深めで潮が速いときにはステラの長所、ひたすらシャクるのならヴァンキッシュ、どのシーンでも変わらないツインパワーの剛性と信頼感。自身のスタイルに合わせて選ぶのもまた、楽しみといえるだろう。

 

「種子島や沖縄遠征を一度でも体験すると、きっと普段本州で楽しんでいるティップエギングがさらに面白くなると思います。それは価値観を揺さぶられる体験で、普段の生活と趣味に深みと広がりを与えてくれます。夢を持ち続けましょう」

巨大赤アオリとのファイトは15分に及ぶこともある。このとき、パワーのインプットとアウトプットを担うタックルの動きにズレやストレスがあれば、バラシにつながってしまう。
一般的なティップエギングでは、タックルにそこまでシビアな要求はされない。だが、考えうる最高難度のシチュエーションで磨いてこそ、道具やメソッドは進歩するし開発の方向性も確たるものになると富所さんは言う。
たとえるなら、時速300キロでレースをしたノウハウが注ぎ込まれたクルマと、そうでないクルマの差。つまり最高の現場で鍛え抜かれた道具は、破綻しないのだ。

タックルデータ

現場で鍛え抜かれてリリースされるタックル。富所さんの遠征セットはほぼこの内容だ

ロッド

  • ネジレ、つぶれ、あらゆる方向に対して高強度化を徹底追求した「スパイラルX」。セフィアエクスチューン ティップエギング レッドデビルには、さらなる高強度材を用いたカーボンテープを使用した「スパイラルXコア」が採用されている

  • 最も長い時間触れるパーツ、グリップは、段差がなく握りやすいパーフェクションシートCI4+

  • イカをリフトする時はロッドが重要だが、ここまで立てて恐怖を感じないのがセフィアシリーズの凄いところ

リール

  • 実用性で最強と言われるNEWツインパワー。写真はC3000MHG。価格4万6000円

  • 剛性、軽さ、滑らかな巻き、スムーズで調節しやすいドラグ。それらを高次元で備えたスピニングリールが理想

  • 1サイズ小さなリールと同等の軽さを誇るヴァンキッシュは写真の3000SDHで175グラム。価格5万9000円

  • 3トップと呼べるステラ、ヴァンキッシュ、ツインパワーのスプールは互換性がある

エギ

ライン

新発売される「セフィア8+」は強度、耐摩耗性が飛躍的に向上したPEライン。富所さんは種子島で道糸0.4号、リーダー2号で実釣しており、速潮時の切り札と絶賛