サーフは夜明け前から満員御礼

– 午前4時30分。車を止めて未明の海岸を見渡すと、ヘッドライトの明かりが点々と灯っていた。
「みんな釣り人です。この周辺はタチウオが釣れるんですよ。暗いうちはタチウオを狙って、マヅメから回遊魚に切り換える人も多いですね」

– 今回は新保明弘さんと、沼津の今沢海岸を訪れた。駿河湾奥に位置するこの周辺は水深があり、回遊魚釣り場として古くから人気のある場所。この地域には2つのウキにバケバリ仕掛けを渡した独特なカゴ釣り仕掛けが存在する。これは表層のソウダガツオを狙うために考案された「片浜仕掛け」と呼ばれるものだ。
「それだけ回遊魚釣りが盛んな地域なんですよね。釣れているときは平日からズラリと釣り人が並びます。明るくなってから出かけても入る場所がないほどですよ(笑)」

– この10月は相次いで台風が来襲したが、沼津は微妙にコースから外れてさほど大きな被害を受けなかった。回遊魚も順調に釣れていたが、10月下旬にグッと冷え込んだせいか、やや釣果が下火になったとのこと。
「盛期のように時合がくればバタバタッと喰う状況ではないと思います。一時はイナダやソウダガツオが回っていたのですが、今日はショゴ(カンパチの幼魚)がどうにか狙えるくらいでしょう」

ファーストキャストはようやく東の空が白くなった頃だった。朝マヅメは回遊魚のゴールデンタイム。期待に胸が膨らむ。

 

10月下旬は、いわば回遊魚釣りにおける端境期。初夏のワカシに始まり、秋口まではソウダガツオ、サバ、イナダ、ときにはシイラがベイトを活発に追うが、水温の低下にともなって数が減り、冬場の一発大型狙いの季節へと移行していく。この時期は貴重な1尾を取りにいくシビアな釣りを強いられるケースも多々あり、なかなか難しい季節といえる。

– 新保さんが手にしたタックルは、2019年の新製品「コルトスナイパーSS S96M」と「ストラディックC5000XG」のセット。ラインはPE1.2号である。使用するメタルジグは28〜30gを中心にマックス40gまで、ショゴやイナダクラスの魚を見据えた比較的ライトなセッティングだ。
「回遊魚狙いの場合、メタルジグはピンク系やブルー系のナチュラルなカラーを多用するんですが、今日のように暗いうちから竿を出すときは、グロー系からスタートすることが多いです。ストライプでも目玉だけでも、暗い中では発光するタイプのほうが魚の目につきやすいとの考えですね。そこから魚の反応を見てローテーションしていきます」

 

新保さんが朝イチに結んだメタルジグは「コルトスナイパー アオモノキャッチャー」のキョウリンゼブラ42g。リトリーブでもフォールでも使えるアオモノキャッチャーは、パイロットルアーとして実によい働きをする。東の空がようやく明るくなってきた頃、第一投をキャストした。

「青物銀座」である今沢海岸は、平日にもかかわらず早朝から多くの釣り人で賑わっていた。

【Check point!】
ルアーのカラーチェンジは大胆に!

暗い時間帯や潮が濁っているときはグロー、日が出てからはピンク系、ブルー系、シルバー系など一応の使い分け基準はあるが、ルアーのカラーは魚の反応を見ながら適時ローテーションしていく。この場合、同系色のルアーに交換しても劇的な変化は期待できない。ナチュラル系を使っていたらグローへ、シルバー系からゴールド系へといった具合に、まったく異なる系統のカラーに変えるほうが有効だ。

Check point!「ブルピン」は回遊魚狙いの鉄板カラー。魚の反応が悪いときは、同系色よりもグロー系やゴールド系などへ大胆にカラーチェンジするほうが効果的だ。

ナブラなし、気配なし、どうする?

– まずはメタルジグをボトムまで落とし、そこから速めのワンピッチジャークで巻き上げてくる。ワンジャークにつきハンドルを1回転。ハンドルを10回ほど巻いたところでベールをオープンにし、フリーフォールでボトムを取り直す。これの繰り返しである。ストラディックC5000XGはハンドル1回転あたりの最大巻上量が101cmなので、約10mのスパンでボトムから巻き上げる計算だ。
「ベイトでも表層に魚が見えればカウント5くらいで表層を中心に攻めるのですが、今日はナブラもベイトも見えないのでボトムから探っています。ボトムで気配がなければ、徐々に探るレンジを上げていく感じですね」

新保さんが得意とする速めのワンピッチジャークで誘うも魚の反応はイマイチ。チャンスは潮変わり前後か・・・。

新保さんいわく、活性の高いときはフォールでも喰うが、基本的に回遊魚は落ちるエサを喰うのがヘタな魚だとのこと。
フォールの間を取るのは魚にルアーを見つけさせるためで、ボトムにいる魚はそれを追いかけて喰う。中層に魚がいたとしても、一度ボトムまでルアーを追っていき、そこから巻き上げたときにヒットするパターンが多いとのことだ。

 

– 混み合った釣り場では釣り座を移動することも容易ではない。立ち位置を変えず、隣の釣り人とラインが絡まない範囲でキャスト方向を変えつつ、あとは上下にレンジを探っていくのが唯一の攻め方だ。魚の回遊が少ないのか、朝の好時合にもかかわらず釣れている気配はない。
「満潮が7時前なので、この前後の時間帯がチャンスタイムでしょう。下げっぱなをやって魚が出なければ望み薄です。それまでは集中してやってみましょう」

やや明るくなったところで、新保さんはメタルジグを同じく「コルトスナイパー アオモノキャッチャー」のキョウリンピンク42gにチェンジした。

今沢海岸における新保さんの一軍メタルジグ。ピンク系、ブルー系のに加え、グロー系もローテーションの一翼を担う。

【Check point!】
ベイトが見えないときはボトムから探る

新保さんのレンジの刻み方はケース・バイ・ケースだが、ベイトやナブラが見えるときは表層から下へ、これらが見えないときはボトムから上へ探るのが一応の基本。ボトムを取る際は必ずカウントダウンをして、何秒でボトムにコンタクトするかを把握しておく。こうすることで中層を狙う際も、そのレンジを攻めているかの目安になる。20秒でメタルジグがボトムに達するなら、カウント10でちょうど中層を攻めていることになる。

Check point!キャスト後はフリーフォールでメタルジグを沈める。このときボトムへメタルジグが到達するまでの秒数を数えておくと、中層を狙う際にどのレンジを攻めているかを把握できる。

流れが変化する層を探り当てろ!

– 朝一番から底潮は動いており、潮の状況自体は悪くないようである。しかし、速い潮の中では喰ってこない。新保さんはボトム付近を見切り、徐々に狙いのレンジを上げていった。そして午前6時5分、待望のファーストヒットが訪れた。
「最初の1尾なので慎重にいきますね」

狙いのレンジをボトムから少しずつ上げていき、潮が緩む層との境目でヒット。最初の1尾。慎重に取った。

寄せ波に合わせてショゴを浜へズリ上げた。狙って喰わせた1尾は嬉しいもの。新保さんも思わず天に拳を突き上げた。

– 危なげのないやり取りで浜にズリ上げたのは30cm少々のショゴであった。
「ボトム付近の速い潮の中では反応がなかったので、少しずつレンジを上げていったところ、一定の層を境に流れが緩んだんです。ここを集中して狙いました。カウント10から15くらいかな。カウントダウンして巻き上げ、ルアーが表層近くまできたところで再びカウントダウンします。これは2回目のカウントダウンから巻き上げたところでガツンときましたね。嬉しい1尾です」

速さが異なる2つの流れがぶつかる箇所とは、いわゆる潮目である。
新保さんが喰わせた流れが変わる層も、ある意味「横の潮目」と解釈できる。ベイトがいればこのショゴも表層近くまで上ずっていたかもしれないが、攻めるべきレンジの目安となるベイトがいない場合は、このような潮の境目や変化する場所を見つけ出すことが大切なのであろう。

この1尾を機に時合へ突入かと思われたのだが、この後は満潮を過ぎてもアタリは皆無。周囲もカゴ釣りの人がソウダガツオらしき魚を取り込んだ以外は釣果なし。8時30分まで粘ったところで午前の部は終了となった。午後からは西伊豆の沖堤に渡り、さらなる大物を狙う段取りになっている。

30cmを少々超えるショゴ。周囲が沈黙するなかでの価値ある1尾だ。

 

【Check point!】
軽いメタルジグほど潮流の変化がわかりやすい

「軽いジグは潮に流されやすく、ボトムコンタクトが難しくなる反面、微妙な潮流の変化を知らせてくれるんです」と新保さんは言う。メタルジグを選択する基準として「ボトムが取れるギリギリの軽さがベスト」といわれるが、これには喰いやアクション以外に、潮流を感じ取って狙うべきポイントやレンジをサーチするという意味合いもあるわけだ。潮を意識して攻めるなかで、より明確に変化を察知したいときは、メタルジグのウエイトをワンランク落としてみるのもよいだろう。

Check point!メタルジグは軽いものほど潮流の変化を察知しやすい。ポイントやレンジを絞りきれないときは、メタルジグのウエイトをワンランク落としてみるのもよいだろう。

タックルデータ

メタルジグを柱としつつトップウォーターでフォローする

今沢海岸の水深はフルキャストして20m程度で、激流が通す場所ではないので、この日は28〜42gのメタルジグをローテーションした。これに合わせたロッドは「コルトスナイパーSS S96M」で、ラインナップ中で最もライトなアイテムである。直近の情報ではショゴ(カンパチの幼魚)を主体として、たまにイナダが釣れているとのことだったので、ラインはPE1.2号を選択した。

 

– これをメインタックルとしつつ、新保さんはもう1セット、トップウォータープラグ用のタックルも準備していた。
「もちろんショアジギングがテーマの釣行なのでメタルジグをメインに使いますが、たまに魚がメタルジグに反応せず、トップばかりに出ることがあるんですよ。メタルジグで釣れないときのフォローというより、むしろメタルジグの釣りにトップを絡めていく、くらいの高い頻度で使っていますね」

トップウォータープラグは、水飛沫や音でボトムにいる魚を表層へ引っ張り上げる力がある。釣れないときの保険として、1本バッグに忍ばせておくと心強い。

ロッドは回遊魚狙いを見据えて設計された「コルトスナイパーSS」を使った。S96Mはメタルジグ用、S100Mはトップウォータープラグ用。

  • メタルジグ用のリールは「ストラディックC5000XG」。エクストラハイギアは巻き上げやラインスラックの回収が速いことに加え、メタルジグに掛かる水流の変化も感じ取りやすい。

  • 新保さんが釣り場へ持ち込んだルアーはこんな感じ。ショアジギングがメインの釣行でもトップウォータープラグを用意し、攻めへ積極的に絡めていく。

 

タックル① メタルジグ用

ロッド:コルトスナイパーSS S96M
リール:ストラディック C5000XG
メインライン:ピットブル8 / 1.2号×200m
ショックリーダー:OCEA JIGGER Leader Master Fluoro 6号
ルアー:コルトスナイパー TGベルサーテ 30〜40g / アオモノキャッチャー 28〜42g / イワシロケット 40g ほか

タックル② トップウォーター用

ロッド:コルトスナイパーSS S100M
リール:ツインパワーXD C5000XG
メインライン:パワープロZ 1.5号×200m
ショックリーダー:OCEA JIGGER Leader Master Fluoro 6号
ルアー:コルトスナイパー ロックウォーク110F

【フィールドデータ】静岡県沼津市・今沢海岸

駿河湾奥にあたる沼津エリアのサーフは水深があり、安定して青物が回遊してくる所。夏〜秋は数釣り、冬場は一発大物が期待できる。

駿河湾奥に位置する広大なサーフは、古くから人気のある回遊魚フィールド。沼津港から西に向かって、千本浜、片浜海岸、今沢海岸、原海岸、富士海岸と続く。うち、最も水深があるのが片浜海岸で、今回竿を出した今沢海岸は全体で見ると中くらいの水深。フルキャストして届く距離で20m前後の水深となる。

今沢海岸周辺は年間を通して回遊魚を狙える場所だが、イナダやカンパチ、ソウダガツオが数釣れるのは平均して5月の連休頃から11月中旬まで。それ以降は数は少なくなるものの、ベイトが入ってくればワラサ、ブリクラスの大物が釣れることもある。
北寄りの風は追い風となるので釣りやすく、西の強風が吹くと釣りにならない。ただ晩秋以降の魚が薄くなる時期は、適度に西風が吹いているときのほうが、ベイトが岸近くに寄せられて回遊魚の寄りはよい。

釣行日=令和元年10月30日
釣行時間=午前5時〜午前8時30分
天候=晴れ
風向き=ほぼ無風
潮回り=中潮 満潮6:48/ 18:12 干潮0:12/ 12:36(田子の浦)