新ジャンル!?
ウォブリングするヘビーシンキングペンシルの誕生

– 2018年初頭、初めて実釣テストをおこなったウィングビームのプロトモデルの完成度の高さに驚いた堀田さん。あとは、ウィングの大きさやウェイトのバランスなどを微調整し、完成を目指した。
「飛距離といい、しっかりとアピールできるウォブリングアクションといい、申し分ない。最初のテストでこのルアーは釣れる、と直感しました。逆に開発陣と悩んだのが、ウィングビームはプラグのどのジャンルに属するのか、です。形状はシンキングペンシルに近いけど、アクションはしっかりとしたウォブリング。僕はウォブンペンシルという新ジャンルだと思ってますが、全長80mmで35gあるので、重さと形状で言えばヘビーシンキングペンシルというのがむしろ妥当でしょう」

ウィングが飛行姿勢を安定。
ウェイトバランスとテールの揚力が飛距離を伸ばす

– ウィングビーム80HSの飛距離は、シマノ発表のデータによると5投の平均値が97.7m(屋内・無風)。最長は103mで、追い風なら100m超えが楽に狙えるということだ。
「僕が投げた感覚でも飛距離はスピンビームと。ウェイトはウィングビームのほうが3g重いですが、全長は13mm長く、ボディの幅と厚みもある。フックも大きくなっている。当然、スピンビームより空気抵抗は大きいです。そこでスピンビーム並みに飛ぶ飛距離の面でも微調整に入ったわけです」。

– 主な調整箇所はウィング、ウェイトバランス、ボディ形状だ。
「ウィングビームのウィングは、後方重心のボディが飛ぶときに尾翼の役割をします。射出されたボディが錐揉み状態に回転せず、飛行姿勢が安定します。ただ、極端な後方重心にすると、放物線の頂点に達して減速するときに真下方向に落ちやすい(図1)。なのでウィングビームは、極端な後方重心ではありません。安定した飛行姿勢で空気を切り裂いて飛距離を伸ばし、さらにヒップアップしたテールが空気を下方向に受け流し、揚力を発生させる。放物線の頂点をすぎたあとも5m、10mともうひと伸びが期待できます。普通にキャスティングができる方なら90mは飛ばすことができるでしょう」。

図1

ウィングの面がアピール力のある泳ぎの鍵を握る

– リップのないウィングビーム80HSがウォブリングアクションをする。にわかに信じがたいが、堀田さんはその仕組みをこう説明する。
「スピンビームと同形状の扁平ボディウィングなしの初期プロトは、引くと横に倒れたまま、という点にヒントがあります。ウィングを付けることで、ボディが横倒れをはじめると、ウィングが面で水を受けて戻します。今度は逆に横倒れしそうになると、ウィングの水の抵抗でまた戻る。この横倒れしそうになって戻るを交互に繰り返して、アピールの強いスイミングアクションを発生することに、気づいたわけです」。

製品版のウィングは、初期プロトのウィングより大型化。ウィング後方を高くすることで、大きなアクションと安定性を両立している。

– 左右交互に倒れて戻るを繰り返すとローリングに近い動きになるのでは? と疑問を抱く読者の皆さんも多いはずだ。
「ウィングを大きくするほど、倒れようとする力が消されます。逆に小さくするほど、倒れやすく、戻ろうとする力も弱くなる。この振り幅をできるだけ大きく、しかも速巻きをしても泳ぎが破綻しないように、ウィングの大きさと形状、ウェイトバランスを調整しました。左右交互に大きく倒れて戻るを繰り返すことで、結果的にテールを大きく振る。お尻を振るからその反動で頭を振るウォブリングになったんです。ヒラメ好みのアピール力のあるアクションです」。

巻くだけでスピンビームに足りなかった要素をカバーできる

スピンビームよりアピール力がほしい。ボリュームがほしい。ゆっくり引きたい。底をこすらずレンジキープしたいときは、ウィングビーム80HSの出番だ。

– リップのないヘビーシンキングペンシルなのに左右に大きくボディを揺らしながら泳ぐ。ウィングビーム80HSが打ち出す新機軸は、熱砂シリーズ共通のコンセプト、“誰が投げても良く飛んで、巻くだけで釣れる”を踏襲している。
「使い方は、プラグやワームが届かない沖へ遠投。ボトムをとったらブルブルブルッとルアーの挙動が感じられるスピードで巻く。これが基本です。ストップ&ゴーやジャーク&フォールなど、使い方はその他の熱砂のルアーと同じです」。

– 気になるのはスピンビームとの使い分け。ウィングビーム80HSの出しどころだ。
「一番はスピンビームと同等の飛距離で、アピール力を活かしてサーチしたいときですよね。ウィングビームは強い泳ぎで集魚効果が高いし、水噛みが良いから流れの変化もつかみやすいです」。

– スピンビームよりゆっくり引けるのもウィングビーム80HSの特長だ。
「スピンビームよりフォールも遅いです。スピンビームでは底を擦りすぎる遠浅サーフや瀬の上。あるいは、よりゆっくりレンジキープして引きたいときにウィングビームは有効です。スピンビームの足りなかった部分を補うためにウィングビームを作ったわけですからね。だからと言ってスピンビームが、活躍の場を失ったわけではありません。ベイトフィッシュが小さいとき。沖のピンを撃ちたいとき。風や波が強いときなど、スピンビームが有利なシチュエーションは多々ありますからね」。

ターゲットやフィールドは『熱砂』の枠を超える!?

– 最後にウィングビーム80HSを使うタックルについてもアドバスをいただこう。
「基本的には、熱砂シリーズのロッドすべてで使えます。ただウェイトが35gでコンスタントに90mオーバーの飛距離を狙うなら、ロッドのパワークラスは最低でもM+。MHまたはMH+のやや強めのロッドがマッチします。大物に備える意味でも」。

– #4のフックに貫通ワイヤーは大型青物も意識した仕様。ターゲットはヒラメだけではない。
「ウィングビームは飛距離が出て、速巻きをしても泳ぎが破綻しにくく、水面に飛び出しにくい。ということで、実は、青物のナブラ撃ちにもすごく効きます。シイラや真鯛、ヒラスズキなど色々な魚種が狙えます。なのでショアジギングをやるような堤防や磯、そしてオフショアでも使ってほしいですね。サーフ用に開発したルアーですが、飛距離と泳ぎと強さは、サーフの枠を超えて活躍します」。