実釣フィールド / 西海市(長崎県)

西海市は長崎県北西部の西彼杵半島に位置する。
五島灘、佐世保湾、大村湾に面する海岸線は複雑に入り組むリアス式で、エギングの好スポットが豊富。
今回は本土から橋が架かる大島、蛎浦島、崎戸島を中心に実釣。

DAY1 本命は藻場周辺。大型イカハンティングなるか!?

– 実釣は5月下旬。前回の釣行から約1ヶ月経った頃だ。
「前回は時季が早すぎて藻場が少なく、強風にも悩まされました。あと、各所でカタクチイワシの大群が接岸して、青物のボイルラッシュ。イカの活性が全体的に下がっている感じでしたね」

– 結果は700g前後が2杯に終わった。
「今回は、季節が進んで藻場が増えているはず。春は藻場がらみを撃てれば、大潮でも春の大型イカが出るはずです。できれば避けたい潮回りですけど」

– 多忙なアングラーは、潮回りで取材日程を選べない。湯川さんが気にする大潮。干満差が大きく、潮が動いて一見、好条件に思えるが?
「干満差が大きいと時合が短い。あるいは潮位だけが変化して潮の流れの変化がない、といったことがあります。要は喰うタイミング、チャンスが少ないんです。しかも今回は月夜の大潮回りですからね」

– 明るい月夜は、イカが夜間も捕食行動をとる。そのぶん、日中はエサを積極的に捕らず、活性が低下する傾向にある。
「今回は、月夜の大潮を逆手に取ってイカを探します。それが藻場。夜、捕食で浅場に上がってきたイカと、産卵を意識するイカが付いてるはずです」

昼すぎに現地入りした湯川さんは、15時の干潮に向けて蛎浦島南西端の地磯へと向かった。

季節外れの北西風が湯川さんを藻場から遠ざける

「前回来て、島の北面のほうがホンダワラが多いのはわかっているんですが、向かい風で立たせてもらえない」

– 季節外れの北西風が、湯川さんのプランを狂わせる。
「風裏の潮通しの良い地磯をラン&ガンすれば、サイズは望めないかもしれないけど、イカが拾えるはずです」

– その言葉どおり、最初に入った蛎浦島南西端の地磯では、1投目に500gクラスがチェイス。
「砂地に沈み根が点在。足元から2mくらいまで付いてきたのになぁ」

– 立ち位置を変えると、やはり1投目に200g前後が追ってくるが、エギを抱くまでには至らない。
「次のキャストでチェイスはない。シブい。(人の)気配を悟って下がっていきました」

– だが、移動しながら探っていくと、狙いどおりにイカをキャッチする。
「手前まで付いてきたイカ。サイトで抱かせました。前回に比べて、追ってくるイカが多いのは良い傾向。潮止まり直前のサイズアップに期待したいですね」

– だが干潮の潮止まり直前は、何も起こらない。
「自分の経験で言うと、本来は満潮から下げが良いけど、干潮から上げはサイズが期待できる。今日は上げはじめに夕マズメもからみます」

– 夕方、薄暗くなるまで釣り場を変えながら探るが、初日に大型イカが姿を見せることはなかった。
「やっぱり春は藻場がらみ。とくに大潮のときは、イカの個体数が多いところのほうが、釣れる確率が上がりますからね」

 

アピール力のあるラトルでサーチ

「ボトムにシモリが点在。シモリに付いているイカが出てきて、足元まで追ってきてサイトで抱かせました。前回よりチェイスするイカが増えてるのは良い傾向です」

セフィア クリンチ ラトル

008バナナチャート

 

【大潮の傾向1】釣れるタイミングが短い

– 大潮は干満差が大きく、潮位の変動も早い。
「大潮は満潮から下げで、潮が動き出してこれからがチャンスというタイミングが一瞬。シャロー撃ちでも浅瀬がすぐに干上がってしまいます。小潮や長潮は、チャンスが長引きます」

 

【傾向1の対策】イカの個体数が多いエリアを攻める

「これは、大潮以外でも言えることですが、イカの個体数が多いほうが、やる気のあるイカに出会う確率が高まります。とくに大潮のときは時合が短いので、その時季にイカが多いエリアを意識。産卵を意識する個体が多い春は、藻場がらみということになります」

DAY2 朝から藻場が撃てず、シャローに居つくイカ狙いに賭ける

– 実釣2日目は、早朝6時に大島北部を見にいくが北西風が吹き付け、サオが出せない。
「藻がたくさん生えているエリア。撃ちたかった。予報では、風は9時頃から吹くはずだったんですけど」

– 北西風が弱まるまで北面は撃てない。次の手は?
「藻はないですけど、風裏の南面へ行くしかない。満潮潮止まりの2時間前。タイミング的には悪くない。夜、捕食で上がったイカが残っていれば、答えはすぐに出るはずです」

– 蛎浦島南東部の磯に立ち、ワンド奥の砂利浜の岸と平行にクリンチラトル- エクスカウンター3.5号のバナナチャートを投げると、1投目にイカが反応。
「うわっ、手前のシモリから浮いてきた。キロ2、300はある。抱かない!?- 夜の残りのはずなのに。明るくなって、喰い気が下がってる感じ。もう少し早い時間に入っていれば、喰ったかもしれません」

– 良型に遭遇したが1投目のチェイスの後は、反応がない。その後も風裏の磯を回るが、イカは姿を見せない。
「風裏の南面は藻が少ない。ターゲットは捕食を意識したイカがメインで、確実に釣るなら夜。時合が長ければ、日中でも釣れる可能性が高まるんですけど」

実釣2日目も北寄りの風で本命の藻場が撃てない。大潮の壁がさらに高くなってしまった。

消去法で釣り場を絞り込み、大型イカの居場所を探す

– 本命の藻場が撃てない状況。実釣プランも大幅な変更を強いられる。
「予報では、北寄り風は夕方になっても落ちない。大きくエリアを変えます。松島に行きます。前回、良型を見てますからね」

– 松島は、西海市南東部からフェリーで10分ほどの離島だ。午後一番の便で渡ると、夕方の最終便まで戻れない。もし、イカの反応がないとしても、島内でやりきるしかない。
「15時半頃、干潮。大潮でも上げはじめでワンチャンスあるはず。釣れても、釣れなくても今日のうちに気になるところを見ておけば、明日のプランが立てやすくなります」

– 15時半の干潮前に磯の張り出しを撃ちながら回るが、湯川さんの表情は曇る。
「潮がスカスカ。Sephia LIMITEDは感度がすごく良いから、釣れない潮もすぐにわかります・・・」

– だが、夕方の上げはじめはSephia LIMITEDの感度が逆に作用する。
「潮が重くなった。これはもらったかな」 湯川さんの集中力は頂点に達するが、イカの反応はない。最終日、松島行きはないことを決定し、2日目の実釣を終える。

 

【大潮の傾向2】時合は読めるが一瞬のチャンスをつかみにくい

「イカが喰いやすいのは、満潮から2時間後や、干潮2時間前から潮止まりまでの潮が変化するタイミングが多い。イカは正直で、これはどの地域に釣りに行っても一緒です。大潮回りも同じで時合はわかるけど、例えば潮止まり直前の潮がスッと動く時間など、一瞬のチャンスがつかみにくい。大潮のときは、潮の変化点をよりシビアに意識する必要があります」

【傾向2の対策】感度の良いタックルで投げ続け、潮の変化点をとらえる

「大潮は、潮が流れてもイカが喰いやすいタイミング=変化点は一瞬ということが多い。それを逃さないためには、例えば満潮下げはじめから2時間後の潮が効き出すタイミングや、干潮2時間前から潮止まりまでのどこかで、イカの活性が上がると信じて投げ続けます。そこで重要なのが、感度の良いタックルです。ロッドのSephia LIMITEDは、軽くてしなやかで強い。バランスが良く、手にすると自重以上に軽く感じます。グリップ周りは中空・硬質・軽量のカーボン製で、ティップから伝わる感度を増幅。水中の情報を感知しやすい。大潮でも投げ続けて、一瞬の潮の変化点をより明確にとらえれば、釣れる確率が上がります」

DAY3 ワンド奥に藻場を控えた磯の岬で長時間戦を決断

– 3日目にようやく北寄りの風が収まり、湯川さんは2日目の朝一番に見にいった大島北部に向かう。だが、目的の磯の岬先端には先行者の姿が。
「やっぱり良い場所なんでしょうね」

– 湯川さんはスマートフォンの地図アプリで確認し、同じような地形の磯の岬を目指す。
「前回、先行者が居て入れなかった岬です」

– その入り口には立て看板がある。
「岬の途中にスリットがあって、先端まで行くと満潮時は戻れなくなるらしいです。今は潮が引いているから行けるけど、満潮は9時半。今日は大潮後の中潮だから依然潮位は高い。早くても11時すぎまで約4時間、移動できないということか」

– 帰路を考慮すると、タイムリミットは14時だ。
「潮通しの良い岬で、ワンドに藻があれば条件的には申し分ない。ほかのポイントを探すには、時間が短すぎる。ここで粘ります。少なくとも満潮から下げはじめでワンチャンスあるはずです」

推定1.5~2kgオーバーが複数回浮上。大型イカは居る!

– 北に向かって伸びる岬の東面は浅く、先端に向かって一気に深くなる。
「ワンドの奥には藻もある。魅力的なポイントです。あっ、イカ、イカっ」

– 推定1.5kgオーバーが、タックルを準備する湯川さんの視界内で浮上。
「でかいイカ、居ますね。磯際にはベイトも居る」

– 大型イカが釣れる条件は、整いつつある。そして、釣りを開始して20分も経たないうちに700g前後のアオリイカがヒット。
「着底してすぐに喰ってました。フリーで潮に馴染ませるようにフォールして」

– 撮影後、釣りを再開すると、Sephia LIMITEDを通して岬先端から沖へ払い出す流れを感知。
「払い出す流れが出る瞬間に喰ったんですね。潮の変化点でエギが水に浸かっていれば、口を使うということです」

– その後、反応はなく満潮が近づくとエギのシャクリ抵抗が急激に軽くなる。
「潮が軽くなりました。下げ出すまでは、厳しそうです」

– その間を利用して取材陣のリクエストによる撮影をしていると、今度は推定2kgオーバーの大型イカが磯際に浮上。
「喰わないかぁ」

– 湯川さんはすぐにエギを投げるが、イカは後退して沈む。
「相当、釣り人を見慣れてますね。エギを見て逃げる。満潮潮止まりのタイミングで浮いてきました。今のイカも潮の変化点で喰うはずです。9時半満潮だから10時半すぎから11時にかけて、激アツになりそうです」

 

ジャーク後のフォールで音による誘いをプラス

「シャクって底をとって、次のジャークで乗ってました。フリーで潮に馴染ませるようにフォールさせたら抱きました。クリンチラトルはジャーク後、フリーフォールする際の姿勢変化でも音を出す。フォール中に音で誘うことができます」

「読みどおりのタイミングで釣れた。大型は出なかったけれど満足です」

– 10時半をすぎると、沖に潮目が走り、潮目沿いに小魚がキラキラともじりだす。
「(岬先端の)左側は、底潮が思うほど流れていない」

– 岬先端から右方向に狙いを変える。
「右のほうが潮が重いです」

– そして湯川さんは読みどおりに、11時15分にアワセを入れる。
「んっ!?」

– Sephia LIMITED S86Mはきれいな弧を描くが、湯川さんは拍子抜けしたような表情を見せる。
「でかいイカ特有の、ボトムでエギをそっと抑え込むような小さなアタリ。アワせてドンッとバットが止まる思ったのに、ウィーンと後ろまで引けました。さっきの2kgオーバーかとドキドキしてアワせたのに」

 

– 上がってきたのは、その1/4クラス。その後、下げ潮が効いて潮が流れ出すものの、イカに口を使わせるような潮の変化点はなく、タイプアップを向かえた。
「大型イカを獲るという意味ではリベンジできませんでしたけど、最終日に読みどおりに釣れました。3日間とおしてイカ探しのプロセスも楽しめたし、自分の釣りとしては満足です。大潮は難しいからといって釣りに行かなければ、イカとは出会えませんからね」

初日と2日目にプランどおりに藻場が撃てていれば、結果は大きく変わっていたはずだ。休日が大潮回りに当たったとしても、湯川さんの釣りを参考に大型イカにチャレンジしたい。

 

ボトムステイ中に音でアピール

「満潮から2時間後の潮の動き出し。大型が期待できるボトム狙いで、ボトムステイ中もラトル音で誘えるのがクリンチラトルの強み。エギを抑え込むような大型イカ特有のアタリでしたが、サイズだけが読みどおりにいきませんでした」

【大潮の傾向3】一発大物が期待できる!

「大潮だからといって、悪いことばかりではありません。自分の経験で言うと、大潮は一発きたらでかいというのが魅力。最終日の満潮潮止まりで2kgオーバーが浮上してきたように、流れが止まって魚の活性が下がるようなときにドーンッとくることがあります」

 

【傾向3の対策】
潮止まり前後は気を抜かずに探る
夏はシャロー撃ちが有望

「大潮は、潮止まりとその前後、流れがなくて釣れそうもないなぁ、というときも気を抜かないほうが良いです。大型がドンッとくることがある。そのほかに一発が狙えるのが、早朝の時間帯。夜、捕食で岸に寄ってきたイカを狙います。春は藻場が捕食で上がってきたイカをストックするので、日中に釣れる可能性も上がります。夏は地磯など深場が隣接する潮通しの良いシャローの満潮から下げ潮で数、型ともに狙えます」