実釣フィールド / 但馬地方(兵庫県)

兵庫県北部に位置する但馬地方は、日本海に面した風光明媚な地。
対馬暖流の影響を受け、アオリイカの個体数が多く、関西圏を中心に多くのエギンガーが訪れる人気フィールドだ。
今回は東部の城崎から香住周辺で実釣。

DAY2 潮が動きはじめるタイミングにイカが釣れるところに立つ

– 2日目午後まで釣りをして、湯川さんはある推測を立てた。
「今(10月下旬取材)、日本海は秋イカシーズン終盤で、深場に落ちるイカが多いのかもしれないし、水温低下で活性が下がっているのかもしれない。あと、そうとう叩かれているんじゃないかと思います。良い釣り場は必ずと言って良いほど、イカが釣れた形跡が残っていますからね」

– エギに反応しない、付いてきても抱くまでに至らないのは、フィッシングプレッシャーによる?
「イカが居てもエギを見慣れている、というのもあるんじゃないかと思います。でも、何かのタイミングで喰うはずなんですよ」

– そのタイミングとは?
例えば昼食後、田村さんと別れる前に入った堤防でサゴシが釣れてましたよね(前編参照)。ちょうど満潮から下げはじめのタイミング。ただ、サゴシが回ってきてイカは捕食対象、つまりベイトになるので釣りにくい状況になってしまった」

– 湯川さんがいつも言うように、潮が変わるタイミングがチャンス?
「地元の人は、この場所は何時に釣れる、という地元時合いを知っていますけど、よそから来たアングラーはタイドグラフを見てタイミングを予測するしかない。今日は干潮が20時。その2時間前の潮が止まるタイミングに夕マズメが絡む。チャンスはそこ。良いタイミングにイカが釣れるところに立つ。そこで何をするかです」

時合いだけでは釣れない、という事実を再認識

– 干潮の潮止まり前の時合いを狙って入った釣り場は、初日の夕方にもサオを出した大型堤防。奥行きのある湾に突き出す大規模な人口構造物で、潮通しが良くイカの回遊も見込める。堤防先端には先行者がおり、湯川さんが挨拶をすると、やはり! と思わせる情報をキャッチ。
「14時頃に300~500gが3杯立て続けに出たそうです。ちょうどサゴシが回ってきたタイミングですよね」

– 秋の日はつるべ落とし。16時を回るとたそがれ時を迎える。
「日も落ちてきて、潮目も入ってる。良いタイミングですけど、底潮が効いていない」

– 湯川さんはエギをカエル跳びアッパー3.0号からエクスカウンター3.5号に交換。
「3.5号のほうがボディが大きくて潮噛みが良い。3.0号だと今の状況ではスーッと速く沈みすぎてしまうので」

– エクスカウンター3.5号 08T ケイムラアカエビで、シモリなど沖の変化から足元の堤防の基礎まで、広範囲を丁寧に探るがイカの反応はない。
「潮目が消えた。底潮が効いてグーッと重たくなって良いなと思うと、すぐに軽くなる。いつもこんな感じなんですかね。地元の紀伊半島だったら、もう帰ってるくらい潮がスカスカ(笑)。日没の光量の変化点だけに期待して、釣りをしてます」

– だが、干潮潮止まり前のタイミングを迎えても釣況に変化はなく、日没とともに2日目の実釣を終える。
「イカは居るはず。でも、潮が変化するタイミングだけでは釣れない。いよいよ、難しくなってきましたね」

DAY3 堤防周りの警戒心の高いイカに喰わせワザを仕掛ける!

– 最終日の釣り場は、三度、香美町の堤防を選択。
「初日、2日目午前と地磯をラン&ガンして手応えがつかめなかった。時間もないし、この堤防は昨日は先行者の方が釣っていたし、初日に田村さんも釣ってる。イカが居るのは間違いないので粘り倒します」

– 6時半すぎに実釣スタート。
「8時38分が干潮で、潮が止まる前と潮止まりから約2時間後の10時頃。潮の動き出しに期待したいですね」

– 堤防の先端側にある沖堤との間の水道のボトムを、カエル跳びアッパー3.0号 08T ケイムラアカエビで探ると、300gほどのイカが足元まで付いてくるが、すぐに下がっていく。
「渋いですね、この時間帯で。止めても抱かないので、プッとエギを落としたら下がっていった。小さいエギで叩かれて成長したイカが、堤防周りに居ると思うんですよ。喰う時間もシビアだし、きっちり丁寧に攻めないと出てこないでしょうね」

– 湯川さんは再度、水道のボトムをサーチ。足元付近までくるとシャクリとフォールを繰り返し、次の瞬間、鋭いアワセを入れる。
「潮が効いているなと思ったら、トゥンッとアタりました」

エギを見慣れているはずの警戒心の高いイカを遂に抱かせた。

 

【湯川さんのハイプレッシャー対策1】
堤防の基礎の下でシャクリとフリーフォールを繰り返す

「釣れたのは、堤防の基礎のカケアガリの下付近。沖からシャクってきて、基礎の下まできたら、シャクってフリーフォールで落とすを繰り返します。基礎の壁の下で、喰うか、引っかかるかの瀬戸際の釣りです。足元まで付いてきたイカは、警戒して喰わなかった。見えない状態じゃないと釣れないと思い、基礎の壁の下でしつこく誘ったら喰いましたね」

 

【湯川さんのハイプレッシャー対策2】遠投してサオ抜けスポットを狙う

– 湯川さんは1杯釣った後、イカの反応がないとエギをエクスカウンター3.8号に替えた。
「堤防より湾口側にもシモリが点在している。そこにベイトが居れば、イカは湾の奥の堤防まで入ってこない可能性がある。初日夕方に田村さんが釣ったイカもかなり沖でした。エクスカウンター3.8号で遠投して、サオ抜けスポットを狙ってみます」。

釣れないときにほかの釣り人がやっていないことを試すのは重要。だが、今回のトライは不発に終わる

ドラグゆるゆる底ベタベタの誘いは高プレッシャー時も有効

– 湯川さんは堤防先端側でイカの反応がないと、堤防中間部の基礎周辺をサーチ。
「先端側を休ませる意味もあります。ここは基礎の石積みが出っ張っていて、潮通しが良いし、海藻も生えている。イカが居るとしたら、こういうところ」

– カエル跳びアッパー3.0号 06T ケイムラアボカドを堤防の基礎の先に投げ、ボトムを探る。
「昨日、堤防付け根のシャローで釣ったときのように、ドラグゆるゆるでシャクリは2回まで。底をズル引きするように探っています」

– 前編で紹介した誘い方はプレッシャーのかかったイカに効果的なようで、ここでもイカを騙し切った。
「8時。潮止まり直前。もっと簡単に釣れてほしいタイミングですね。でも、時合いを読んで狙ったから、渋いなりに喰ってくれた。サイズはかわいいですけど、うれしい1杯です」

 

【湯川さんのハイプレッシャー対策3】
フォールでラインを張らないアタリをとらない釣り

「底ベタベタのときにも試していたのが、フォールでラインを張らない。アタリを取りにいかない釣りです。今回、イカがエギに付いてきてサイトになったときに、ラインを張ってエギを止めて、水平やカーブフォール気味に進んでも間を詰めない。見えないところでも同じことが起こっていると思い、シャクリ後、ラインを緩めてエギを潮になじませるようにフォール。ラインの動きの変化でしかアタリはとれないですけど、イカに違和感を与えにくく、しっかり抱かせることができます」

難しい状況でプロセスを楽しむ。これもエギングの魅力

– 2杯釣ったところで、深夜までメタルスッテ船を出していた地元遊漁船アスリートの船長、フィールドテスターの田村良さんが応援に駆けつけてくれた。
田村「どうですか?」
湯川「今朝は2杯出ました。なかなか厳しいですね。潮も動いたと思ったら、すぐに止まったりして、きれいに動いてくれない。いつも釣りをしている太平洋側とは違いますね」

田村「とくに今は満月大潮の潮回りで、日本海は潮が一瞬動いてすぐ止まるということがあります。時季的にもイカの反応が渋くなる頃。でも、こういう難しいエギングも僕は好きです」
湯川「そうですよね。サイズに関係なく、獲れた1杯の価値が違う。うれしさも倍増します」

田村「釣果だけでなく、プロセスも楽しめますよ」
湯川「おっしゃるとおり。それもエギングの魅力ですからね。さぁ、10時の上げの動きはじめで釣れるか? 狙いどおりに出たらうれしさ倍増ですね」

喰い渋るときほどイカが動くタイミングを読み、ていねいに釣ること

– 10時に堤防先端付近で二人がサオを出すと、400gクラスのイカが通過。湯川さんがエギを投げると無視。
「イカが動くタイミングというのは読みどおり。あとは喰い気だけですね」

– 直後に湯川さんにアタリが出るが抱き切らず、20分後には500gクラスが現れるが、エギを見せると後ずさり。同時刻に田村さんのエギにも良型が付いてくるが、あと2cmの距離が詰まらなかった。
田村「あれを抱かせ切れなかったのは、いかんですね。まだまだです」
湯川「いや、田村さんはシモリなど障害物のギリギリを通して、きっちり釣ってます。今回も普通だったらイカは居ないで終わるところで、結果を出してますからね。すごいですよ」

– 田村さんから見た湯川さんのエギングは、どうですか?
田村「沖のボトムから足元まできっちり探って、丁寧な釣りをしていますね。シャクリのリズムや強さ、振り幅の変え方を見ても、色々試してイカの反応を引き出そうとしている。勉強になります。二人でこれだけ真面目に釣りをしてイカが出ないのは、やはり時季と潮の悪さの影響が大きいかなぁ」

湯川「ひねり出すのが精一杯ですからね。10時頃もイカが動くタイミングまではたどりつけました。でも、エクスカウンター3.5号をフリーで落としたり、このコラムで初めて2.5号まで登場させるなど色々試しましたけど、喰わせることはできませんでした。今度は、良い時季にリベンジですね。またご一緒させてください」

田村「こちらこそよろしくお願いします」

結局、午後も釣況は変わらず、二人は再会を約束して実釣は終了となった。

 

湯川さんは秋のエギングにもランディングネットを携行

抜き上げ可能サイズのイカが釣れることが多い秋だが、湯川さんはランディングネットを携行。「もちろん、秋も大きいイカが釣れることがあります。魚が釣れたときにも掬えます。あと足場の高いところで小さいイカが釣れたら、ネットに入れて水中に優しくリリースできます」

【使用例】ボーダレスランディングシャフト550ステン磯ダモTM-061F(直径45cm、深さ50cm)