訪れたのは神奈川県の西湘海岸。

さて、大人気のライトショアジギング。
魚種を問わずフィッシュイーターを手軽に狙えるのが魅力だ。高水温になるこれからの季節は青物を始め数多くの回遊魚が沿岸部に近付き、ベイトフィッシュが寄る早朝には多くのアングラーがメタルジグをキャストする。

投げやすいメタルジグをキャストして、リールをグリグリ巻いてくればヒットするこのゲーム。誰でも手軽に始められるのだが、より多く釣るにはコツもある。

“ライト”とはいえ、そこはやはりショアジギングだ。20〜40グラムほどのメタルジグをより遠くに飛ばすことが釣果を左右する。入門者や初トライ・・・というならいいと思うが、やり込んでいるのにシーバスやヒラメ用のタックルを流用しているアングラーも少なくない。普段使っているプラグに比べれば飛距離は出るが、それでは釣果的に“もう一歩”。せっかくフィールドに来ているのにもったいない状況を見掛けたりする。

また週末ともなると、人気のサーフポイントにはエサ釣りやサーフトローリングなど、ルアーフィッシングだけでなく多くの釣り人が押し寄せる。釣り人同士の距離も近く、キャスティングミスによるオマツリトラブルも多い。

釣りにおいて大切なことの筆頭は現場に出ること。これがなければ始まらないし、どんな道具を使うかなどはもっともっとあとの話。だが、かといっておざなりにもできない。道具は人の作業を補ってくれるもの。その吟味を間違えたりおろそかにすると、快適さを失うばかりか釣りに集中することすらできなくなる。

  • 1本ずつが短いので、3本あってもすぐ真っすぐにつなげられる

  • 今日はこれで勝負です!

無理をすれば投げられる・・・その代償はどういうもの?

テイクバックはゆっくり。そこから一気に振り抜くのが、スイング速度を上げるコツ

手軽な気持ちで始めたライトショアジギ。1オンス程度のジグを使い、手持ちのシーバスタックルで朝だけ近場のサーフでキャストするというアングラーもいらっしゃると思う。もちろんそれでいいと思う。

しかしシーバスやヒラメロッドの多くはプラッギング、つまり重量が軽いルアーのキャスタビリティーやコントロール性を重視したセッティングとなっている。たとえば適合ルアーウェイトの表記内であっても上限に近ければ、それはギリギリ投げられますという意味。ストレスやトラブルなく投げるには20グラム前後になる。

「青物のファイトは小気味いいっすねぇ〜」

その点、ライトショアジギは1オンス程度のメタルジグを当たり前に使うことを考えると、やはりシーバスやヒラメ用では心許ない。「投げられればいいじゃん」なんて声も聞こえてきそうだが、事実上のオーバースペックのものを投げると不利益になることもある。

まず挙げられるのが、飛距離が伸びない点。
ロッドの持つ反発力が一番発揮されるのが20グラム前後、なかには15グラムほどに設定している機種が多いシーバス用。30グラムのジグを投げることはできても、弾き飛ばす反発力はない。どんなに素早く、力強くロッドを振っても、伸びしろが少なく飛距離に反映されない。

激戦区で出した1尾。飛距離は大きなアドバンテージだ

次に、方向性が安定しなくなる。限界の低いロッドでルアーを投げると、曲がりきったブランクスは力を横に逃がしやすくなる。いわゆる「ネジレ現象」が起きやすく、ルアーは左右へとブレ始める。

先にも述べたように、釣り人同士の間隔が狭い場合はオマツリやトラブルにも直結する問題。これを意識するあまりに、どうしても思い切り振れなくなる。つまり飛距離も伸びないということだ。

釣り人が少ない場所や平日の釣行であれば気にならないことかもしれないが、サンデーアングラーには重要な問題だ。

ライトショアジギにAR-Cを選ぶのは自然な成りゆきだ

AR-C TYPE XX

 

より遠くへ飛ばすときは、加速のストロークを稼ぐためスイング軌道を少し寝かせる。スリークォーターで振ると、30グラムのメタルジグは楽々100メートル先のかなたへ

特化されたロッドはストレスなく使いやすいが、お財布事情も考えると、おいそれとゲームごとに買い足していくわけにもいかない。できれば“1本”でいろいろなゲームをカバーしてくれればありがたいワケで、私が愛用するロッドをぜひ紹介しようと思う。

以前からシーバスやヒラメ、マゴチなどを狙うサーフやロックショアゲームで活躍してくれているシマノの『AR‐C(オール・ラウンド・キャスティング)』。キャスティングに特化したスペシャルロッドだが、そのコンセプトは「とにかく遠くへ」。実に潔く割り切り、ロッドに求める性能のプライオリティーを飛距離としている。

魚種を問わず、アングラーのキャスティング能力の最大値を受け止めるこのロッド。特に飛距離が釣果に直結するゲームにおいて活躍してくれるし、汎用性も非常に高い。難しいことを考えるまでもなく、与えられたルアー(仕掛け)の最大飛距離を出すという、ただそれだけに磨きを掛けている。

逆にいえば、掛かってからはアングラーの技量次第ということだ。それでいて「汎用性が高い」というには若干の疑問もあるが、ポテンシャルから想定されるターゲットに対してはややオーバースペックになる。

ただ「柔よく剛を制する」よりは「大は小を兼ねる」というほうが、扱いやすいのではないだろうか?パワーファイトが求められる磯やストラクチャーの厳しい場面などに有効な調子であると認識して頂ければよいと思う。

  • 「リールは軽くて、ロングスプールのものが遠くへ飛ばせます」

  • 「ロッドをサポートするタックルです」

全く新しい3ピース構造。斬新なロッドと言えよう

ボーダレス (並継キャスティング仕様・H2/H4/H6)

ボーダレス (並継キャスティング仕様・H2/H4/H6)

 

さて、そんなAR‐Cの血統を受け継ぐ『ボーダレス』。
様々にラインナップを増やしているこのシリーズの新作は、「並継キャスティング仕様」となった。言うなれば、最新のAR‐Cとも取れるスペック。3本継ぎの構造は従来通りでありながら、各セクションの仕事をより鮮明にした結果、それぞれの長さが違うという変則的な構造となっている。全く新しい、斬新なロッドと言えよう。

誤解されがちだが、AR‐Cの3ピース構造は持ち運びの利便性を求めたわけではない。キャスティングするにあたり、求められる性能を各ピースで高めた結果、3分割になったのだ。

具体的にはこうだ。

  • ♯01 セクション
    ルアーの初速を低下させる空気抵抗を抑えるため、リリースの際に素早く反転するようサポート。

  • ♯02 セクション
    ルアーの自重をしっかりと受け止め、それを反発エネルギーに変え合理的に飛距離を伸ばす部位。

  • ♯03 セクション
    スイングストロークを稼ぎ、♯1と♯2を加速させるための土台のようなパートで非情に強い。

 

「#2が最も重要なんです」

このように各ピースで仕事は異なり、特に♯2は核心部となるためここを基点として設計。その結果が、変則的な長さを生み出した。

一般的な2ピースの構造は、ロッドがルアーを射出する際に最も重要なセクションにジョイント部が存在してしまう。その点ボーダレスは、見るだけでも射出力が高そうなことがお分かりだと思う。

「私がライトなショアジギングで使っているのがこちらの3本。しかもそれだけでなく、トラウトから海外遠征まで幅広い汎用性の高さが気に入ってます」

ボーダレス並継キャスティング仕様のラインナップは8機種で、そのうちライトなショアジギングにおすすめしたい3機種を、具体的な汎用例を交えて紹介しよう。

そうそう。ボーダレスシリーズは長さがメートル単位なので、ルアーマンにはピンとこない場合が多い。ここではフィート表記もしておきますね。

【辺見的レビュー】285H2(約9フィート4インチ)

ジグウェイトは最大45グラムだが、40グラムを投げるゲームでも十分なパワーを備えている。取り回しのいい短めなので、シーバスゲームなどでは1オンス程度の鉄板バイブやテイルスピンジグなどを主力にする場合に最適だ。ロッドがネジレずアキュラシーも高いので、サーフのヒラメやマゴチをジグヘッドリグで狙う際にもおすすめ。ジグやスプーンを使った湖のビッグトラウトゲームや海外のサーモン狙いでも使いやすい長さと調子、パワーだと思う。

【辺見的レビュー】305H2(約10フィート)

ライトショアジギングにおいて主力として活躍している。ジグウェイトの最大が285H2よりも若干高い48グラムながら、ずいぶん余裕を感じるパワーがある。そして少し長い分だけ遠投もファイトも楽に行えるのもいいところ。特にサーフからのアプローチにおいて、ミノープラグやジグミノーなどの使用にも優れる汎用性が高いモデルだ。青物を始め、シーバス、ヒラメ、シイラ、タチウオ、サクラマス、アメマスなど遠投が求められる場面で活躍する。

【辺見的レビュー】305H4(約9フィート4インチ)

長さは305H2と同じながら、ジグウェイトの最大が65グラムまでアップ。ここはイッパツ大遠投したい・・・というときに出番だ。重めのジグをストレスなく投げられるので、ライトショアジギというよりガチな部類に入るかもしれない。汎用性のなかにも「強さ」を兼ね備える。背負えるプラグも最大で44グラムあり、適合ラインも最大2号。サーフはもちろん沖堤防や磯場などトップウォータープラグを使用するショアのシイラゲームなどでも活躍する。

 

この3機種は、ライトショアジギングを始め私が好きな様々な釣りにもマッチするモデル。いろいろなシーンで兼用できるので、とてもありがたく感じている。なかでも305H2はこれ1本で本当にいろいろ使えるのでおすすめだ。

「どんなロッドがいいだろう?」と迷っているアングラーの皆さんに、ぜひ『ボーダレス』という選択をおすすめしたい。単に汎用性を求めるだけではなく、より遠くへルアーが飛ぶようになれば必ず釣果に結び付く!

そうそう。こんな使い方もあるので覚えておいてほしい。
言うまでもなくショアジギングのベストタイムは朝マヅメだが、チャンスタイムが過ぎたらヒラメ狙いにスイッチするのもいい。もしくはルアーからジェット天秤に付け替えて、のんびりとシロギス釣りを楽しむっていうのもアリ。やがて夕マヅメのゴールデンタイムがやってくる♪

貴重な休日を存分に楽しめますよ!