ポイズングロリアス174XH-SBウルトラボルティズム パワーゲームを完遂するために 秦拓馬×山口県リザーバーその3

「SB」という名を持つスペシャリティーモデル

午前5時台からスタートした実釣も9時を過ぎ、この時点での釣果はフロッグで2尾、スピナーベイトで最大52.5センチを含む4尾。つまり4つのロッドで釣果を魅せるというミッションのうち、2つを既にクリアしたことになる。残すは2つ。「SB」の名を末尾に付けた2モデルだ。

「頭で思い描いていたプランでは朝イチにスイムベイトやビッグベイトで獲って、いち早くクリアする予定だったんですが…そう簡単にはプラン通りに事が運びませんね(笑)」。

スイムベイトにはポイズングロリアス174XH-SBウルトラボルティズム74、ビッグベイトには同じく176XXH-SBマグナムボルティズム76。ここ最近では自らが開発したビッグスピナーベイトのウェイト別にこの2本を愛用している。

「1.5オンスクラスには174XH-SB、2オンスクラスには176XXH-SB。スピナーベイトで良い結果が出ているうちに、ビッグスピナーベイトも試しておくべきですね」。

いきなりの2オンスクラスは避け、まずは1.5オンスクラスでトライ。とはいえ、見た目にもそのサイズは想像以上に大きく、このクラスを口にできるのは超大型バスだけに限られるような気がしてしまうのも無理はない。期待は自ずと高まっていく。

比較対象物がないためサイズを判断しづらいが、「手のひらに乗せてもはみ出してしまう大きさ」「リアブレードはまるで小判」「スカートはきしめん」という秦さんの言葉を元に想像するとわかりやすい。とにかく巨大だ。

ルート70。そいつを獲るために秦拓馬は戦い続ける

ポイズングロリアス174XH-SBとはどんなロッドなのか。秦さんは語り始める。

「僕が主に使うルアーは100グラムまでのスイムベイトはもちろん、このビッグスピナーベイトに、マグナムクランクビッグスプーンといった各ルアージャンルの中でもより大型のものが多いですね」。

同番手のモデルは、ポイズンアドレナにも存在する。

「自己最大記録の69センチをマグナムスプーンで獲ったのがアドレナ同番手のプロト。僕にとっては思い入れの強い品番で、さらに軽量化を図り、さらにパワーアップすることを目標にグロリアス版の開発を始めました」。

いつキャッチした魚なのかを問うと「2014年10月14日です」と即答した秦さん。最大魚を獲った状況、さらにはタックルもその脳裏に焼き付いて離れることはない。

「ルアーを巻いて、ラインが張った状態で突如バイトがあっても、ティップからベリーへの追従性が高く、フッキングしやすい上に大型バスの身切れを防ぐ。それこそがこの番手のグロリアスに求めた最大のコンセプトです」。

使用ルアーも前述のようにやや幅を広め、今回は1.5オンスクラスのビッグスピナーベイトを主軸としたセッティングに。

「スイムベイトのみを使うならカルカッタコンクエスト300にフロロカーボン16〜20ポンドを使うことが多いんですが、ビッグスピナーベイトを軸に他ルアーも使うことを考えて今回はアンタレスDC に16ポンドをセットして汎用性を求めました」。

そのリールについての詳細は後半で解説することにしよう。

サイズアップ必至! …のはずが、なぜか!?

3/8オンスのスピナーベイトで52.5センチが釣れたという事実があれば、1.5オンスクラスにサイズアップすることでバイト数は減っても釣れるのはさらなる大型、最低でも3/8オンスで釣った魚と同等クラスが釣れると思うのは必然だ。ところが、その思いとは反して、なぜかサイズダウンしてしまう。これはいったいどういった理由なのか。

「水面を見ていると時折、体側に婚姻色の入ったハスが追いかけられているのを見かけたんですが、追いかけていたのはどうも大型のバスじゃないんですよ。そのせいなのかどうか…」。

大型ベイトを捕食するバスをターゲットにしたビッグスピナーベイト。水深3メートルのボトムスローロールで獲ったのが1尾目、2尾目は夕マズメで活性高く浮いているであろう個体を狙って比較的上の層をトレースして獲った。

「プロトの段階から水深10メートルでも釣れるし、表層バジングでも釣れるし、サイズは超大型のロクマル級も釣れれば、30センチクラスも釣れる。本当に不思議なビッグスピナーベイトです。ただ注目したいのは、小さなバスでも弾くことなく乗せるのは、このロッドだからこそなんです」。

広範囲を探って1日に数回あるかどうかの大型のバイトを狙うのも良しだが、小型でも頻繁にバイトがある釣りを楽しむもまた良し。そのいずれでもビッグスピナーベイトのポテンシャルを最大限を引き出すのはこのロッド、ポイズングロリアス174XH-SBであることは間違いない。

夕マズメの当日ラストに獲ったのがこの1尾。ビッグスピナーベイトでの2尾目は、全釣果の中でもミニマムサイズ。ルアーが大型なだけに魚が小さく見えるが、これでも30センチは優に超えている。

変幻自在のリグ職人、その本領を発揮

リザーバーのバックウォーターでは上級から下流へ、下流から上流へと移動を繰り返し、およそ6時間を費やした。この間にフロッグやスピナーベイトなどで釣った魚の数は実に9尾。スタートからの2時間は沈黙するも、終わってみれば1時間平均で1尾以上をキャッチしたことになる。ミッションも既に3つをクリア。通常の実釣取材であれば、これだけで十分すぎるほどの結果だ。しかし、秦さんは4ミッションの完全クリアに向け気の緩みは見せていない。

「新連載の初回という大役をいただいたので、そう簡単に諦めたくないんです! やったりますよー!!」。

その気迫は必ず結果に結びつくはずだ。先にも述べたが、今回の秦さんからは釣れる気しかしない。その思いは時間を経るごとに強くなっていったのも事実。エリア移動を決意して、車を運転し始めた瞬間、雨がポツポツと降り始めた。レインウェアを釣り場へ持参していなかった秦さんの読みにも驚かされた。

2カ所目に選んだのは赤土のバンク。先のバックウォーターとは異なり、足場は比較的良くなったものの、動ける距離はわずかに30メートルほどしかない。そこから扇状に狙ったとしても、ルアーが届く範囲は限定されてしまう。「ならば」と、秦さんならではの奇策に出た。

「投げます! まずはスイムベイトの背バリ仕様。遥か沖のボトムへ到達させて、根掛かりさせることなくでかいのを引っ張り出したります!」。

実はこの地へと着いた途端に激しく雨が降り始め、一時は車内で待機する時間もあった。この雨が止み、釣り場へと向かうと天候は一気に変化して湿気を伴い不快指数MAXの熱波に襲われた。そんな中でもブレることなく、この機転。その類稀なる体力にも驚かされたのだ。

7インチスイムベイトの腹に3/8オンス(約10グラム)シンカーを埋め込み、アゴ下には1/4オンス(約7グラム)をセット。元々の自重62グラムに加え、全重量80グラム級のヘビー級スイムベイトを仕上げた。狙いはもちろん飛距離アップディープ攻略の両方だ。

それでも届かない。かくなる上は次なる手段へと…

「んー、届いてへん…。飛距離があと20メートル以上足りない…。とてつもなく飛ぶルアー、手持ちの中で他に何があるんかな…」。

秦さんは悩んだ末、ふと何かを思いついたようだ。「ちょっと車に戻ります」。傾斜の激しいバンクを登るだけでもきついが、さらには体を熱波が襲う。まるで天然サウナ。ふと気を緩めれば、生命の危機。取材班が水分補給だけは欠かさずに何とか正常値をキープしていると、涼しい笑顔の秦さんが戻ってきた。

「これなら人類が人力で到達できる最高に遠いところまでルアーが届くはずです!」。

と、その前にまずは1.5オンスクラスのビッグスピナーベイト及びスイムベイトで使用していた際のタックルセッティングをご覧になっていただこう。

<ビッグスピナーベイト、スイムベイト用タックル>

●ロッド:ポイズングロリアス174XHウルトラボルティズム74

●リール:アンタレスDC

●ライン:フロロカーボン20ポンド

ロッドの威力を最大限に活かすDCブレーキ

当初はなかなか思うような飛距離が出ないため、DCブレーキの優れた性能に頼ることを決意。サイドプレートを開けると、FL(フロロカーボン)、P(PE)、NM(ナイロンモノフィラメント)とラインの種類に応じて選べるモードダイアルをセット。上画像のようにFLにセットして、8段階で調整できる外部ダイアルを最小値となるMINにセット。それでも秦さんは納得がいかず、愛車へルアーを探しに行ったのだ。

アンタレスDCには驚異的な飛距離を生み出す「4×8DCブレーキ」が搭載されている。サイドプレートを開けると、内部には4つのモードダイアル。ラインの種類を選んだら、8段階の外部ダイアルで調整。実質32段階のモードから最適なブレーキ値を選択可能なシステムだ。

「ありましたありました、コレです! メッチャ飛ぶバイブレーション、それにラインを12ポンドまで下げて飛びを追求します!!」。

ロッドとリールはそれまで巻き物バーサタイルで使用していたポイズンアルティマ174MH-GにアンタレスDC HG、ラインを12ポンドに巻き替え、ルアーも結び替えた。続いては、DCブレーキのモード選択。先に内部構造を見た際、ラインの種類とは思えない「X」というモードがあったのにお気付きだろうか。

「一番飛ばせるモードで、エクストリームロングキャストモードの略です。空気抵抗の少ないルアーを限界まで飛ばすために存在するモードと考えていいと思います、ヨシこれだ!」。

お待たせしました、今週のハイライト! 秦さんはどれほどバイブレーションをぶっ飛ばしたのか、動画でご覧いただこう。

「めっちゃ行った! 相当行った! 相当行ってる、今の! もう人類が届くギリギリまで行ってる!」。秦さんの言葉通り、着水地点は遥か彼方で見えるのは米粒より小さな波紋。いったい何メートル飛ばしたのだろうか?

かつて秦さんが飛距離を計測した際は約90メートルまで達したというが、見た目にも今回はそれを超越しているかのようにも思える。残念ながら正確な数値は不明だが、いつか実測の数値を見てみたい。追い風なら人類が届く範囲はさらに、さ・ら・に広がるはずだ。

続いて、ウェイテッドフック3.5グラムをセットした高比重ワーム(約19グラム)での飛距離をご覧いただこう。

「果てしないですね、果てしなく飛びましたね」と秦さん。バイブレーションに比べればやや飛距離は足りないがそれでも50メートルは優にクリアしているはずだ。

「これは釣れなきゃおかしいですワ」。

遥か沖、水深はおそらく10メートル近い。ボトムからせり上がったブレイクには「何か木が生えてる感じですね」と、ポイズンアルティマ174MH-Gならではの優れた感度が手元へと感触を伝える。

「キタ! あれっ、外れた。またキタ! あれっ?」

アタリは頻繁にあるが、なかなか乗らない。何度かバラした後、ようやく乗った魚を足元まで寄せて、その意味がわかった。

「あー、小さいんですね、なるほど。でも、ここにきて食わせる方法が苦しまぎれながらもなんとなくわかりましたね」。

足元まで寄せたが、この魚はもちろん本数にカウントしていない。秦さんのプライドだ。そしてスナッグレス性の高いウェイテッドフックリグでボトムの地形を大まかながらも把握できた。あとはここぞという場所を攻略するだけだ。

赤土バンクでついに仕留めた1尾! そして…

「カーブの先端、1カ所のボトムでバイトが集中するのは下見をした昨日からわかっていました。昨日は連続して2尾獲れた時点で場荒れを防ぐために釣りをやめて、今日に温存していたつもりなんですけど…思ったよりバイトが少ないですね」。

無数のショートバイトはあるも、確実に乗せたと感じた魚は少なく結果的に4バイトに終わった。唯一、その手にできたのはボトムをスローに探った時ではなく、一定速でリトリーブした際だった。ルアーは先にも使用したバイブレーション。40センチ台のまずまずのサイズだったが、見事なフットボール体型の健康的なバスに惚れ惚れとする。

バイブレーションのベリー側フックをがっちりと食い込んだ健康体バス。体側の所々が赤く見えるのは、水際でランディングの際に付着した赤土だ。

「足下を見ると、ゴリやらエビやら、何の種類かはわかりませんが小魚がめっちゃ多い。生き物が溢れるフィールドで釣りをしていると、本当に気持ち良いですね。しかし、残す1つのミッションをどうすべきか…」。

その1本とは、ポイズングロリアス176XXB-SBマグナムボルティズム76。ビッグベイトを得意とする「SB」シリーズロッド。

「明日は違うフィールドに行って、フレッシュなバックウォーターを探るべきなのか。いや、諦めるのはまだ早い!」。

秦さんは夕マズメの絶好のチャンスを狙って、再度朝イチに訪れたバックウォーターへと向かったのだった。