ポイズングロリアス176H ブラッシュバスター76 加藤誠司×旧吉野川(徳島県)

まずは前回の復習からスタート

旧吉野川で加藤誠司さんは1611MHでフットボールジグを巧みに扱い、見事にグッドコンディションをキャッチ。当連載のテーマでもあるポイズングロリアス4本のロッドで釣果を得るミッションは、既に3本をクリアして残すは1本のみとなった。

今回はそのラストミッションとなる176H ブラッシュバスター76での実釣をお届けしたい。

「…と、その前に」と加藤さんは前置きして、前回の復習を兼ねた解説を語り始めた。

「1611MHって、カバー際でラバージグやテキサスリグのピッチング&フリッピング用ってイメージだけど、俺の場合、前回みたいなフットボールジグで使うことがメインなんだ。飽くまでも俺の使い方だったことを理解してね」。

改めて考えてみれば、フットボールジグ用と謳われるロッドの多くがショートかつ張りのあるモデル。しかし、加藤さんは1611MHを選ぶ。

流派の違いなんだよね。フットボール用の多くは、ポイズンアルティマ163MHのように縦の釣りで狙って、コツンとバイトがあった瞬間にフッキングを決めるというような竿が1つの流派。もう1つはキャストして泳がせてフリーになる瞬間を作って、バイトかなと感じたらググッとアワセてしっかり喰わせるような流派。俺はこっちだね」。

前回を振り返れば、その言葉の意味が実によくわかる。

「対して、テキサスリグなんだけど、俺は1611MHではあまり使わない。むしろ176Hなんだ。で、フットボールにしても3/8オンスなら1611MHだけど、それ以上なら176Hだね。なぜなら…」。

その理由とは、はたして。加藤さんはなぜ176H ブラッシュバスター76へと行き着いたのだろうか。そこが知りたい。

周囲の様子を常に伺いながらもその手はルアーを操作し続ける。水面の変化、鳥の有無など、目から入った情報が即座に腕へと伝達されていく。

「ロングロッドだからこそストロークが活かせる」

「俺の釣りはサ、全般的にストロークを必要とするんだ。ある程度、竿は長さがあった方が竿さばきで作るラインスラックを活かした釣りにより使いやすいんだ。1610Mや1611MHくらいの長さは欲しいよね」。

竿さばきが加藤さんの釣りでは軸となる。前回、縦方向に竿をさばいてフットボールジグをスイミングさせていくことを加藤さんは解説してくれたことを覚えているだろうか。その際にロングロッドが有利になる理由とは何か。

「竿が長ければ、立てた時のストロークが存分にあるし、ボトムからどれだけ切る(=離す、浮かせる)かっていう点でも、いろんな幅を選べるよね」。

対して、ショートロッドではどうか。

「竿が短いと、立ててもルアーが泳ぎ切ってくれないことが多いよね。ボトムを切る際に、竿を立ててもすぐに着底しちゃうから一緒にリールも巻かないとスイミングし続けることができないんだ」。

ショートでもスイミングは不可能ではない。ただし、加藤さんの場合はロングロッドのストロークを活かす方向性を選ぶ。

「ショートでも左巻きリールが使える人ならやりやすいんじゃないかな。でも、俺は右巻き派だし、ロッドを立てる時に右手をバットに添えるからやりにくいってのもあるね」。

加藤さんのフットボールスイミングはロングロッド+右巻きリールを使うことが前提にある。

「巻き続けているよりは、竿のストロークを使う方がゼロの状態を作りやすい。俺の流派は何よりそこを重視してるんだよ」。

ルアーに自由度を与えて、バスに口を使わせることを念頭に置いているからこそのロングロッドなのだ。

加藤さんの釣りは前回も解説した通り、「ゼロ」がキーになる。その状態を生み出すには…。

喰わせの「ゼロ」はロングロッドだからこそ

「で、スイミングでバイトがあった際、バスがフットボールを離しにくいということを考えれば1610Mの柔軟性が活きてくる」。

伝統の番手、1610Mマイティストロークは中型ファーストムービングルアーを軸に、ライトテキサスなどの撃ち物にも汎用性を高めたバーサタイルモデルとして知られる。

「タフな時に喰い込みやすいって時もある。けど、フットボールはフックが1本でスピナーベイト同様に掛けるというフッキングの動作が必要になってくるわけで、そこを重要視すると前回使った1611MHの出番となるわけなんだ。ところが…」。

1611MHで使ったのはフットボールジグの3/8オンス。それ以上の重さになると、ロッドにもさらなるパワーが求められる。

「そこで176Hの出番となるんだ。重さによる使い分けになるんだけど、その点を理解した操作やフッキングといった使い方ができるのであれば、1611MHから7インチも長い176Hのアドバンテージってすごく大きいよ。Hパワーと言ってもガチガチじゃないから、本当に使いやすいんだよ。ちょっと試してみてよ」。

加藤さんはまず1611MHを取材班に手渡した。「キャストして竿を立ててみてよ」と促す。存分なストロークがあるため、ジグが着底するまでの時間は存分にあった。

次に手渡されたのは176H。竿を立てると、なかなかジグが着底しない。先とは明らかに長い時間、水中をジグが漂っていることがわかった。

加藤さんはこのアドバンテージを追求して「張らず緩めず」のラインスラックを活かし「ゼロ」の状態を作って喰わせの間を与えているのだ。

「176Hでもスイミングをやるってのは、そこなんだ。でも、単にフットボール用というイメージだけで、この釣りにショートロッドを使う人が多いってのも事実。急なバンクや深場を垂直方向に狙うならそれでもいいけど、スイミングは別物なんですよ」。

イメージだけでの竿選びに要注意。ロングロッドとは飛距離を稼ぐだけのものではない。適材適所で出番は存在するのだ。

176H=カバー撃ちは明白。プラグでも超戦力!

橋下を超え、旧吉野川の本流に注ぎ込む流入河川へとボートを進める。護岸の手前でブッシュが水面を覆っているのが見える。これからカバー撃ちの体勢に入るのだろうと誰もが思うはずだ。

「176Hは、その番手を見ただけでもわかるようにピッチングやフリッピングでのカバー撃ちに適した竿だよ。この長さとは思えない圧倒的な軽さで、従来よりさらに精度の高い釣りを可能にしてくれるのは間違いない」。

加藤さんはロングワームをセットしたテキサスリグを撃ち始める。しかし、程なくして、ルアーを結び替えることを決めたようだ。ストレージから取り出したBOXはワームやフック、シンカーは入っていない。リグのローテーションではない。何と、そこにはバイブレーションが入っていたのだ。

BOX内にはバイブレーションをメインに、テールスピンジグの姿も。その多くが1オンスに迫る、いや超えるモデルたちだ。シャッドプラグはポイズングロリアス267ML デュアルスナイパーで使用。

加藤さんはシャローからミドルにかけて広範囲を探っていく。176Hで狙うのはショートディスタンスのカバー撃ちだけではない。

「遠くに飛ばしたルアーをしっかりフッキング可能」

「カバー撃ちのロッドとして使えるのはもはや当たり前のこと。特に、奥行きや水深のあるカバーでストロークを活かした釣りができるよね。消波ブロックの穴撃ちなんかにもいいね」。

確かに176H、7フィート6インチのH(ヘビー)アクションと聞いてカバー撃ちを想像しない人はない。

「何より俺が一番注目しているのがプラグ。遠投した先で掛ける際に、他ではフッキングが決まらなくてもこれならしっかり掛かるんだよ。ヘビーアクションだけど硬過ぎない絶妙な張りがいいね。シャロークランクのショートピッチでも使ってる。長さがあるから掛ける時にしっかり曲がってくれるんだよ。何より掛けたらカバーに入り込まれない。もちろん、誰でも使いやすいわけではないよ、俺の流派だからね」。

米国のみならず、国内でもカバークランク用としての出番が多いという176H ブラッシュバスター76。

「秦(拓馬)に言ったら、『そうなんですよ。意外と巻きにいいんですよね』って。パワー系の釣りが好きな人は理解しやすい竿だと思うよ」。

今後のカバークランキング界でエポックメイキングな1本となりそうだ。

以下の動画で、加藤さんが176H ブラッシュバスター76の特徴を端的に解説してくれたのでぜひ参考にしてほしい。

ラストは各所にウィードパッチが残るエリアをバイブレーションで探る。「んー、そんなに甘くなかったね…」。

実釣終了後に明らかになった前日の出来事…

「魚がけっして少ないわけじゃない。けど、ルアーに喰ってくれる魚がいないだけ。残念ながらタイムアップだね」。

ラストミッションの176Hブラッシュバスター76で釣果を得ることは叶わなかった。夕闇迫るまで果敢に挑んだ加藤さんだったが、旧吉野川は2尾目の釣果を与えてくれなかった。

「でも、まぁ、あの1尾目が出たからこそ、強い釣りで押し切ることができた。結果は伴わなくてもさ」。

冬間近の旧吉野川は一筋縄ではいかないタフさを増していたのだった…。

この日、実釣2日目は月曜日だった。後に聞いた地元情報によれば、その前日の日曜日に大規模な大会が行われていたのだという。加藤さんが1尾目を獲った消波ブロックエリアには常時10艇が並び、奥の奥まで探り切っていたとの話も聞いた。タフの要因は季節だけではなく、プレッシャーという要素も強く影響していたのだ。

「それを知っていたら、野村ダムからわざわざ350キロも移動しなかったかもね(笑)。でも、知らなかったからこそ、フットボールでの魚は獲れたとも言える」。

釣りに強いメンタルは欠かせない要素なのだとつくづく感じた釣行だった。

<使用タックル>