ポイズングロリアス267ML デュアルスナイパー 加藤誠司×野村ダム(愛媛県)パート2

ハードベイト専用機からバーサタイル機へと進化

加藤誠司さんによる実釣2回目は、ポイズングロリアス267ML デュアルスナイパーが登場。初代グロリアスからご存知の方なら既にお気付きかもしれないが、2016年に2代目へと進化を遂げた際、このモデルはペットネームを変更している。

かつての267MLの名はハードベイトスピン。小型プラグを主軸とした戦略を明確化していたが、新たな名は「2通り(の釣りを可能にする)」の「狙撃手」を意味。かつてのそれだけではない、釣りの幅を拡大したモデルに昇華したと考えていいだろう。

まずは、このモデルの使い方を動画でご覧いただこう。

加藤さんの場合、267MLで主軸となるのはシャッドプラグ。長めのレングスを活かして軽快なフィーリングで遠投を可能にすると共に、シャープなブランクスがその細かな振動を手元へ正確に伝達。また遠くのバイトを的確にフックアップする高いレスポンスも兼ね備えていることがわかる。

小型プラグとデュアルで使うのはご想像の通り、ライトリグ全般。加藤さんは主にジグヘッドワッキー、それもボトムでシェイクする際の有効性に着目しているようだ。

「中層を狙うのであれば、264UL プライマルスピンのしなやかさを活かしてスイミング。ただし、ボトムで使うのであれば、267MLの特性が活きてくる」。

そしてもう1つ、PEラインを使用したカバーフィッシング、パワーフィネスにも活路を見出しているのだという。デュアルを超えトリプル、いやそれ以上を自在に可能にするモデルと言えそうだ。

野村ダムは2つのバックウォーターを控え、その一方を加藤さんはチェック。状況次第で大型バスが集結するエリアとして知られるため、季節を問わずプレッシャーは高い。

小型プラグを投げて巻く際の主力機種

実釣初日、早朝にランチングしたスロープ周辺を攻めた後、加藤さんは上流域へと向かった。

「まぁ、ここに来たら、お約束の場所だよね」。

堰堤から激しく水が流れ落ち、魚が遡上できる最上限。ここは小魚の動き次第で、大型バスと出会いやすいスポットとして知られるが、この日はまるで小魚の姿を見かけることがない。バスの姿が見えようものなら、加藤さんの十八番であるサイトフィッシングのテクニックが冴え渡ったに違いない。

「バスが見ている方向は岸なのか沖なのか、浮いてるレンジはどうか、カバーの下にいるなら身を隠しているだけなのか、それとも落ちてくるものを待っているのか」。

あらゆる手を尽くして、今そこにいるバスの反応を探る。ライトリグはもちろん、シャッドプラグも加藤さんのサイトで使う手駒の1つだ。

シャッドプラグ58ミリのサスペンドタイプ。ベーシックにして今回の釣果にも貢献したのがこのモデル。SRやDRなども状況に応じて臨機応変にローテーションを繰り返して答えを引き出すのが加藤さんのサイトマジックだ。

「高速巻きがいいのか、スローがいいのか、バスに対してどうコース取りをするのか、どこで喰わせるのか。何より状況を即座に理解して、すぐに投げることができるかどうかが大切なんだ」。

前回解説した通り、ライトリグには264ULによるキャストアキュラシーの高さが求められるが、シャッドプラグを始めとする小型プラグなら267ML。チューブラーティップかつシャープなブランクは狙いのスポットへと吸い込まれるようなキャストを可能にする。適材適所での使い分けがサイト力を後押しするのだ。

国内戦では度々サイトを駆使して、2010年TOP50桧原湖戦での優勝を始め幾度もの上位入賞を果たしている加藤さん。気になるのは米国ではどんな威力を発揮するのか、ということだ。

「メインとなるのは春の試合くらいかな。国内ほど長い期間でサイトは通用しない。虫パターンもあるっちゃある。けど、勝てるパターンにはなり得ないかな。もっとでかいのが釣れるパターンは他にもあるからね」。

実に興味深い現場の事実。機会があればさらに詳しくお聞きしたいところだ。

最上流域へと向う途中、幾つかの流れ込みから温められた水が注ぎ込む。水温が高いのは明らかだったが、なぜか小魚は見えない…。

267MLでシャッドプラグを投げる一方で、264ULにライトリグをセット。「目の前に現れた状況に対して、即座に体が動けるかが大切」。

その張りがライトリグのボトム攻略で威力へ

サイトの際はもちろん、どんな状況にも対応すべく、事前の準備を怠らないことが大切なのだという。

加藤さんが267MLで2つめによく使うというのが「ジグヘッドワッキー」で、それも「ボトムシェイク」で使うのが最高だという。

使用するジグヘッドは1.3グラム以上、2.2グラムまで。他ロッドで使用するライトリグに比べややシンカーが重いかのようにも感じるのには理由があるようだ。

「現行モデルのなかでティップに程よい張りを持っているのがこのモデル。アングラーが入力するシェイクなどのアクションに対してボトムでのレスポンスがいい」。

中層で使うのであれば、またしても264ULの出番。267MLとのセットで常に加藤さんのボートデッキに控えるスタメンロッドとも言えそうだ。

「なぜかっていうと、ジグヘッドワッキーをボトムでシェイクする場合、やや張りがある竿のほうが動きを伝えやすいし、クイックな動きを出せるからなんだ」。

素早く短い動きが効く状況では欠かせない1本がそこにある。

「シンカーを軽くすれば他のロッドでもいいんじゃないのと言われそうだけど、軽くしたらよりクイックな動きは出せないからね」。

だからこそシンカーは重めで、それに的確に対応できる267MLが必要不可欠なのだ。

「まぁ、飽くまでも俺の267MLの使い方だからね。なぜなら…」。

加藤さんはポイズングロリアスの進化がもたらした驚くべき事実を語り始める。

加藤さんの身長は約180センチと日本人としては大柄。竿の長さや強さは、各人の体格に関係あるものとも言われるが、はたして…。

ポイズングロリアスがまたバス釣りの進化を加速

「アメリカってサ、日本では想像できないようなカバーが無数にあるんだよね。そうなると、ロッドはどんどん硬い方向へと向かっていく。掛けた後に魚に入り込まれないようにね」。

日本ではお目にかからない、複雑な根を水面下に広げるサイプレスツリーもその1つだ。そしてレイダウン。国内でも倒木をそう呼ぶことは多いが、規模の差は歴然だという。

「リザーバーを作る際に、倒した木を引き上げないんだろうね。日本だったら木を切って、ヘタしたら根まで抜く。根本的な違いがあるよね」。

加藤さんが米国参戦を繰り返すうちに、ロッドに求めるパワーが上がっていったのは必然だった。

「Mで使っていたルアーは、MHへ。MHだったものがHへ」。

1ランクのパワーを上げたロッドを使いこなすことは、通常違和感を覚えるものだ。国内ではMで使うルアーを、米国ではMHで。両国を股にかけて戦うコンペティターに不利な条件が突きつけられる。

「ところがサ、1ランク程度なら操作性に何ら違和感がないと言ってもいいね。アメリカで使いこなしたからこそ、日本でもその有効性が活きたモデルもあるくらいで」。

これぞ進化したポイズングロリアスだからこそのアドバンテージ。モデルによっては約30%もの軽量化を実現しながらも圧倒的な強度を発揮する2代目グロリアスのポテンシャルは底知れない。

「人によって体格や腕力の差もあるから、飽くまでも俺の使い方として考えて欲しい。ただ往々にして、いずれのモデルも日本人がより使いやすいモデルになっていることは明らかだけどね」。

単に番手のみで竿を選ぶのではなく、スペック表記を確認することも大切。何よりその手で実際に触れてみることで、ポイズングロリアスの真価が伝わってくるはずだ。

PE+スピニングが必携である理由

加藤さんが267MLで多用する3つ目の釣り方がパワーフィネス。

「メインラインはPE0.6〜1.5号で、リーダーは7ポンド程度。スモラバや高比重ノーシンカーなどをカバーに撃つ釣りで使う」。

ベイトフィネス登場以前に隆盛したパワーフィネスが近年、国内のカバー撃ちで双璧を成していることはご存知だろうか。加藤さんがこの釣り方を好むのには理由があるのだという。

「実はサ、TOP50の試合で1度たりともベイトフィネスで獲った魚をウェイインしたことはないんだ。え、意外?」。

「意外」という以外の言葉が浮かばない。今やトーナメントプロの誰もが主力の1つとする釣り方だと早合点していた。

「否定するつもりはないよ。確かに手返しの良さはスピニングよりベイトの方が上だし。俺が左巻きベイトリールを使わないってのが、一番大きな理由なのかもしれないけどね」。

手返しをより向上させるべく、ベイトフィネス機のハイギアかつ左巻きリールが注目されて久しい。ハンドルの差以上に、加藤さんはパワーフィネスのアドバンテージを見出しているのだという。

「軽いルアーでもフワッと落とせることができると思うんだ。ベイトだと着水した後に、ラインを送り出さなきゃいけないこともあるよね。掛けた後はPEだから多少強引なやり取りもできるし、スピニングだからドラグの性能も優れているよね」。

確かに言い得て妙。近年パワーフィネス派が増えてきたのはそんなメリットに理由があるのかもしれない。

「何度も言うけど、飽くまで俺の使い方だからね。人それぞれ流派はいろいろあると思うし。それとは別に、アメリカではここ3年くらいでドロップショットを始めとするライトリグはPE+リーダーが主流になりつつあるんだ」。

かつては8ポンド以上の太糸を大口径スピニングで使用していた感のある米国バスフィッシング。国内のバスフィッシングではまだ一般的ではないが、より細く強度の高いPEがもたらすアドバンテージは世界的なムーブメントとなりつつあるようだ。実に興味深い。

初日の実釣終盤、16時前、ついに267MLが弧を描いた! しかし、これを最後に反応は途絶えた。状況は厳しい…。

まさかの大移動を決意。向かうは350キロ先!?

実はこの実釣初日は日曜日。早朝ランチングしたスロープからはおよそ10艇、他スロープからもほぼ同数が出船。向かう先々でバッティングは避けられず「ローカル大会もやっているようだし、初日だし控えめに」と、朝から加藤さんは語っていた。

しかし、想像以上に釣果が伸びない。ネコリグで1尾目を獲ったのが13時前。それ以降、再び3時間ほど無の時間が続いて、夕まずめとも言える16時前にシャッドプラグの高速巻きで2尾目をキャッチ。2本のスピニングロッドによる釣果は稼げたものの、合間合間に挟んでいたベイトロッドの釣りでは「かすりもしないね」と無反応のまま時間は進んで行った。

残された取材日程は翌日一日のみ。はたして加藤さんはどんな展開を見せるのか。

「パワーゲームでいい魚が獲れそうな見込みがない…。明日やってみたところで、状況が好転するのかどうかも不明。月曜日なら過密化はないと言っても…」。

ここで加藤さんは英断を下した。

「フィールドを変えよう!」。

即座にボートを引き上げ、次なる目的地へと移動を開始。GPSが示す総距離は約350キロ。はたして加藤さんは、どこへと向かったのだろうか。

日没ギリギリを待たずの16時半、予定を繰り上げて野村ダムからの撤収を開始。広大な米国では「一日1000キロ以上も珍しくない」という加藤さんにとって350キロ程度の移動は朝飯前といったところだろうか。そのタフさには毎度驚かされる取材班だった。

<使用タックル>