ポイズングロリアス264UL&264UL-S 加藤誠司×野村ダム(愛媛県)パート1

日米両国、最先端の現場を知る重鎮がいよいよ登場!

2017年を締め括る12月は、いよいよポイズングロリアスチームの重鎮・加藤誠司さんの登場だ。

加藤さんといえばご存知の通り、米国B.A.S.S.オープンの3シリーズに出場する一方で、国内最高峰戦JB TOP50シリーズにも参戦する日本人初、いや世界初の日本とのダブルエントリー選手。2014年にTOP50で最高峰戦通算3勝目を勝ち獲るや、翌年から日米両国でフル参戦をスタートして3シーズンが経過。今季はB.A.S.S.ノーザンオープン第2戦ジェームズリバーでは、ボーターとしては自身最高位(*注)となる9位入賞を果たして、大いにファンを沸かせたことは記憶に新しい。

「この3年間で次の段階に進む準備はできた。あとは自分の釣りを目一杯試すだけ」。

国内とはフィールド規模からトーナメント事情まで全てが異なるのがアメリカという国。同じブラックバスという魚を相手にしてはいるものの、我々が普段の釣りで感じていることとはまるで異なる世界がそこにはあるのだという。

かとう・せいじ 世界屈指の天才ルアーデザイナーにして、日米両国のトーナメントにダブルエントリー&フル参戦する世界初のプロフェッショナルアングラー。2018年もダブル参戦を予定し、翌年の米国B.A.S.S.最高峰エリートシリーズ出場権獲得へ向け飽くなき挑戦を続ける。「還暦を迎える年に日米の最高峰戦に出場できたらいいね」。

*注:ノンボーター(同船者)部門での参戦では2007B.A.S.S.エリートシリーズのレイクアミスミスタッド戦で優勝済み。

「久々にこのボートで釣りをするよ。この魚探、小さく見えるねぇ…でも、数年前はこれでも最新鋭だったんだけどね」。

時は11月中旬。今回の舞台となった野村ダムに到着するやランチングを済ませ、湖上へとエレキで進みながら魚探を見つめる。米国はもちろん、国内でも大排気量のバスボートで広大な水域を縦横無尽に駆け巡る加藤さんだが、今回使用したのは、TOP50戦における60馬力制限戦仕様の14フィートFRP艇だった。

魚探の画面にはカラー液晶で明確に映し出された湖底が。一見、最新鋭にも思えるがここ数年でさらにエレクトロニクスは劇的な進化を遂げているという。ノートPCやタブレットを彷彿とさせる大型画面には、さらに詳細な水中の様子を映し出すハイテク魚探を用いるのが米国バストーナメントでは通例なのだと加藤さんは言う。

「ハイテク武装が当然の時代。となれば、武装している人としていない人では差があまりにも出過ぎてしまう…というのが現状。まぁ、全ての場面でそうだとは一概には言えないけどね」。

魚の着き場を探す道具がそうだとすれば、その手で直接的に魚と戦うタックルも同様に進化した道具を使ってこそ、世界の手練と対等に勝負するリングに立てる。

今回はその進化した道具たちの1つであるロッド、ポイズングロリアスの真価に迫ってみたい。

2016年に第2世代へと突入したポイズングロリアス。適材適所で異なるマテリアルを採用するシマノ独自のアルティメットブランクスデザインが大幅な軽量化を実現。最新カーボンモノコックグリップの採用と共に圧倒的な高感度化にも成功。初代から5年の時を経て劇的な進化を遂げた。

課せられたお題は、異例の5本。なぜ?

ポイズングロリアスという最新鋭の武器を右腕に、日米2つの過酷な舞台に挑戦し続ける加藤誠司さん。それぞれの舞台で、加藤さんは各モデルをどう使いこなしているのか。今回はそこに注目してみたいところだ。

さて、当連載のテーマは担当アングラーに与えられたお題をクリアするまでの過程を追っていくというもの。今回、加藤さんは以下のモデルで釣果を叩き出すことが使命となった。

1:ポイズングロリアス264UL プライマルスピン

2:ポイズングロリアス264UL-S ソリッドマスター64αスペック

3:ポイズングロリアス267ML デュアルスナイパー

4:ポイズングロリアス1611MH ハイパーアプローチ

5:ポイズングロリアス176H ブラッシュバスター76

当企画は4本で釣ってもらうことが多いが、今回は5本が並んでいる。これは…。

「1と2、モデルとレングスとパワーを示す品番を見ると、実に似通っているのがわかるよね」。

1の品番はスピニングモデルを示す2、6フィート4インチを示す64、そしてウルトラライトアクションのUL。2には、1の品番に加え「S」の英文字がハイフンで繋げられている。

ソリッドティップのイニシャルを示すSだね。対して、1はチューブラーティップ。そこにどんな差があるのかってことだね」。

今回はそこにフィーチャーしての実釣をお願いしよう。

「3までは、ここ野村ダムで何とかなるとは思う。ただ、4と5では経験上、やや厳しいかもしれないねぇ。ま、とりあえず始めてみようか」。

ランチングしたスロープ周辺から、即座に実釣をスタートした加藤さん。水温は14度台。冬に向けて下降線を辿っている最中で、晩秋いや初冬を感じさせる様相だ。「まずは強い釣りを試してみようか」と4のタックルでショアラインを攻め始めたのだった。

水面からは蒸気が立ち込めていた。即ち、水温より気温が低いということ。防寒ウェアを着込んでも時に寒気を感じたのが、実釣初日の早朝だった。

もはや冬を感じさせる肌寒さの実釣初日

「いや、全然小魚が見えないね。シャローはもう厳しいのかなぁ」。

まずはストロングな釣りを試すべく挑むも不発。野村ダムの流入河川の1つを攻め上がり、最上流域まで辿り着くもバスはおろか小魚さえ見えない。やはり水温の低下が影響しているのだろうか。

「うーん、深めの水深を狙ってみるしかないね」。

中流域まで戻り、そう言って手にしたのはポイズングロリアス264UL プライマルスピンだった。ポイズンシリーズで代々受け継がれてきたフィネスバーサタイル名竿の系譜。加藤さんはストレートワームのネコリグをラインの先にセットしながら「264UL-S ソリッドマスター64αスペックとの比較で言うなら」と前置きして、こう語り始めたのだった。

「大まかな目安で言うと、ネコリグは1.3グラム以上、ドロップショットは3.5グラム以上が264UL。それ以下は264UL-S」。

主な2つのリグに限定して、こう答えた。ただし、それだけが使い分けの目安ではない。

朝イチにパワーゲームで探った中流域を、フィネスで再度攻略。岸際のシャローのみならず、深場までその攻め手は広がっていった。

チューブラーティップか、「S」のソリッドティップか

「要は、竿先を何かに持たせるのかどうか。モタレ感の差で見極める。何かに当てて、竿先が張った状態のままがいいのか、それとも竿先が喰い込むのがいいのか。竿さばきと喰わせの強弱で、264ULか264UL-Sを選ぶのが俺の基本」。

チューブラーながらも繊細なソフトティップを有する前者、シマノ独自のタフテックαと呼ぶ喰わせのソリッドティップを備えた後者。加藤さんの言うモタレ感は後者の方が強いのは明らか。張りを活かして障害物をクリアした時の反応を探るべきなのか、それとも根掛かりのリスクを承知でモタレ感を追求してタフな魚が喰い込むことを優先するのかといったところだろうか。

「俺の場合、手に伝わる情報から判断して、どちらを選ぶのかは勝手に身体が動いてしまうというのが正直なところ。竿に何を望むのか、そこが本質だと思うよ」。

水中から伝わる振動を増幅して優れた感度を伝えるカーボンモノコックグリップが身体を突き動かす。竿は使いこなすほどに、それぞれの特性を理解できるもの。目の前にある現状を打破するためにどうすべきなのかを常に考え、次の一手へと繋げることこそが大切なのだと加藤さんは言う。

「全てを理解した上で、それぞれの竿の良さが活きてくる。バス釣りってそういうもんだと思うよ」。

加藤さんが各ロッドの使い分けをよりわかりやすく解説してくれたのが次の動画だ。

「まずはティップの曲がりの差を理解すること」と加藤さん。喰い込みやすいかどうか。その差をどう使い分けるのかはアナタ次第だ。

1尾目を手に、安堵の表情を見せる加藤さん。「こんなに苦労するはずじゃなかったんだけどね(笑)」と。

早朝から一転、昼には気温が大きく上昇へ!

この日、早朝は気温1ケタ台まで冷え込んだものの徐々に温まり、正午を過ぎる頃には20度近くまで上昇。表層の水温が温まってきたことは明らかで、魚探の水温計は朝よりも2度以上高い16.5度を示した。

「表水温が温まってきたはずなのに、小魚が見えないってのはどういうこと? 元々小魚がいたレンジより水がなかり増えちゃってどうしようって感じなのかな…。ん? 釣れそうな雰囲気が出てきたぞ」。

岸寄りの水面下、偏光グラス越しにようやく見える程度の水深で、小魚がキラキラと輝く姿が見え始めた。加藤さんはその一段下をネコリグ0.9グラムで探り始める。すると狙いは的中、即座に答えが返ってきた! それが冒頭の画像だ。

当釣行1尾目のヒットルアーは、264UL プライマルスピンで繰り出したストレートワーム4.8インチのネコリグ0.9グラム。ワームのほぼ真ん中にマスバリ横刺しのセッティングだ。

「ようやく、って感じだね。俺の予定ではこの時点で5本の竿全てで魚を釣ってるはずだったんだけどね(笑)」。

状況は想像以上に厳しかったが、まずは1本目のお題クリアに笑みもこぼれた。ところで先に、264ULと264UL-Sの使い分けの差として「ネコリグは1.3グラム以上、ドロップショットは3.5グラム以上が264UL。それ以下は264UL-S」と加藤さんは語ったが、このネコリグに使用したネイルシンカーは0.9グラム。本来なら264UL-Sで使用するリグではないのだろうか。

「それはサ、ワームの形状や長さ、素材にもよって変わる。飽くまでも大まかな目安として考えてほしいね」。

この時使用していたのは高比重マテリアルかつ抵抗も強いストレートワーム。軽く抵抗の弱いワームであれば、先に加藤さんが語った基準が当てはまるのだろう。考え方としては、単純にシンカーの重量だけでなく、ワームの重量も足して考えることも大切だ。

ここで改めて、各モデルの適合ルアーウェイトを確認してみた。264ULが2〜7グラムであるのに対して、264UL-Sが1.5から5グラム。数字上で見れば、2〜5グラムのルアーであればどちらのモデルでも使えるということになるが、そう単純な話でもない。

加藤さんはドロップショット用に3インチカーリーテールワームをセレクト。事前に幾つかのカラーをパッケージから取り出し、フック&シンカーBOXの上に。「どの色が良いのかは魚に聞くしかない」と即座のカラーローテーションを見据えた準備だ。

竿先の「モタレ感」で、ボトムとどう付き合うか

「次は軽いドロップショットを使ってみるよ。シンカーは0.9グラムね。この軽さでもティップにモタレ感があって、ボトムに何があるかわかりつつ、それを舐めるように乗り越えることができる。だからこそソリッドティップの264UL-Sを使う意味があるんだ。このティップが特に真価を発揮するのは、そうだねぇ…1.8グラムくらいまでかな」。

では、264ULで0.9グラムドロップショットを使った場合、どうなるのか。ボトムの感覚は明確に伝わったとしても、シンカーが何かを乗り越えようとする際にチューブラーティップの反発力が若干高いが故に、リグが飛び跳ねてしまう可能性も高い。

一方で加藤さんの十八番と言える、見える魚を仕留めるサイトフィッシングではまた事情が異なる。

「サイトの時は、明らかに264ULの出番が多いよね。それはキャスト精度の差。狙う魚からより遠く、精度の高いキャストが決まれば思い通りに魚をバイトさせることができるよね」。

この釣り方で使うルアーは様々だが、ライトリグに関して言うならば264ULの独壇場。適合ウェイトを多少下回ったリグだとしても、チューブラーティップならではのキャストアキュラシーの高さは外せないのだという。

「竿を立てるのか、寝かせるのか。人それぞれ流派があるだろうし、そこらへんも考えると、一概に重さだけでは語れない部分があるよね」。

適材適所で使い分けること。ひとことで言い切れば簡単だが、ロッド使い分けのキーは使い手自身が使いこなして見つけていく。それこそが最良の手段と言えるのかもしれない。

先端だけが軽い力でも深く曲がるソリッドティップを備えた264UL-S。チューブラーティップを持つ264ULとの比較は、先の動画で再確認を。

ディープ好調! しかし、まさかのトラブル…

やや深場に光明を見出した加藤さんは、その後は時にシャローを狙う場面もあったもののディープ攻略主軸のスタンスへ。午後が深まると共に表水温は上昇して、最も水温が高まる夕方にはシャローが活きる。それまではディープがメインという算段なのだろう。

「うぁっ! 細軸とはいえオフセットフックなんか使わなきゃよかったよ…」。

264UL-Sで0.9グラムドロップショットを巧みな操作の末にバイトを確認。しなやかに喰い込む竿先から眼でアタリを察知してのフッキング。手に伝わるまでもない微かなアタリを竿先が感知。ソリッドティップは手に伝わる感度のみならず、竿先の変化でアタリを獲る目感度とでも言うべきアドバンテージも備えているのだ。

「だからこそ、他では喰わせられない魚、タフった魚を喰わせることができるんだよね」。

オフセットからマスバリにフックを付け替え、シビアなバイトに備えるも「またか…」と加藤さん。どうやら相手は極端に小さい個体か、バス以外の魚であったようだ。

すると、その直後のこと。

「ディープしか反応がないのに、魚探が調子悪いってのは手痛いね…」。

時間は15時。日没は17時過ぎのため、撤収時間を考えれば残された時間はあと1時間半弱。

はたして夕方のプライムタイムを加藤さんはどう使ったのか。その詳細は次回へ。

<ネコリグ用>

<ドロップショット用>