ポイズングロリアス168ML-LM グレイハウンド68 早野剛史×霞ヶ浦水系(千葉県・茨城県)その3

「この水系で最も重要なのはタイミング」

「さっきの2尾、時合っぽい感じでしたね」。

取材初日の早朝、わずか20分の間。それもほぼ同場所から抜き上げた実に見事な連発劇。早野さんはその時を振り返ってこう評した。

時合(じあい)とは何か。それは自然が水中に何らかの影響を及ぼし、魚を高活性な状態へと引き上げるタイミングのこと。海釣りでは潮の干満がそれに大きく関わることが知られている。淡水の釣りでも少なからず影響を与えると見る向きもあるが、敢えて潮時表を確認するまでもなく時合を知る方法はある。

「風が吹き始めたので、フィーディングの時間かなと」。

早野さんはそう言って、風が当たる面へと到着。護岸の手前に消波ブロックが沈んでいるエリア。前回もお伝えした通り、この日は増水傾向。普段はブロックの先端が水面上に見える箇所も存在しているが、この日はほぼ水面下に沈んでいた。

フィーディング、つまりはエサを捕食すること。この消波ブロックへと風が吹きつけることで、水中のプランクトンとともに小魚も押し寄せられ、バスにとっては絶好のエサ場が形成されると言われる。また波立つことで水中の酸素量が増えることも、その場の活性を上げる要因になるとも言われる。

風がなくとも小魚を捕食する鳥の存在もキーになる場合も。風が吹き始めるのを待っているのか。それとも何らかの要因がそのエリアに小魚を集中させているのか。

その場にいたバスの活性が上がるのか、それとも他の場所からバスが集結するのか、それは定かではない。しかし、風が当たる面でバスを釣りやすくなるのは事実。だからこそ、早野さんはそこへと向かったのだ。

風はもちろん、曇りや雨といった天候の変化も魚を高活性へと導く。一日のうちでも朝と夕方は日中とは異なる光量となるため、これもまた高活性の要因となる。

「朝夕は勝手に高活性になってくれますが、日中は何らかのタイミングを見つけないとまだ厳しい時期。(時合を)当てるまで探します」。

取材時は9月後半。まだ残暑厳しい頃のこと。日中ならシェードをはじめとする涼しい場所でスローな釣りを展開すればいいと思うかもしれない。しかし、早野さんには当連載の裏テーマ、4本のポイズングロリアス全てで釣果を魅せるというミッションが課せられている。既にスローな釣りで2本をクリア済み。次なる1本で獲れる魚とタイミングを今まさに見計らっているところなのだ。

「風が吹いてきたし、巻きのタイミングかなと」。そう言って、ストレージからボックスを取り出した早野さん

グロリアスチームの誰もが愛するマキモノバーサタイル!

次なる1本とは「ポイズングロリアス168ML-LM グレイハウンド68」。

当連載をご覧になってきた皆様には既にお馴染みの1本。登場アングラーは早野さんで4人目となるが、うち実に3人が使用して結果を魅せてきた頼れるロッドだ。

「え? 小野(俊郎)さんも川島(勉)さんも? そーなんですか!」。

川島さんは千葉県亀山ダムでスモールクランクベイトを、小野さんは岐阜県長良川でスピナーベイトやバズベイトをそれぞれ軸に実釣したのは記憶に新しいところだろう。では、早野さんはこのロッドでどんなルアーを使うのか。そこが気になる。

「メインはバイブレーション。スモールクランクベイトも使いますね」。

早野さんはこの1本を、小野さんのようにワイヤーベイトは「敢えてチョイスはしないが、ごくたまに」として、川島さんのセレクトにも似たマキモノ全般を使いこなす。

ポイズングロリアスはUBD(アルティメット・ブランクス・デザイン)と呼ばれる製法で、弾性率の異なる素材を適材適所に配置して仕上げられたシリーズ。より軽く、高感度で、なおかつ強いのはもはや言うまでもありませんね。僕の印象では、初代に比べ、2代目ポイズングロリアス全般的にシャキッとした感じで、よりシャープに振り抜ける印象です」。

そのUBDをシリーズ中で最も活用したモデルが、このグレイハウンド68なのだという。

「マキモノってやや弾性率が低く柔軟性の高いティップが必要。振動するルアーのピッチを吸収せずにしっかり振幅させてくれることが大切。なおかつ霞ヶ浦の場合、ベリー〜バットがしっかりしていて、投げやすさだけでなく障害物から確実に引き出せるパワーも欲しかったんです。そんな時に川島さんが開発しているロッドがあると聞いて、それがグレイハウンド68でした」。

早野さんがグレイハウンド68でメインに使うのが60ミリクラスのバイブレーション。トレブルフックがむき出しのプラグかつシンキングタイプであるにも関わらず実にスナッグレス性が高い。ボディについた無数の傷は、長きに渡って愛用してきた証だ。

風の当たるタイミングを逃さずラン&ガンを繰り返す早野さん。頼りになるマキモノの相棒と共に。

番手の末尾に見えるLMとは、ローモデュラス(=Low Modulus)のイニシャルで、意味は低弾性。カーボン素材は弾性率が低くなるほど喰い込みが良く、粘り強い特性を発揮することはご存知だろう。

キャストすればしなやかなティップはブレずに狙いの場所へとルアーを届け、巻けばルアーの振動を受け小刻みにティップは揺れ続ける。その振動は即座にグリップエンドのカーボンモノコックグリップへ伝えた後に内部で増幅して手元へ。ポイズングロリアスが超高感度たる理由だ。

「マキモノはリズムが肝要。水中の様子を確実にイメージできることで集中力を高め、次なるキャストへと繋ぐことができるものだと思っています」。

早野さんはフロロカーボン12ポンドをメタニウムDCにセット。トラブルレスなベイトリールとのマッチングで、さらにマキモノの釣りを昇華させているのだ。

風を味方につけ、見事にバイブレーションで1尾をキャッチ。思い通りの展開が早野さんの頬をほころばせた。

「この石積みにドンピシャで当たる風向きではないですけど、存分に当たっていますね。確率は高い、なくはないと思います」。

投げて巻き、の素早い展開が早野スタイル

先の消波ブロック場から大きく移動した早野さんはスロットルを緩め、風向きを肌で感じるや石積みが連続するエリアの方向へとバウを向けた。風による波を受けボートが安定しない中、エレキで石積みとほぼ平行に流し始める。斜め前方向へサイドからのショートキャスト。石積みが徐々に水中へと沈んでいくラインに沿ってバイブレーションをトレース。その様子は動画で確認できる。

「巻くスピードは速めです。たまに(石積みに)タッチする程度」。

見た目にも早野さんの巻く手がブレるほどに速い。メタニウムDCのノーマルギアはギア比6.2。とはいえ、水中でバイブレーションが進むスピードはかなり速いだろう。するとその時、早野さんはグレイハウンド68を鋭く引きつけフッキング! 巻いている際の速度を上回るスピードでハンドルを巻き、船べりにバスを近づけるや即座に抜き上げ!

「巻き始めてすぐに釣れたんで、タイミングが良かったですね。多分、もっと釣れると思うんです」。

今回冒頭のカットを撮影している間に、こう話した早野さん。しかし、そのタイミングとは実に短い。後を続けようにも今回は取材という性質上、撮影時間を要するのは致し方のないことだと納得いただくしかない。

撮影が済むと、早野さんはバイブレーションから瞬時にスピナーベイトへと結び替えた。その真意とは。

「水面ギリギリ、かつ石積みのキワで(エサを)待っている魚がいそうなんで、さらに攻めてみます」。

バイブレーションを即座にラインの先からカットして、足下に置いてあったスピナーベイトへと素早く結んでキャスト。この間、おそらく10秒と経っていない。先に、グレイハウンド68でスピナーベイトは「敢えてチョイスはしないが、ごくたまに」と語った早野さんだが、その「ごくたまに」が今だった。

「もちろんワイヤーベイトに使える汎用性の高さはありますよ」。

1秒も無駄にできないような状況における対応策。特にトーナメントの舞台では、こんなことも稀にあるのだろう。ストレージから新たにもう1本を取り出すよりも時間は短縮できる。また岸釣りならそのマキモノバーサタイルな特性は、複数のロッドを持ち歩く必要をなくす。大きなアドバンテージとなるに違いない。

バイブレーションと共にグレイハウンド68使用時、早野さんの主力となるのがスモールクランク。今回、釣果はなかったが、登板回数は少なくなかった。

4本中3本で結果が! 次なる1本とは…

「風が当たって時間が経つと底荒れして、その場が機能しなくなることも」。

風が当たった瞬間こそ、その場の活性は高まるが、当たり過ぎればボトムの土や堆積物が巻き上がり、当初の薄濁りから徐々に濃密な濁りへと。そうなるまでに結果を叩き出すことが大切なのだと、早野さんは教えてくれた。一方で、こんな対応策も。

「例えばこんな石積みの場合、風や波を嫌って、内側に入り込んで避難する魚も。狙っておいて損はない」。

先とはまた別の石積みでは、沖に並んだ石積みの内側(岸側)へとボートを進め、マキモノで素早く探った後、ここぞというストラクチャーは撃ちの釣りでも攻め込んでいった。

この時早野さんがセットしたのは、テナガエビを模した高比重ワームのバックスライドリグだった。

沖側とは異なり、石積みの内側は穏やかな水面。よりスローな釣りで合わせていく。

この撃ちの釣りで使ったのは、もちろん今回のテーマであるポイズングロリアス168LM-ML グレイハウンド68ではない。撃ちを主力とするモデルの1本だ。

ポイズングロリアス1610M マイティストロークの回で早野さんがこう語ったことを覚えているだろうか。

「1610Mがあれば、166Mの領域もカバーできるため要らないと思われがちですが、僕はそうは思いません」。

いずれもバーサタイルを印象付けるMアクションで、その差は4インチの全長のみ。それを遠投能力の差とだけ考えるのなら、確かに2本は要らないのかもしれない。次週は、そのポイズングロリアス166M ウルフギャングの詳細をお伝えすることにしよう。

取材初日はポイズングロリアス1610M マイティストローク、166L+ -BFS BFS66カバートラップ、そして今回の168ML-LM グレイハウンド68でそれぞれ1尾をキャッチ。続く2日目は166Mウルフギャングが吠える出番だ。

<使用タックル>