ポイズングロリアス168ML-LM グレイハウンド68 低弾性カーボンとマキモノが示す好相性 小野俊郎×長良川(岐阜県)その3

綿々と受け継ぐ名機の血統

「グレイハウンドっていう犬は、速く走ることで知られているよね。競技でも圧倒的な速さを発揮する。そんな意味も込めて命名したんだ」。

今回の取材フィールド、長良川の現場へと向かう車内。小野俊郎さんに当ミッションに使用するロッドのサブネームの由来について尋ねるとこう返したのだった。

かつて小野さんがこう語っていたことが思い出される。

「マキモノって言うと、世界的にはグラスの粘りに注目されがちだけど、重くてダルいのも事実。欧米人に比べ小柄な我々日本人がグラスロッドを一日中使うのには体力的にもキツい。ならば軽いカーボンでマキモノロッドを作ることはできないのかと。何よりウィードが多いフィールドではカーボンならではの張りが活きてくると思うんだ」。

今でこそグラスを採用したロッドテクノロジーは劇的に進化を遂げ、圧倒的な軽量化を果たしているが、誤解を恐れずに言うならば当時は一部の愛好者のみが使うキワモノロッドであったことは否めない。小野さんが求めたのは軽量かつしなやかなテーパーを持ち、確実に獲物を絡め獲ること。なおかつターゲットに負けないパワーを発揮することだった。また当時は、徳島県の旧吉野川を始め、ウィードが繁茂するフィールドが実に多かったこともこのモデルの誕生に大きく影響した。グラスロッドではウィードトップにルアーがスタックするとティップが力を吸収してしまう。一方、カーボンであれば1回のジャークでウィードを切り抜け、ストレスのない巻きの釣りを可能にしてくれる。

今思えば、当時のグレイハウンドはカーボンの張りを持ちながらも食い込みの良さを実現していた。そう考えれば、現行の「ポイズングロリアス168ML-LM グレイハウンド68」と同様のコンセプトが秘められていたことに気付く。綿々と受け継がれてきたグレイハウンドの系譜。最先端技術を身に纏った名機の実力を今回は魅せていただくことができそうだ。

カーボンとグラス、マキモノにおける有効性とは

「明日は北風の爆風になる予報なんだ。だから、釣りができるエリアは限定されてしまう。今日中に大方、結果を出しておきたいね」。

2日間の日程で行われる当連載。初日は早朝から昼にかけて快晴無風。ところで、前回小野さんがこう言っていたのを覚えているだろうか。

「今日は全体的にワームな感じがするんだよね」。

経験値からくる必然。おそらくは風のない状況でタフった魚をどう制すべきかという判断も小野さんの脳裏にあったに違いない。初日はマキモノよりワームに分がある。風が吹く2日目にマキモノをと考えていたとも想像できる。

ところが初日、開始30分ほどで幸先の良い1尾を釣ったのはシャロークランクベイト。タフな状況ながらマキモノで制することができたのは、想像以上の速巻きによるリアクション狙い。速巻きかつ消波ブロックに当てた瞬間のバイトを引き出すことに成功したのだ。グラスコンポジットのポイズングロリアス166L-G C66の喰い込みの良さがバイトを弾くことなく乗せたのは言うまでもない。

その後、小野さんはバズベイト、そしてスピナーベイトへとローテーション。共に使用したロッドはポイズングロリアス168ML-LMグレイハウンド68。このモデルはフッキングを要するワイヤーベイトに向いたロッドなのかとおぼろげながら想像できた。

しかし、次の瞬間、小野さんはこのモデルにスモールクランクのMRをセット。岸際のゴロタ石やウッドカバーを撃ち始めたのだ。C66もグレイハウンド68も、共にシャロークランクを扱えるロッドであることは確か。グラスコンポジットとカーボン、そこにどんな差が生じて、どう使い分けているのかが気になるところだ。

初日は快晴無風の予報ながら一時的に風が吹く瞬間も。そのタイミングを小野さんは逃さない。流れシェードという夏要素が加味される橋脚へ即座に移動を決めていた。

上はスピナーベイト、下はバズベイトで共にウェイトは3/8オンス(約10グラム)。ワイヤーベイトのウェイト表示はヘッド重量のみのことが多い。ブレードやワイヤーなどを加えると、それ以上の自重になることを覚えておいて損はない。

ワイヤーベイトはマキモノなのか、否か

「C66とグレイハウンド68、使うルアーはほぼ一緒と考えてもいいね」。

セットしたリールはメタニウムDCメタニウムMGL、モデルこそ違えど共にハイギアのHG。ラインもフロロカーボン12ポンドと全く同じだ。同じルアーを使えるのなら、2本は必要ない。どちらか1本でも良いのではないか。そう考える向きもあるだろう。

使い分けに関して、小野さんはこう解説し始めた。

「まずは168ML-LMグレイハウンド68の特徴から解説すると、このモデルは低弾性のカーボンを採用することで、カーボンならではの軽さや感度、シャープさを活かしながら、弾性率の低さによるしなやかさや喰い込みの良さを両立した1本なんだ」。

張りが強過ぎないため、グラスコンポジット同様の粘りを持ち、マキモノルアーへの幅広い対応力を発揮する。

「6フィート8インチというレングスは、遠投性能とキャストの正確性を両立。マキモノは広範囲を探るというイメージがあるかもしれない。しかし、それ以上にストラクチャーに対してタイトにトレースしたり、ピンポイントへのキャストという性能がある意味、ワームやジグの釣りと同等以上に求められる場合もある」。

マキモノの釣りは無作為に投げているわけではない。狙いの場所、コースを通すことができなければ意味を成さない。

「一般的に長いほうが飛距離にアドバンテージがある。その一方で、正確性を求めるなら短いほうがいい。6フィート6インチほど短くなく、7フィートほど長くない。その中間となる6フィート8インチに設定」。

では、グラスコンポジットのポイズングロリアス166L-G C66とはどう使い分けるのか。

「C66が喰い込みが良いことは理解できると思う。ということは逆に、カバーに対してスタックしやすい傾向にもある。僕の場合、ウッドカバーやゴロタ石、カバーの奥の奥を狙うカバークランキングではグレイハウンド68を使う。対して、C66は比較的オープンなストラクチャーを狙う場合に」。

霞ヶ浦水系で例えるならと問うと「ジャカゴはグレイハウンド68、岩盤はC66だね」との回答。

「ただし!」。

小野さんは付け加えた。

「これは扱うアングラー側の判断にもよるけど、カバーに魚は着いているけど魚がタフってバイトが弱い場合、僕ならC66を使う。スタックは増えるかもしれない。それでも魚を獲りたい。ならばグラスコンポジットを使うのは必然だと思う」。

いわば、諸刃の剣。共に喰い込みの良いモデルだが、究極の場面でほんの微かな差が結果として現れるのだという。

「それとルアーフックの構造上の問題で使い分けることも。トレブルフックのマキモノはグラスコンポジットの喰い込みの良さで乗せ、シングルフックは掛ける動作が必要となるためやはりカーボンがいい。これもほんの微かな差。究極の選択だね」。

どちらを選ぶのかは、その日その場面になってみないとわからない。またフィールドの特性によって、どちらかがよりマッチしている可能性もあるのだという。次の瞬間、橋脚周りを攻めていた小野さんがポイズングロリアス168ML-LMグレイハウンド68でつ・い・にバイトを得た!

待望のバイトを得たが、足下でまさかのフックアウト…。「ごくかすかなショートバイトだったね」。ロッドから得た情報が、次のキャストへのヒントとなる。ミスを無駄にせず、糧へと昇華させるのだ。

まさかのフックアウトも無駄にしない小野イズム

「無風の予報だったけど、橋脚に風が当たるタイミングをスピナーベイトで狙ってみたら案の定、バイトがあったね」。

流れに加えて風、そしてバイトはシェード内。秋めいてきたとはいえ、まだ夏を象徴するかのようなバスの着き場でのバイト。しかし、無情にも足元でフックアウト。瞬間的な風で活性が高まるタイミングを逃さず撃ちに行った小野さんの判断に感服したが、その一方で魚がタフであることもここで判明した。

「ショートバイトだったよ。ちょっとまだ活性が低いね。スピナーベイトって感じの日じゃない。夕方まではやはりワームの釣りかもしれないね」。

当連載が釣果のみを求める趣旨であれば、ここで小野さんはグラスコンポジットのポイズングロリアス166L-G C66にロッドを持ち替えたであろう。しかし、そのロッドでは既に結果を出している。夕方というラストの好タイミングを、ポイズングロリアス168ML-LM グレイハウンド68は待ち続けたのだった。

「ここは水深が3.5メートル前後。やや深めレンジを狙った結果のバイトだったけど、そんな時こそグレイハウンド68が活きる」。

低弾性とはいえカーボンならではのシャープな張りが、深いレンジでもフッキングパワーを確実に伝達できる。

「ボトムでのスローロールやもっと深い水深でスピナーベイトを使う場合、マキモノだからって低弾性カーボンやグラスコンポジットを使うのは必ずしも正解じゃない。極端な話、ジグ&ワームロッドのカーボンならではの張りが必要になる場合もある」。

小野さんの場合、スローロールにはポイズングロリアス1610Mマイティストロークを使用するのだという。このモデルもポイズングロリアス168ML-LM グレイハウンド68同様、初代ポイズンから受け継がれたサブネームの1つ。現代でこそ陸っぱりを始めあらゆるシーンで定番化している6フィート10インチミディアムアクションの元祖とも言える存在だ。

やや長めのレングスは飛距離を稼ぎ、力強いストロークがルアーのコース取りに優れ、また深場のバイトをも確実に仕留める。あらゆるルアーへの汎用性の高さも実に高い評価を得ているモデルだ。

「ロッドは適材適所で選ぶもの。最高の瞬間を手にするには、自らの感性で1本1本を選ぶことも大切だと思う」。

だからこそ、バスロッドは星の数ほど存在する。

以前このポイズングロリアス168ML-LM グレイハウンド68で、川島勉さんはスモールクランクベイトを軸に使用して結果を魅せたことはお伝えした。他にバイブレーションやトップウォーターの比較的小型サイズも使用していたのを覚えているだろうか。

「飽くまで僕の場合、グレイハウンド68はスピナーベイトが軸になるという話。川島さんにはまた川島さんの使い方がある。ロッドは使用フィールドや投げ方、それに何より感性がロッド選びには影響してくるものなんだ」。

機会があれば実際にロッドを手にして使ってみることをおすすめしたい。イベント会場等でそのチャンスは貴方にもきっと巡ってくるはずだ。

つ・い・に! 最高の瞬間が訪れた!!

太陽が西へと傾きかけた頃、小野さんはその太陽を受け岸際のブッシュがシェードを形成する右岸へと到達。時間は16時半前。まだそのシェードは狭く、ブッシュの隙間からは所々で水面を照らしていた。この時間帯を逃せばシェードは広大となり、トレースコースは長くなるため非効率的となる。

ここまで各所でも見受けられたが、小野さんはここぞというタイミングを確実に逃さない。岸際を流しながら、スピナーベイト3/8オンスを斜め前方向へと投げては巻きを繰り返す。その巻きスピードは朝イチにシャロークランクでキャッチした時以上に速い。速過ぎると感じるほどだ。なぜだ、なぜなのか。

次の瞬間、小野さんのポイズングロリアス168ML-LM グレイハウンド68が大きく弧を描いた!

水面で姿を見せた魚は明らかに太くでかい! 左右へと走る魚をロッドワークでいなし、難なく船べりへと寄せるや、小野さんは一気に抜き上げた! 小野さんの勝利がここで確定した。

「これはうれしい1尾だね!」。

この時点でキャッチした魚は8尾目を数えた。この魚は推定1500グラム超。

「5尾で5キロは優に超えたんじゃないかな」。

長良川で行われるローカル戦ではMAXとも言えるウェイトに到達。取材とはいえ、常に仮想トーナメントモードで戦う小野さんのこと、この結果はそのメンタルを満たすに存分な数字となったに違いない。

ところで、なぜ速巻きだったのか、そこが気になった。

「さっきショートバイトでしっかりフックに乗らず、足元でバレたよね。魚が小さかったからだとも思うよ。でもさ、ならば敢えて速巻きしてリアクションバイトを誘ったらどうなのかとやってみた結果なんだ」。

乗らないならスローにすることも時には正解になる。しかし、逆に遅いからこそ見切られる場合も多い。

「さっき水面でエビが跳ねて、ボイルが起きていたんだ。活性は高いことは間違いない。バズベイトもいいけど、敢えてスピナーベイトで水面直下の速巻き。思い通りに獲れた気持ちいい1尾だよ!」。

掛けた・寄せた・抜き上げた! その一連の瞬間をカメラマンが捕らえた!! 抜き上げた瞬間の美しい曲がり、そしてキロオーバーに余裕で耐えるパワーに要注目だ。

スピナーベイトでヒットしたのは、こんな岸際のカバー周り。岸際のオーバーハング下へと滑り込ませるや着水直後から速巻きを開始。ハンドル数回転で先の見事な1尾に口を使わせたのだった。

4つのミッションをたった1日で見事にクリア!!

次週の記事が最終回だが、実はこの1尾が初日ラストのクライマックス。結果から言ってしまえば、小野さんはわずか1日で全4本のロッドで釣果を魅せることに成功した。2日目は早朝から日中まで釣り続けて、釣果は実に2日間で12尾! お見事と言わざるを得ない。

次週は、今回のミッションで唯一のスピニングロッドとなったポイズングロリアス265L+エアキャリバーが登場。

瞬殺だったね(ニヤリ)」。

期待感を高めるコメント。はたして小野さんはどんな展開を魅せてくれたのだろうか。乞うご期待。

<使用タックル>