テンポの速い上げ下げで重量級を獲る!赤澤康弘×阪本智子、フォールタイラバ実践テクニック

九頭竜川の河口から越前岬、敦賀湾へと続く海岸線はシーバス、青物、アオリイカなど様々な魚を狙える一級釣場。今回はその一角、三国沖で赤澤康弘と阪本智子が大型のマダイにチャレンジした。キューマルも夢ではないという大ダイの宝庫で、チーム炎月のワザは炸裂するのか!?

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パターンをつかんだ赤澤が大ダイを連発

チーム炎月の2人は相変わらずアタリを出し続けるものの、もう一歩で喰い込ませきれない展開。さてどうするか、と相談しているとき、赤澤は出船前のミーティングで船長から聞いた話を思い出した。それは、現在のベイトが小サバ、ムギイカ、ホタルイカであるということ。
ならば、ここまでに試していないイカ系のセッティングを入れてみようということで、2人は集魚ワームのイイダコベイビーを取りだし、これにカーリーテールの先割れチューンをプラスした。カラーは赤澤がグリーン、阪本はオレンジである。

阪本は巻きスピードを「2」に落としてデッドスローで探っていたが、それを知った赤澤は「下から上までずっと2では効率が悪い。ボトムの近辺だけスローに探って、ある程度上まで来たらスピードアップするといい」とアドバイス。鯛ラバは等速巻きが基本だが、レンジに応じてこのようなギアチェンジを行なうことは有効なのだ。
と、しばらくして赤澤のロッドに、この日初めての明確なアタリがきた。ロッドを送り込みながら喰い込ませ、完全に重みが乗ったところで渾身のフッキングをすると、リールからラインが引き出された。
「赤澤さん巻ける? 巻けないでしょ? これは本命だね」と船長。
下から5~6巻きで喰ったという相手は、底を離れることを嫌ってか、グイグイと竿を曲げ込みながら走る。ファーストヒットということもあって慎重にリフトする赤澤が7分ほどかけて釣り上げたのは、あと一歩でナナマルという69cmの大ダイだった。

「船長のアドバイスを思い出してイイダコベイビーにチェンジしたのが良かった」と赤澤。これで完全にペースをつかみ、その後も大ダイのアタリを出し続けた。
圧巻は、あえて150gというヘビーウェイトのフラットバクバクを使って仕留めた76・5cmの大ダイ。実はこれも、直前の「ベイトの少し上まで反応があるね…」という船長のつぶやきを聞き逃さず、それまで20巻きだったリトリーブを27巻きに増やして喰わせた必然の一匹。腹がパンパンに膨らんだ重量級は、ベイトの帯を抜けたところでエサを待っていた。

「やっぱり赤澤さんはすごい。すでにこの海の特徴をつかんでいるね。初めて来て、ここまで理解できる人はまずいない」と船長が言えば、「いやいや、さっきの魚もこの魚も、船長の言葉をヒントに釣らせてもらったようなものです」と赤澤。
鯛ラバゲームはビギナーでもいい魚を釣るチャンスがある反面、ベテランだからいつも釣れるとは限らない釣り。そのなかでプロとしてコンスタントに結果を出し続けるのは並大抵のことではないのだが、その秘訣はこのようにちょっとしたヒントを見逃がさず、なおかつそれをバイトに結び付けていく対応力にこそあるのだろう。
ちなみにこの時なぜ150gを使っていたのかと問うと、「それまでは軽いヘッドで潮に乗せ、ラインを斜めにするパターンで喰っていたんですが、アタリがなくなったのでライン角度を寝かせすぎないようにしたかったのと、テンポの速い上げ下げを試してみたかったからです。フラットバクバクは波動とアピールの強さで大ダイを呼んでくれるので、こういう誘いには適しているんです」とのこと。さすがだ。
余談だが、これだけの大型になっても老成感がなく、釣れるマダイが例外なく美しい魚体であることも意外と言えば意外だった。こんなところも三国沖の魅力だろう。

フォール中の違和感を捉え予告通りにロクマルをキャッチ

さて。赤澤が好調にヒットを重ねるなか、阪本はなかなか本命にたどり着けずに苦戦していた。アタリ自体はコンスタントにもらっていて、魚も掛けているのだが、なぜかフグやカナガシラ、レンコダイといった他のゲストのみ。赤澤と同様、鯛ラバやネクタイをこまめにチェンジし、巻きのスピードも速くしたり、遅くしたりとアレンジしてアタリを探りつつ、「あとは阪本さんが釣るだけだね」という励ましに無言のプレッシャーも感じている様子。
ただ、アタリを多くもらっているということは、やっていること自体に間違いはないはず。あとは魚のやる気とタイミング次第だ。そんな阪本が密かに期待していたのは「次の時合は14時!」という船長の予告。そこに照準を合わせて集中力を高めていた。

鯛ラバはフラットバクバクの120g。赤澤のヒットパターンを見てバーチカルに近いアプローチが効きそうと判断し、あまりラインを出さずに落としては巻上げ、また落としては巻上げの繰り返しでタテ方向を集中的にチェック。3回底を取って喰わなければ、いったん回収して入れ直すという作戦だ。
そうして迎えた14時ちょうど、船長が予告した時刻ピッタリに、阪本の竿にアタリがきた。もちろんこれは誇張でも作り話でもなく、実際に阪本が「来た!」と叫んで竿を立てた瞬間の画像データが、まさに14時00分。船長のネットにマダイが入ったのが14時05分なのだから笑うしかない。

まるでマンガのような出来過ぎのヒット。サイズこそ60cmあるなしと、この日のなかでは小さい部類だったが、このタイミングで釣ってみせるところがスゴイ。見事に美味しいところを持って行った。
ヒットパターンはフォール。本人曰く「フラットバクバクで3回底を取っていったん回収し、入れ直しのフォール中にモゾッとした違和感があったので、すかさずクラッチを入れてラインを張ったらグイグイと締め込んでいきました」とのこと。実はこれ、阪本が響灘で大ダイを釣ったときとまったく同じパターンである。このセンス、やっぱりただの釣りガールじゃない。
ちなみにこのときのフォールスピードは「3」。下から20mの位置に映っていたクラゲ層に着いていたマダイが、スローなフォールに反応したのだと思われる。こういうバイトを確実に拾って行けるのは、フォールレバーによる正確なスピードコントロールと、水深表示カウンターによる水深把握がしっかりできているからであり、それによって集中力が持続することも、大きな要因だろう。
そして、ヒット後のやり取りを確実なものにしているのが、炎月リミテッドに搭載されたXシート ガングリップのホールド力である。

これまでリールのほうにばかり注目が集まっていたが、実際に使ったプロや一般アングラーの間では、このガングリップを称賛する声も数多く聞こえてくる。もちろん阪本もその一人。女性ゆえ、男性以上にこのグリップのメリットを感じている部分もあるという。
「このグリップはとにかく楽。握るというより、掌全体で包み込むような感じになるので手首や指が疲れず、力も掛けやすいですね。魚とのやり取りはもちろん、リーリング中もブレがなく、手元がとても安定します。それとホールドする左手が楽なぶん、リールを巻く右手に意識を集中しやすいこともメリットだと思っています」
このあと阪本は気合を入れ直し、再びミヨシの「お立ち台」に立って奮闘。前日は日暮れ寸前にも時合があったとのことで、船長も時間いっぱいまでチャンスをくれたが、その後は赤澤がやはり60cmあるか、ないかの美形を一枚追加して終了した。
阪本は「ハチマル釣りたかった~!」と言いつつも、「でも今日やりたいことは全部やれたかな」と満足げな表情。実は「これが最後」という流しでアタリを捉えて再び“持っている”ところを見せ付けたのだが、一同が固唾を飲んで見守るなか、上がってきたのはフグというオチ。最後まで楽しませてくれた。
三国沖の夏場はさらにアベレージサイズが上がり、ナナマルは当たり前、ハチマルも珍しくなく、シーズンに何本かはキューマルも上がるとのこと。鯛ラバ、ジギングを問わず、マダイのレコードを追いかけるアングラーなら一度は訪れてみたいフィールドである。

<阪本智子・赤澤康弘使用タックル>