広範囲攻略&ライン角度でバイトを引き出す!出しどころからタックルまで解説 赤澤康弘流 キャスティング理論

赤澤康弘流 キャスティング理論

9月も終盤に差し掛かったある日、チーム炎月の赤澤康弘さんは地元高松の海で、とあるメソッドを試していた。それはキャスティングの鯛ラバ。

時期的にキャスティングにはまだ少し早く、前日の釣行でも圧倒的にバーチカルが強かったそうだが、それでも「投げ」にこだわって釣果を追求した。その真意とはなにか?
キャスティング鯛ラバの効果について、赤澤さんの理論を検証してみよう。

キャスティング鯛ラバの基礎知識

船上からバーチカルに誘う通常の鯛ラバゲームに対して、鯛ラバをキャストするメリットはなんだろうか? 単純に考えれば、より広い範囲を探れることや、シャローを遠くから攻めることでプレッシャーを抑えられることなどが真っ先に思い浮かぶ。そのため浅いポイントほどキャスティングの効果が高く、ある程度深くなると有効性は薄れる……というのが一般的な解釈だろう。

しかし赤澤さんは、投げるのにはそれ以外にも大きな理由があり、それは深場でも変わらないという。

「マダイという魚は、ラインが真っ直ぐに立っているほうが喰うときと、ある程度角度がついたほうが喰うときとがあるんです。たしかに水深が深いとキャストしても手前に寄ってきてしまうため、着底時のライン角度は垂直に近くなりますが、そのほんの少しの角度でも、完全な垂直とはマダイの反応が違います。僕がキャストをするのは広く探ると同時に、このライン角度でバイトを誘発したいときでもあるんです」

正確な理由は分からない、と赤澤さんは謙遜するが、経験則として確かな手応えがある。きっとそこには、太陽の角度や潮の入り方、底付近の透明度やベイトの泳層など、複雑な要素が絡み合っているのだろう。

またもうひとつ「同船アングラーが多い場合に、キャストすることで全員に釣れるチャンスが広がることもキャスティング鯛ラバのいいところ」と赤澤さんは付け加えた。

鯛ラバをキャストする際のキモはいくつかあるが、まずは船の進行方向に対して垂直に投げること。これが基本だ。
ちょうど、鯛ラバのトレースで潮流を輪切りにしていくイメージである。

投げる距離はボトムの形状次第。砂地のシャローや、低い根が広範囲に散っている場所ならロングキャストで攻めていくが、岩礁帯や漁礁のように起伏の激しいエリアでは、飛距離を抑えて細かく刻むことがセオリーとなる。

キャストした鯛ラバは着水寸前にサミング(フェザーリング)を行い、ラインの放出にブレーキをかけることも忘れてはならない。これは鯛ラバを正しい姿勢で着水させるため。きちんとサミングができていれば、ネクタイの絡みやエビ等のミスを減らすことができ、必然的にバイトチャンスも多くなる。

着水後ボトムまで沈めたら、放置せずにすぐにリトリーブを開始する。これはタッチ&ゴーと言って鯛ラバゲームの基本中の基本。バーチカル、キャスティングを問わず根掛かりの回避に不可欠である。

リトリーブはバーチカルの時と同様、等速巻きが基本。赤澤さんはリールのハンドルを1秒1回転で巻く速度を基準に、潮の速さやマダイの活性に合わせて加減しているというが、それはあくまでも赤澤さんの目安。各自が自分なりに、基準となる速度を持つことが大切なのだそうだ。

また、巻き上げる距離(ハンドルの巻き数)は、ラインがより水平に近い1回目の着底時は長めにトレースし、船下に近づくにつれて巻き数を減らしていく。こうすることで、無駄にボトムから離れてしまうことを防止し、一定のレンジを探ることができる。

当日のタックル

キャスティングゲームということで、タックルはスピニングを多用する。今回赤澤さんが持ち込んだロッドは、ゲーム炎月のS72Mと、S 6 1 0 MH。どちらもリーチがあってパワーも秀逸。ティップにはソフチューブトップを採用し、キャスト時のブレを最小限に抑えているため、ラインがガイドに絡んでしまうトラブルを防いでくれる。

リールはツインパワーのC3000番。赤澤さんは強烈なバイトにもアタリ負けしないよう、ノブを夢屋のパワーラウンド型にカスタマイズしている。

ラインシステムはPE1号(マスターシップ船・8本撚り)にフロロカーボン4号のショックリーダーを接続。赤澤さんの場合、どこでやるにもこのタックルが基準となる。

蛇足ではあるが、PEラインを有効に利用するコツを尋ねると、下巻きを入れたうえに200m巻き込み、ヨレや毛羽立ちが目に付き始めたら巻きなおして裏と表を入れ替え、それでも毛羽立ってきたら新品に交換するとのこと。これなら経済的にも負担が減る。また、「塩抜きの際にシマノの「PEラインアクティブスプレー」を掛けておくことも有効ですよ」と赤澤さん。糸捌き等のストレスが軽減されるだけでなく、ラインの劣化も抑えることができるそうだ。

取材釣行は9月25日。午前6時、高松庵治港のセブンゴッドに乗り込んで海に出た。

バーチカル有利のなかキャスティングにこだわる

実は赤澤さんは、前日も別の船で高松周辺を釣っていたのだが、その結果はバーチカルに分があり、キャスティングで通した赤澤さんは苦戦を強いられたという。

「水深は13m~20mと浅かったんですが、なぜかバーチカルのほうがアタリが出やすく、いいサイズも釣れていました。時期的にまだマダイが散っていないため、広く探るというキャスティングの優位性が出にくいのかも知れませんね」

いっぽう、セブンゴッドの卯目船長に状況を伺うと、やはり現在はバーチカルが有利で、とくにボトムをゆっくり誘うパターンが良いとのこと。「底から5~6回巻くまでが勝負。多くても10巻きまでだね。昨日は朝の時合で66㎝が釣れましたよ」と船長。口からムール貝を殻ごと吐き出す個体もいたらしく、ボトムへの依存度は高そうだ。色や巻き方で釣果に差が出るという話からも、セレクティブな様子がうかがえた。

最初に入ったポイントで、赤澤さんはセオリー通り船の進行方向に対して垂直にキャストし、1秒1回転よりかなり速めにリトリーブ。これは潮流が緩く、自発的なアクションが期待できないからとのこと。
「潮が効いているときは、止めていてもネクタイが勝手になびきますが、潮が緩いときは動きません。ロッドやリールに伝わる引き抵抗を感じて、一定のテンションになるよう速度を調節しています」(赤澤さん)

船長は次々に有望ポイントに舵を向け、バーチカルで攻めているアングラーには小型ながらポツポツとマダイが釣れている。出船前に船長が言っていた通り、巻き数を少なくしてボトムを細かく刻んでいくのが効果的なようだ。

赤澤さんのロッドに重みが乗ったのは7時を回った頃。潮が止まりかけたタイミングで、巻きからの再フォールに喰ってきた。タイガーバクバク45g にヒットしたこの個体は、船に上げた直後、消化しかかった貝を二つ吐き出した。ちなみに赤澤さんのタイガーバクバクには、赤のビビットカーリーがセットされていた。スカート、ネクタイは付けず、集魚ワーム単体でのセットである。
「小型ベイトを喰っているときのマッチザベイトとして、瀬戸内海ではとくに有効なパターンですね。またフックは1本ですが、これは柔らかいワームとフックが絡まないようにという配慮です」

このあと赤澤さんは、水深32mのポイントで回収中にタチウオをキャッチするも、なかなかヒットが続かない。周囲ではバーチカル狙いのアングラーがロッドを曲げているが、これは想定内。時期的に早いのを承知で自らに縛りをかけた赤澤さんは、あくまでもキャスティングにこだわってヒットパターンを探す。

「今日のようにアタリが少ない日なら、カーブフォールとフリーフォールなどとワンキャストのなかで探り方を変えてみるのもいいでしょうし、低活性でマダイがボトムから動かないならリールを巻かずにズル引きすることもあります。また、同船者の多くが鯛ラバをキャストしているときは、意外に船下が攻められていないことも往々にあります。そんな時はショートキャストも試してみるといいですよ」

ちなみにズル引きをやるときには、
①自分の釣り座が潮下であること、②根掛かりが少ない地形であること、③マダイが底べったりであること、の三つが条件。
初めての船なら船長の許可を得ることも忘れずに。またズル引きではドラグを緩く設定し、マダイが違和感なく持って行くテンションを保つことも重要だ。

また、こうしたテクニックの工夫とは別に、鯛ラバのウエイトやヘッドのカラー、ネクタイの種類とセッティングなどをこまめに替えていくのも有効な手段。赤澤さんもこの日、着底を早めるためにヘッドを重くしたり、逆に潮に乗せるために軽くしたりと試行錯誤を繰り返した。

その結果、当日の海況には赤がベストマッチと判断。タイガーバクバク45g の赤系ヘッドに赤系のバクバクネクタイメビウスカーリーをセットして、サイズアップとなる1枚を追加。ちなみにこのバクバクネクタイメビウスカーリーは、カーリーテールの端をハサミでさらに細かくカットしたもの。簡単にできて効果も抜群。読者諸氏もお試しあれ。

前日までの展望通り、キャスティングにはまだ厳しい状況ではあったが、そのなかでも潮の止まりかけや地形の変わり目など、アタリが止まる頃合いでヒットを得たことは収穫だった。

今回はキャスティング縛りの取材であったが、普通の釣りならどちらかに決める必要もないのだから、両方用意してその時々で効果的な釣り方を選択すれば、釣果はいっそう伸びるはずだ。

最後に赤澤さんに当日の釣りを総括してもらうと、「昨日得た感触の通りバーチカルの誘いに反応が良い感じだったので、投げるにしても闇雲に遠投するのではなく、ショートキャストで少しだけラインに角度を付けるように心がけました。季節がもう少し進んでマダイが散れば、キャスティングが良くなってくると思いますよ」とのこと。

この号が出る頃にどうなっているかは未知数だが、冒頭にお伝えした通り、キャスティングを「距離」だけでなく「ライン角度」の観点から捉えるなら、その有効性は常に意識しておいて損はない。