ペンシルベイトの金字塔「ラウドノッカー」のすべて・後編 伊豫部健×小野湖(山口県)他

予告通りのホームラン! これを我々は待っていた!!

結果は、言うまでもなく出た!

ご覧の通りのナイスプロポーション! 存分にエサを摂って丸々と肥ったキズ1つない美しい40アップ!! ラウドノッカーの新色の1つ、スキニーハスをガッチリとくわえた堂々の個体。そして満面の笑みを浮かべる伊豫部健さん。我々取材班はもちろん、読者の皆さんもこれを待っていたに違いない。

「やっと、だったね(笑)。予想通りの場所で出たよ!」。

前回予告した通りのホームランだ! 伊豫部さんの濃密な経験値はその場が発する(バスが釣れる)「匂い」を本能的に感じ取っていた。伊豫部さんの本能とバスの本能の戦い、人間側に軍配は上がった。

「ちょっと離れてこのエリアを休ませて、もう1回狙ってみよう。それでまたこんなコンディションの良い魚がが出れば、完全に正解だね」。

正午を過ぎ、残すは4時間弱。実釣時間は半分を折り返したところでの見事な1尾。残り時間でどれだけ戦略を研ぎ澄まし、さらなる結果を導くのか、そこに注目してみたい。まずはここで使用したペンシルベイト・ラウドノッカーの主な特徴から、果てはどんな場所をどう攻略したのかまで、伊豫部さんに1つ1つ解説してもらうことにしよう。

使用したルアーはラウドノッカー。「騒がしい」という意味のラウド(Loud)、「ノックする者、打ち続ける者」のノッカー(Knocker)。写真は上から、新色の「マットローア」、「チャートギル」、「スキニーハス」だ。

「ぶっ飛び」。だからこそ、広範囲の魚を引き寄せる

ラウドノッカーのどこがいいのかと言えば、ぶっ飛び乾いた金属的なノック音」。

その2つの特徴は、シマノ独自の優れた内部構造に秘密がある。その名も「マグネット重心移動2ノックラトル」だ。ベリー側フックから、テール側フックまでの間、ボディ内にはウェイトボールが移動するレールが存在。最後部のボールは固定され、前2つは遊動式。うち最前部のボールは鉄球で、2つのボールに挟まれた真ん中はステンレスのボールが配置されている。

「キャストすると前側2つが後側に運ばれて、飛行中の進行方向へ3つのウェイトボールによって重心が集中するから、ぶっ飛んでくれる!」。

空気抵抗の少ないボディ形状もキャストスイングのインパクトに拍車をかけて、想像以上の遠投性能を発揮する。着水すれば、鉄製のウェイトボールは最前部でマグネットによって固定。すると真ん中のステンレス製ウェイトボールは、2つのボールの間で遊動式となる。

「着水したら45度の姿勢。ここからドッグウォークする度に、ステンボールが前で当たって後ろで当たってと、1回のトゥイッチで2回カコンカコンと金属的な音を発生する」。

ぶっ飛びによって広大なエリアのサーチが可能になり、狙いの場所により離れた位置からでも届かせられる。さらにはその金属的なノック音が広範囲からバスを引き寄せる。何よりも大きなアドバンテージになることは明らかだろう。

なぜラウドノッカーには金属的な音が必要なのか?

ルアーには音が度々フィーチャーされる。バスが求める音とは何なのか。まずは動画をご覧いただきたい。

ラウドノッカーにはなぜ「乾いた金属的な音」が必要なのか。音のないサイレントでは不可能なのだろうか。

「僕の経験上の話で言えば、深いところからでも引っ張り出せるのがそのサウンド。広範囲を探った時にヨコ方向にサウンドでアピールするだけでなく、タテ方向にも可能なのがこの音」。

まずは音で気づかせて水面へとバスの目を向かせた後、アクションをしっかり見せることでバイトへと至らせることもあるのだという。しかし、今回の場合、狙ったのはけっして深くはない最上流部だ。

「河川って、上流へ行けば行くほど流れが強くなると共に、流れの音も激しいよね。そんな中でも水中に確実に伝わる、乾いた金属的なノック音は必要だと思う。だからこそ、獲れた」。

改めて考えてみれば、流れの音は激しいにも関わらず、乾いた金属音は人間の耳にもしっかりと伝わる。水中のバスからすれば、その正体こそ明らかでなくとも、水面に気になる存在がいることには気づいているはずだ。

「サウンドって重要だと思う。例えば、リップレスクランクベイト(=バイブレーション)には様々なタイプがあるのはなぜか。ペンシルと同様に、音でバスに気づかせることが必要だから」。

バンタムルアーのリップレスクランクベイト・ラトリンサバイブには現在「ジャラジャラ音」が3サイズに、「コトコト音のノッキングタイプ・1Kサバイブ」が1サイズ存在する。

「重低音のタイプも欲しいし、サイレントも欲しい。なぜ? その日、その場のバスがどんな音、それにどんなサイズを求めているのかは使ってみないと答えがわからないからね」。

サウンドの違いに、サイズの違い。星の数ほどルアーが存在する理由の根本はこここにある。

「すべてはバスが、フィールドが教えてくれる。だから僕は投げ続ける」。

必ず正解は見つかるはずだ。

画像の奥に最上流部、ボートが進める最上限を控えた場所までいよいよ到達。ラウドノッカーが着水したのは竹グイの奥。若干流れが緩く、アクションを伝達しやすい場所だった。

流れを読む。そして着水場所を決める

それでは、伊豫部さんはどこでどう獲ったのか解説していただこう。

1尾目を獲ったのは最上流部だが、まず上の画像をご覧いただきたい。進行方向に見えるのは、ボートがそれ以上進めない浅瀬。浅瀬を挟み、画像の左側からの流れと、岸際に近い側からの流れが1つになりより左方向へ強い流れを形成している。

ラウドノッカーをキャストしたのは浅瀬からの落ち込み、画像右側の岸沿い。流れは流心に比べ若干緩く、岸際には幾つかのバスの着き場となるストラクチャーも存在している。

「最初は流心から投げて、岸沿いは丁寧にやっていこうかと」。

岸沿いのむき出しになった地形を見てもわかる通り、手前に比べて傾斜はきつい。つまり、そこは若干深いことが推測できる。

「出たのは竹が水面に刺さっている場所。かなりタイトに攻めて、派手にドンと出た」。

ロッドを岸沿い方向へ構え、アクションを伝える。落ち込みにキャストしたラウドノッカーは竹にラインをこすりながら手前へとドッグウォークで進んで行く。そして!

ど迫力のファイトシーン! トップウォータープラグは水面に出たらひと呼吸おいてフッキングが肝要。ルアーが口に入ったのを確認してアワセるのだ。掛けた後は水面ジャンプでのバラしを防ぐべく、ロッドを水面方向へ構えてファイト。ハンドランディング時は、口に掛かったトレブルフックに十分な注意を。

細径のPEか、太径のナイロンか。マッチングの妙

前回、伊豫部さんは「ラインはナイロンの22ポンド。PEにするかどうか悩んだんだよね」と語っていたのを覚えているだろうか。結果的にナイロンを選んだことも大正解だった。確かに同じ強度なら明らかに細い径となるPEは遠投性能をさらに高める。なおかつPEの伸びのなさが、遠くのラウドノッカーの操作性も高めてくれるだろう。

「でも、PEは水に浮くから流されやすく、流れの中で使うにはあまり向かない。それに、岩盤など硬いストラクチャーには弱いからね」。

1本目を狙った時、アクションを付ける際にラインを絡めたのは竹。その際にバイトでラインを引っ張られたとしたら、PEラインでは万が一が起きた可能性もある。さらにはご覧の通り、大小の岩も多くそこに走り込まれたら…。ナイロンラインをセレクトした段階で、実釣前から伊豫部さんの勝利は約束されていたとも言えるだろう。

「ライン径は太くなるから、遠投性能こそ若干落ちるけどね」。

とは言うものの、ラウドノッカーの重みを存分に乗せて弾き出すバンタム170Mの粘り強さが活きた。またメタニウムDC XGの5段階外部ダイヤルは「A」にセットして近距離戦に対応する一方で、飛距離のもうひと伸びが欲しいときには「3」にセットして対応したこともディスアドバンテージの解消に貢献。

すべてはタックルセッティングの妙が活きたのだ。

このバックウォーターには大きな岩はあまり見えなかったが、ときにはこんな岩が水面下に控えている場合もある。硬いものには弱いPEのデメリットが作用してしまう場合もあるので注意が必要だ。

実釣初日終了。残すあと1日をどう使うのか

「これだけやり尽くして1尾か…」。

時間は無情にも過ぎていった。午後は時間を空けて、1尾目を仕留めたバックウォーターを再度探るも反応はない。もう1つのバックウォーターをもう一度確認するも答えはない。

「魚が見えない。だとすれば、深い場所にいるのは明らか。しかし、それでは…」。

真夏は最上流か、ディープか。セオリー通りに魚はいることは推測できるが、一方の最上流は壊滅。残された選択肢はディープのみ。しかし、この湖で一から魚探がけをして好場所を探すには時間が足りない。遠征時のアウェー場では付き物の悩みだ。

残された日程は、あと1日。伊豫部さんははたして、翌日をどう使ったのか。気になる結果は、次週の当連載を心待ちにしていただきたい。

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