ハードルアーの秋、バンタムの秋。 山木一人×芦ノ湖(神奈川県) パート4・トリプルインパクト編

約15年の時を経て不死鳥・トリプルインパクト再誕!

芦ノ湖を舞台にお届けする山木一人流・秋のハードルアー攻略。最終回を飾るのは、昨季バンタムルアー新発表時に大きな話題となったトリプルインパクト。ミノーフォルムのウェイクベイトという形状こそ踏襲しているが、その実は現代の最新テクノロジーと共にさらなる進化を遂げた驚くべきNEWモデルに仕上がっていることを我々は知ることになった。

初代トリプルインパクトが誕生したのは2003年のこと。便宜上03モデルと呼ぶそれは、今からおよそ15年前のモデルだ。バスの側線を刺激する「サウンド」、圧倒的な水押しと共に後方へと発する引き波による「波動」、そしてプロップを始めとする各パーツやリアリズムを追求したルックスによる「」。3種類のインパクトが秘められていることがその名の由来だ。85・105・120ミリの3サイズで登場した後、130や140の大型化、55や75の小型化のほか、ジョイントやアートオブノイズ、そしてリップレスなど数々の派生モデルを生み出していったのは知られるところだ。

ウェイクベイトの一時代を築いたトリプルインパクトシリーズ。しかし、2010年以降、惜しまれつつも世から姿を消していった。しかし、名作はその火を絶やすことがない。チームバンタムのムードメーカーにして、米国ツアープロの伊豫部健さんはかつての試合で雌雄を決する1尾を初代モデルで仕留めることに成功したのだ。

伊豫部さんは「確かに、ここぞという出番を選ぶルアー。しかし、アジャストできた時の威力は規格外」と語ったことがある。彼はトリプルインパクトならではの圧倒的なパワーを存分に知っている。だからこそ、新たなモデルとして再誕生したトリプルインパクトを今でも一軍BOXから外すことがない。その詳細はまたの機会に語っていただくことにして、今回は山木さんのトリプルインパクト攻略法へと話を戻そう。

ミノーシェイプのテール側には独自形状のプロップと、初代には搭載されていなかったフラップ。フロント、リア共にフックアイが搭載される部分のボディは隆起したオフセットフックアイ構造。これはラウドノッカーチャグウォーカーと共に、バンタムトップウォータープラグの特徴の1つで、よりフックをバスに近づける配慮だ。

初代03モデルと、2代目16モデル。その差はどこに?

ネーミングはそのままに、驚くべき進化を果たしたバンタムルアーとしての新生トリプルインパクト。いわば、16モデル。気になるのはやはり、初代との差だろう。

「もちろんかつての良い部分は残した。ただ、僕らが使っている上で感じた唯一の弱点は解消する必要があった」。

ミノーシェイプとしては径が太く、反り返ったテール形状を持つことで圧倒的な水押しの強さはキープ。後方に装填されたプロップが水を受けて回転することで、輝きと共に金属音でアピール。デザイン上の差こそあれ、根本的なウェイクベイトとしての思想は揺るぎない。

唯一の弱点とははたして何だったのか。

「リトリーブするのが難しかった。スピードのスイートスポットを外れると、ボディが横倒れしてしまった。使い手を選んでいたという事実がある」。

ミディアムスピードでは水面を激しく攪拌して、水面下から魚を呼び込む力を蓄えてはいたが、特に高速域で使う場面ではリミッターを超えてしまう一面もあったのだという。ミディアムをベースに、回収時並みのスピードでも確実にアピールすること。誰でも扱いやすいただ巻きウェイクベイトに仕上げること。山木さんを始めとするバンタム開発陣がそこに注力したのは言うまでもないだろう。

サウンド効果と安定アクションを生み出した「オフセットヒートン」

どんな速度でも確実にアピール力を発揮する秘密。それはテール部分のオフセットヒートンに秘められていた。

「プロップの搭載されたヒートンを斜め後ろの上方向へ装着。こうすることでプロップが抵抗となり、ボディの横倒れを抑制してくれることがわかった」。

ルアーが泳ぎ始めると、クリアランスをもたせたヒートン上でプロップは後方へと。水流を受けて回転すると共に、ボディの進行を抑える抵抗となることでローリングを抑制。度重なるトライ&エラーを繰り返して辿り着いた正解。アクションに安定感を持たせたことによって、広範囲で投げて巻くサーチベイトとして使用する際に明らかに使い勝手の向上を感じることができる。

テール部から斜め上方向に装着されたヒートンにはプロップとカップ。その先端に見えるアイには尾ビレにも見える形状のフラップが存在。プロップが回転してスプラッシュを上げると共に、カップと接触して軋み音、またフラップと不規則に接触してバスを苛立たせる金属音をも奏でる。

中央は厚みを持ち、両サイドが極端に鋭くエッジが立ったサイドスラッシュリップ。均一な厚さのリップとは一線を画すアクションのキレ、そして安定性へと繋げる。

「元々トリプルインパクトは水面及び水面直下で、バタバタとテール側を振りながら大きくワイドに泳ぐルアー。その際に、リップがしっかりと水を掴んでいないと、突如泳ぎが破綻してしまう」。

サイドをごく薄く仕上げた独自のリップは抵抗を軽減して即座に水を掴み、強度を維持したまま連続した強いアクションを演出可能。この構造は同じく強いアクションを生み出すクランクベイトのマクベスシリーズにも応用された技術だ。狙いのゾーンをミディアムで巻き続け、水面は炸裂。仮にそこで反応はなくとも、回収スピードで巻き始めた途端に激しいバイト。そんなシーンも珍しくない圧倒的な破壊力を持つウェイクベイトだけに、トリプルインパクトは万全の体制を整えたのだ。

見よ、この水面! ミディアムスピードで巻くだけでも、ボディが強く水面を押して後方へと大きな引き波を発生しているのがわかる。同時にテールではプロップ&フラップによる金属音を発生。

比類なき水面攪拌と強波動は、どこでどう活かすべきか

圧倒的な水押し、派手なサウンド、そして各パーツやボディによる輝き。水面で類稀なる存在感を放つトリプルインパクトはどんな場面でどう活かすべきなのか。冒頭では伊豫部さんの言葉で「ここぞという出番を選ぶルアー」と出てきたが、山木さんはどんなシーンで使っていたのか振り返ってみることにしよう。

初日は風が強く、波立つ湖面に使用。

2日目山木さんは、晴天無風時に使用していた。

当釣行で山木さんがトリプルインパクトを繰り出した代表的なシーンが上の2つの画像だ。強風が収まらず水面が波打つ状態の時、そして晴天無風の早朝。この2つがその出番を象徴している。前者は多少の波にも負けないパワーが秘められていること、後者はフィーディングタイムとされる朝マズメや夕マズメにそのパワーでバスを広範囲から呼び寄せることができること、それぞれを意味している。しかし、出番はそこだけではない。

「気象条件や時間帯は関係なく、まず投げて巻いてみましょう。その日その時のバスが何を求めているのかはまず試してみないとわからない」。

山木さんは釣行2日目、高気圧で空に雲ひとつないどピーカンの中、投げ続けるシーンも見受けられた。

「水面がモワンとなるだけで出切らない。ならスピードを変えてみましょう。速いのがいいかもしれないし、遅いのがいいのかもしれない」。

どう使えばいいのか、ではなく、出しどころは自分で覚えていくしかないのだと山木さんは教えてくれる。

「とにかく、水面〜水面直下で使うルアーであるということを意識したい」。

表層にエサとなる小魚が見える、またバスが盛んに追い回すボイルが見えるなど、バスが上の層にいるであろうと推測できる条件こそが大切なのだ。

「何かの障害物周りなどで、時には、1点でシェイクしてプロップとフィンでカシャカシャと音を立ててみるのもいい」。

巻き続けるだけがトリプルインパクトの使い方ではない。答えを導く方法は1つだけではない。無限に存在するのだ。

遠投した表層系、まずは竿を立てて巻き始める

山木さんに、基本的な使い方を上の動画で解説していただいた。

「これはトリプルインパクトに限らず、ラウドノッカーチャグウォーカー、それにジジルBtフォースといった表層系プラグに共通する使い方だね」。

山木さんはロングキャストを決めるや、ロッドを立てたままで巻き始める。

「遠くの水面にルアーがある場合、ロッドを倒して巻き始めると本来のポテンシャルを発揮できずにルアーが潜ってしまうんだ」。

水面を攪拌して巻き続けることでアピール力を発揮するトリプルインパクトは、この動作が必須。同じく表層ただ巻き系のジジルBtフォースも然り。

「巻き始めて、ルアーが近づくに連れてロッドを倒していく」。

ルアーが最も水面を掴みやすく、掴みすぎない位置を確認しながら徐々に、徐々に。ルアーが足下へとやってくる頃には、竿先は水面方向へと向いているはずだ。

巻いてくると、水面が炸裂! ついにバイト! 慌てず騒がず糸ふけを回収したら、ひと呼吸おいて鋭くロッドを立ててフッキングの動作。あとはラインがたるまないようにやりとりして、ランディングへと。

「最初はうわっ! とビックリアワセになるのも仕方がない。予想もしない場所で水面が割れたら誰でもそうなるよ(笑)。全ては練習。やり込んでこそ、ハードルアーの釣りは身につけられるものだと思うよ」。

<トリプルインパクト用>

なんと2018新作バンタムルアーが完成間近!? 続報を待て!

「当初はまずまずのサイズを釣ってから、大型狙いに行こうと思っていたけど、そう甘くはなかったね」。

この実釣が行われたのは8月初旬。その1ヵ月ほど前から、水面付近に小魚が見えず、またシャローには「いつもは見えるはず」の大型バスもいない。台風直撃後のタフな状況だっただけに、魚もまだ警戒態勢にあったのだろうか。

「大型が釣れたら、今開発している新作のプロトも使ってみようと思っていたけど、んー、また今度だね(笑)」。

残念ながらここで詳細をお伝えすることはできないが、また世のアングラーを間違いなく驚かせる、バンタムならではのハードルアーが仕上がりつつあることは確かだ。いつか登場するその日まで、まずは今回山木さんに解説していただいた各モデルを使いこなしてみるのもいいだろう。今こそが、ハードルアーの威力を確認できる秋なのだから。