ハードルアーの秋、バンタムの秋。 山木一人×芦ノ湖(神奈川県) パート3 リップフラッシュ115FMD&パブロシャッド編

「コンフィデンス=信頼」こそが何よりの強みだ

1つのエリアで立て続けの5尾! その4尾目を仕留めたのが、このリップフラッシュ115FMDだった。強風時に水面下、風が弱まるやトップウォーターへ、そして再び強まるや水面下という展開で、天候の変化というタイミングを読んで使い分けるのが大切であることを山木さんは教えてくれた。それと同時に、こんなことも。

「楽しいね! いい練習になる。やっぱ魚を釣らないと、ルアーを信用して投げることができないからね」。

ここぞという場面で初めてのルアーを使っても、「気持ちが入らない」ルアーでは集中力が続かない。1投や2投で答えが返ってくるならいいが、そう簡単に答えを出してくれるフィールドなど現代ではもはや夢の世界。正解にたどり着くまで、納得ができるまで投げ続けることこそが大切。そうして導き出した結果は、そこへと至るまでの状況を含め、自身の経験値として脳内に、身体にインプットされる。その数が増えれば増えるほど、バス釣りは上達するし、何より楽しさも増すのだ。

その証拠に「2歳の時、芦ノ湖で初めて釣りをしたらしい(笑)」という「超」が付くほどのベテランとでも言うべき山木さんが、こんな素敵な笑顔を見せるだろうか。魚はサイズじゃない。思い通りに、狙い通りに釣った1尾こそ、本当の喜びへと繋げてくれるのだ。

4尾目を仕留めたルアーは?

リップフラッシュ115FMDのリアフックをバックリと喰い込んだバス。この1尾から何を連想するだろうか。単に釣れたと喜ぶだけではなく、その次を見据えた展開へと入るべきだと山木さんは言う。

「バスが口を使ってくれたら、それは正解。それまではひたすら続ける。使ったルアーに対しての考察も次の1尾へと繋げるヒントになる」。

通常、高活性であればベリー側フックを口で捕らえるのがセオリー。バスの目線より上にいるエサに対して頭や腹方向から喰いつくことで、ターゲットの息の根を止めるとされる。ところがこの1尾はテール側を捕らえていた。

「巻くスピードが速かったのか、それとも瞬間的な動きにようやく追い付くことができたのかとか、いろんなことが想像できるよね」。

リップフラッシュ115FMDをただ巻きで使っていた際にヒットしたのであればスピードを考慮すべきだし、ストラクチャー付近でトゥイッチした際のバイト、いわゆるリアクションバイトであれば、その方法が有効であることを確認できるだろう。

「どうすれば魚が反応するのか、試してみて経験値を積むことが大切だと思う」。

失敗してもいい。今回の悔しさは必ず次への糧になる。止まるな、諦めるな。ハードルアーを極めるための道は誰にでも開かれているのだから。

ロッドはある程度のレングスで飛距離を稼ぎ、テクニカルな操作でも水面を叩きづらい6フィート8インチ。硬めのMHアクションでルアーへとしっかり動きを伝達。リールはエクストラハイギアを使用して、トゥイッチやジャークのライン回収をスピーディーに。

ユーティリティ性こそが、バンタムルアーの証

このリップフラッシュ115FMDは追加モデルのリップフラッシュ115Fより大型のリップを搭載することで、潜行深度をより深くへと拡大。MAX1.7メートルの水深まで到達することが可能だ。

オリジナルと共通して大きなアドバンテージとなるのは、ミノーとしてもジャークベイトとしても使えるユーティリティ性が挙げられる。一見しただけでは細長い小魚型のほぼ同じ形状にも見える両者だが、その実はただ巻きで使用することを前提としたミノータイプ、ジャークやトゥイッチで切れ味鋭いトリックアクションで誘うジャークベイトタイプという特性をそれぞれ持っている。このリップフラッシュは、両者の性能を1つに凝縮した2in1。その優れた性能を実現するのが、ジャークアシストバランサーと呼ばれる独自の構造だ。

「国内ではなぜかSP(=サスペンド)タイプが主流だけど、敢えてF(=フローティング)タイプに設定」。

アクションを止めれば水中の一定層で留まることができるSPは低活性時でも追いつきやすいメリットを持つ一方で、根掛かり回避性能という点ではデメリット。対して、Fはスタックしてもその高い浮力で根掛かりを回避して、SPよりフレキシブルなアクションを実現。水中の1点で止めることは難しいが、腹側に板オモリ等を貼り付ければスローフローティング仕様にチューンすることも不可能ではない。

しかし、何より山木さんがリップフラッシュに強く求めたのは、Fに設定することで他では実現できない浮上時の独自性だった。

巻く手を止めれば、ただ巻き時とほぼ同様にアピール力の高いロールを見せながら浮上。前傾からほぼ水平へと姿勢を持ち直しての浮上が「最もバスを引きつける」と山木さんは言う。この浮上をシミーフロートと呼ぶ。

唯一無二の「シミーフロート」に要注目

「水中で巻いて止めた後、水面へ浮上するまで、特に水面に出るか出ないかの瞬間が最もバイトが出る」。

長年Fミノーを使い込んできた山木さんが求めたのは、この瞬間に如何に喰わせのギミックを持たせるかだった。

上動画を見ると、潜行時こそリップが水を受けてかき分けていくため前傾姿勢をキープするが、止めた瞬間からヘッド側を持ち上げ、水中でリップフラッシュのボディは浮上しながらほぼ水平へと到達しているのがわかる。これこそが山木さんの求めた浮上姿勢。リップレスクランベイト・ラトリンサバイブがボディを振動させながら落ちていくことをシミーフォールと呼んだが、リップフラッシュでは浮上時のロールアクションをシミーフロートと呼ぶ。

「水面に出るか出ないかの瞬間」にバイトが頻発すると山木さんは語ったが、これは何を意味するのか。おそらくは、ジジルの解説でも引用したサーフェスフィルムが影響しているのではないか。水面と水中の境目とされるそのゾーンは、水面で発生する光の屈折を利用して、水面直下の存在を茫洋とさせる効果がある。またバスが小魚を追い詰める最後の壁が水面であるといった考え方も少なからず影響していそうだ。

リップフラッシュの構造と特異性、そしてアクションがわかったところで、基本的な使い方を教えていただこう。

ただ巻きとトゥイッチ。組み合わせ方は無限大

着水後は水面に浮いたルアーを水中へと誘うべく、リールのハンドルを巻き始める。

「基本は、1・2・3と巻いて、止める。そしてユラユラと浮かして誘う」。

山木さんが使用するベイトリールはメタニウムMGL XG。ギア比8.5で、ハンドル1回転で91センチを巻き取れる。3回転、つまり3メートル弱を回収していることになり、キャストした距離やラインの入角度によっても異なるが、MAX1.7メートル潜行のリップフラッシュ115FMDはおそらく水深1メートル以上に達しているはずだ。巻く手を止めれば、ルアー自体の浮力によって浮上。先にも解説した水平姿勢でユラユラと浮き上がるシミーフロートによって、周囲に潜むバスの視線を釘付けにしている。

山木さんは基本的な動作として、3回巻きを見せてくれたが、水深が深ければ4回、5回と巻いてMAX深度に近づけてもいい。また、巻く手を止めて浮かす際の待つ時間を短くすれば、次の巻きではさらに深い深度に到達できるし、一方で長くすれば水面付近まで浮き上がりもう一度ほぼ同じ層を探ることも可能だろう。

「巻いている途中に、例えば、水中に枝があったり、ウィードがあったりと何かがあるなら、その付近や当たった瞬間に軽くチョンとトゥイッチ」。

バスは何らかのモノに付く魚。仮に、その枝なり、ウィードなりの周辺にバスが潜んでいれば、トゥイッチによってアクションを加えられたリップフラッシュはバスの目の前で突然動きに変化を生む。

「トゥイッチによってヒラを打つことで、浮き上がる前にバスに喰うきっかけを与えることができる」。

浮上中もバイトを期待できるが、その前のトゥイッチでもチャンスはある。山木さんは巻く・浮かす・トゥイッチの3要素を基本に、まずはリップフラッシュを使って欲しいという。

「それらをいろいろ組み合わせることで、アクションの幅は広がる」。

水中でリップフラッシュがどう動いているのかをイメージしながら、ぜひチャレンジしてみたい。

<リップフラッシュ115FMD用>

小型BOXには「ほぼ同サイズだからね」という位置付けで、パブロシャッドジジルが詰め込まれていた。どんな状況でもこの2モデルの登板回数は多く、山木さんが溺愛していることは容易に想像できた。

優れたテクノロジーはパブロシャッドにも搭載

リップフラッシュに搭載されている画期的なジャークアシストバランサー構造。ただ巻きでの安定したアクションも、ジャークやトゥイッチによる優れたダート性能も実現する2in1の構造は、今季発表されたパブロシャッドにも搭載されている。細長い小魚フォルムのルアーにただ巻きミノーとジャークベイトの2タイプがあるように、シャッドにもただ巻き用とトゥイッチ用が存在しているが、いずれも1つで双方を可能にしたのはおそらく世界でも稀に見るモデル。既に多くのフォロワーを生み出していることからも、両モデルの偉大さがわかるはずだ。

そのパブロシャッドは既にMRが発売され、巷で大きな話題を呼んでいることはご存知だろう。

59ミリ、6グラムのパブロシャッド59SP MR。スピニングタックルのみならず、ベイトフィネスタックルでの使用も可能にする絶妙なキャスタビリティを発揮。写真のカラーはマットアユ。初回登場時から実に全20色という充実したラインナップも大きな話題に。

パブロシャッドに関しては前回のジジルと同様、既に一度その詳細を追った釣行回があるので、まずはご覧になっていただきたい。

期待の新作・パブロシャッド徹底解説 パート1

期待の新作・パブロシャッド徹底解説 パート2

深く潜る「MR」でどう攻略すべきか

パブロシャッドには59SPと59SP MRの2タイプが存在。現時点ではMRのみが市場にリリースされているのはご存知の通りだ。

「オリジナル(=59SP)が早く欲しいという声をよく聞くけど、MR(=59SP MR)でも同等の使い方ができるってことも理解して欲しいね」。

便宜上、ここでは59SPをオリジナル、59SP MRをMRと呼ぶことにする。それぞれのネーミングから察するに、オリジナルよりMR、つまりミディアムランナーは潜行深度が深いことがわかる。

「例えばさ、浅い水深の場所で投げて、竿を水面と平行に構えて巻いているとすぐに根掛かる。ならば、竿を立てればいいんだよ」。

ロッドを立てることによってラインが張った状態では、MRのリップは通常より強く水の抵抗を受けて、本来のMAX潜行深度より浅い層を進むことになる。潜行深度は、オリジナルが約1.7メートル、MRが約2.7メートル。MRは竿を立てて巻くことで、オリジナルの深度を十分にカバーできるのだ。

「逆に、オリジナルで竿を平行のまま巻いてボトムに届かない。ならば、竿を下へ向けて巻けばいい」。

竿先を水中に浸け、時にはディープクランクを巻く時のように片膝をついてのニーリングも。もちろんMRでも深い水深に到達させるべく実践してもいい。

「それらは極端な話だけどね。今使っているルアーが一番のパフォーマンスを発揮してくれるために、竿の上げ下げは大切なことなんだよ。とにかく投げて巻いて、いろんなことを覚えて欲しいね」。

そう解説するや、山木さんは「お、バスがコイと一緒にいる!」と言うやキャスト。MRをボトムに到達させ、リールのハンドルをカクカクと一見ぎこちなく巻き始める。ある時は三角に、またある時は四角に。前傾姿勢のMRはリップをボトムに付け、ズズッ・ズズッ・ズズッと進みながら、砂煙をあげている。これが噂に聞く三角巻き、四角巻きだ。

「ヤッツケタ感ある(笑)。ホントうれしいね!」。MRのチャートホワイトを横ぐわえしたバスに、喜びが湧き上がる。その魚は確実に山木さんの思惑通りに釣った1尾だからだ。

三角巻き&四角巻き。MRだから可能なボトム攻略

不規則にボトムを這うように動き、砂煙を上げるパブロシャッドMR。オリジナルよりリップが長い分、フックをカバーするため、ボトムに多少何かが潜んでいてもスタックしにくい。また、ただ巻きを続けるだけではボトムに強くタッチし過ぎてしまうためスタックしやすくなるが、1・2・3もしくは1・2・3・4と断続的に巻くことでルアーは不規則に動きつつスタックの可能性も大幅に減少する。

「ボトムでコイが何かをついばんでる傍らにいるバスは、そのおこぼれをもらおうとしているんだと思う。おそらく、エビとかヨシノボリとか」。

それらのベイトをイミテートするのが、このボトムでの三角&四角巻きなのだ。答えは即座に、狙い通りに出た!

「三角巻き? 四角巻き? わけわかんないこと言ってるな、と皆は思うかもしれない(笑)。けど、これは僕がさんざん投げてきて、あーなのかこーなのかとやって探してきた釣り方なんだ」。

今回のようにクリアウォーターなら魚を見つけてからでいい。マッディウォーターなら「水面にベイトもバスも見えないなら、ボトムにいると想定」してやってみるのもいい。百聞は一見に如かず。

「巻きスピードもいろいろ試してみる。もちろん他にも探せばいろんな方法はあると思うけど。何でもそうだけど、やってみなければ結果は出ないんだ」。

キープキャスト。全ての答えは、フィールドが教えてくれるのだ。

<パブロシャッド用>

左・メインタックル

中・高速用

右・超高速用