ハードルアーの秋、バンタムの秋。 山木一人×芦ノ湖(神奈川県) パート1・ラトリンサバイブ70編

ハードルアーで釣りやすいシーズン到来!!

いよいよ秋がやって来た。

表層の水温が30℃を超える真夏の間、涼を求めて流れ込みや深場に居場所を求めたバスは、気温と共に低下する水温によりフィールド全域が適水温となってあらゆる場所につく。人間で例えるなら、暑い夏場はエアコンの効いた屋内を好んだり海やプールへと出かけるが、涼しい秋ともなればそういうことも減ると考えれば分かりやすいだろうか。ひとことで言うなら、1カ所に集中する傾向にあったバスは広範囲に散る、ということだ。

そんな秋に、効率良くバスを探していくには、どう対処すべきか。言うまでもないが、投げて巻くだけで、広範囲を探れるハードルアーを使うべきだろう。

「(ハードルアーの)ハイシーズンなんだから、ハードルアーは何でもOK。使いたいものを使いましょうよ」。

山木一人さんはこう言う。とはいえ、各ルアーの出しどころは悩みどころ。どんな時にどれをどう使えばいいのか。今回の釣行は、山木流・秋のハードルアー攻略をテーマにお届けしていくことにしよう。

台風直撃!! 実釣時間、短縮の危機…

テーマが秋とはいえ、実釣を行ったのはまだ夏の盛り、8月初旬のことだ。折しも台風5号が日本列島へと接近。取材日はまさに関東上空を襲う可能性が高く、前週から取材可能かどうかが危ぶまれた。通常バンタムウェブマガジンは2日間の日程で敢行するが、今回はその前日昼から現地入り。台風の進路次第でスケジュール前倒しのスタートも視野に入れていた。

が、しかし…現場となる芦ノ湖に到着した時点で既に大雨&強風…。翌日、通常であれば台風一過の高気圧が訪れるはずだが、午前中は強風と瞬間的な強雨、そして濃霧にも襲われる。山間部の天候は読みづらく、天気図を頼りにするしかない。ようやく出船できる程度の天候になったのは午後のこと。実質的な実釣時間は1日半となってしまった。

「まぁ、高気圧に覆われるよりはまだマシって程度の天気だね」。

山木さんはそう言うとバスボートのスロットルを開き、最初のエリアへと向かったのだった。

ローライト+強風。一見、良さそうだが…

天気は曇り、いわゆるローライト。風は猛威と感じない程度に強く吹き続けている。夏なら理想的な時間帯と思いがちだが、山木さんはこう言う。

「一般的に風が良いとされることも多いけど、それって一瞬だけの話。風の当たる面は吹き始めにベイトもバスも寄るんだけど、吹き続けたらいなくなる。どんな釣りにも当てはまることだけど、変化(した瞬間)って大切なんだよ」。

風が吹いているだけで好条件と考えるのは早合点。タイミングを見極めることが大切なのだ。

「風が止んで水が落ち着いたら、釣れ始めると思うよ。こう水面が落ち着かないと、トップウォータープラグはアピールしづらい。ならば、コレかな」。

そう言ってストレージから取り出したのが「ラトリンサバイブ70」。前回、奥田学さんが解説してくれたシリーズ最大サイズのラトリンサバイブ。この秋に使いたい新サイズだ。

山木さんがこの日、主に使ったカラーはチャートギル(=写真)とクロキンの2色。芦ノ湖はクリアウォーターだが、台風後で若干濁りの入った水域、かつローライトでもアピールしやすいカラーをセレクトしていた。

特筆すべきは、根掛かり回避能力の高さ

前回、奥田さんがラトリンサバイブ70に関して強く言及していたのが「何より根掛かりが圧倒的に少ないのはうれしいね」というアドバンテージだった。サイズこそ大型化しているものの、その優れたボディバランスはオリジナル譲り。着底時は横倒れしにくく、低速から高速まであらゆるリトリーブスピードでもバランスを崩さずに走り切る。

そして大型だからこそ、シリーズ随一のパワフルさを持ち合わせ、より広範囲からターゲットを引き出すことにも繋げる一方で、より深場の攻略も可能に。ミディアムリトリーブにおいて、62ミリのオリジナルサイズ水深2メートルをキープしやすいことに対して、この70ミリサイズはその2倍となる4メートルレンジを維持。つまりオリジナルと同じ水深をキープするにはやや早めのリトリーブや竿を立てながらの巻きが必要になると考えていい。

全長は70ミリ、重量は19グラムのシンキングタイプ。空気抵抗が少ないリップレスクランクベイト(=バイブレーションタイプのプラグ)は向かい風でも驚くべき飛距離を発揮。広範囲を探りたい秋には、このシリーズ最大サイズの遠投性能とパワフルさが威力を発揮する。

ベリー側にはスライドウェイトと呼ばれる独自構造を内蔵。低重心化を図るウェイトとしての役割を果たしながらも、絶妙なクリアランスを持たせることで内壁と干渉して低音のサウンドを発生。ボディ内部には真鍮製ラトルとガラスラトルも入っており、アクションする度に3つのサウンドが絡み合い他に類を見ない複雑なサウンドを発生してアピール。

巻く手を止めたらシミーフォールの優位性

それでは山木さんは、実際にラトリンサバイブ70をどう使うのだろうか。

「ここは水深3〜4メートルで、ボトムから20〜30センチのウィードが生えているエリア。ロングキャストしたら、広大なウィードのトップをかすめるように巻いてみるね」。

キャスト&リトリーブ、いわゆるただ巻きの釣り。ただ巻きとはいえ、山木さんは水中のイメージを頭に描きながらキャスト・着水・フォール・巻きを繰り返している。

「ラトリンサバイブ70に限らず、全サイズに共通して言えるのが、巻きを止めた瞬間でもボディを揺らしてアピールしながら落ちていくシミーフォールが演出できることなんだ」。

シミーとは自動車やオートバイの車輪が左右に振動することを意味する現象。リップレスクランクベイトでは、ボディを振動させながらフォールすることをそう呼ぶ。ラトリンサバイブのアゴ下に内蔵された専用ウェイトはボディを前傾させて安定した泳ぎを実現するのみならず、フォール最中にも確実にボディを振動させるべく配置されているのだ。

ラトリンサバイブ70、ただ巻き時の基本姿勢がこの水中画像。ラインアイ手前のフラット部が水を受けては後方へと流し、ボディをバタバタと振動。巻きを止めれば、この姿勢のままヒラヒラとボディを揺らして下方向へと。

「投げて巻くだけでバタバタとした泳ぎで魚を引き寄せることができるけど、巻いている途中に止めてヒラヒラと落ちる泳ぎでも誘える。バタバタとヒラヒラ、泳ぎの変化でバスに口を使わせるタイミングが増える」。

巻きを止めた後のフォールをミックスして巻いてみるのも有効だと、山木さんは言う。ここでも変化という言葉を繰り出したのが印象的だった。

山木さんが実際にラトリンサバイブ70を投げて巻き、使い方を解説してくれたのが下の動画。読むだけでなく、その目で観て、その耳で聞くことで脳裏に焼き付けておきたい。

山木流、ハードルアーの極意とは

「何より大切なのは、投げ続け、巻き続けること」。

ハードルアーの釣りで最も大切なことはと、山木さんに尋ねるとこんな答えが返ってきた。

「本来なら僕の場合は水面、トップウォータープラグから投げて巻き始める。なぜか? 魚の反応が見えるし、飽きないからね」。

しかし、この日の場合は風が強く、水面が波立っているため、水面での釣りはバスにアピールしづらいと考え、水面下の釣りにシフトしたことは先に解説した。

「仮に水面が穏やかなら、トリプルインパクトジジルを投げていたと思う。で、ひたすら納得がいくまで試してみる。何も反応がないと判断したならば水面下を探れるルアーへと進めばいい。そこで気を付けたいのは、1投や2投で今日は釣れないと判断しないこと。1つのルアーに決めたら、ある程度は投げ続けること」。

それがハードルアーの釣りを極める第一歩となる。

「巻くスピード? 速い方からやってみるべきだね。スローから始めると、なかなか速くはできないものなんだ。ただ、このスピードってのが厄介で、人それぞれの感覚だから、これはもう試してみるしかない」。

山木さんは今回使用したラトリンサバイブ70を始め、多くのルアーを使う際はまず足元でその泳ぎを確認する。山木さんの場合、それはルアーが真っ直ぐに泳ぐかどうかの確認で、曲がった方向に泳ぐならそれとは逆方向にラインアイを少しずつ曲げて直進性を再度キープするよう調整している。

「見えるところで泳がせて、ルアーが水中でどう泳ぐのか、どのスピードならどんなピッチで泳ぐのか、止めたらどうフォールするのか試して、それらを知っておくことってすごく大切なことだと思う。キャストした先ではもちろんそれとは多少異なるけど、水中でのイメージ力ってバス釣りではかなりキーになってくると思うよ」。

バス釣りはその日その場の状況で謎を解明していく、まるでミステリー小説のようなスポーツ。行間を読み解く、つまりルアーを有効に活用する術を持っていなければ、怪盗、いやバスを探し当てることは容易ではない。だからこそ、山木さんは「投げ続け、巻き続ける」ことが大切だと言う。1つのルアーと共に積み上げ続けた経験が自信となり、そしてルアーへの信頼へと繋ぎ、自らを名探偵へと形成していくのだ。

「本来ならトップから始める。でも今日は」

「楽しい〜!」。満面の笑みで魚を抜き上げる山木さん。波立つ水面を見てもわかる通り、この時は強風。繰り出したラトリンサバイブ70が狙い通りに答えを導いた。その瞬間をぜひ味わってほしい。

「今まで何10年とバス釣りをやってきたけど、釣れるって本当に楽しいよね(笑)」。

ラトリンサバイブ70でウィード上を舐めるように引いてきた際のヒット! 広範囲を探ることができるからこそ、この日この時のバスの居場所を探し当てることができたのは言うまでもない。

「どのルアーもどんな時にどう使うかっていうのは、やっぱり自分で釣ってみないと、信用して投げることはできないと思うんだ。良いイメージが頭の中にあれば、ここぞという時にラインの先に結ぶこともできると思うんだ」。

投げ続け、巻き続け、そして結果を叩き出す。やってみなければ結果は出ない。かつて山木さんは「ルアーが水中になければ、魚は喰わない」と語ったことがある。もちろん当然の話だが、その真意は推して知るべしだ。

「風が若干弱くなってきたかな? じゃ、そろそろトップに替えてみようかな」。

次回は、当連載では初登場となるあのトップウォータープラグが登場予定。乞うご期待。

ラトリンサバイブ70をがっぷりとくわえて上がってきたのは、丸々と太った健康体の1尾。この後、ローライトのままに風が緩くなった。山木さんは次にはたして何を?

<ラトリンサバイブ70用>