BFSで仕留めるディープシューティングの読みと技。 奥田学×さめうら湖(高知県)パート4

フィネスも時にパワーを放つ釣りとなる

「パワーゲームじゃないの?」、「でかバスじゃないの?」。

ここまでの2回をご覧になってきた方は、冒頭の写真を見て何らかの違和感があったのではないだろうか。

「ちょっと待って(笑)。世間のイメージってこわいわー(笑)」。

奥田学さんと言えば、確かに稀代のでかバスハンターとして名を馳せているが、常にマグナムベイトを投げ続けているわけではもちろんない。陸王を始めとするメディア主催の企画では、パワーゲームでの一発を魅せることも多いが、タフな状況やその場のベイトが小型の場合はフィネスを駆使して結果を叩き出すことも多い。マックスからミニマムまで、あらゆる武器を使い分けるアングラーとしても知られていることを忘れてはならない。

振り返れば、およそ20年以上前に奥田さんが世の注目を集めたのはチューブワームのジグヘッドリグによる中層スイミング。バシバシシェイクと呼ばれたその釣りは、ウィードエリアで誰よりもでかバスを獲れる釣りとして注目され後に多くのフォロワーを生み出したことが知られている。

けっしてパワーゲームではないが、同様の威力を発揮したのがそのフィネスなリグ。でかバスを獲るのは必ずしも巨大なルアーによるダイナミックな釣りだけではないことを奥田さんは教えてくれる。

「今回はサ、ドリームツアーの一環ということで、当選者のお二人に釣って欲しいから、こんな釣りもどうかなって試してみたんだ。それが結局…(笑)」。

初回の記事をご覧になっていただいただろうか。ツアー当選者お二人が釣果を重ねる中、奥田さんの釣果写真は1枚もない。実は1尾だけ釣っていたが、敢えて掲載は控えていたのだ。

「僕のが一番小さい魚だったね(笑)」。

アドバイスやレクチャーの合間に獲った小さな1尾。しかし、その「釣り方」に確信を得た奥田さんは翌日、マグナムベイトで釣果を叩き出す合間にポンポンといともたやすく尾数を重ねていったのだった。

はたして、その釣り方とは?

「釣り方自体は何も難しくない。落とすだけでいい」

ディープシューティング。そう言っていいと思う」。

その釣り方とは深場に潜む魚を狙って釣る方法だった。

当日は季節外れの夏日となったが、季節的には既に秋。初冬とまではいかないが、秋は深まりつつあったのも事実。

「シャローではいつものように多くの魚を見かけることができなかったというのは、魚は深い(水深にいる)んだろうなと想像はできるよね」。

奥田さんがその後、確信を得たのは魚探による映像だった。

「ベイトフィッシュと共に、バスも映る。ならば、狙わない手はないなと」。

流れ込みの沖側、水深は6メートル程度。10グラムシンカーをセットしたダウンショットリグを足下に落とすや、即座に!

「1投目だったね(笑)。魚探さえあれば、誰でも簡単に釣れる。こんな釣り方を紹介してみるのもたまにはいいんじゃない?」。

取材班に「まずは」とお手本を見せるべく足下に落としたリグが着底するや即ヒット! 1投目、いや1落とし目で簡単に結果が出てしまったのだ。

ディープシューティングでの1尾目がこちら。リグはダウンショットでリーダーは20センチ程度。普段使っている方も多いのではないだろうか。深場へ落とすため、シンカーは10グラムとやや重めであることを除けば。

「最も大切なことはタックルセッティングにある」

この釣りで奥田さんが使っているリグはダウンショットで、シンカーは10グラムとやや重め。ワームはリーチタイプだった。

「タテ(=垂直)方向の釣りなんで、ワームは何でもいいと思う。気をつけるのは、そうやねぇ…サイズ感と色かな」。

ベイトフィッシュにつくバスを狙うため、マッチザベイトを意識。ボリュームが大き過ぎず、ナチュラルなカラーを推奨。

「バスの目の前に落としてるだけ。そりゃ簡単に喰うって。浅い水深と違って、プレッシャーもかかってないしね」。

リグに気を使わないのだとすれば、タックルはどうか。

「(奥田さん的には)軽いリグやから、より操作性の高いものがいいね。コレ、いわゆるベイトフィネスタックルだよ」。

ロッドはバンタム165L BFS、リールはアルデバランBFS XGでラインはフロロカーボン8ポンド。ロッド、リール共にBFSの表記があることからベイトフィネス用であることは明らかだ。

奥田さんのタックルセッティングを見ると、当連載で以前見かけたことがあるような気がした。

かつてこの連載で、山木一人さんがパブロシャッドで使用していたタックルと実に似ていることがわかった。

山木さんはカルカッタコンクエストBFS HGを使用していたが、奥田さんとはBFS仕様という点で目的は合致。ラインもフロロカーボン7ポンドと近い強度だ。

「ヒットしたらディープから魚は急浮上。その速度に対応するためにはハイギアは欠かせない。巻きはもちろんシェイクでの操作性も高いよ」。

なお、奥田さんはどんな釣りにもハイギアリールをセッティングしていることにも注目したい。

誰が何と言おうと、ハイギア。マキモノはローギアっていう人もいるだろうけど、それは遅く巻けばいいだけ。何より掛けた後に即座に魚を引き寄せたい。ギア比10以上なんてあったらうれしいね(笑)」。

そしてお二人に共通しているタックルは、バンタム165L BFSというロッドだった。

奥田さんはライトリグによるディープのフィネスに、山木さんはシャッドプラグによるハードベイトフィネスに使用している。相反する釣りのようにも感じる。しかし、この1本にはどちらかに特化したモデルではなく、双方の釣りに順応する懐の深さがあるのだ。

「バットがしっかりしている一方で、喰い込みのいいティップと粘りとトルクがあるベリー。ディープからのやりとりもスムーズだよ。ラインが細いから張りの強いティップはこの釣りには向かない」。

ライトリグを始めとする撃つ釣りではシャープな張りが掛ける動作をアシストする一方で、マキモノの釣りでは素直な曲がりで確実に獲物を乗せる。カーボン素材の弾性率と長過ぎないレングス、そしてシマノが誇る最先端のロッド設計技術が攻めと喰わせを両立したのだ。

「いざという時のために1本あると便利だね」。

タフ下でも確実に釣果を得たい。また小型マキモノでテクニカルな釣りを楽しみたい。そんな方におすすめしたい1本と言えるだろう。

奥田さんが見る魚探映像がこちら。画面の右側に魚探機能を映し出した画面が見える。バスとベイトフィッシュは説明の通り。簡単に言えば右側を凝縮したのが左側の画面だ。

それではディープシューティングの詳細解説を。

「魚探の扱い方を知っている人には何も難しくない話だけど、まだ魚探を使ったことがないという人に向けて、要点だけお話するね」。

そう前置きして奥田さんは語り始めた。まずは上画像をご覧いただきたい。奥田さんの魚探は、左に自身のボートの位置を知らせるGPS、右に水中の様子を映し出す映像が映っている。右は2つに分かれ、左側に400、右側に107の文字が見えるだろうか。

「その数字は照射角の大きさ。数字が小さいほど水中の広い範囲が画面に映し出され、大きいほど狭い範囲になる」。

魚探とはボートに設置された振動子がボトムに発信した超音波の跳ね返りによって、画面で地形を把握できるという仕組み。超音波は振動子からボトムに向け円すい形状のように発信され、周波数の差を前述の3ケタの数字が示している。

「簡単に言うと、107がボートの周りの広い範囲を映し出し、400はボートの真下だと考えていいと思う」。

奥田さんはまず107の画面を見ながら、ベイトフィッシュやバスが現れるのを待つ。現れたら、次に400を確認。より明確に現れれば、ボートの真下に魚はいる。だからこそ、リグを投下するというわけだ。

魚探でベイトフィッシュとバスの存在を確認するや、リグを投下する奥田さん。

「バスの目の前に落ちるかどうかはわからない。でも、近くに落ちるのは確かだよね」。

バスがそこで止まっているなら着底した直後のバイトもあるだろう。ただし、バスが移動している最中に映像として映った可能性もある。魚探映像はバスが静止しているか止まっているのかまではわからない。

「重めのシンカーなら、たとえ水深10メートル以上でも確実に着底できる」。

この日狙ったのは水深15メートル。そんな深場にもバスはいる。

「着底したら、いや着底前に喰うこともあるよ。リグが落ちてくるのを見つけて追ってくるバスもいる。着底してすぐに喰わないならシェイク。離れた位置にいたバスも戻ってきてバイトに至る可能性もあるしね」。

またしても即座にヒット、そしてキャッチ!「ディープの魚だからどれも白っぽいね」。日焼けしていない美白バスが多いのだ。

「魚探の使い方さえわかってしまえば、こんなに簡単な釣りはない。ぜひ試してほしいね」。

陸っぱりから1歩進んで、ボートにチャレンジしたいという貴方。魚探があると、また自身の釣りが進化するだろう。

ここで奥田さんに、ディープシューティングの一連の動作を動画で解説していただこう。

「細かく言えば、難しくなるけどね」と奥田さん。今回は魚探ビギナーに向けて解説していただいた。

「春を除くオールシーズンで活躍するのがこの釣り方」

「秋って、魚が散ってどこでも釣れる印象があるけど、冬に向けてスクールを組み始める時期でもある。だからこそ、この釣りでまとめて釣りやすいという意味もあるんだ」。

魚探に映った魚が1尾であったとしても、単に仕様上の問題で映らないだけで実はそこかしこにバスがいる場合も多いのだという。

「シャローは強い魚が単独でいることが多いけど、ディープは複数でいることを覚えておきたいね」。

ディープで時に大型も釣れるが、まだ秋の間はアベレージサイズの群れが多いようだ。

「この釣りは秋に限らず、かなりの期間通用する釣り方だよ。水温の高い表層を避けて深場へ下がる夏、水温低下でなるべく水温の安定した深場で過ごそうとする冬もそうだね。ただ産卵のためにシャローに向かう春は通用しないね」。

この秋から冬、そして春でも早い時期、ディープシューティングが威力を発揮する機会もあるだろう。しかし、セオリー通りが通用しないことも時にはあるだろう。

そんな時は奥田さんのこんな言葉を思い出して欲しい。

「スタイルやこだわりって、バス釣りには一番無駄なことやと思う」。

既成概念を拭い去り、自身のシックスセンスが機能した時、次なるバス釣りの世界が目の前に訪れるはずだ。

さめうら湖名物のアヒルを愛でる奥田さん。「こいつ、カワエエね(笑)」。

<使用タックル>