マグナムベイトロッドの新たなる世界基準・バンタム170UH-SBの破壊力<後編> 奥田学×さめうら湖(高知県)

バス釣りの概念を覆す、興奮の一撃!!

あれから1ヵ月が経とうとしているが、取材班は未だ興奮が冷めやらない。

バス釣りとは何なのだろうか。これまでに頭に思い描いていたバス釣りの概念がすべて吹き飛ぶかのような映像が目の前で流れたあの日のことが頭から離れない。バンタム170UH-SB。奥田学さんが仕上げたマグナムベイトロッドの極北。ラインの先を軽く引いた程度ではそう易々とは喰い込まない剛竿が今まさにティップからベリーを水中の何者かに引き込まれて弧を描いている。

ロッドを水面方向へ構えジャンプを防ぐとともにパワフルな巻きで瞬時に船べりへとターゲットを寄せる。重量感のある走りをその強靭なバットが確実に抑えているのがわかる。大小の岩が重なり合う流れ込みのシャローから、比較的水深のあるオープンウォーターへと即座に誘導。そして躊躇なく巨体をフロントデッキへと抜きあげた。

咆哮、そして破顔一笑! 全長54センチ、実測。

さめうら湖のMAX級、ここに仕留めたり!

取材班は目の前で何が行われたのかを理解するのにしばらく時間を要した。何がどうなればこうなるのか。実釣のたびに我々が持つバス釣りの常識を良い意味で覆してくれるのが「奥田学」というスーパーアングラー。我々の興奮がようやく静まった頃、奥田さんは1つ1つ解説を始めたのだった。

ファイトから抜き上げに至るまでの興奮の瞬間。50センチを優に超える巨体を難なくランディング。体内をアドレナリンが駆け巡った。

この地でMAX級を仕留めたバンタム最強モデルの威力!!

前週にもお伝えした通り、この日は魚の姿こそ何度か見えるものの最後の最後で見切るというタフ気味なコンディション。

「見えるだけマシ。昨日は全く(見えなかった)」。

朝イチは前日に目星を付けていたクリークへ向かうもバイトには至らない。投げているのは2連結のマグナムスイムベイト。改めていうが、ラインの先に結ばれているのは1つあたり200グラムで計400グラム。サイドからのショートキャストで、狙いの魚が潜んでいるであろうスポットをトレースできるよう着水点を選ぶ。

「見える魚が特大ではないね。ならば…」。

魚影から判断すれば、取材班としては存分に大型なサイズ。しかし、奥田さんには「まぁまぁ」程度の魚だったようだ。その時、ストレージから取り出したのが…。

2連結ハーネスの一方にもう1つのハーネス、そしてまた一方にハーネス。4尾のブルーギル型スイムベイトが装填された。

使用ルアーは我々の想像を超えた4連結ブルーギル!?

「このフィールド、(ブルー)ギルはおるよね。だったら…」。

2尾のダブル、3尾のトリプルならぬ、4th(フォース)アタックリグ。Forceと同じ語感もなぜだか期待を抱かせる。このリグ、取材班は噂に聞いたことはあれど、目にするのは初めてのことだった。4尾のブルーギル、これらが同時にどう泳ぐのかも気になる。ロッドは先のダブルアタックリグを使用したものと同じくバンタム170UH−SB。既に400グラムものウェイトを難なく扱っているだけに、このリグにも余裕で対応することはわかるだろう。

「このフィールドは他と比べて、なぜか全般的にスリムなシルエットの個体が多いよね。だから見えた魚を獲ってみると、意外と全長は長かったなんてことも多い」。

人間にとって水面上から見た魚の幅が即、魚のサイズに直結しやすいことを奥田さんは言う。

「ここに初めて来たのは3年前。何度か通ってみて感じたのは、増減水の激しさが魚に影響を与えているんやないかと」。

さめうら湖は俗に「四国の水瓶」と呼ばれる四国4県では最大のリザーバー。天候によって水位は目まぐるしく変わり、夏場は度々ニュースで報道されるように渇水状態になる場合も多い。

「ベイトフィッシュはけっして少なくない。でも、喰えるチャンスは1年を通して考えても少ないんやないかと」。

春のプリスポーン期でも他フィールドで見られるように腹をせり出した個体は想像以上に少ないのだという。

「その証拠に、ここでボイルってあまり見ることがない」。

このフィールドのバスは小魚を追う手段を知らないのだろうか。奥田さんはそれ以上を語ることはなかったが、この話を聞いた時取材班の想像は膨らんだ。

「だから、4thアタックリグなのか」と。

素早い小魚を追わせるのではない。4尾の群れをスローに魅せることで、簡単に喰わせてしまおうというのではないかと。

奥田さんのサイドから4尾のブルーギルがブーメランのように回転しながら狙いの場所へと着水。静まり返ったクリーク内に激しい着水音が轟く。この音も広範囲から魚を引きつける要素になるのだろう。

サイドから繰り出される高精度キャストで直撃!

この日、奥田さんが主に狙ったのはオープンエリアではなかった。先にもお伝えした通り、バスが潜んでいるであろうスポットを狙うべくコース取りだ。画像をご覧いただいてもわかる通り、全長50センチ以上にも及ぶリグを岩の陰やオーバーハング下、そして岩の向こう側へと狙い通りの場所へ吸い込まれていくようにキャスト。キャストした後、奥田さんはエレキによる絶妙な操船でここぞという場所を通す場合も多い。エサを求め彷徨うバスではなく、待ち伏せ系のバスを誘い出しているかのようにも思える。

例えばこんな岩場のオーバーハング。写真右方向からボートが進みアプローチする際、その最奥部は手前の岩が遮って目で確認することはできない。しかし、それを計算に入れてキャストを繰り出すのだ。

「魚が下(=ボトム)におれば、斜め上に向かってバイトしてくるから4つのうち、後ろの2つどちらかにバイト」。

奥田さんは多くの場合、4thアタックリグを水面から近いレンジで使う。その圧倒的なアピール力に吸い上げられるかのように浮上するシーンが見えるのだという。一方で、こんな場合もある。

「レンジが合っていれば横方向からバスは現れて、前から押さえ込むようにバイト。前2つのどちらかやね」。

これらの話を聞いて感じたのは、奥田さんの驚くべき経験値の深さだ。誰も想像し得ない、いわばキテレツなリグをどれほどの長い間使いこなしてきたのか。一度や二度の経験ではとても到達できない明確な回答がそこにはある。仮に確実に獲ることができなくとも、そのシーンさえ確認できれば次なる手へと繋げることもできる。奥田さんの底知れぬ経験値、そのほんの一部を垣間見ることができた。

ハーネスで連結する都合上、写真のような連隊を組んで表層を泳ぐ。最も水面に近いのが先鋒、続く次鋒、後方には中堅を除いて副将と大将が並ぶといった様相だろうか。

奥田学のシックスセンス、発動!

朝のうち各クリークを攻めるもいまひとつ活性が高くないことを察知した奥田さんはある時を境に、本流沿いへと狙いをスイッチ。水温は明らかにクリークより1〜2度ほど高いことが確認できた。しかし、それが直ちに奥田さんの狙いであったのかどうかは我々には判断し得ない。

狙っていったのは本流へと注ぎ込む小さな流れ込み。減水のため激しい流れを目にすることはできないが、大小の岩が重なり合った岩場の奥から水が流れ落ちる音が聞こえる。太陽は上り、ジャケットを着込んだ上半身は照らされ汗ばむ陽気になり始めたが、そんな場所だけは沢の奥から冷気が立ち込めている。

手前に大岩を控え、奥に小さなプールが見えた。4thアタックリグが着水できるかどうかは微妙に感じるほどの小さな水面。サイドキャストから繰り出し、またも吸い込まれるかのように着水。ハンドルを巻き始めるや数回、大岩をかすめるかどうかの瞬間に奥田さんのバンタム170UH-SBは唸りを上げた。

「前から2番目に喰ってきとるね。レンジが合ってるというより、狙った場所が水深1メートルもないから、どこに喰ってきても不思議ではないけどね」。

奥田さんの戦略は見事に奏功した。何よりその1尾へと繋げたタックル、特にロッドに注目したい。マグナムベイトはただ投げるだけで釣れるものではない。アキュラシー性能を高めてこそ、再現性は高くなるのだということを改めて感じた。

それではもう一度、このバンタム170UH-SBの実力を奥田さんに語っていただくことにしよう。

撮影後「これだから獲れた」と奥田さん。ニューモデルの存分な仕上がりによって、今後のマグナムベイティングの進化をまた加速させる。

ブルーギル型スイムベイトの4thアタックリグで見事な1尾を仕留めるや、奥田さんはおよそ30センチ200グラムものマグナムスイムベイトを再度リグり始めた。

MAX800グラム(!!)までが射程内に!

ここで誰もが気になっていることを奥田さんに聞いてみた。

「マグナムベイトって、どんなもの?」と。

その名称から大きなルアーであることは容易に想像が付く。しかし、そこに明確な基準はあるのだろうかと。

「基準はあるようでないよね。7〜8インチ(約18〜20センチ)以上がそう呼ばれることが多いかな。ただ、僕の場合は10インチ以上をそう呼ぶことが多いね」。

10インチ、つまり約25センチ。上写真で使用しているマグナムスイムベイトを詳細にお伝えすれば、奥田さんのマグナム最低基準値を1インチ上回る11インチ(約27センチ)だ。

「ただ全長だけで判断するのは難しい。例えばブルーギル型だと体高があってウェイトが重くなる場合もあるし」。

ただ1つ言えるのは、奥田さんが開発したバンタム170UH-SBはMAX800グラムまでのマグナムベイトを自在に扱えるということ。

「今後、マグナムベイトはもっともっと大きくなる可能性がないわけじゃない(ニヤリ)」。

不敵な笑みでそう語った奥田さん。我々の常識をまだまだ良い意味で覆してくれることになりそうだ。

我々が1尾(!?)当たり200グラムだと思っていたこのマグナムスイムベイトだが、どうやら内部にシンカーが仕込まれてさらに重量を増していたらしい。「300グラム近いかな」。それを2尾、つまり600グラムを終始投げ倒していたようだ…(驚)。

<使用タックル>