マグナムベイトロッドの新たなる世界基準・ バンタム170UH-SBの破壊力<前編> 奥田学×さめうら湖(高知県)

実釣編、「ある意味本番」がいよいよ始まる

前週は、奥田学さんがお二人の幸運な当選者と釣りを楽しんだ「シマノインストラクターと行く絶景ドリームツアー/バスコース」の模様をお届けした。今週からは通常営業に戻り、奥田さんの実釣レポートをお届けすることにしよう。*さめうら湖の利用は登録制です。詳しくは「NPO法人さめうらプロジェクト」をご確認ください。

ドリームツアーの翌日、再びさめうら湖へと向かった奥田さんと取材班。前日は当選者へのアドバイス&レクチャーを常時こなしながらも「ある意味プラクティス」だったと語る奥田さん。ほぼボートの操船に終始して実釣した時間はごくわずかながらも、フィールド全体の水色と状況、そして魚探で水中の様子を探るなど、肌で何かを感じ取っていたようだ。前回語っていた奥田さんの「シックスセンス」はこれから発揮することになるのだろう。

朝7時過ぎ、スロープからランチングした奥田さんの愛艇が一路目指したのは上流域のクリーク。前日ここだけは明らかに小魚、バスともに数多く見ることができた。いわゆる生命感がこのクリークだけには感じることができていたのだ。

「朝イチやし、まだ誰も入ってない。あるかもしれん」。

期待は高まる。かつて奥田さんはこう語ったことがある。

「これまでに朝イチにでかい魚を獲ることができたのは、前日獲りこぼした魚を獲りに行っただけ。朝だから大きな魚が釣れるというわけではないよ」。

おそらくはそのクリークに何らかの勝機があるからこそ向かったのだろう。しかし、意に反して状況はよくない。

「何もついてこない…。魚はまだ上(=最上流)におるんやろな」。

クリークに入り始めると水温は本流に比べ、低下し始める。冷たい水が流れ込んでいるものの、この日も明らかに小魚は数多く確認できた。

「あかんわ、喰わん。口元まで寄ったのに、最後まで喰い込んでくれん」。

最上流部へと向かうとともに気温は一段と冷え込み、顔や手に冷気が伝わる。この日の予報では前日同様に日中は20度台中盤まで上昇する模様。奥田さんはこの天候をどう味方につけ、どう攻略していくのか、そんな部分にも注目してみたい。

この日は奥田さんはデッキに3本のタックルを揃えた。手前に見えるのがBtフォースを装填したバンタム1711H-SB。リールはアンタレスDCにフロロカーボン20ポンドをセット。続いて並ぶバンタム180XXH-SBにはまだルアーをセットしていない。そして最奥部に見えるのは…。

気になる1タックル、セットされているルアーは…!?

前週、奥田さんがバスボートのフロントデッキに並べたタックルの画像を覚えているだろうか。

ルアーは1つも装着されていない。フィールドに出た瞬間に何かを感じてからルアーを結ぶのが奥田さんの流儀。その手法にはドリームツアー当選者も驚きを隠せなかった。

その一方で我々取材班が注目したのは、まだ見たことがないバンタムロッドらしき1本のモデルだった。グリップはEVA製。本来バンタムロッドは全てがハイグレードのコルクグリップが搭載され、滑りにくさと軽量感を同時に追求してきたが…。ブランクを見れば、根元から存分な径を蓄えたパワーゲームロッドであることだけは推測できた。目測ではあるが他ロッドと比較したところ、そう長いレングスではないようにも思えた。はたして、それはバンタムロッドの1本なのか。またどんなモデルなのか。非常に気になる。

「そうやね、バンタムの新作ロッド。ようやく完成して、お見せすることができるようになった。どんなロッドか? そう、こういうルアーを使うためのロッドだよ」。

…なっ、何とっ!?

一時的に釣りを中断して、取材班に解説を始めてくれた奥田さん。その手には注目の1本。はたしてこれはどんな目的のために開発されたのだろうか。

「マグナムベイトに8フィートは要らない」。

上画像をご覧になった方は既にご理解いただけたであろう。

そのバンタムNEWモデルには、ハーネスを介して大型スイムベイトが2連結された通称ダブルアタックリグが装填されているのが見えるはずだ。

「用途はスーパーパワーゲーム。使うルアーはビッグベイト、マグナムベイトといったでかいルアー限定。800グラムまで背負える。だから、その範囲内でのダブルアタックリグも射程内」。

聞けばその大型スイムベイトは約200グラム。2つを連結しても400グラム。そのロッドのパワーにはまだなお余裕がある。かつて「マグナムベイト用ロッドプロト」の文字を見たことがあるだろうか。奥田さんが登場するDVD等で、ビッグベイトフリーク達に期待感を抱かせたあのモデルがいよいよ誕生するのだ。

「モデル名はバンタム170UH-SB。ようやく秘密を語れる時が来たよ」。

1ピース、7フィート、ウルトラヘビー、ビッグベイト用を意味するその番手。2番目の数字が意味するレングス表記を見て、頭に疑問符が浮かんだ方も多いのではないだろうか。

「マグナムベイト用ロッドって多くは8フィート前後だと思う。重いマグナムベイトを飛ばして掛け、ファイト、そしてランディングするためにはロッドブランクの製法上、そうならざるを得なかったんだろうと思う」。

当初は8フィートからテストを始めていったという奥田さん。しかし、長いからこそのアドバンテージを追求していくと、いつしか別の方向に目を向けていったのだった。

奥田さんが手にしているのは実に自重600グラム(!?)クラスのマグナムスイムベイト。800グラムまで許容範囲とするNEWモデル、バンタム170UH-SBにはまだパワーに余裕がある。

バンタムだから実現できた7フィート・ウルトラヘビー!

「テストしていくうちに、8フィートのメリットを感じなくなっていったんだ。なぜか? 今回の早明浦ダムもそうだけど、どんなルアーもキャストアキュラシーが大切。狙った場所にルアーを着水させることができなければ、釣りづらい」。

誤解を恐れずに言うならば、ロッドは長くなるほどにキャストの正確性は落ちていく。「ロッドは手の延長」と言われるように、ルアーをより遠くへ飛ばすためのツールではあるが、長さの限度を過ぎるとアングラーの意思とは反して思い通りの場所へルアーを着水させるのが難しくなるものだ。

「長いと、ヒットした後にでかバスを乗せてフックを貫通するパワーは強くなるが、何よりその前のアプローチの時点で感じるデメリットの方が強くなってしまった」。

8フィートからスタートしたプロトモデルは、日を追うごとに76、74とレングスを下げていく。

「ただし、パワーは損なわずに。軽さも維持したままで」。

奥田さんの要求は開発に難航を極めた。長さがあるからこそ存分なパワーを秘めることができるのはロッド設計上のセオリー。短くしてもパワーを維持すること、それもマグナムベイトを余裕で使いこなせるだけのパワーともなればそう容易く完成できるものではない。

「シマノ、バンタムロッドの開発陣だからこそ作ることができた。そう思っている」。

最新鋭のロッドブランク設計テクノロジーが存分に盛り込まれているのは言うまでもない。ついに行き着いたのが当初の8フィートのパワーを維持したまま実現した7フィートモデルだった。

「横方向にジャークするにも上方向にアオるにも捌きやすい長さ。何より短い分、キャストが楽になるからこそ、アキュラシー性能も高まってくる。着実にテスト釣果を重ねることができて、ようやく完成することができたよ」。

長きに渡り、奥田さんがひた隠しにしてきたのは、その全長を明かさないためだった。この1本が今後のマグナムベイトロッドの流れを変えていくことは間違いないだろう。

600グラムクラスをオーバーヘッドキャスト! 「豪快」の2文字が即座に頭に浮かぶ。見ているだけでも心は踊る。

フルキャストは、軸をアシストする腕にキーがある

「いわば、バンタム最強ロッドが170UH-SBやね」。

これまでに100グラムクラスまでを自在に操る1711H-SB、300グラムクラスまでの180XXH-SBと2モデルのビッグベイトモデルを仕上げてきた奥田さん。3モデル目となるシリーズ最強モデルは、意外にも最も短いレングスでの登場となる。初回リリースはこの12月。受注生産モデルとして既に予約受付を開始しているという。ビッグベイターは要注目の1本だろう。

それでは、このバンタム最強モデルを奥田さんはどう投げるのか。まずは連続写真でご覧いただこう。

タラシを長めにとり、ルアーを振り子のように使って、前方から後方へ。ルアーの重みを感じた瞬間に、前方向へと振り抜く。これがマグナムベイトを始めとするビッグベイトを遠投する際の基本動作だ。

より遠くへ飛ばすための方法とは

オープンウォーターかつ長い距離を存分にトレースしたい時、奥田さんは上のような方法で超ロングキャスト! 見ているだけでも高揚感を得られるほどの豪快なキャストだ。奥田さんはもちろん、このキャスト方法だけでマグナムベイトを使っているわけではない。ボートを流しながらサイドからのショートキャスト、またピッチングでピンスポットを狙うこともあることを知っておきたい。

ロングキャストを目の前で見せていただくにあたり、投げ方にはどんなコツがあるのか尋ねるとこう答えてくれた。

「うーん、コツかぁ…いつもの投げ方やし、特に変わった方法でもないし…あ! 1つだけあった! より遠くへ飛ばすための方法が」。

まずは動画でご覧いただきたい。

奥田さんの場合、キャスト時の利き腕は右腕。右手でベイトリールをパーミングするとともにロッドをグリップ。左手はバットエンドに添えている。ここからキャストは始まる。

「ロッドを前方向へ右腕で振り抜く際に、左腕はバットエンドを強く引きつける。こうすることでキャストスピードがさらに上がって、ブランクの高い反発力をさらに活かすことができるね」。

通常のルアーでもこのひと工夫でキャスト距離はさらにアップ。マグナムベイトなら左腕が右腕をアシストすることで、ロングキャストの際に身体へより負担が少なくなるのだという。

「このロッドは800グラムまで背負えるんだけど、例えばさ、先端に800グラムがある状態でフルキャストすると力強く握っていてもグリップは滑りやすい。特に雨の日は注意が必要だね」。

このモデルに限り、コルクではなくEVAグリップに設計されたのはそんな理由もあった。キャスト時はもちろん、フッキング時やパワーファイト時にもその滑りにくさでサポート。細かい部分にも実に抜かりのないモデルに仕上がっているのだ。

人間が見ても本物と見紛うばかりのリアリズム。そこに命が宿っているかのような泳ぎで水面直下を進む。しかし、サイズはおよそ30センチ。これを捕食するバスのサイズとは…。

思い込みや常識、それが時にバス釣りの障害となる

遥か彼方に到達したマグナムスイムベイトは水面からそう離れていないレンジを悠々と泳ぎ徐々に船べりへと近づいてくる。コイか? それともフナか? といった様相だ。およそ30センチもの全長を持つマグナムスイムベイトをバスが襲う? 冷静に考えれば、あり得ない…かもしれない。それほどのエサを捕食するバスがいるとは、到底考えられない…かもしれない。しかし、我々は現実に目の前でその30センチを後方から追尾する何者かの姿を目撃してしまった。

ターゲットの後方からスイムベイトが近づくや、興味を示したのか方向転換。まさに様子見という感じで、付かず離れずの位置で追尾。そしてふとした瞬間、理性を失ったかのように果敢にバイト! この日、そんなシーンを何度見かけたことだろうか。

「いや、今日は確実に喰い込んでくれない日やね。厳しい展開になりそうや」。

状況はけっしてよくない。そう奥田さんは言っていたのだが…。ところで、前週奥田さんがこう語ったことを覚えているだろうか。

「スタイルやこだわりって、バス釣りには一番無駄なことやと思う」。

広義の意味で捉えれば、このスタイルやこだわりはアングラーの思い込みや個々が思い描く常識とも考えることができる。バスを釣りたい。それもより大きなサイズをと頭に思い描くのであれば、今まで通りの釣りは一度水に流してもいいのかな…そう取材班は今思っている。なぜならこの後に起きる「事件」を目の前にしてしまったからなのだ。驚くべきその詳細は次週、お届することにしよう。

とある「事件」が起きた直後の奥田さんの表情がこれだ。爽快感? いや達成感とでも言うべき笑みがこぼれている。

1つより2つ、2つより3つ、そして…!?

マグナムスイムベイトを単体で泳がせ、時には2連結のダブルアタックリグでバイトを誘った奥田さん。かつてBtフォースを使っての釣行では、ダブルでの使い方を見せてくれたのが記憶に新しいところだ。詳細はコチラ

「1つより2つ、2つよりも3つ。Btフォースのパワーはより破壊的になっていく」。

その泳ぎを確認すると、確かに目から鱗の驚くべきインパクト! しかし、その当時は泳ぎを見せてもらっただけで、釣果は得ていない。1つより2つ、2つより3つ、さらに3つより4つなら、さらにパワーは圧倒的になるのは間違いない。

「このフィールド、ギルはおるよね。だったら…」。

もう多くは語るまい。次週を待て!

<使用タックル>