イヨケンと「マクベス」のコンフィデンスな関係 後編 伊豫部健×小野湖(山口県)他 パート4

言うまでもなく結果は出た! それも特大!!

獲った! 2尾目も堂々の個体!!

トップ画像を見てもわかる通り、文字通りの豪雨。濁りも流れも強さを増し続け、ついにエレキは常にトップスピードでなければボートは定位できないような苦境。それでも伊豫部さんは獲った!

「ワハハハハ! 最高に楽しいね!!」。

天候が身体に与える影響を差し引いても、その1尾が与えた喜びは格段に上。取材班もその笑顔に心が躍ったのは言うまでもない。もはや伊豫部健×マクベスのゴールデンコンビがこのフィールドに勝利した瞬間と言ってもいいだろう。今回の実釣のクライマックスを迎えたところで、危険を回避すべく早々にその場を撤収。機材故障を招きかねない豪雨は、ただちに避けねばなるまい。船底に溜まった雨水をビルジポンプで排出した後、下流域の出船場所へと戻ることを決めたのだった。

以降の解説は、豪雨が過ぎ去った後に伊豫部さんに振り返ってもらったものだ。

豪雨のため残念ながら実測はしていないが、おそらく1尾目を超える全長。50センチに限りなく近い個体だった。

「魚は明らかに流れを嫌っていた」

「ヒットしたのはね、岸際にあった小さな岩の裏側(=下流側)」。

水没した岩に激しい流れが当たり、水面には見えないものの水面下では明らかに流れの変化が生じていた。

「岩に当てた瞬間に魚が裏側から出てくるのが辛うじて見えたんだ」。

岸際と岩との距離、およそ30センチ。岸際に着水させたマクベスが数巻きで水面下の岩にコンタクトした瞬間だった。

「岩の裏で流れが巻く反転流にいたね。バックウォーターの大きな岩の反転流で釣れることってよくあるけど、こんな小さな岩でできる反転流でも魚は着くんだよね。振り返ってみれば、1尾目を獲ったのも細い竹グイの裏側、同じく反転流だったよね」。

反転流とは、上流からの流れが何らかの物に当たり、その裏側で流れが巻く現象のこと。魚は流れの上流方向へ頭を向ける生き物。そのため強い流れが生じた場合、常に体を使わなければその姿勢をキープするのが困難な状態に陥る。流れが巻く場所(=反転流の中)であれば、体を激しく動かす必要はなく、そこに定位しやすい。魚にとっては居心地がよく、さらには流されてきた小魚なども溜まりやすく、労せずしてエサも摂れる実に効率的な場所でもあるのだ。

「いずれにせよ、あのバックウォーターの魚は流れを嫌っていたのは明らかだね」。

ボートのエレキも常にトップスピードでなければ定位できない激しい流れの中、魚が流心を好むとは考えづらい。1尾目2尾目ともに反転流にいた魚だが、前者はマッドラインの境目、後者はアウトサイドに比べ若干流れが弱いインサイドというプラス要素も作用したのだろう。

2017新色は3色。上から、今回のMVPとも言えるパロットスプラッター。左右のカラーが異なるミステイクスプラッター。そして「ザリ、エビ系のフィールドでよく釣れる」というピーナッツバター。いずれも所有欲をそそる魅惑のカラーだ。ミステイクスプラッターの反対側は、下の写真を参照。

ボディの左右で塗り間違え(ミステイク)、というのがカラー名の由来らしい。

コンフィデンス=自信、それが何よりの力となる

今回使用したマクベスはいずれも3色存在する2017新色の1つ、パロットスプラッター。パールホワイトボディにグリーンバック、サイドにはピンクとチャートのドットが点在。カラー名にあるスプラッターとは、背中の塗料が飛び散るように塗装処理が施されていることを意味。もう1つの新色、ミステイクスプラッターもブラックバックで同様の処理が見える。

伊豫部さんは今回、なぜこの色を使ったのか。そこが知りたい。

「初日の小野湖ではテナガエビもいるかなとIPファントムブラウンも使ったけど、ここは明らかに水が濁っていたし、常に雨で空はドンヨリと曇り。パッと明るい色で目立たせたかったって理由が第一の理由だね」。

とはいえ、マクベスにはチャート系を始め、他にも明るい色は存在する。

「そんな中でもなぜこの色か。それは僕が子供の頃から、よく野池で釣った色なんだよね。コンフィデンスって、やっぱ大切なんだよ」。

前回伊豫部さんはなぜマクベスなのかという問いに対して「自信があるからこそ使うし、使い続けるからこそ身体に馴染む」と答えたのを覚えているだろうか。カラーに関しても同様なのだ。

「それと、よーく見て。この眼に気づいたかなぁ?」。

パッと見だけでは気付かないが、「コマック」ことマクベス50と見比べてみるとすぐにわかる。

「今季の新色3色は、コマックと同じまん丸な眼なんだ。皆さんから、コマックの眼がカワイイと評判だったので、マクベスも徐々にこの眼に変わりつつあるよ」。

その可愛らしさもコンフィデンスへと繋ぐ要素の1つになりそうだ。

気づいたら投げる。投げても引っかからないんだから、投げても損はない」。かつて伊豫部さんはこんなことを口にした。今回、それがまさに現実となった。

ダメ押しの1尾! 対リザーバー、勝利の瞬間

一時は豪雨で前も見えない状況だったが、出船場所へと辿り着く頃には小康状態へと。伊豫部さんは通りがかりのバンク際で何かに気づいたのか、突如エレキのスピードを弱めるやロッドを手にしてキャスト。すぐさまこの1尾を手にしたのだった。

「小さな流れ込み周りで、今まで全く見えなかったブルーギルが浮いているのが見えたんだよ。釣れたのはその流れ込みの向こう側」。

ベイトフィッシュの存在を始め、何らかの変化に即座に気づくことこそがもう1尾に繋がる。

「あ、このリザーバー、ギルいるんだと投げてみた結果だね。先の2尾とは違ってかわいいサイズだけど、それでもやっぱ釣れるとうれしいよね!」。

豪雨により全身ズブ濡れで疲弊していた取材班だが、伊豫部さんの笑顔で一気に心は和んでいった。まるで自分が釣ったかのようにうれしいのが不思議だった。雨が止んだついでに雨雲レーダーを確認すると、どうやらこの小康状態は一時的なものであることを知る。午後には午前を遥かに凌ぐ豪雨に襲われそうな気配。伊豫部さんと取材班はこの地に後ろ髪を引かれながらも、この時点で2日目の実釣を終了することを決断したのだった。

ラストフィッシュもマクベスのパロットスプラッターでキャッチ。バスの価値はサイズではない。如何に狙い通りに獲ることができたかが作用する。何よりも伊豫部さんのこの笑顔がそれを物語っている。

なぜスクエアビルは根がからないのか

今回の実釣でも伊豫部さんはマクベスを障害物に当て続けて計3尾をキャッチ。その間、ロストはゼロ。マクベスに搭載されたスクエアビルは、一般的にスナッグレス性の高さで定評があるが、なぜ根がからないのかについてそのメカニズムを知る人は意外に少ない。

「みんなこのリップで障害物をかわしていると思っているけど、実はそれだけじゃないんだ」。

画像のように伊豫部さんは、自らの手を障害物に見立てマクベスのスクエアビルが接触した状態を作り出した。

「リップが何かに当たるとボディが前方向につんのめって、顔が障害物に当たってクリアしているんだ。その証拠に、マクベスを使い倒した後、顔をよく見れば目や背中にたくさんの傷が付いているはず」。

伊豫部さんのマクベスを確認すれば、確かにその通り。障害物への度重なるコンタクトで、リップが丸くなっているのも注目したい。

「障害物をかわした後は、このファットボディの横幅内にベリー側フックを収めながら進むことで引っかかることもない。ファットだからこその高い浮力もそこに貢献してくれている」。

巻く手を止めれば浮く。それも大きなメリットだ。

「ただ、デメリットもある。岩や立木など硬いストラクチャーには圧倒的な回避能力を発揮するけど、ウィードやロープ、捨て糸など柔らかいストラクチャーには弱い。リップをしっかり当ててボディをつんのめらせることができないからね。使い所をしっかり選んで使えば、こんなに強い味方はないよ」。

全てにおいて有効ではなく、敢えてデメリットを包み隠さず公開。実に伊豫部さんらしいコメントだった。以下の動画を見れば、スクエアビルのメリットが実によく理解できるのでぜひご覧になっていただきたい。

マクベスとバンタム170M-Gの黄金率に注目

先に伊豫部さんとマクベスはゴールデンコンビと例えたが、マクベスとグラスコンポジットロッドのバンタム170M-Gも同じなのだという。

「グラスコンポジットっていうのは、張りのあるカーボンと粘りのあるグラスのハイブリッドタイプの素材。カバークランキングはこれじゃないと成立しない」。

カーボンでもなく、グラスでもない。グラス独自の粘りを活かしながら、カーボンならではの軽さを追求したのがこのグラスコンポジットロッドだ。バンタムロッドでは番手表記の最後に「G」の文字を加えたモデルがそれだ。

「マクベスの水中での動きってワイドウォブリング。ブリブリと派手に動くわけだけど、カーボンロッドの張りはそのアクションを吸収しない。動きを無理矢理抑えてしまうので、マクベス本来のアクションを出すことができないし、さらには動きが破綻して水面に飛び出してしまうことさえある」。

一方のグラスコンポジットではどんな効果があるのか。

「その派手な動きをロッドが吸収してくれる。竿先の揺れを見れば、それは明らか。マクベスが生み出すアクションを存分に活かしながら、狙いのコースを真っ直ぐにしっかり引ける。これがグラスコンポジットロッドのアドバンテージなんだ」。

グラスの特性を活かしながらカーボンの軽さが切れ味鋭いキャストを可能に。バンタム170M-Gは全長7フィートというロングレングスながら軽快性を生み出し、その長さによるストロークが緻密なコース取りにも貢献。まさに伊豫部さんの腕の延長がここにある。

伊豫部さんがラインを引き、ティップからベリーにかけて美しいベンドカーブを見せているのがマクベスに使用するロッド・バンタム170M-G。マクベスとのマッチングには黄金率とでも呼ぶべきものが存在している。

「今回のようなコンディションでは、おそらく魚はディープが手堅かったと思う。けど、通常バックウォーターはベイトが豊富でバスのフィーディング場になるので、比較的大型のバスが狙える」。

敢えて流入河川の最上流部のみに注力した結果が、今回の見事な魚達だった。

「いろいろ試せる時間があったなら、ディープクランクっていう手もあったかな」。

まだバンタムルアーにはそのラインナップは存在していない。

「今後開発していきたいモデルの1つ。それにアレもあるし、コレもあるし…。バス釣りって1つだけじゃない。それだけがバス釣りじゃない。今後もいろんな方向性を魅せていきたいなと」。

伊豫部さんの旅はまだまだ続く。いや、まだ始まったばかりだ。

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