朱紋峰 嵐月 インプレッション 朱紋峰 嵐月 インプレッション

アラシノヨウニ、ツリマクレ。
管理釣り場、ボート、平場。
真夏の熱釣三幕。

岡田 清、中澤 岳、そして吉田 康雄。
管理釣り場、夏ならではのボートフィッシング、そして平場釣り。
常識外れの酷暑が続いている今年の夏、それでもへら鮒釣りが好きで好きでたまらない名手3人が、暑さをものともせずに、熱い釣りを披露してくれた。
そしてその右手には、今秋、新登場の「朱紋峰嵐月」!
かの名作、「朱紋峰嵐水」の系譜を堂々と受け継ぐスーパーオールラウンダーが、ついにそのベールを脱ぐ。
果たして、その実力はいかに?
三者三様の釣りが、その恐るべき万能性を早くも白日の下に晒す・・・!

現代に蘇る“嵐〈RAN〉”の系譜

朱紋峰 嵐水…。その名前に懐かしさを覚える方も多いのではないだろうか。
今から約20年前、「総合性能」を謳い文句にへら鮒界を席巻したオールラウンダーが、他ならぬこの「朱紋峰 嵐水」だった。
オーソドックスな硬式先調子を謳った「嵐水」は、まさに管理釣り場から野釣り、そしてボートでの湖水釣り…と、どんなシチュエーションにも、そしてどんな釣り方にも対応する万能ロッドだった。管理釣り場のペレ宙でガツガツ釣った翌週には、ボートの例会でチョーチン両ダンゴ…と、へら師達の「嵐水」は休む間もない八面六臂の大活躍で、週末の楽しいへら鮒釣り生活を支えていたのである。
その後、「嵐水」は「嵐馬」となり、より強く上質な竿へと進化したものの、他に個性的な竿が次々と登場したこともあり、ラインナップからはひっそりとその姿を消した。しかし、“嵐”復活を臨む声は根強く、他ならぬシマノにも、たくさんの熱い声が寄せられ続けていた。
一見、「普天元 独歩」を頂点とする「本調子」のラインアップをはじめ、現シマノラインナップはアリの隙間も入る余地もないほど充実しているように映る。しかしその一方で、いわゆる硬式先調子のオールラウンダーというと「朱紋峰 神威」や「月影」くらいしかなく(「飛天弓 皆空」は別として…)、ここにきて「嵐水待望論」が再燃していたことは事実。そして2018年秋、ここに堂々、「朱紋峰 嵐水」の現代版とも言うべき「朱紋峰 嵐月」誕生、となる。

伝統に胡座をかかない、新たな挑戦

掛け値なし、これは現代の技術をその身にまとって生まれ変わった「朱紋峰 嵐水」の超進化版である。
調子はいわゆる典型的な硬式先調子。しかし、ビンビンとした硬さは現代技術によって徹底的に押さえ込まれていて、シマノへら竿独特のしっとりとした感触が前面に来る上質な竿に仕上がっている。同じ硬式先調子の「朱紋峰 神威」との決定的な違いはこの「しっとり感」及び「淡麗感」で、もう少し分かりやすく言えば、「神威」の方がゴツく、元も太めで、よりはっきりとした「先調子感」があるのに対し、「嵐月」も間違いなく硬式先調子ではあるのだが、全体的に細身でシャープな感触が際だち、「剛さ」が際立つ「神威」に対して、どこか繊細さを伴うへら竿らしい、優しくもある世界観が構築されているのだ。これは明らかに、あの「嵐水」や「嵐馬」では到達していなかった領域である。
従来より穂先を短く設計し、かつ先端は細径チューブラー穂先を採用することで(7~13.5尺が0.9ミリ、それ以上が1.1ミリ径)水切れは抜群で、とにかくアワセが気持ちよく決まる。ただ単に元を太くして先調子感を演出するのではなく、全体的にはへら竿らしい細身のフォルムをキープしつつも、逆に「先」を短く細くするという発想の転換。創意工夫で自然な先調子感を生み出している。また、全体的な細身化の恩恵として、風を切る振り込み時の気持よさも秀逸。軟らかいエサも、まるで軟式胴調子の竿のようになんなくポイントへと運ぶ懐の深さがある。
魚を掛けた後の感触を一言でいい表せば、もう単に「気持ちいい」の一言だ。
アワせて乗った瞬間は硬式先調子の竿らしく掌にガツンとくる感触はあるのだが、それが不快に感じられる一歩手前でとどまっていて、すぐさま竿の下半分が仕事をし始めるのが誰でも分かる。もっと簡単に言えば、元、元上といった部分がジワリと曲がり、竿先だけに仕事をさせず、あくまでも竿全体をショックアブソーバーとして魚からのショックを吸収してしまうのだ。これはまさに、数々の胴調子の竿を開発してきたことによるノウハウの蓄積も効いている。細身硬式先調子の竿とは思えない振動吸収性は特筆もので、「嵐水」では量を釣ると「腕にくる」ことも多かったが、新しい「嵐月」はおそらく、そのようなことは皆無だろうと自信を持って言い切りたい。
握りにはもちろん「しっとり綾織握りII」が採用され、盤石の構え。また、デザインにはオールドファンも泣いて喜ぶ、「嵐水」を彷彿させる伝統の「紋竹模様+段巻」がクオリティアップして復活し、妙な派手さやアクセントはあえて排して「10年使ってなお愛着の湧くデザイン」を持ち込んだ。
また本来なら、シチュエーションや釣り方ごとにそれぞれの釣りにあった性格のロッドを使い分けられれば最高なのだろうが、釣り人全てがそのような贅沢な状況にあるわけではない。今回、その点に関しても「9尺以上の1.5尺刻み」というチャレンジングな回答を試みた。
あの伝説の名竿「朱紋峰 嵐水」を単に復活させただけでなく、現代の最新技術と「新しい挑戦」を盛り込んだ「朱紋峰 嵐月」。オールマイティータイプのロッドの登場には、どこか保守的な空気も漂いがちだが、今風に言うなら、「嵐月」は「ガチ」だ。紛れもなく、新たな挑戦なのである。

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