2019.04.24

もっと軽快に、もっとアクティブに!「ショートロッド」のススメ[ 岡野宣也 ]

Vol.1 兵庫県・淡路島釣行記

開幕直後のシロギスに挑む!

七宝、ターザン、もみじ、ターボ、アース・・・。
これらは淡路島で生産される玉ネギの品種である。温暖な瀬戸内の気候と豊かな土壌は米、玉ネギ、レタスなどの栽培が盛んで、特に肉厚で甘みのある淡路島産の玉ネギは、いまや“お取り寄せ”の定番ともいえるブランド食材だ。
瀬戸内海と太平洋の境にあたる淡路島は釣り場としても一級である。マダイやチヌ、メバル、回遊魚、タチウオ、シロギス、カレイなど釣り物は多彩。そんな淡路島で、第9回ジャパンカップ投げの覇者である岡野宣也さんの釣行に同行したのは、シロギスシーズンが開幕したばかりの2018年5月のことだった。

「開幕といっても、今年のシロギスはちょっと遅れ気味なんですよ。群れの入っている場所と入っていない場所がハッキリ分かれているので、まぁ反応を見ながらいくつかポイントを攻めてみましょう」

今回の釣りは、ひとつのテーマがあった。テーマとは「ショートロッド」である。
投げ釣りは「魚を釣る」という釣り本来の要素以外にも、「投げること」自体を楽しめる独特のジャンルだ。誰よりも遠く飛ばしたい、爽快なキャストフィーリングを味わいたいという人も多く、投竿もより反発力を強く、よりシャープな振り抜けを目指して進化してきた。

しかし、剛竿をしっかり曲げて重いオモリをキャストするには、それなりの技術と体力を要する。これを1日振り続ければ、身体への負担はかなりのものになる。
となれば、もっと楽に投げ釣りを楽しみたいという向きも出てくる。そこで近年、ジワジワと人気の高まりを見せているのが、ショートロッドによるライトな投げ釣りだ。

180cmを超える長身の岡野さんだ。陸上の長距離競技で鍛えた体躯は50代とは思えないほどスマートで筋肉質である。恵まれた体格の岡野さんなら4.05mはおろか、4.25mの長竿でも楽に振り切れるはず。そんな人がなぜショートロッドの釣りに傾倒するのか、実に興味深いところである。

ショートロッドによるライトな投げ釣りを実践する岡野宣也さん。短竿の利点はただ軽いだけではないのだ。

竿は短いほど感度がよい。軽いオモリと組み合わせることで、感度はさらに研ぎ澄まされる。

ショートロッドで繊細なアタリを楽しみたい

最初のポイントは、都志(とし)のサーフ。目の前に沖堤が2つ並ぶ波静かな場所だが、シーズン初期には沖堤の手前にシロギスの群れが入っていることがあるとのことだ。
ここで岡野さんが手にしたのは「ボーダレス並継キャスティング仕様345H6」。シマノの投竿に換算するとHXクラスのショートロッドである。

「ショートロッドを使い始めたのは『スピンパワー365』が出た頃です。遊び心といいますか、軟らかい竿と軽いオモリを使って、キスの繊細なアタリを楽しみたいと思ったのがキッカケです。オモリが重いほど、またポイントが遠いほどアタリがぼやけてしまいます。遠くでしか釣れないなら4.05mのCX+の竿に30号前後のオモリで遠投しますが、4色以内で釣れるのであれば、ショートロッドのほうが断然楽しいですね」

岡野さんがこの日セレクトしたのは「ボーダレス並継キャスティング仕様345H6」。オモリ負荷10〜20号の投竿に換算するとかなり軟らかいアイテムだ。

軟らかい竿と軽いオモリのコンビネーションはアタリが鮮明に出るだけでなく、喰い込み面でも有利だ。
「また淡路島はバックスペースが狭い浜が多いので、取り回しのよいショートロッドは実に使いやすい。体力的な負担も小さいですしね」

近年はキャスティング系のマルチロッド「ボーダレス」が発売になり、タックルの選択肢が増えたとともに、よりライトな釣りも可能になったとのことだ。

リールはライトショアジギングで使用するクラスの4000番。PE0.6号のメインラインに力糸としてPE2号を5m前後結んでおく。仕掛けを目いっぱい巻き込むと道糸との結び目がスプールに入る程度。

オモリは竿に合わせて18号をセット。仕掛けは「掛けキス投げ仕掛け」 「攻めキス投げ仕掛け」の3本バリを使った。

エサはイシゴカイ(ジャリメ)とチロリ(東京スナメ)。シロギス釣りの定番エサだ。

シーズン初期のシロギスはご機嫌斜め!?

いざ実釣。オモリはウッドシンカーの18号。
それこそチョイ投げの延長にあるようなライトタックルだ。
道糸はPE0.6号。力糸代わりとしてPE2号を竿丈プラス数10cm結んでいる。仕掛けを目いっぱい巻き込んだ状態で、道糸との結び目が少しリールに巻き込まれる程度である。

この仕掛けをキャストすると、軽い力でも楽に4色くらいは飛ぶ。秋などシロギスが近いポイントで喰ってくるようなときならこれでも十分。短竿ゆえに手返しも速く、むしろ4m以上の竿は要らないのではと思えるほどだ。

朝イチに攻めたのは都志のサーフ。沖堤の手前にシロギスが入っていると予想したのだがアタリはなかった。

「竿が短いと長い仕掛けが使えないので、多点バリで一投多魚を狙うような釣りでは4.05m以上の竿がいいでしょう。ボーダレスの3.45mだと5本バリが限界かな。自分としては、ショートロッドは良型のキスを1尾1尾楽しみながら釣る竿やと思っています」

空は快晴。風もない。この上ない釣り日和なのだが、肝心のアタリがない。
「やっぱり今年はシーズンが遅れてますね。まだ魚が入ってませんわ」

都志は早々に見切りを付け、次は慶野松原に移動した。しかしここでもアタリは皆無。
シロギスはどこにいるのだろうか・・・。

軽い力でキャストしても100mは楽に飛んでいく。ポイントが近いときはショートロッドのほうが手返し面で有利だ。

慶野松原でもシロギスからの魚信はなし。シロギスはいずこに・・・。

大移動した先で小気味よいアタリ!

「あと1カ月遅ければ、かなり状況が違うと思うんですけどねぇ」
大きく移動した先は津井の海岸。先に竿を出した2カ所は白砂のサーフだったが、ここは砂利混じりとやや砂質が異なる。沖には海藻帯が点在しており、チヌでも釣れそうな地形である。

ようやくだった。一投目からシロギスが小気味よいアタリを送ってくれた。
「ええアタリですわ。キスがエサを触りにくる前アタリまでハッキリわかるんですよ。これが短い軟竿と軽いオモリの効果ですよね」

ボーダレスのしなやかな穂先は、アタリが鮮明に出て喰い込み性能にも優れる。ハリ掛かりしたシロギスが暴れる様子も大きく伝わるので、追い喰いさせたアタリがわかりにくいとのことだが、それでも岡野さんは2連、3連とシロギスを掛けていく。

隣で見ているだけでも穂先に出るアタリが気持ちよい。釣っている本人は楽しいに違いない。18cm前後までをほどよく釣ったところで竿を納めた。

「そう、釣りは楽しいのが一番。遠くへ飛ばすのもいい、とにかく数を求めるのもいい。ただ、4m以上の竿で重いオモリを遠投し、10本バリを絡ませずに扱うのはかなりの技術を要します。ただショートロッドなら取り回しが楽だし、5本バリ程度ならビギナーでも簡単に投げられます。とにかくアタリを楽しんで、キス釣りの面白さを多くの人に体感していただきたいですね」

4連でヒット。パールホワイトの魚体が五月晴れの青空に舞う。

期待の津井海岸で待望のアタリ。じっくりと追い喰いを誘う。

「ええアタリでしたわ!」ショートロッドは1尾との駆け引きを存分に味わえるのだ。

vol.2に続く