2018.5.14

誰よりも数を釣りたい!競技会の釣りを考察する [ 伊藤 幸一 ]

Vol.2 競技用のタックルとエサ使い

競技用のタックル

竿

プライベートの釣行でも競技会でもキススペシャルの405BXを愛用しています。私が竿に求める要素はコントロール性、感度、飛距離の3点。飛距離だけに特化するならスピンパワーSCなどの選択もあるのですが、狙ったポイントへ性格に仕掛けを投入し、小さなアタリを取りやすく、底の状態も把握しやすいといった総合力の高さでキススペシャルを愛用しています。

BXをメインとする理由は、自分の体力に合っているからです。ジャパンカップの決勝大会となると、都合5試合を戦うことになります。無理なくAXクラスを振れるなら飛距離面では有利になるでしょう。しかし、私がAXを使うと数試合で疲れてしまって飛距離が落ち、集中力も持続しません。自分の体力と相談すると、BXないしCX+が合っているように思います。

リールシートの位置は自分のリーチに合わせていますが、ガイド位置については特にこだわりはなく、シマノ推奨の位置に取り付けています。竿は性能云々より、自分の体力にマッチしているかが重要です。特にシロギス釣りは、常時竿を手に持つ釣りです。剛竿を振り切るのを一種のステイタスとする向きもありますが、一日振っても疲れないものを選ぶようにしましょう。

竿は自分の体力に合ったものを選ぶことが大切。パワーだけを重視すると疲労が溜まって試合に集中できません。

コントロール性、感度、飛距離の三要素を満たすキススペシャル405BXが伊藤さんのメインロッド。

リール

リールはスーパーエアロ キススペシャルのコンペエディション極細仕様がメインです。スーパーエアロ キススペシャルには一般的なオシュレーション速度のものと、スーパースロー10というスプール1往復でラインが約100回転巻き取れる超スローオシュレーション仕様の2種類があります。私が愛用しているのは後者です。

超スローオシュレーション仕様はラインが密巻きになり、投入時の放出抵抗が小さくなることで、より遠投が可能になります。また、遠投用のテーパースプールは前後の径が違うため、巻き取り時にスプールが前後するとテンションの変化が大きくなるのですが、密巻き仕様は体感上のテンション変化が小さく、リールサビキでのアタリを取りやすいように感じます。

スーパーエアロ キススペシャル コンペエディション極細仕様は超スローオシュレーションの密巻きモデル。遠投性能が高く、リールサビキでの感度に優れています。

ノーマルオシュレーションモデルはラインの放出抵抗がやや大きくなりますが、これが適度なブレーキになるためライントラブルが少ないのが特徴です。近投を繰り返すテンポの速い釣りでは、こちらのほうが使いやすいでしょう。

道糸

ラインはKISU SPECIAL EX4 PE テーパーを愛用しています。これは力糸とメインラインが一体になった製品で、13mある力糸部分の先端8mほどが最太部になります。私は太い部分が7mもあれば十分なので、先端の1mほどをカットして、メインライン200m+力糸部12mの状態で使用しています。号数は0.3〜0.8号で、複数のスプールにそれぞれを巻いておき、状況や目的に応じて使い分けています。

使い分けの基準は、飛距離と根掛かりの頻度。遠投するときほど細い糸のほうが有利です。プライベートの釣りで6色前後のポイントを狙うときは0.8号を主に使いますが、ポイントが遠くなると0.6号、0.4号と落としていき、8色近い遠投で攻めるときは、0.3号まで細くします。

競技会では0.6号をメインに遠投が必要な状況下では0.3号までラインを落とすことがあります。複数のスプールを用意しておくと安心です。

よく細糸は高切れするのではとの声を耳にしますが、バックラッシュなどのライントラブルは、意外に細糸のほうが少ないように思います。ただ、細さゆえの物理的な強度は致し方ないと言うしかありません。根掛かりが多いポイントでは道糸の号数を上げて、仕掛けのロストを回避するようにしています。

ジャパンカップの決勝大会が行われる鳥取県の弓ヶ浜は、さほど根掛かりする釣り場ではないので、0.6号をよく使います。試合中の高切れは大きな時間のロスにつながることもあるので、予備のスプールを多めに用意しておくと安心です。

テンビン

競技会ではタングステンのシンカーを用いたテンビンを多用しています。比重の大きいタングステンは飛距離が出るというメリットがありますが、私は飛距離よりもタングステンシンカー独特の感度が気に入っています。

鉛に比べてタングステンは硬く、海底の状態がより明確にわかります。太平洋のサーフは沖から段々浅くなっている場所が多いのですが、日本海は沖が浅くても手前が掘れている場所があります。また、フラットななかにちょっとした変化があったりします。このような場所は流れにも変化があると考えられ、特に群れが小さいときほどピンポイントでシロギスが喰ってくるので、私はオモリを引いたときの感触を重視しています。

左の2つがプライベート釣行で多用するウッドシンカー、右の2つが競技会でのメインとなるタングステンシンカー。硬いタングステンは感度がよく、海底の地形を把握するのに役立ちます。

プライベートの釣りではウッドシンカーをよく使います。これはタングステンに比べて安価であることと、若干浮力のあるウッドシンカーは、引いたときの感触がタングステンに近いというのが多用する理由です。

競技会では、25〜33号のテンビンを用意し、竿とのバランスやポイントまでの距離などを総合的に考えて号数を決定します。よく使うのは27〜30号。あまり重いものは体力的にきついし、軽すぎるものはアタリを弾いて掛かりが悪いように思います。迷ったら重めくらいに考えておけばよいでしょう。

競技会で使用する仕掛け

数を狙うには多点仕掛け

試合の限られた時間のなかで効率よく数を伸ばすには、1投でいかに多くの魚をつけるかがカギとなります。数を狙う釣りにおいて、仕掛けのハリ数は基本的に多いほどよいと私は考えています。

しかし、ハリ数を多くするほど空気抵抗が増して飛距離が低下します。したがって、ポイントへ仕掛けが届く範囲内で、できるだけハリ数の多い仕掛けを使うというのが、私の仕掛け使いの基本となっています。

ジャパンカップをはじめ、多くの大会ではハリ数の上限が10本と決められています。よって私も10本バリ仕掛けを頭に、8本、6本、5本までを常時持ち歩いています。

基本は10本バリと8本バリです。ポイントまで届くのであれば、可能な限りハリ数の多い仕掛けを使います。この仕掛けにはフロロカーボン1.5〜1.7号のモトスに対してワンランク太い糸をスナズリとして結びますが、スナップを結んだものと、テンビンに直接結ぶストレートのものの2種類を用意しておきます。前者は近投用のもので、ワンタッチで交換できる仕掛け、後者は遠投用です。遠投時にテンビンにスナズリを直結する理由は2つあります。ひとつは空気抵抗が減って飛距離が伸びること。もうひとつは、可動部を減らすことで絡みが軽減されることです。

6色前後までなら、8〜10本バリでもどうにか釣りになりますが、7色以遠になると多点バリ仕掛けが届かなくなります。この場合は道糸を細くしたり、ハリ数を6本以下に減らして対処します。6本以下のハリ数で釣るときは遠投オンリーの釣りになるので、スナップを結んだ仕掛けは使いません。テンビンに直結して飛距離を稼ぐとともに、絡みを極力軽減するように心掛けます。

仕掛けは8〜10本バリを中心に、どんな状況にも対応できるよう5〜6本バリまで用意しておきます。

近投用にはスナップを結んだもの、遠投用として絡みの少ない直結タイプの仕掛けの2種類を用意しておきます。

伊藤式仕掛けワーク

私の仕掛けの特徴は、先バリを段差式にしているところにあります。ベースとしている仕掛けは掛けキス50連結仕掛け攻めキス50連結仕掛け。いわゆる無限仕掛けというものですが、これを必要なハリ数ぶん引き出してモトスをカットし、最も下の先バリにあたる部分に糸付きのハリを1本結び足すわけです。

先バリを段差式にするのは、2本のハリに異なるエサを付けて、よりシロギスにアピールしたいからです。これは私の思い込みかもしれませんが、先バリは最もよくシロギスが掛かるというイメージがあって、ここに美味しいエサをダブルで付けておきたいという思いがあります。

たとえば片方のハリに東京スナメ(チロリ)を付けて匂いでシロギスを寄せ、片方にジャリメを付けて動きでアピールするといった具合です。残りのハリには東京スナメとジャリメを交互に付けたり、その日のシロギスのコンディションがわかれば、喰いのよいエサを多めにつけるといったこともします。

仕掛けが届く範囲で可能な限りハリ数を多くするのが伊藤式仕掛け使いの基本。

スナズリをつける目的は絡み防止のためでもありますが、連結仕掛け(無限仕掛け)をベースにしている関係で、元バリをテンビンから離すためにモトスの延長として結ぶという意味合いが強いです。オモリをサビいて釣ることもあり、魚に警戒されないためには、ある程度は元バリとの距離を取ったほうがよいと考えています。モトスの長さは60〜90cm前後で、テンビンから元バリまで1m前後に設定するのが基本です。

ハリの号数は4〜5号とやや小さめのものが好みで、競技会でもこれより大きいものは使いません。喰い渋り用に3号の仕掛けも用意していますが、ほぼ使うことはありません。

ハリの形状については、特にこれといった使い分けの基準はありません。現在使っている掛けキスは袖バリベース、攻めキスはキツネバリをベースとした形状をしています。喰い渋ったときはキツネ系が有利と言われていますが、キツネ系のハリでもアタリの後に抜けてしまうことも多々あります。こうと決めつけてしまうよりは、アタリがあるのにハリに乗らないなと感じたとき、目先を変える意味でハリをローテーションするくらいの気持ちでよいと思います。

伊藤さん独自の多点段差バリ仕掛けのベースは掛けキス 50連結仕掛けと攻めキス 50連結仕掛け。これにスナズリを結び足して使います。

先バリの段差部分のアップ。2本のハリに異なるエサを付け、アピール度を高めるのが狙いです。

競技会でのエサ使い

基本はジャリメと東京スナメ

大会は主に初夏から秋にかけて行われますが、この時期に必ず用意するのはジャリメと東京スナメです。喰わないときに目先を変える意味でほかのエサを使うこともありますが、よほどのことがない限りはこの2つでどうにかなります。

私がエサに求める要素は2つあります。ひとつは動き、もうひとつは匂いです。
ジャリメはシロギス釣りの定番エサとして知られていますが、ジャリメの武器は何と言っても活発な動きにあります。タラシをあまり出さず、小さくハリ付けする人もいるようですが、私はジャリメの動きを殺さないよう、小ぶりのものは1尾掛け、大きいものでも2つに切って大胆にハリ付けします。

東京スナメは匂いによる集魚効果が狙いです。ハリ付けするときは匂いを放つ体液が出ないと意味がないので、小指の爪ほどの長さに切って使用します。

メインのエサはシロギス釣りの定番ともいえるジャリメ。動きを生かすため大きめにハリ付けします。

匂いでシロギスを寄せる東京スナメ。入手できる時期は必ず持参するエサです。

サブエサはアオイソメとイワイソメ

通常であればジャリメと東京スナメだけで十分なのですが、状況によってはサブのエサとしてアオイソメとイワイソメを持参することもあります。アオイソメはジャリメと同様に動きのよいエサです。アピール度はかなりのものなので、主に水温が下がる晩秋以降に、大ギス狙いで使用しています。動きを目的として使うので、4〜5cmのものを1尾掛けすることも多々あります。私のホームグラウンドである湘南エリアでは特筆的な実績はありませんが、日本海ではアオイソメが効くとの話を耳にします。

イワイソメは匂いの強いエサです。東京スナメが入手できる時期はまず用意することはありませんが、東京スナメが流通しなくなる冬期はイワイソメをよく使います。イワイソメは1cm未満に短く切り、ハリを隠すように付けることが大半です。これは匂いの強い体液を出すのが目的。大ギス狙いにも実績があります。

アオイソメも動きでアピールするタイプのエサ。低水温期の大ギス狙いでも有効です。

イワイソメは1cm未満に小さく切って、匂いが出るようにハリ付けします。

vol.3に続く