佐々木 洋三 シマノアドバイザー 赤澤 康弘 シマノフィールドテスター
佐々木 洋三 プロフィール
ライトゲームからビッグゲームまで幅広くこなすエキスパートにして、鯛ラバ、インチクなど漁具系ルアーの第一人者。豊富な知識と経験を土台にしつつ、新しいものを受け入れる謙虚さも併せ持つソルト界の重鎮だ。
赤澤 康弘 プロフィール
香川、四国のオフショアをメインフィールドに活躍。釣りの腕や理論もさることながら、気さくな人柄で多くのアングラーや船長から慕われる。瀬戸内を中心に活動する鯛ラバクラブ『鯛ラバーズ』の会長も務める。
HAGANEボディにマイクロモジュールギアを搭載し、タフネスと滑らかさを高い次元で満たした鯛ラバ専用機・炎月100PG/ 101PG。そして狙い澄まして釣るための“掛け調子”を追求したロッド・炎月SS追加モデル。ふたつのアイテムの最終テストを行うため、佐々木洋三、赤澤康弘の両名が大ダイで有名な鹿児島県・屋久島に飛んだ。 ※記事内のタックルはプロトタイプです。
炎月100PG/ 101PGは鯛ラバ専用機として初のマイクロモジュールギア搭載機。剛性の高いHAGANEボディと相まってより快適な鯛ラバゲームをサポート。ヒット後はエキサイティングドラグサウンドの心地よい響きが気分をいっそう盛り上げる。
「鯛ラバの絶対条件である“等速巻き”のしやすさは、これまでの炎月も高いレベルにありましたが、炎月100PG/ 101PGはさらにその上を行く滑らかさです。さらに感度も従来のリールとは比べられないほどすごい。マイクロモジュールギアが密に噛み合い、HAGANEボディの剛性でパワーを逃がさないため、水中の情報を余さず伝達してくれます」
「HAGANEボディにマイクロモジュールギア、51mmロングクランクハンドルと、何もかもが力強くスムーズ。滑らかさと強靭さを求めると、今までは丸型が常識で、重量も重くなってしまいがちだったのですが、炎月100PG/ 101PGはロープロファイルで210gと驚異的に軽い。パーミングもしやすく疲れないため、釣りに集中できるのが嬉しいですね。なによりこの軽さで、瀬戸内の30mからドテラの100mまでをカバーしてしまうことが驚きです」
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赤澤さんは今回、炎月100PG/ 101PGとともにロッドのテストも担当。そのロッドとは、アタリに対して積極的なアワセの動作を入れていく、掛け調子の炎月SSである。ティップに採用されているソリッドは、これまでの鯛ラバロッドよりもさらに細くて感度がよく、小さなアタリも、徐々に喰い込んでいく感じもしっかり伝えてくれるショートタイプのタフテックα。真鯛のアタリはもちろん、着底や前アタリも敏感に捉え、強いバットでフックを刺し貫く、そんな攻めの1本だ。
「今回、僕がテストしている炎月SS追加モデルはシマノが取り組んだ掛け調子のロッドですが、正確には“乗せ掛け調子”というものです。繊細で感度抜群のティップと強いバットを併せ持ち、アングラーの心を高揚させる、攻撃的な楽しさがあるロッドで、“釣れる”掛け調子に仕上がっています。」
「これを作った背景には、真鯛との出会いを大切にしたいという想いがありました。鯛ラバゲームは活性が高いときはアワセを入れなくても釣れるし、それが基本ですが、活性が低いときや乗っ込みで喰い方が乱暴な時は、掛かりが悪かったり、掛かってもファイトの途中でバレてしまったりということがよくあります。また“居食い”と言って、真鯛がその場で鯛ラバを咥えているときもアタリは小さく、そのままでは掛からないことが多いんです。そういう“掛けなければ獲れない真鯛”を確実に釣っていくために、掛け調子が必要だったんです。鯛ラバはどちらかといえば受け身の釣りですが、アワセが必要なときはしっかりアワセて掛けたい、ということですね」
「掛け調子というと、アタリが来たら即アワセるというイメージですが、軽く触った段階でアワセてもフッキングはしません。私たちが提案するのは、真鯛の口にハリが掛かったところで、より深く貫通させていくための掛け、ということです。アタリが来てもそのまま竿先を送りながら等速で巻き続けると、途中で等速巻きができなくなります。そこが合わせのタイミングです。この時ハリは真鯛の口に掛かっているので、強く合わせて貫通させてください」
佐々木さん、赤澤さんともに、鯛ラバは月華TGをメインで使用。重さは潮の流れに応じて100~160gをチョイスした。ヘッドの下部にタングステンをコンポジットした月華TGは、鉛とタングステンのメリットを両立。コンパクトで沈みが速く、リトリーブも安定し浮き上がりにくいため、屋久島のように水深があって潮の速い海域でもボトムトレースが容易だ。しかもフルタングステンより価格も抑えられている。
今回はこの月華TGに集魚ネクタイを2種類セットしたコンビネーションを多用。具体的には
リトリーブの大前提は”等速巻き”。そのなかで赤澤さんは3つのパターンを使い分けているという。「僕の場合、1秒にリールのハンドルを1回転というのが基本の速度。それを基準に速い巻き、遅い巻きの3通りをその都度試しています。今回は総体的にスローがよく当たりましたね」
いっぽう佐々木さんはどちらかというと速めを選択。「釣行を通じて水温が22℃前後と高く、潮も緩いことが多かったので、少し速めに誘ってみました。ただ、潮が効いているところではスローに巻いて潮流に任せるくらいが良かったですね」
リトリーブにはスピードのみならずその人なりの癖やリズムがあり、釣れる人と釣れない人の差がはっきり出るのも鯛ラバの奥深さ。また、速すぎれば青物、遅すぎれば根魚と、ゲストがヒットする確率も増す。常に最適なスピードを探ることが大切だ。
実釣では70cmオーバーの大鯛が立て続けにヒットし、炎月100PG / 101PGのポテンシャルを証明した佐々木さんと赤澤さん。このサイズを100mのディープから上げるコツは、アングラーが主導権を握ること、という。「ヒット後は真鯛の好きにさせず、巻けるときは巻いて一定の水深まで上げてしまうこと」と赤澤さん。そのためタックルにはアタリをいち早く察知する感度とパワー、強い引きを自在にいなすドラグ性能が不可欠だ。
「炎月100PG/101PGは70cmクラスが掛かってもまったく不安がありませんでした。屋久島で通用するならどこの釣り場も問題なし。
このサイズでこのパフォーマンスは驚きです」