今、エギングで最も熱いターゲット
北限のアカ系モンスターに挑む!

ここ数年、エギンガーたちの熱い視線を集めるターゲットが、アカイカと呼ばれる南方系の
大型アオリイカだ。4kgを裕に超える巨躯の北限が紀伊半島南紀エリアといわれ、シーズン
になると多くのでかイカジャンキーが集結。激戦の北限モンスターに湯川さんが挑む!

実釣フィールド 南紀(和歌山県)

本州最南端の潮岬を有する紀伊半島南紀エリアは黒潮の流路にあたり、
エギンガーの間では南方系大型アオリイカが狙える地として知られる。堤防や磯など釣り場が多く、
年間通して数、型ともに楽しめる関西圏屈指のエギングフィールドだ。

湯川マサタカ

ゆかわ・まさたか 和歌山県紀伊半島をホームに全国各地で活躍するエギングエキスパート。展開力のあるラン&ガンが得意で、その攻撃性と潔さからショア侍JOEの愛称を持つ。16年末からシマノインストラクターを務める。

デイゲームのスペシャリストが追う5kgオーバーの夢

紀伊半島をホームに活躍する湯川さんは、当然、アカイカハンティングに熱中している……と思われている。
「実は、僕がアカ系を狙いにいくのは、シーズン中に数える程度です。僕は日中のエギングが好き。アカ系はナイトゲームが絶対有利ですけど、夜はラインの動きも水中の様子も見えにくい。目でとらえる情報が少ないから、僕にとっては釣りとしての面白さが半減します。それでもシーズン中に数度行くのは、やっぱり5kgオーバーの夢があるからです」
岸から5kg超えが釣れる! その実績が多くのエギンガーを南紀に惹き付ける。

目標は5kg!

夜、捕食のために接岸。ナイトゲームが成立する

「今でこそ、アカ系の生態や攻め方が確立されてきましたけど、十数年前はアカやシロという認識はなかったですね。ただ、冬に釣れるでかいイカは胴が長い。春のは円い、という違いには気づいていました」

アカイカ狙いの釣りは始まったばかり。実釣前に釣り人の目を通して見た、アカイカの生態を簡単に解説していただこう。
「アカ系は、日中にシロ系より深場に落ちると言われています。それが夜になると捕食のためにシャローに上がって、さらにその一部が岸から射程圏内に入って釣れます。捕食を意識して活性が高く、ドーンッと激しく喰ってくることも多いので、シロ系よりどう猛なイメージがありますね」
夜、捕食のために接岸するイカを狙うからナイトゲームになる?
「はい。あと釣れる可能性があるのが、朝夕マヅメ。夜、接岸するアカ系は活性が高いので、エギを見つければ喰ってきます」

南紀エリアのモンスターシーズンは
12月~3月。その理由は?

南紀エリアでアカイカが狙えるシーズンは?
「アカ系の産卵のピークは、2月末から3月。沖のカケアガリで産卵すると言われています。晩秋以降は、春に生まれたイカが成長して大型の個体数が増えます。産卵前にエサをたくさん食べたいから、接岸する個体数も増えて、アカ系狙いのシーズンがはじまります。それが例年12月から。逆に産卵期を迎えると、産卵前の捕食態勢の大型アカ系の個体数が日に日に減って、3月いっぱいでシーズン終了という年が多いです」

諦めずに投げ続けることがモンスター狩りの第一歩

実釣は2月下旬。初日、湯川さんは本職のヘアデザイナーの仕事を終え、
22時すぎにすさみ町のとある磯に立った。地磯が大海原に張り出す、その先端付近だ。

「月夜の干潮前後などアカ系狙いで良い条件は確かにあります。でも皆さん、仕事や用事があって、良いタイミングだけ選んで釣りに行ける人はほとんどいないと思うんです。ましてやロケだと、スタッフの方のスケジュールもあるので、その日程でやるしかないということが多いですよね(笑)」
今回もまさにそのケース。限られた日程、条件の中で、湯川さんはどのように大型アカイカを追い詰めていくのか?
「アカ系は潮がスカスカでも、突然ドンッとくることがある。安全に釣りができる限り、諦めないことが第一です」

ちなみに湯川さんは何度も入ったことがある磯なので夜間のアプローチをしたが、磯歩きに不慣れな人や初めての磯は、日のある時間に行動し、ルートと磯の様子を把握。安全第一の釣りを心がけよう。

深くて潮通しの良い地磯の張り出しで北限のモンスターを迎え撃つ

限られた日程で北限のモンスターが釣れる確率を上げるにはどうすれば?
「まず、ポイント。ここは地磯の張り出しですけど、水深のある海溝が隣接しています。潮通しも良くて、夜にディープからシャローへ捕食を意識したイカが上がってきやすい地形になっています」
岬周りなど深場と浅場が隣接する釣り場が良い?
「はい。ただ、今夜は僕がすさみに着いた途端、南西の爆風が吹きはじめました(笑)。風裏や風を背にできる、釣りが成立する立ち位置を考えないといけません」
悪条件を削ぎ落としていくと、さらに釣り場は限られてしまう。
「プラス要素もあります。ここはアカ系の実績場で、今夜も回ってくる可能性はあります。それを信じて迎え撃ちます」

シャクリ続けて“変化点”という千載一遇の好機を逃すな!

実釣を開始して1時間。アタリはない。
風は思いのほか強く、風裏に入ったつもりでも巻いた風が時折、正面や横から吹き抜ける非常に釣りにくい状況だ。
「エギを着底させたら4、5mシャクリ上げて、その範囲で潮がきく層があれば、そのレンジをメインに探りたいんですけど、全体的に潮がスカスカですね」スカスカというのは、エギをシャクっても潮を噛まずに軽い。つまり流れがきいていないということだ。

「確実にチャンスと言えるのは、約1時間後の満潮潮止まり前後。自分の経験でいうと、この潮(実釣時小潮)だと、干潮潮止まり前後のほうが釣れますけど」 絶好機を選んでサオを出せれば、という思いは湯川さんも一般アングラーの皆さんも一緒だ。ただ、時合までの時間を無駄に過ごしているわけではない。

「今まで潮がスカスカでも、突然、シャクリでティップにヌッと重みがかかることがある。それは良い潮で、スカスカから重くなる変化点が、アカ系との千載一遇のチャンスになりますからね。この変化点を逃さないためにもシャクリ続けるしかないんです」

  • マズメの光量の増減も変化点です

  • 流れの変化を探索中

「アカ系に限らず、イカが喰うきっかけになる変化点は色々あります。スカスカだった潮が重くなる。流れが出はじめる。逆に流れていた潮が緩む。マズメで光量が変わるなど、水中の何かが変わるタイミングが変化点になります。夜は見える情報が少ないから、セフィアXTUNE S804L+とセフィアCI4+ C3000Sの感度が武器になります」

実釣2日目は春の嵐。暴風雨が実釣を拒む

実釣初日は、時合と読んでいた深夜の満潮潮止まり前後を迎えてもアカイカの気配はなく終了。
「明日に期待しましょう。ただ、この風が気になりますけど……」
その予感は的中し、翌朝は風速10数mの強風。午後から夜にかけて雨も降る予報が出ている。湯川さんは日中に何ヶ所か釣り場を下見するが大荒れで危険と判断し、夕刻に実釣を断念。
「春の嵐ですね。自然には勝てない。これも釣りです。ここまで荒れると明日の実釣にも影響するかもしれませんね」
初日、2日目と悪天候に悩まされ、満足に釣りをさせてもらえずに最終日を迎えることとなった。

長潮の夕マズメに絡む下げ潮。モンスター出現の舞台はそろった

実釣最終日、初日と同じ磯を前にした湯川さんはホッとひと安心。
「昨日の大荒れの影響は少なそうですね。多少、ウネリは残っているけど濁りもない。今日は長潮で、13時すぎから21時すぎまでダラダラ下がる。夕マズメにも絡むので、何度かチャンスはあると思います」

チャンスというのは変化点のこと?
「一番期待できるのは、17時頃から22時頃まで。辺りが暗くなりはじめてから、干潮潮止まり後の潮の動き出しまでです。大潮など大きい潮回りで潮が一気に動いて止まる時間が長いより、小さい潮回りでダラダラ動いたほうが釣れるチャンスは広がりますからね」

跳ね上げ系とダート系のシャクリでボトムを丁寧に探る

辺りが薄暗くなりはじめるのを待って実釣スタート。湯川さんはキャストからピックアップまで1投に5、6分かけて、じっくりとアカイカの回遊を待っている。
「ボトムを丁寧に探るのは、アカ系もシロ系も一緒です。とくに回遊待ちの場合は、エギが水中にある時間が長いほど回遊してきたイカとの遭遇率が上がるので、沖のボトムや足元では前への移動距離を抑えた跳ね上げ系のシャクリ。流れの変化があれば、そのレンジでダート系のシャクリ。主にこの2つシャクリの組み合わせと、強弱の変化でアピールします」

跳ね上げたるませたラインを瞬間的に張るように縦にシャクる

「前への移動距離を抑えてボトムをスローに探りたいときは縦のシャクリ。スラックを出したラインをパンッパンッと瞬間的に張るように縦にシャクって、エギをダートさせながらフワッフワッと柔らかく跳ね上げます」

横ダートレンジキープさせながら切れの良いダートでアピール

「一定のレンジでアピールしたいとき。あるいは跳ね上げとは違うアクションを見せたいときは横ダート。ロッドを横に向けてジャークを繰り返し、左右に切れ良くダートさせます。そのためにはエギの性能も重要です」

潮に馴染むようにフォールするエギで確実に抱かせる

実釣で使用しているエギは、セフィアクリンチ エクスカウンター3.5号プロト。
「このエギは、どんなシャクリにもレスポンス良く素直に反応し、跳ね上げも横ダートも思いのままに動かせます。日中の潮が動かない状況で、居ても食わないイカに抱かせるためのナチュラルなフォールが一番の特徴ですが、この潮に馴染むフォールはアカ系にももちろん有効。機敏なアクションでエギに気づかせ、違和感のないナチュラルなフォールでがっちり抱かせることができます」

Sephia Clinch エクスカウンター 3.5号

[品番 ]QE-235Q
[カラー] 全16色
[本体価格] 1,120円
※9月発売予定

「ヤエンのアジは潮に馴染むように泳ぐから違和感がなく、イカが喰う。セフィアクリンチ エクスカウンターが目指したフォールもそこ。ナチュラルなフォールに活性の低いイカもたまらずクリンチしてきます」

ボトム付近を丁寧に探り、幾度かの変化点を感知したが結果は……

「底の潮が動き出しましたね」、「潮が左に流れはじめた」
湯川さんは実釣中に何度も変化点をとらえ、干潮から潮が動き出すタイミングまでしっかり釣り込んだ。だが、最終日の夜もアカイカが現れることはなかった。
「群れが回ってくれば、バタバタッと簡単に釣れることもあるんですけどね」

やはり昨日の春の嵐の影響があった?
「うーん、あったんでしょうね。磯際にベイトっ気がなく、正直、不吉な予感はありました。エギングは天候が安定していたほうが釣れますからね。でも言い訳はできない。この借りは、アカ系で返すしかないですね(笑)」
  • 潮が動き出した!

  • 気配なしです

REVENGE 「アカ系の借りはアカ系で返す!」
再挑戦の意気込みはウネリにのまれる

再挑戦の機会は、3月中旬に訪れた。湯川さんと撮影スタッフのスケジュールを擦り合わせ、取れた日程は実釣2日間。
「深夜2時に干潮潮止まり。月の出も22時過ぎと遅い。あまり釣りに行かない潮回りですね」

釣れない潮回りなんですか?
「いや、夜中の下げで効率が悪い。喰う可能性が高いのは、夕マズメと干潮前後ですからね。その間、シャクリ続けるのは体力的にきつい。かなりストイック。エギングは手軽に楽しみたいじゃないですか(笑)」

アカイカ狙いは夜の回遊待ち。湯川さんの釣りは日中のラン&ガン。
実釣スタイルは真逆だが、「モンスター級のアカイカを皆さんにお見せしたい」という意気込みが、湯川さんを再挑戦に突き動かす。
だが結果から言うと、リベンジの2日間も大きなウネリに見舞われ、まともに釣りならずに終了。

「仮に良い潮回りを選べたとしても、自然を味方につけなければ結果は同じでしたね」
技術だけでも潮だけでも釣果が出せないのが、アカイカハンティングの厳しさだ。「アカ系の借りはアカ系で返す!」は、来シーズンに持ち越された。

  • せめてシロでも

    REVENGE 初日

  • 風、ウネリ、落ちません

    REVENGE 2日目

本当はこんなのが釣れるんです(笑)

[MOVIE] アカ系アオリイカの魅力