台風通過直後のウネリで、シーズン尚早のヒラスズキにチャンスの芽が出て、さらにとの
2魚種をターゲットに設定した今回の釣行。2日目はヒラフッコの2桁釣果が出たが、
サイズが上がらない。3日目以降はヒラスズキのサイズアップとヒラマサを狙って、
鈴木さんは磯を歩き、ロッドを振る。
九州の北西部の対馬海峡に浮かぶ島。韓国まで直線距離で50kmを切る国境の島として知られている。
南北に約82kmと細長い島は、複雑な海岸線を形成。対馬暖流の影響で、青物、ヒラスズキ、アオリイカ、根魚類など魚種が豊富で、遠征地としても人気の島だ。
すずき・ひとし 茨城県出身、在住。シーバスからオフショアまで幅広いターゲットに精通するソルトゲームのエキスパート。磯のキャスティングゲームは得意釣種の一つで、対馬は車中泊で釣り込むなど、実釣経験豊富でフィールドを熟知している。
沈み根の際にサイレントアサシン140F AR-Cを落とし、一気にグッと潜らせると、瞬間的な衝撃と同時にワイルドコンタクト1100が重量感のある引きで大きく弧を描く。サラシでエラ洗いする魚体は、遠目でもでかい。鈴木さんは沈み根にラインが擦れないように、魚の引きをいなしながら釣り人が有利な位置へと誘導し、フィッシュグリップを入れた。82cm。狙いどおり、朝マヅメの短時間でランカーをキャッチした。
「ヒラスズキはサラシの中を泳いでいるのではなく、サラシが絡む沈み根や磯際のえぐれなどに潜んで、波に揉まれるベイトを待ち伏せしていることが多いです。深さ30cm程度の小規模なスリットでは、大型は身を隠せない。大きな変化ほど、80cmを超えるランカーが付きやすいです」。
沖の沈み根際をタイトに攻めた鈴木さんの正確なアプローチも、ランカー捕獲の大きな要因だ。「それを可能にするのは、まずルアーの飛行性能。サイレントアサシンはAR-C重心移動システムのおかげで、風が吹いても空中で姿勢が乱れにくく、アキュラシーが高い。また、巻きはじめるとすぐに泳ぎだして動きが大きいからアピール力もある。ピンスポットに付く活性の高いヒラスズキを攻略しやすいです」。
「足元から15mくらい沖にテーブル上の根があって、際がえぐれている。そこから出てきました。サラシが薄いから変化が見え、喰わせることができました。サラシだけを狙ってもなかなか釣れない。昨日、数が出たのもサラシプラス水中の変化を狙っていたからです」。
ヒットルアー
エクスセンス サイレントアサシン 140F AR-C
14T シルエットブラック製品情報はこちら
[品番] XM-140N(140mm/23g/フローティング) [本体価格] 2,200円
潮通しの良い磯の岬周りで、ヒラマサが付く沈み根がマスト。岬脇に湾があればベイトフィッシュが出入りしやすい。「磯の岬周りは、基本的には深場に隣接して潮通しが良いところが多い。水深は極端に深くなくても良く、7、8mあれば十分出ます」。
「朝夕マヅメは、ベイトが浮きやすく湾を出入りするために動くので、青物の活性が上がりやすい。それ以外にも潮が動くタイミングもチャンス。潮が流れはじめたり、流れがヨレたりする流れの変化。あるいは潮目が寄ってくるなど、とくに“誘い出し”は、日中でも潮のタイミングで釣れることが多いです」。
「青物がボイルしていて届くなら、ミノーやシンペンのほうが効果的。スライドアサシン100S X AR-Cも効きます。距離的に届かなければメタルジグを水面付近でスキッピングさせるとか。でもダイビングペンシルは、これらのルアーとはちょっと異質です」。
使用ルアー
オシア ペンシル 160F AR-C
01T ナマイワシ製品情報はこちら
[品番] PB-160Q(160mm/65g/フローティング) [本体価格] 3,000円
「AR-C重心移動システムを搭載して、飛距離が出る。ワンサイズ下の150F並みにアクションの立ち上がりが早い。機敏に動かしやすく、ダイブ時は泡を多く噛むので、水面から水面直下でのアピール力が強いタイプです」。
オシア ドリームチューン 160F
31T アルミサンマ製品情報はこちら
[品番] OT-160Q(160mm/63g/フローティング) [本体価格] 3,000円
「ウェイトのバランスがテールヘビーでよく飛びます。オシアペンシル160F AR-Cより深くダイブするので、オシアペンシルに反応がないときや、飛距離を出して水面直下に潜らせて喰わせたいときに使います」。
「ダイビングペンシルは、ジャークしてダイビングさせますが、波のピッチや潮の流れに合わせて、水面を転がったり、潜りすぎないようにジャークの強さ、振り幅を調整します。基本は泡をまとわせながら潮に絡むようにロッドを引いてジャーク。ロッドを戻しながら糸フケを巻いて、再浮上。ダイビングと浮上を繰り返します」。
「ウネリもないし、台風通過後のわりには潮も澄んでいる。悪くはなさそうです」。大海原にオシアペンシル160FAR-Cを投げ、黙々とジャークを繰り返すが、魚の反応がない。だが沖の泡だまりをともなう潮目が寄ってくると状況が変わった。
「チェイス、チェイス!喰わないか…。もじゃもじゃ戯れるように付いてきたので、おそらくイナダ、ワラサでしょうね。潮止まり前の流れがダラーッとしたときでも出るのがブリ系。潮が走り出したり、流れの緩みはじめに出やすいのがヒラマサという傾向があります。喰い切らなかったので、ちょっと下に入るドリームチューンに替えます」。
だが、ルアーを替えても反応はなく、オシアペンシル160F AR-Cに戻して潮目にクロスするように通すと、バシャッと魚が反応。
「今の鋭い出方はヒラマサっぽいですね。出たところは、その付近のボトムに付いている可能性がある」。次のキャストでは、反応があった付近でスピードを落とし、細かいピッチで泡をまとわせながらダイブを繰り返すとバシャッと飛沫が上がる。
一瞬、間を置いて鈴木さんはフッキング。
ロッドのコルトスナイパー エクスチューンが曲がる。
「きましたよ。これはヒラマサでしょ」。
海中にせり出す磯にラインが擦れないように磯際に出て、ファイトの体勢を整えようとするとロッドから重みが消えた。
「外れた…しっかりフッキングしたんですけど、喰いが浅かったのかな。魚の反応も少ないし、活性は低そうですね」。台風で荒れた後の影響が残っているのか。その後、夕マヅメまで可能性のある磯を回るが、魚の反応はなかった。
「ワイルドコンタクト1100は、磯のヒラスズキにも対応したパワーのあるロッドですが、ティップが繊細で小型ルアーが扱いやすい。波飛沫を浴びやすい平磯でも、防水性の高いツインパワーXDは安心して使えます。巻く力も強いので、強引なファイトもしやすいです」。
「品番のPSはプラッギングスペシャルの略で、ジャークでティップがしなやかに追従し、ダイビングペンシルを潮に絡ませるように操作しやすいです。シリーズ最長モデルで足場の高い磯でも使いやすく、より振り幅の広いストロークで操作できる。アクションのバリエーションが増やせます。ラインは300m。リーダーは3ヒロです」。