潮や天気に合わせて釣りできない!
限られた時間。
そのなかでのBESTを探せ

今年の冬はとにかく寒かった。記録的な大雪が全国各地を襲い、猛烈な寒波が居座った。

これだけ寒いなかでも関東の河川ではバチ抜けが始まり、シーバスアングラーにとっての一大イベントが例年通りに幕を開けた。産卵後のシーバスたちも体力を回復すべく、河口やシャローにつながる深場に集結を済ませたようだ。そんな心躍るシーズンに入ったところで、各地でフィッシングショーが催される。誰もが感じていると思うが、今年は多くのイベントが大潮絡みと重なった。いやが上にも悶々とした日々を過ごしてしまう・・・。そんななかようやく見付けたスケジュールの空きは、とても残念な潮回りであったのだ。

辺見哲也:写真

辺見哲也

東京湾ボートシーバスの“伝説のカリスマガイド”として名を馳せ、現在は岸からのキャスティングゲームでも活躍するシーバスエキスパート。多彩なキャスト技術を持ち、どんな状況でも狙ったスポットを正確に撃ち抜く、キャスティングの名手としても知られている。

アフターシーバス、河川・河口で迎え撃つ!

年明けから過密なスケジュールで仕事をこなし、迎えた今回の取材がようやくホームグラウンドの初釣行。
タイミングとしては中潮あとの小潮2日目。しかも日没の1時間ほど前に干潮を迎えるという全くもって残念な日。
スケジュール的にここしか取れなかったのだから仕方ない。

皆さんもそうだと思うが、良いタイミングばかりで釣りができるわけではない。仕事やプライベートの都合で、“祭り”だというのにやむを得ないタイミングに釣行することもあるだろう。そこで、「限られた日に釣果を出すために」という視点で釣行しようと思う。

“地雷地帯”に歩を進めるにあたり
文字通り「鉄」の「壁」でエイ被害をブロック

養老川は温排水の影響で真冬でも浅瀬にエイが大量にいる。
そのため、エイに刺されないよう注意して歩く必要がある。2年前から釣り仲間と自作している防御用のエイガード。鉄板を加工して作っていて、これは改良を加えた7世代目。かなり進化をさせたモデルを装着し、ソックスタイプのエイガードも履き鉄壁の守りで臨んだ。

よ〜く見ながら・・・

泣くか笑うか一発勝負。選んだのは“養老温泉”の異名を持つフィールド

当日は日没前に干潮を迎えることから、バチが抜けやすい夕マヅメ以降も期待薄。しかも満潮は23時すぎと、バチ抜けを頼るには難しい。
天気は晴れで気温も例年通り、加えて風もさほど吹かない予報。釣行の数日前から天候的には安定していて、劇的な変化をもたらす要因は何もない。
シーバスたちは1週間ほど前に起きたバチ抜け祭りの余韻に浸っていて、今は息を潜めていると思われる。それでもやはり河川周りがベターであると判断。例年であれば関東を代表する大河の利根川に期待したいところだが、今年はちょっと悩ましい。というのも上流部に積雪が多く水温の低い状態が続いている。

そこで、バチ抜けのメッカであり水温が高めの河川をチョイス。その筆頭とくれば市原市を流れる養老川だ。
ご存じの通り、シーバスの活性は水温にも大きく左右される。養老川の河口には火力発電所の温排水口があって他より水温が高い。
早春は特に釣果が期待できるし、もちろんバチ抜けも盛んだ。

  • 河口1本目の橋。本格的にバチ抜けする日ならこれより上流側で勝負する手もある。この日は上げ潮の乗ってくるであろう個体を河口で待ち伏せる作戦に。

エクスセンス サルベージソリッド 60ES / 70ES / 85ES

[サイズ] 60、70、85ミリ [自重] 12、20、26グラム [カラー] 12色
[タイプ] エクストラシンキング [本体価格] 1,100〜1,180円

突出した運動性能。泳ぎ出しが早いので、浅場のシーバスが我先に喰ってくる

感度が高く丈夫なソリッド構造。70と85に加えてこの春から60ミリが加わった。春先のマイクロベイトパターンを始め、強い波動を与えたくない浅場の繊細なゲームにも適する。ベイエリアならテクトロにもOKだ。スローでもしっかり水を捉えて泳ぐので、着水直後のバイトやボトムからの泳ぎ出しでもヒットが多い。現にこの日のクロダイも、辺見さんが軽くロッドで誘いを入れたあとのフォールから泳ぎ出した瞬間に喰ってきた!

HENMI CHECK!

養老川に限らず、河口のデイゲームではロングキャストできるバイブレーションは有効です。最も効率が良いルアーの一つといっていいでしょう。地形を把握する上でも、ボトムを感じやすくトレースしやすいため戦術的に使えます。特にソリッドタイプならなおさらです。

実はこの養老川、30年近く前に勤めていた場所からほど近い。
月に1週間ほどの出張の際は毎晩のように通ったフィールドである。

シーバスアングラーとしての下積み時代を支えた、言わば勝手知ったるフィールドだ。
とはいうものの、河川というフィールドは状況や地形は一雨で変わってしまう。極端な話、ホームグラウンドほど自然の変貌ぶりに驚かされるものだ。久々の養老川ということもあり、まずは明るい時間に地形や水色、ベイトの寄り具合などをチェックした。

シーバスの居場所はボラが教えてくれる
群れの上下左右を集中して攻めよう

養老川において、ボラの群れはシーバスと出会うためにとても重要なファクターだ。特に日中はボラのいる場所にシーバスもいる。リトリーブしているルアーがボラの群れに当たったり、バイトされるようならその場を集中して探るべき。バイブレーションであれば、少しレンジを下げて引いてこよう。

川のなかにはエイもボラも“魚”がいない!海まで一直線に向かえ!

ジワジワと潮も上げ、いよいよ狙いのタイミングに突入

ゲームの組み立てとしては、バチ抜けで集まってきたシーバスの居残り組を拾う作戦だ。ピークからはほぼ1週間が経過しているため、シーバスのストック量そのものは少ないはず。恐らくチャンスはわずかだろう。そのタイミングは、上げ潮が効いているであろう日が落ちた直後とみた。

潮が小さいこともあり、干潮の2時間前ながら潮位は50センチ台もある。今日は最干でも46センチで、中洲や干潟の露出はいつもより少ない。エイに十分な注意を払いながら、膝下50センチの浅場を最河口を目指して一気に下る。途中にある深めのスリットを超えつつ、やや大型のエイと遭遇。ただ目撃したのはこの1尾だけで、思っていたよりは少ない。2カ所ある排水口のうち、水温の高い下流側にある火力発電所の排水が止まっているからだろう。水温が低いからか、シーバスのベイトとなるボラの数がいつもより少ない。

  • 排水口を直撃!クロスストリームからダウンに流して回収する

  • 日没を迎え、更に潮位も上がればシーバスも活気づくはず・・・

周りを見渡してもベイトの気配がまるでなく、あまりいい状況とはいえないようだ。とりあえず底が掘れている地形に合わせ、バイブレーションでサーチする。川の水と海の潮がせめぎ合う場所から広範囲に投げ続け、潮位が徐々に下がっていくのに合わせてより海側へとポジションを進める。

川の流れから完全に抜け出て海の潮を強く感じ始めた辺りから、ボラがバイトしてくるようになった。これまで皆無だった魚っ気がようやく出てきたため、集中力はピークに達する。ボラの群れから外れないよう、それでいてその両サイドと上下を丁寧にリトリーブ。しかし残念ながら、シーバスのバイトを取れないまま夕マヅメを迎えた。

没頭するあまり、命取りになることも
タイドグラフの「プラスアルファ」

タイドグラフ上では16時12分に干潮を迎える。しかし16時になる前頃から、河口部に上げ潮特有のウネリが寄せてきた。タイドグラフというものはあくまで予想であって、実際の潮の満ち引きはその通りには動かない。その日の気圧や風などに左右されるため、グラフだけを鵜呑みにするのは危険だ。ウェーディングゲームでは特に気を付けないと、沖から戻れなくなるという事故が発生する。ゲーム中は感覚を敏感に研ぎ澄まし、おや?と思ったら早めに撤退しよう。

後ろ髪を引かれるけど、ここは最河口をあきらめよう

性能のいいバイブでボトムをきっちりトレースすればクロダイが!

完全に上げ潮が効き始めた養老川の最河口部。
この場所でシーバスを迎え撃つのもいいが、潮位が上がって戻れなくなる可能性もある。

今まさに夕マヅメを迎えようとしている。明るいうちにバイブレーションでボトムを回遊するシーバスをキャッチしようと思っていたが、下流側の温排水が止まっていたことで崩れ去った。それどころか、集魚効果が下がってベイトのボラもいない。となれば、夕マヅメのワンチャンスは上流側の排水口を攻めるのみだ。

移動してしばらくすると、先ほどまで海側を広範囲に回遊していたボラの大群が一気に河川内へと入ってきた。上げ潮に乗ってきたのだろう。魚の気配もなく静まり返っていた排水口周りに、活気がみなぎる。やがて日没を迎えたが、まだうっすらと明るいためバイブレーションでボトムをトレース。
排水によって掘られた地形のカケアガリを丹念になぞっていくと、ついにバイトを捉えた!
フッキングの直後、今度はボトムへと引きずり込もうとする強烈な引きがきた。

「ムム・・・シーバスではないゾ!」

まだ明るさを残すなかでヒット!

なんと、正体はクロダイ!

押さえ込むような強烈なパワーを、ステラ4000がネッチリとしたドラグで受け止める。そして、『スパイラルX』で締め上げられた、ねじれ剛性のすこぶる高い愛竿『エクスセンス S910M/R リスペクト・ザ・サンクチュアリ910』がリフトする。キャスタビリティーと剛性感、そして世界一精度の高いタックルバランスがもたらす珠玉のハーモニー。これをしっかり味わいながら寄せてきたのは、なんと良型のクロダイ。ここ養老川は、春を肌で感じる頃に日中のクロダイゲームが楽しめるフィールドでもある。寒い日が長く続いたが、春の訪れは着実に近付いていると感じさせてくれた1尾となった。

それならいっそクロダイを専門に狙おうか!?という欲求と戦いながらも、やはりシーバスを釣りたい。自分のマネジメントに納得したいし答えも出したい・・・。

ドリフトでアプローチ。バチ祭りの記憶を残す居残り組をゲット!

辺りが完全に暗くなり、ここでルアーをフローティングミノーにチェンジした。
バチはいないが、バチ抜けを意識しての自分なりの考えだ。
このエリアに居残ったシーバスたちは、恐らくバチ抜けしたときの“祭り”の記憶を色濃く残しているに違いない。水面直下をスローでしっかりと泳がせバチを演出すれば、たとえリアルに抜けていなくても喰ってくるはずだ。

そこで選んだのは、『エクスセンス ゴリアテ Hi 95F』。上げ潮と排水がぶつかるスポットに、上流からの流れに乗せて流し込む。そしてそこからダウンストリームで引いてくる・・・というアプローチを続ける。

完全に暗くなったところで、シャローランナーにチェンジ

果たして、ルアーを送り込んだ瞬間にカツッ!というバイト。
すかさずセットフックをした直後、相手は流れの向こう側で水面を割った!今度はクロダイではなく、まぎれもなくシーバスだ。

排水には勢いがあるため、それを越えてランディングへ持ち込むには時間を掛ける必要がある。慎重に取り込んだのは大本命、良型のシーバスであった。まだ体力の回復途中といった感じではあるが、自分のゲームプランに則してキャッチした1尾は格別だ。今回は決して恵まれた条件ではなかったものの、やはり結果が出ればうれしい。帰り道の気分も雲泥の差だ(笑)。

エクスセンス ゴリアテ Hi 95F X AR-C

[サイズ] 95ミリ [自重] 12グラム [カラー] 12色 [タイプ] フローティング
[本体価格] 1,900円

ドリフトの申し子。流れに乗せて送り込み・・・ドスンッ!!

高い浮力を誇る『AR-C SHELL』という発泡素材の特性を生かし、超好感度と圧倒的な泳ぎ出しを実現。流れや波間に浮かびつつ、わずかなロッド操作で機敏に反応。食性スイッチの入ったシーバスにとって魅力的な誘いを見せるフローティングミノーだ。
ドリフト性能にこだわって作られたというだけあって、この日のように排水に乗せて送り込む場面でも強い。リップレスで空気抵抗が小さく、『AR-C重心移動』も相まって広大なシャローエリアも探りきる。

HENMI CHECK!

ドリフトはルアーを動かさないようにするのが基本です。
水に浮かべたまま目標にしている場所へ送り届けるだけで、バチを意識しているシーバスなら喰ってきます。

読者の皆さんも、日頃から限られた条件のなかで釣りをされていると思う。
誰もが潮や気象に合わせて釣行できればいいけど、なかなかそうもいかない。ただ、そんな厳しいなかでも魚を見付け出すスキルを身に付けていれば、その日はハッピーになるに違いない。

そのためには自然の移り変わりや気象に気を配り、その日の最もベストなタイミングを最適なポジションで迎える努力をすることに尽きる。

ボウズで帰るか否かは事前の読みとプランニングで決まるのです!