シンペンが釣れる理由と
苦手意識克服法

産卵前の荒喰いシーズンが始まろうかという11月末。
シマノから新たに発売されるシーバス用ルアーの最終モデルを使い込んでいる。
そのルアーとは“シンキングペンシル”。人から「辺見哲也=ミノー」といわれるほど、私はミノープラッギングを好む。釣りは水のなかをどれだけ正確にイメージできるかが勝負で、特にルアーフィッシングはその能力が問われる。引き抵抗により多くの情報を得られ、かつコントロールしやすいミノープラグは重要な存在。
もちろんこれはトラウトゲームなど淡水でも同じだ。

そんな私がシンキングペンシルについてウンチクを語るのは正直心苦しい。
しかも何を隠そう、私はシンペンが嫌いというか、苦手なのだ・・・。

辺見哲也

東京湾ボートシーバスの“伝説のカリスマガイド”として名を馳せ、現在は岸からのキャスティングゲームでも活躍するシーバスエキスパート。多彩なキャスト技術を持ち、どんな状況でも狙ったスポットを正確に撃ち抜く、キャスティングの名手としても知られている。

持論「シンペンで釣れる魚はミノーでも釣れる」は、逆だった!?

シーバスゲームにおいて欠くことができないルアーとなったシンキングペンシル。古くからあるルアーだが、初めて使ったのは20年ほど前のことだ。
当時は東京湾のシーバスガイドとして毎晩海に出ていて、その仲間がブラックバス用のシンペンがよく釣れるとすすめてくれたのだ。

早速購入して使ってみたところ、飛距離が出るし飛行姿勢も安定していることに感心。着岸したタンカーと岸壁との狭い隙間へ、針の糸を通すようなキャストが簡単に決まる。しかも魚の反応がすこぶる良好。ただ私の場合、即1軍登録!とならなかった。

どうも泳ぎが気に入らない。リトリーブ時の姿勢が立ち気味だし、テールをフラフラさせるだけで引き抵抗も小さい。
泳がせていてもノー感じなので、もたらす水中からのインフォメーションが少ない。当時の私は未完成のルアーとさえ思った。理想とする水中姿勢は、やはり水平か若干頭を下に向けるくらい。それがプラグに求める要件であったため、積極的にシンペンを使おうという気にはならなかった。むしろシンペンで釣れる魚はミノーでも釣れるという持論で過ごしてきた。

ただし、その後のシンペンの躍動は皆さんもご存じの通り。
なんといっても釣果があと押しし、一気に市民権を得た。シーバスシーンにおいてなくてはならない存在となったときすら、私にとってどこか他人事。飛距離を稼ぐために一時はシンペンを頼ることもあったが、AR‐Cシステムのおかげでミノープラグが飛ぶようになりその機会もなくなった。

しかしそんなある日、実に面白い話をトラウティストから聞くことができた。その方の持論は、ナーバスになったトラウトはミノーのリップが発生させる水流の乱れを嫌うというのだ。自然界の魚が起こし得ない水流をリップが発生させることはまぎれもない事実。これに違和感を感じるという考えはよく分かる。深く納得した私は、改めてシンペンを理解しようと考えたのだ。

“尻下がり”のルアーが魚に喰われるイメージを頭に植え付ける

ただ苦手なものは苦手。
ノンリップルアーのスイミングを一から見直すために、まず始めたのが管理釣り場でのスプーニング。尻下がりのルアーが魚を誘うイメージを体得するために、自宅近くの管理釣り場へ通った。これで徐々に感覚をつかみながら、シンペンを使用するシーバスゲームへとステップアップしたのだ。

シンペンがシーバスを誘うイメージを固めていくなかで確信を覚えたのは、やはりトラウト同様にナーバスな相手に強いこと。そしてそんな魚に対するアプローチとしては、しっかりと泳ぐミノーを用いたリアクションバイトを誘う方法と、乱流の少ないシンペンを用いて食性に訴えるの二つがある。2通りのアプローチを使い分けることで、それまでより釣果は確実に上がった。

そんななかで見えてきたことが一つある。
ルアーが作り出す水流は、その場所でメインとなるベイトが発生するものに近いほうが違和感なく釣れること。
小魚であれば、その体型に近ければ近いほどいい。従って食性を刺激するためのシンペンは、「水流こそ、その神髄!」ということになる。
そこでシマノからシンペンについて意見を求められた際に話したのが、以下の四つ。

1. ボディのシルエットをフラットな側面を持つイナっ子やイワシ類に模してほしい
2. スイミングでの姿勢は極力水平にしてほしい
3. できるだけ引き抵抗を与えてほしい
4. フォール姿勢はヘッドがやや下向きで、できればローリングしてほしい

そして形になったのが、『エクスセンス スライドアサシン 100S X AR-C』だ。

エクスセンス スライドアサシン100S X AR-C

[自重] 23g [全長] 100mm(シンキング) [カラー] 12色 [本体価格] 2,000円

ヘッドにあるカップが水を受け、圧倒的な泳ぎ出しの早さとミノープラグのような引き抵抗を持つシンペン。アクションはワイドなS字スラロームでフォールはほぼ水平姿勢と、ヒラスズキも含めたシーバシングはもちろん青物にも対応。その証にワイヤーは貫通構造で、ST-56やSTX-58の#4といった太軸フックにも対応する。

プロアングラーとしての現実は!?
ー シンペンを全く使わなかったわけではない

ミノープラッギングが好きといっても、それしか行わなかったわけではない。

基本的なゲーム展開はミノーでするにしても、状況に合わせてバイブレーションやスピンテールジグなども普通に使う。そしてプレッシャーが高く魚がナーバスになっていると感じた際には、やはりシンペンに頼ることになる。取材現場では必ず結果を出さなければいけない釣行が多い私にとって、自分のゲームプランを通す反面、臨機応変な対応力も必要とされるからだ。

私にとって今回登場のスライドアサシンは、心強いアイテムになってくれる予感がする。

アマモ帯の上を攻め、コンディション良好なシーバスを連続ヒット

2017年後半はホントによく釣れてます
ー 生き物ってたくましいですね

夏場の日照不足に加え10月には長雨と、例年にない厳しい環境にさらされたホームグラウンドの内房。自然環境の変動は、現場に出るとよく分かる。例えばシャローエリアの魚たちにとってゆりかごともいえるアマモ帯。夏の日照不足の影響で発育が悪く、昨年に比べると生育している範囲が狭まった。
また黒潮が大蛇行している影響で東京湾は水位の高い状況が続き、そこへきて台風が連続してきたために高潮が発生。シャローエリアは地形の変化も激しかった。

東京湾のシーバスは乱獲や自然環境の目まぐるしい変動に適応できるのだろうかと不安になったが・・・。
9月から連日のように干潟へ通っているが、ずっと釣れ続いている。道具の進化もあるのだろうが、生き物たちのたくましさを感じずにはいられない。

着水直後から喰ってくるケースが多い→やはり自然な存在

ベストシーズンを迎えた内房の干潟で、このスライドアサシンを使い倒してみた。高浮力の発泡素材(AR-Cシェル)で成形された恩恵を受け、
重いウェイトを搭載しているこのルアー。23グラムとサイズの割に重量級ながら、沈下は速すぎない設定だ。

シーバスゲームにおいて、ルアーが着水する瞬間はターゲットに存在をアピールする重要局面。
「AR‐Cシステム」の搭載により、ウェイトは着水時にスイムポジションへ移行しているため自然と水平に近い姿勢となる。しかも頭を少し下げ、
そのままユラユラと沈んでゆく姿はベイトフィッシュそのもの。ルアーが着水した瞬間から意識するシャローのシーバスに対し、
このつかみは最高と言えよう。

  • コントロールしやすいスライドアサシンは、流れのある浅い河川でも真価を発揮した

多少尻下がりではあるものの、リトリーブするとシンペンでは随一といえるくらい水平に近い。その秘密は頭のカップ(ヘッドリップ)だ。
ここが水をつかむので姿勢がいいし、引き抵抗もしっかり感じられる。

干潟ではアマモ帯の上、ギリギリの水面直下を攻めに攻め、11月はランカーを含め多くのシーバスと出会わせてくれた。
もちろんリバーゲームでも十分な実績を上げることができ、特に流速が速い場面でのドリフトは抜群だと思う。
スライドアサシンは、私にとって初めて1軍入りしたシンペンとなった。

シンペンはあまり使わないという皆さん。スライドアサシンのしっかりとした引き抵抗は、私のように苦手とするアングラーでも使いやすく、シンペンをものにするには最適ではないかと思います。今でこそしみじみと思う、できないよりできたほうがいいと。シンペンは魚との出会いを増やしてくれますよ!

シンペンは魚との出会いを増やしてくれますよ!