望むはリスクが少ない「軟」か、
飛ばす「硬」か

昨今のソルトウォーターゲームは、キャスティングシーンにおいてもベイトタックルが
メジャー化しつつある。リールが進化しバックラッシュをしなくなったということもあるが、
多様性を重んじる現代社会では良きにつけ悪しきにつけ、自分のスタイルとして受け入れて
いるのもあるだろう。この現象はトラウトフィッシングにおいてはより強く現れている。

かつてはベイトマニアたちがフルチューンを施したものでのみ可能であった軽量ルアーのキャスティングが、ベイトフィネスモデルを使えば誰でもできるようになった。ゲームの可能性が拡大したことで市民権を得て、渓流というフィールドにも広がっているのだ。

辺見哲也

東京湾ボートシーバスの“伝説のカリスマガイド”として名を馳せ、現在は岸からのキャスティングゲームでも活躍するシーバスエキスパート。多彩なキャスト技術を持ち、どんな状況でも狙ったスポットを正確に撃ち抜く、キャスティングの名手としても知られている。

アナタの“正義”はどっち?

以前のコラムで、「新型の『NEWエクスセンスDC』を使って飛距離をテスト。」という
スピニングを上回る性能を手に入れたことを書いた。あまりの性能に現場で愕然とするなかフト気付いたのは、「ロッドがない」こと。高性能ベイトリールをシーバスゲームで常用できるロッドが非常に少ない。一昔前に比べれば品数は格段に増えている。
しかし市場にあるロッドの8割は、正直リールにマッチしない調子であると見ている。具体的にいうと軟らかいものばかりで、どれも「反発力」がない。

私が見た限り、こういったロッドを愛用するアングラーの多くはスイングがソフトだ。
反発力の弱いロッドをゆっくり丁寧に振り、ベイトリールのネックであるバックラッシュを防ぐことに最大限の注意を払う。スプール回転の滑らかさに頼り切るキャスティングを数多く見てきた。

重いので振り切れが懸念されるビッグベイトや、近距離戦ならそれでもいい。
しかしせっかくスピニングより飛距離を伸ばせる可能性を秘めたリールが誕生したのだから、その性能は最大限に生かしたい。そんなゲームを思いを抱くのは、私だけではないはずだ。特にオープンエリアのシーバスゲームにおいて、「風」というファクターをどう攻略するかは重要である。フローティングミノーを向かい風のなかキャストした場合でも飛距離で負けないという結果を見ると放っておけない。しかし前述したような「フワッとキャスト」では、到底太刀打ちできない。

同じ「エクスセンス」で2本あるベイトロッド。フィーリングでどう違うか投げ比べてみる

  • 軟らかな(エクスセンス B804M/R リスペクト・ザ・サンクチュアリ ベイト)は、ゆったり投げてもよくしなる

  • エクスセンス B804M/R リスペクト・ザ・サンクチュアリ ベイトはこれだけ先調子。強く振ると、この部分が反動して“おつり”となってしまう

軟らかいロッドで強く振るとバックラッシュする!?

では、しっかりと振り切れるロッドとはどんなものだろうか?それは反発力があって、張りのあるレギュラーテーパーが理想だ。
強い弾道を生むためには初速を上げる必要があり、そのためにはスイング速度を速めなければいけない。その入力に応えられるブランクスの張りは不可欠だ。そしてそれは同時に、リリース直後に発生することが多いバックラッシュを防ぐことにもつながる。

ルアーをリリースしたあと、ロッドはフィニッシュの位置で止まる。「動」から「静」に移ったとき、入力の大きさに対して反動も比例する。
軟らかいブランクスではこの慣性力を収束できず、下側へ大きくしなる。放出中のラインをロッドが揺さぶりたたくためにスプールの回転へ悪影響を及ぼし、バックラッシュが発生してしまう。つまりスイング後のしなりを最小限に抑えれば、リリース直後のバックラッシュを防げる。
ベイトリールの弱点をロッドが補ってくれるわけだ。

『エクスセンス B804M/Rリスペクト・ザ・サンクチュアリベイト』は、前作のエクスセンスDCではマッチしていた。
しかしNEWエクスセンスDCの超高回転フィールに対応するには、やや先調子であることを否めない。そんななか誕生した『エクスセンス ∞(インフィニティ)』は、理想に答える形で仕上がってくれた。

エクスセンス ∞[本体価格] 74,000円~76,000円

エクスセンス ∞(インフィニティ)は、独自の設計・製造方法で「曲げ」「ネジレ」「つぶれ」とあらゆる方向に対して高強度化を実現した『スパイラルXコア』&キャスト時やファイト時の「ネジレ」をとことん抑え込む『ハイパワーX』を採用。軽量・中空構造のカーボンモノコックグリップで感度は当社従来比で30パーセントも向上。真円度の高いブランクスと相まって、軽く、強く、美しく曲がる!

  • ベイトタックルでシーバスを狙う場合、重量のあるビッグベイトを投げる場面で使われることが多かった。

  • しかしリールの性能が格段に向上したことによって変化している。

エクスセンス B804M/Rとエクスセンス ∞ B806M/Rの比較

2タイプのベイトロッドを実際に比べてみよう。エクスセンスレスポンダー109F X AR-C(15グラム)をフルスイングして投げたときの1/8000秒写真がこちら。写真「A」のB804M/Rは2枚目の写真でフィニッシュの位置で下側へ大きく反動しているのが分かる。そして次の瞬間には3枚目の写真のように上側へも跳ね上がっている。ルアーをゆったり投げるならいいけど、鋭く俊敏に振り抜くにはどうだろう・・・。

一方同じフルスイングでも15グラム程度なら、写真BのようにB806M/Rはピタッと止まる。ラインがブランクスやガイドによってたたかれないためスムーズにルアーが放たれる。これがリリース直後のバックラッシュを防ぐヒミツだ。改めて注目すべきは写真AとBの比較。硬いからといって曲がらないのではなく、全力で振れば同じくらいしなる。これがマテリアル的にシマノ最先端をゆく「∞(インフィニティ)」の真骨頂。実用的なミノーから重量級までしっかり扱える理由だ!

  • エクスセンス B804M/R リスペクト・ザ・サンクチュアリ ベイト× NEW エクスセンスDC

  • エクスセンス ∞ B806M/R × NEW エクスセンスDC

    曲がりは同じ。しかしインフィニティはそのあとが違う!

強過ぎる・・・と思うことの杞憂。滑らかに曲がる

勇気を持って振れ、さらば境地は開かれん・・・。
NEWエクスセンスDCの能力を完全に受け止めるブランクス性能

製品モデルを実釣で体感するべく向かったのは千葉県の富津岬で、
釣りの道具は勝手知ったるホームグラウンドで試すのが一番。
ロッドの曲がり具合や飛距離を確認するため明るい時間から現場に入る。上げ潮の時間帯なので、シーバスが喰う可能性は十分にある。
製品を試すには緊張感を持った実戦で行うのが大切。バイトする見込みがない場面でいくらロッドを振っても本質は見抜けない。

使用するルアーは、このポイントで使用頻度の高い『エクスセンスレスポンダー109F X AR‐C』。早速投げてみると、張りがありながらもレギュラーテーパー設計のおかげでリリースのタイミングをつかみやすい。

しかしチョットした違和感も・・・。
それは、ロッドを初めて手にしたときから芽生えていた”強過ぎる感”。
おそらく店頭などでも同じように感じると思う。

でもそれは、投げ込めば投げ込むほど消えていく。
むしろフルキャストした感触は、今まで手にしてきたどのベイトロッドよりもしっかりした手応えがある。フローティングミノーを力強く投げたときの安心感もさることながら、重いルアーをビシッ!と投げたときのフィール。NEWエクスセンスDCの能力を完全に受け止めるロッドの誕生を感じながら、ナイトゲームに突入していった。

このサーフで最もよく投げているレスポンダー109Fで使用感を比較。
わずか15グラムのミノーでもしっかりと曲がってくれた

まだ試作だけど恐怖心は半減。友人お手製の“エイガード”でウェーディング

前回ご紹介した辺見さんの幼なじみが作ってくれたエイのトゲをブロックするプロテクター。2分割になっている鉄板製で、ウェーダーのなかにもインナータイプのエイガードを装着。シャローゲームに“鉄壁”の備えだ!

驚愕に値する飛び。同じ長さならスピニングを超える

富津岬の北面は広大に広がるシャローフラットで、沖の所々にアマモが群生する。
満潮前後にこのアマモ帯へルアーをプレゼンテーションするには、飛距離性能がマストとなる。
スピニングタックルをしのぐ飛距離でアマモ帯を攻めると見事にバイト!なかなかの重量感と共にフルパワーで大暴れする。
しかしロッドはそれを上回るポテンシャルで難なくシーバスを寄せる。無事にランディングしたのは、73センチの丸々と太った良型だった。

その後シーバスとのファイトに酔いしれつつ感じたのは、エクスセンス ∞(インフィニティ)の恐ろしく高まった強度は、パワーロッドなのに小型のシーバス用ミノーをも快適に投げられてしまうしなやかさまで実現してしまったのかもと・・・。このロッドならビッグベイトのゲームはもちろん、ランカーヒラスズキにも負けないはず。ただしロッドをしっかり曲げられる、信頼と勇気とスキルを持つアングラーに限られると思うが。『エクスセンス ∞(インフィニティ) B806M/R』は、これまでの常識を踏み越える勇者にのみ性能を表すエクスカリバーなのかもしれない。

ガチンコのゲームに臨んでみませんか?