恐怖を感じるほど、竿を曲げてみないか?
エクスセンス ∞(インフィニティ)

聖地 秋田・大曲でのファーストインプレッション

シマノから新しいシーバスロッドが発売された。その名は「エクスセンス∞(インフィニティ)」。
初代の発売から8年、シマノの高いブランク製造技術で作り出され続けるエクスセンスシリーズ。
かつてのシーバスロッドを数段高いレベルへと押し上げ、このジャンルのベンチマーク的存在とされている。
そして更なる高みに臨むモデルとして生まれたのが、『無限』という称号を与えられたインフィニティだ。

ロッドも工業製品である以上、素材が進化すれば製品にも反映される。もちろん進化を続ける努力を怠らないのもメーカーとしての使命。今回新しくなったのは、高強度素材を用いたカーボンテープを採用した『スパイラルXコア』構造。従来の『スパイラルX』との比較では、ネジレ強度で最大約10パーセント、つぶれ強度で最大約15パーセント増を実現した。「なんのことやら……」とお思いかもしれないので、簡単に説明させて頂こう。

辺見哲也

東京湾ボートシーバスの“伝説のカリスマガイド”として名を馳せ、現在は岸からのキャスティングゲームでも活躍するシーバスエキスパート。多彩なキャスト技術を持ち、どんな状況でも狙ったスポットを正確に撃ち抜く、キャスティングの名手としても知られている。

エクスセンスインフィニティ・・・
それは、無限の可能性を生んでいくというもの。

このロッドを初めて手にしたのは今年の6月中旬。
折しも秋田で行われたエクスセンスミーティングの前日だ。
シマノから新しいロッドを振ってもらいたいとの打診を受け、2日前に秋田へ入りシーズン真っ盛りの雄物川で実釣テストとなった。手渡されたのは化粧が施されていないスッピンの試作品。しかし完成度としては最終段階に入っているという。
調子はRF(レギュラーファスト)で、私が初代エクスセンスで携わったリスペクト・ザ・サンクチュアリを彷彿させる。そもそもRFは、「ティップで喰わせる」「ベリーで掛ける」「バットで捕る」という3拍子をそろえたもの。プラッギングロッドとしての基本構成をしっかりと押さえた調子なので、「投げる」「操作する」「寄せる」といったロッドに求められる要件をバランスよく満たしている。

発売はスピニングが3モデルにベイトが1モデルで、前者はすべてRFの調子ながら後者はR(レギュラー)という、これもまたリスペクト・ザ・サンクチュアリと同じ構成だ。さて、実際に振ってみる。と、どこか懐かしさを覚えるが味付けは間違いなく現代風。贅肉が削ぎ落とされたスパルタンさも兼ね備えている。そして何より驚くのはその軽さ。新設計グリップの最大の特徴でもあるのが、中空のカーボンモノコック構造。これにより高感度をもたらし、軽量化にも大きく貢献した。

リアグリップが軽くなるということは、通常であれば持ち重りを感じる。バランス的には悪いはずなのだが、このロッドは根本的に軽量なので一切感じない。従来のリアグリップによって損なわれてしまった感度を、どこまで活かせるのか楽しみだ。

ブランクスがつぶれにくいからどこまでも曲がる

まずはフェイバリットルアーであるサイレントアサシン99Fを投げてみる。シマノ特有の「曲がるけど張りがある」が活かされていて、他ではマネができない味付け。軟らかさとシャープさを覚えるフィーリングでスムーズに振り抜ける。

そしてサルベージ85Sまでルアーウェイトをアップ。するとキャストするものの重量に合わせ、ブランクスが仕事をする部分が適度にズレる。適合内であればどんな重さでもストレスを感じさせないキャスタビリティーの高さが印象的だ。RFという調子とスパイラルXコアという基本構造が上手にマッチングしているのだろう。バイブレーションの連続ジャークで軽く攻めていると、ショートバイトの感触。それもいつものリスペクト・ザ・サンクチュアリよりも鮮明だ。

そして狙い通りヒット!瀬で掛けるシーバス、しかも中流まで遡ってきた雄物川の魚は強い。
フルパワーで瀬に逃れようとするシーバスを相手にどれほどのポテンシャルがあるか真価が問われる場面。開発担当の目の前でロッドをへし折らんばかりに立ててみた。実はこのスパイラルXコアの真骨頂は、破断強度の高さであると彼は言う。それではと、ロッドが一番危険な状態になる「し」の字に引き起こしたが、シーバスはアッサリと寄ってくる……。
「なんだコノ竿は!?」

これまでの常識が少し変わってしまうではないか。
ロッドの最大パワーを出すポジションでもあるが、破断の危険性も伴うことから普通は「しの字」を避ける。
だがこのロッドは今までに体感したことのないパワーを絞り出し魚を簡単に寄せてしまう。パワーのある魚をいとも簡単に瀬から引きはがしてしまうポテンシャルは、以前のスパイラルXとは明らかに違っていた。サイズは70センチ弱ながらも筋肉質で、生命力に満ちあふれたリバーシーバス。ファイト中の主導権を常にアングラーが持てたおかげで、余裕のある楽しい時間を得ることができた。

しかしながらこのロッドの真価は、この程度では測れない。複雑なアプローチが要求される広大な雄物川を、更なる大物を求めて上流へ向かった。

エクスセンス インフィニティの5大特長!

手で曲げるのはこれが限界!さすがにコワイ!

実際はかなり大胆に曲げることができる。しかし辺見さんは「手で曲げるのはこれが限界! さすがにコワイ! 真似はしないでネ(笑)」とコメント。未知のフィーリングに少し戸惑っていた。軽量なエクスセンスのリールと組み合わせることで、想像を超えた感度が実現する!

エクスセンス ∞(インフィニティ)[本体価格] 74,000円~76,000円

01. スパイラルXコア

ロッド性能を根幹から高めるシマノ独自の基本構造『スパイラルX』に、高強度素材などによるカーボンテープをプラス。独自の設計・製造方法で「ネジレ」「つぶれ」とあらゆる方向に対して高強度化を実現した。

02. ハイパワーX

シマノのロッドに採用される二枚看板の一つ。キャスト時やファイト時に発生するネジレをとことん抑え込む独自の強化構造。ロッドが曲がるときは釣り人の意図する方向性を保持し、ブランクスが持つ本来の性能もフルに発揮される。

03. NEWカーボンモノコックグリップ

軽量&高感度をもたらす一体成型グリップ。リアグリップの余計なパーツを排除した中空構造によって、軽量化と振動伝達性が向上。感度は大幅にアップしており、逆三角の新形状でフィット感が良い。

04. ナノピッチ

ブランクスを焼き上げる工程で使用する成形テープのラッピングを、極めて細かいピッチで施すのがナノピッチ製法。これによりブランクスがより均一な圧力で締め上げられるため真円度が高くなる。また、高強度化にも大きく貢献している。

05. エクスフィットシートCI4+

理想的なフィット感を求めたリールシート。フロントグリップ、リールシート、フードの段差を細部にいたるまで徹底的に排除。手に吸い付くような高次元のフィット感を実現した。素材にはシマノが誇る軽量カーボン強化素材[CI4+]採用。キャスト回数が多いシーバスゲームにおいて、疲労を軽減し高い操作性を実現。

ネジレないから、狙い通りにルアーが撃てる

岸にあるストラクチャーへ正確にルアーをプレゼンテーションする必要がある大曲エリアに入った。ディスタンスと左右のアキュラシーが求められるシチュエーションだ。

ネジレ剛性の低いロッドは、いくら上手に投げても左右への精度はそれなり。
しかしエクスセンス∞は、サルベージ85Sをかなり正確に撃ち込む。
飛距離と酔いしれるほどの正確性を感じていると、その能力は結果として表れた!
まるで根掛かりしたような衝撃のあと、大きく首を振る感触。

「デカイ!」と確信し、いつものクセで魚を怒らせないファイトを開始。
魚を落ち着かせるよう瀬から誘導して寄せたが、この上流エリアのど日中にそうそうお目に掛かれないサイズに一瞬たじろいだ。するとその油断を突き、魚は一気に押しの強い雄物川の瀬に戻ってしまった。

大型のパワーに流れもプラスされると、簡単に止められるものではない。
しかしここでもロッドの本領が発揮された。

シューティングが連続するフィールドで違いが出る!

先ほどのファイトで使いこなしのコツを垣間見た私は、ロッドを一気にフルベンド。怖いくらいの曲がりを見せる……まさに大曲……なんちゃって。
フックやスプリットリング、スナップ、ラインの結束など、これまでのシステムに不安を覚えるほどのプレッシャーを魚に与える。瀬の流れに乗って100メートル近くラインを出されてしまいながら、着実に間合いは詰まり無事ランディング。80センチを超すランカーを手中に収め、このロッドの魅力とすごさを十分に味わった1尾となった。

私は常々、ロッドは曲がって仕事をするものであると言ってきた。エクスセンス∞はまさにそれを具現化する。
「硬い竿を好む釣り師は半人前」……大先輩の言葉が、ふと頭をよぎる。昔と違って硬いなかにも柔軟性が両立している。
シャープな印象ではあるが、このロッドの真価は曲げてこそ!だ。