準備からポイント探しまで - 遠征釣行 -
プロの作法

「釣りは旅」。
渓流からソルトまで幅広く釣りをこなす私が、遠征の秘訣を公開します!

真夏は水温が一気に上昇し、シーバスの付き場が大きく変化していく。 私の住む関東でいうと、水温の安定している沖の深場を中心に回遊する個体。そして水温の低い河川へと生活圏を移し 始める個体。身近な沿岸で釣れていたシーバスはそう簡単に釣れなくなってくる。

辺見哲也

東京湾ボートシーバスの“伝説のカリスマガイド”として名を馳せ、現在は岸からのキャスティングゲームでも活躍するシーバスエキスパート。多彩なキャスト技術を持ち、どんな状況でも狙ったスポットを正確に撃ち抜く、キャスティングの名手としても知られている。

そんな「夏」こそ、シーバスを求めて遠征する季節でもある。

そうは言っても、シーバスを求めてわざわざ遠征するのは稀なケースかもしれない。シーバスゲームの魅力の一つは身近なこと。遠征してまで釣りたいとは思わないのかもしれない。それに、見知らぬ釣り場で「どうすれば良いのか?」分からないこともあるだろう。
そもそも私たちプロのアングラーは、いろいろなターゲットを求めて遠征するのが日常となっている。ホームグラウンドを離れて釣りをするのは当たり前だが、一般的にはそうでもないのかも。

今回は連休も多い夏の時期に合わせて「遠征」をテーマに、注意や要点をお伝えしようと思う。普段に通っている釣り場から飛び出し、新しいフィールドでのシーバスとの出会いはマンネリ化したゲームに新たな刺激を与えるチャンス。日中、鏡のように静まり返った水面を激しく割るシーバスとのファイトを求めて、さあ遠征へと旅立とうではありませんか!

クルマで行く? それとも飛行機で行く?

遠征釣行……どれくらいの荷物量になるのか

まずはアクセス。クルマで自走するか公共機関の乗り物を利用することになるが、前者なら釣り道具の準備はいつも通りでオッケー。 その他に用意しておくと便利なのが、折り畳みチェアとクーラーボックス、そして簡単に自炊できるシングルバーナーなど。これらは間違いなく長時間の釣行で役に立つ。

クルマを利用するなら知っておくといいのが高速料金の割引き。長距離は高速代が高額になるが、休日割引や深夜割引を活用すると思いの外安くいける。公共機関の乗り物のうち、厄介なのが航空機。これだけは荷物が制限されるので、皆さんも悩むトコロではないだろうか。
持ち込める荷物のサイズは航空会社によって違いがあり、特に格安航空会社の手荷物量はかなり制限される。各航空会社のウェブサイトを見て、あらかじめチェックする必要がある。

折り畳みのチェアやシングルバーナーは、ホームセンターなどで安いものが手に入る。ちょっとしたときに、あると大変便利。愛用のクーラーボックスはシマノの『スペーザ』。

私の場合、どの程度の荷物になるか。
着替えや私物、リールやルアーといった釣り具を運ぶ中型のスーツケースが一つ。ウエーダーやライフジャケット、レインウエアやグローブといった濡れ物を入れる防水バッグが一つ。そしてロッドを係員に預けるハードケースの3点を航空会社に持ち込む。
荷物が多くスーツケースに入りきらない場合は、衣類を別のバッグに入れて機内へ持ち込めば限られた収納量をカバーできる。また、オーバーウエイトで追加料金を取られないようメタルジグやリールといった重量物を手荷物にする手もある。
いずれにしても、預ける荷物には重量の制限があるので注意したい。

ウエーダー用の防水バッグは遠征でも重宝する。空港のゲートでそのまま預けることも可能だ。ロッドケースはサイズがいろいろあるので、購入の際はロッドの長さを測っておこう。ハードタイプでもおおよそ1万円前後。

何かと便利なバッカンは遠征時も最強だ。クルマに積み込むのもラクだし、新幹線では車輌後部のシート裏に置ける。

リールケースは買った瞬間から「ポイッ!」てしちゃう人もいるけど、移動距離が長いときは重要なアイテム。スピニングの場合はしっかりハンドルを外して袋にしまおう。もちろんスピニングもベイトもドラグは緩めておくこと。

ロッドケースがなくても運んでくれる

ロッドのハードケースについては持っていない人も多いだろう。その場合、空港で長物用のコンテナを用意してくれる。丸出しの裸状態で持ち込んでも預けられることが多いのだ。
ただ、大きな空港はどこでも準備があるものの、地方空港ではない場合もある。事前に電話で申告しておくと無難だ。ごくたまにだが、降雨時などは長物用コンテナが不足する場合もある。

ちなみにランディングネットも長物用コンテナで預かってくれるが、前述の理由で断られる場合がある。そこで折り畳める枠を用意し、スーツケースか防水バッグに入れている。事前に宿泊先やレンタカー会社へ宅配便で送っておく手もあるが、今後は料金の値上がりも予想される。できる限り自分で運び慣れたいものだ。

例えばシーバスの場合、『エクスセンス Respect the Sanctuary S810ML/R&S910M/R』、そしてベイトロッドの3本を選ぶ。それぞれしっかりとロッドベルトを挟み巻きして、動かないように養生してロッドケースに収める。

準備はどの程度する? あると便利なアイテムは?

メインタックルを中心に前後3本でフォロー

釣り道具については、ロッドがパワーや長さ違いと予備を含めて3本。それに相応するリールが3台というのが基本。
できれば替えスプールも持っていきたいところ。私の場合は新品のラインを号数違いで三つほど用意している。
遠征は、どんな魚と出会いがあるか分からない。交通費も掛けていることなので、千載一遇のチャンスをものにするべく準備は念入りにしている。

リーダーはメインで使う強力にプラスして、その前後を予備として準備。これは皆さんも必要か微妙だが、私はラインリムーバー(LR-011X)を必ず持っていく。海やフィールドの条件によってラインを巻き替えなければいけないことも少なからずあり、そういったときに備えている。

ルアーについては、想定したターゲットに使うであろうプラグ類をメインにトップウォーター類とメタルジグをごく少量持っていく。
その他の必需品としては、指先までカバーできるグローブ。知らないポイントを自力で捜索するときは、ときとして崖を上ったり降りたりへずったりすることもある。しっかりとグリップでき手を守るためにも重要なアイテムだ。

夏の釣りに”冒険”は付きもの。ちょっとしたプチ遠征にも、新たな発見と出会いが我々を待っている

ラインリムーバー

リールに巻いたラインを電動で回収する「ラインリムーバー(LR-011X)」は、200メートルでもストレスなくリールから抜ける。シーバス遠征の場合、ラインは『ミッションコンプリート EX8』、『エクスセンスリーダー』のフロロを準備。

ルアー

遠征に持参するルアー。ミノープラグを中心にシンキングペンシル、バイブレーション、メタルジグ、トップウォータープラグを準備。『X AR-Cシステム』など飛距離の出るルアーが多いので、数を絞れるのもシマノルアーの強味。

釣り場やターゲットはどう探す? 見知らぬ土地でのマナーは?

釣具店に行けば我々の共通言語が待っている

それでは、実際にポイント探しについて。
地元アングラーが案内してくれるなど、遠征でもサポートが望める場合には問題ない。しかし多くの場合は単独で探すことになるだろうし、私はプロとして極力自分で見付けるよう心掛けている。だからというわけではないが、できる限りの情報は事前に入手して釣り場に向かっている。
これらは地元の釣りでも同じことが言えるものだが、特に遠征先では大事にしたい。釣りという遊びにおいて、「魚を自分で探す」というのは楽しむべき大事な要素。結果が出たときの満足感はとてつもなく心に残るものだ。

1 地元にある釣具店のウェブサイトで釣果情報をチェックする。
2 実際に釣具店へ足を運び情報を得る。
もちろんモラルとして必ず買い物をしている。
3 現地のポイントマップがあれば購入する。
その際は駐車スペースの記載があるものが良い。
クルマの管理は地域にお住まいの方や地元アングラーに迷惑を掛けないためにも注意が必要だ。
4 ネットなどで衛星画像をチェックし、自分なりの目星を付けておく。
かつてはプリントして何枚も持ち歩いたものだが、今はスマートフォンでチェックできるので便利。
5 積極的に地元アングラーに声を掛けて話を聞く。
〝釣れる場所を教わろう〟などと都合の良いことは考えず、少しでもヒントがもらえればという気持ちでいたい。
直近が釣れているかどうか聞けるだけでも情報としては大きい。

釣り場探しの基本は「流れを読む」「高い所から見る」「ベイトを探す」

満天の星が輝くなか、自然と触れ合いながらロッドを振る。1年のうちでもナイトゲームが楽しい時期だ──

昔、釣りの師から教えられた「釣りは旅だ」という言葉がある。それは今でも胸に秘めて釣りを続けている。釣りをしていなければ恐らく訪れることがなかったであろう地は多く、それは私の人生において大きな財産となっている。

見知らぬ土地で食し、飲み、湯に浸かる。そしてその地に住まう魚の命を感じる……。
皆さんも釣りという旅に出てみませんか?