読めば釣ったも同然!
HOW-TOショアジギQ&A

5月になると潮は夜より昼のほうが大きく動き、海は夏に向け転換を迎える。
南からの暖流が沿岸に回遊魚をもたらし、フィッシュイーターたちの活気もあふれる。

さぁ、本格的なショアジギングの季節だ!
沿岸を回遊するブリやサワラの若魚、そしてソウダガツオなどをターゲットとする「ライトショアジギ」。
その手軽さとダイナミックな釣り味で、これからの季節は陸っぱりの一番人気。
今回はエキサイティングで爽快なゲームの「HOW-TO講座」を行いましょう!

辺見哲也

東京湾ボートシーバスの“伝説のカリスマガイド”として名を馳せ、現在は岸からのキャスティングゲームでも活躍するシーバスエキスパート。多彩なキャスト技術を持ち、どんな状況でも狙ったスポットを正確に撃ち抜く、キャスティングの名手としても知られている。

Subject : ROD

ルアーを遠くに飛ばすコツを教えて下さい。

ルアーに負けないロッドを素早く振りましょう

ストラクチャー撃ちと違い、回遊する魚を狙うショアジギはルアーを飛ばしたほうが有利だ。では、遠くに飛ばすために大切なのはなんだと思うだろうか?真っ先に「体力!」という声が聞こえそうだが、実はタックルバランス。それぞれの身体に合い、そして投げるルアーとのバランスに即していることが一番になる。30〜50グラムほどのメタルジグを使うことが多いライトショアジギング。手っ取り早くシーバスのプラッギングロッドを持ち込むアングラーもよく見る。しかしこれではルアーの重さに対してロッドが軟らかすぎてしまうため飛距離が出ない。まずは硬い専用ロッドに絞り込んだ上で、リールの重量も考慮。普段行っているプラッギングの倍のスピードで振り抜けるものを組み上げれば、間違いなく異次元の飛びを体感できるはずです。

スイング測定器。できるだけ速く振れるタックルバランスを組もう

硬い10フィートのロッドと少し軟らかい11フィートのロッドでは、ルアーはどちらが飛びますか?

アングラーの体力にもよります……。

例えるなら、成人男性であれば硬い10フィート。女性であれば軟らかめの11フィートとなります。やはりこれも体力とのバランスで、素早く振り抜けるもので組み上げることが大切です。

ロッドが硬くても、しっかり振れて曲げられればルアーは飛ぶ

ロッドやリールで釣果は変わりますか?

はい!

先にも紹介したように、アンバランスなタックルで臨んでも飛距離は出ない。回遊する魚を狙う以上、釣果が落ちると考えています。

  • (左)ヴァンキッシュ4000XG 240g (右)ステラSW4000XG 380g
    コルトスナイパーS906MH

  • 同じロッドに重量の違うリールをセットした場合、実験では軽いほうが約14パーセントも飛距離が伸びた

「こういうロッドではダメ」というのがあれば教えて下さい。

軟らかいのは「危険」です。

軟らかすぎたり適合ルアーの範囲を超えて使うのはダメ!むしろ危険です。
スイングしたときロッドが曲がりすぎると、体の近くをルアーが通ることになる。最悪、自分にフックが当たる可能性もある。
そして適合域を超えるとテイクバックからフォアキャストに移った瞬間、負荷が掛かりすぎてブランクスが破損することもある。
目安としては、シーバスのプラッギング用で30グラム以上のジグを投げると危険です。

これ以上の負荷を掛け、しならせると危ない!

飛距離に勝る『AR-Cシリーズ』とショアジギ専用の『コルトスナイパー』。
使い分けはどうしていますか?

プラグを投げるか投げないか……です。

ジグミノーのような重いプラグを投げる可能性がある場合はAR-C。メタルジグオンリーで、50グラム以上のやや重めを使用する頻度が高いゲームはコルトスナイパーを使っています。
やや繊細なAR-Cは投げやすく、40グラム程度のルアーなら圧倒的な飛距離がモノを言う。重厚なコルトスナイパーは安心感が高くて、重いジグをかっ飛ばすならコチラです。

  • AR-C TYPE VR

    遠投性能を追求した3ピース構造。
    8フィート8インチから12フィートまで6モデル。

  • コルトスナイパー エクスチューン

    青物を捕るフラッグシップ。
    9フィート8インチから10フィート半まで3モデル。

やはり「剛竿」が勝るんでしょうか?

硬いだけでは飛びません!

軟らかすぎるとダメなように、硬すぎたり重すぎたりしても同じです!
例えば飛ばそうと思ってGTタックルを持ち込んでも、体にオーバースペックではスイング速度が遅くなって飛距離が出ません。それに重いのですぐ疲れてしまう……。

回遊魚との遭遇率を高めるためには「キープキャスト」が重要。
無理なく投げ続けられる重量にとどめておくほうがいいですよ。

ショアジギタックルで軽量ルアーをキャストしても、オーバースペックで飛ばない。スイング速度を上げてもロッドは曲がらないまま。

Subject : REEL

辺見さんはいろいろなタイプのリールを使われていますが、気にされてることがあれば教えて下さい。

番手とスプールの径&長さです。

ライトショアジギの場合、基本的には4000番を使用します。
ただし軽いボディでスプール径が大きいモデル、例えばAR-Cエアロの5000番もロッドとのバランスで使っています。
スプール径が大きければ1回転に放出されるラインも長くなり、同じ100メートルを投げるのも少ない放出抵抗で済みますからね。

それと同じように、径が同じでもスプールの長いほうが飛ぶことが多いです。
リールの自重そのものも重要なのですが、スプール径にも気を配らないといけない。その着地点を考えると、4000番あたりが妥当となります。

  • ステラ 4000XG

    シマノ スピニングの最高峰。
    ロングストロークスプールで飛距離も限界突破!

  • ツインパワー XD C5000XG

    ツインパワーのタフモデル。
    軽く・強く・滑らかに、そして防水性能も常識を覆す。

  • AR-Cエアロ CI4+ 5000XG

    大口径スプールに小型ボディを融合。
    フルキャストを繰り返す釣りにアドバンテージ。

やはり番手の大きいリールが有利ですか?

有利さは「飛距離」から「釣力」に変わります。

先にも書いたように、スプールが長く径の大きいものが飛距離は伸びることが多い。しかしあまりに大口径だと、今度はロッドとバランスが悪くなる。ラインを放出する際の径が大きくなって、バットガイドへの当たりが強くなり抵抗が増すからです。
AR-Cのように、リールシートからバットガイドまでの距離を長く取ったロッド。もしくはガイド径の大きいロッドは、それなりに大口径のスプールにも対応します。それでも一般的なところでは5000番くらいでしょうか。6000番になると大型の青物も安心ですが、若干当たりが気になります。

8000番クラスになると、重いので滅多なことでは使いません。10キロオーバーの青物を狙うような、いわゆるガチのショアジギのように釣力を上げる必要があるケースに限るでしょう。

  • 右のショアジギ専用ロッドはガイド径が大きく、左のAR‐Cは長い。
    どちらもラインがストレスなく放出されるよう設計

  • ラインはらせんを描きながら、ガイドへと当たる

ライン強力とドラグ設定の関係を教えて下さい。

細いラインは振り切れますから注意。ドラグも至って強めです!

メインラインは、キャスト時に振り切れを起こさないように最低でもPE1.2号以上を使用。その強さは約12キロ。これに対してドラグは3キロ以上と強めに設定している。ほぼ「ロック状態!?」と思うくらい強めで良いと思います。というのも、スイングしたぐらいの負荷でドラグが作動するようではせっかくロッドにため込んだ力が逃げてしまう。
何より、指に掛かっているラインが動くことで皮膚を切りかねない!私が常にフィンガーグローブを付けているのは、キャストによる指のケガを防止するためでもあるんです。ドラグが作動しなければラインは動かないので指を切ることもない。ドラグは強めに締めておきましょう。

ただしターゲットに大型が混じる場合は注意。「大型だ!」と思ったらドラグを緩め、相手とのヤリトリに集中しましょう。私の場合は日頃からファイト中にドラグをよくいじります。

  • 指に掛かる負荷は大きい

  • ショアジギングは、必ずグローブかキャスティンググローブを着用すること

Subject : LINE

メインラインが細ければルアーは飛ぶと思うのですが、最低限の細さ(強さ)はありますか?

1.2号以上のPEラインを使いましょう。

先にも述べたように、キャスト切れを起こさないためにもこれが限度。逆に言うと、1.0号で30グラムのジグを投げても切れないようでは振りが甘い!と思って下さい。

  • パワープロ Z 1.2号

    耐摩耗性に優れるド定番PE。ラインカラーは4色から選べてコシがあり操作性も良好。

強いノットを組むにはどうしたらいいでしょう?

現場での強度を重視しましょう。

FGやPRノットに代表される摩擦系は、現場でも確実に組めるよう練習しておくことが大事です。
ラインが濡れていたり風が吹いてPEがなびいたり、暗くて見にくかったりしても同じ強度を保つには練習あるのみ。
「家ではしっかり組めるけど、現場ではニガテ」という方は多い。摩擦系ノットは密に組まなくては著しく強度が低下しますから、しっかりやっておきましょう。

自信がないならば、現場でも簡単に結べる電車結びがおすすめです。
「そんな……」と思うかもしれませんが、釣り場で結ぶノットのなかでは意外と強度を出しやすいと考えています。
実際ナブラが出ているようなチャンスタイムにノットを組まなければならない状況に陥ったときは、今でも電車結びで対応したりします。
その場その状況下で確実に結べるノットこそ、その時点の最強ノットとなるのです。

回遊魚は目がいいと聞きます。
ラインカラーやリーダーの長さは釣果に関係しますか?

もちろん、影響しなくはないでしょう。ただ……!

エサ釣りのように、直接、じっくりと食性を刺激する場合は影響もあるでしょう。
しかしこのゲームはルアーフィッシングのなかでも特にリアクションを刺激する釣り。反射食いを誘うゲームなので、操作性を重視した「アングラーからの見やすさ」も重要です。

リーダーはナイロンとフロロとどちらがおすすめですか?

フロロカーボンです

長時間、過酷な状況にさらされるリーダー。ナイロンは吸水性があるので劣化も早く、波が巻き上げる砂との摩擦でマメにリーダーを結び替える必要性がある。その点においてフロロなら安定している。それと日中のゲームである以上、光の屈折率が水に近く見破られにくいフロロはおすすめです。

  • メインラインのPEは見やすいこと。リーダーは見えにくいこと

Subject : LURE

代表的な「フロントヘビー」「センターバランス」「テールヘビー」「タングステン製」の4タイプについて、辺見さんはどのように使い分けていますか?

青物がメインなら、このうち二つ。一つは……まず使いません。

センターバランスはヒラメやシーバスなど、動きの遅い魚を狙うときに使います。
青物を狙う場合は基本的にテールヘビーをチョイスすることが多い。ラインと絡みにくいのはもちろんですが、なんといっても飛距離が出る。
このアドバンテージを重視して選んでいます。「飛距離は正義!」です(笑)。
タングステンに関していうと、やはりボディがコンパクトになるので飛距離が出る。テール部分に使っているモデルも同じだが、オールタングステンよりコスパがいい。フロントヘビーはラインに絡みやすいので、実はほとんど使いません。

  • コルトスナイパー

    パイロットに使えるスタンダード。
    表と裏で別柄のホロを装着したフラッシングも秀逸。

  • コルトスナイパー TGピットブル

    テイル部にタングステンをコンポジットしたジグ。
    その圧倒的な飛びに度肝を抜かれる。

  • コルトスナイパースリム

    飛距離絶大&リトリーブ抵抗の少なさが魅力。
    足の速い回遊魚を狙うのに最適化した!

  • コルトスナイパー フォール

    フォールで喰わせるときは出番。
    引けばローリング、沈めるとバイブレーションする。

ルアーカラーについて、辺見さんはどのような基準で選んでいますか?

3色あればいいんじゃないでしょうか。

ピンクかブルー、もしくは混合のブルピン。スタンダードすぎますかね(笑)。でもこれで十分に釣れますよ。
気にすることといったら、濁っていると思ったらピンク。澄んでいるならブルーといった具合です。
つまり……その程度ということです。ルアーをデコったり、チューニングも一切しません。至ってノーマルです。

デイゲームが主体なのでカラーはシンプル!

メタルジグはアクションと飛距離、どちらを重視していますか?

再三言うように、飛距離は正義です!

スイミングの動きよりも、とにかく飛距離が出るモデルを選びます。
ただし釣りをする中でフォール中のバイトがあるようなら、センターバランスや幅の広いモデル、ショアスロー系を選ぶ場合があります。
フォールでよく動きますからね。

飛距離を重視した上で、ベイトにサイズが合えば理想!

Subject : KNOW-HOW

ルアーを投げたあと、メタルジグをどのようにリトリーブしていますか?

必ずしも「青物=速巻き」ではありません。それでは疲れちゃいますから!

基本は底まで落としてからリトリーブを開始。
トゥイッチに近い軽いジャークアクションを入れながら巻いてきます。
これは自然な喰わせの間を与えながら引いてくるためです。

リトリーブ速度はジグが水面から飛び出さない程度。極端なファストリトリーブをすることは少なく、長時間の釣りに備えてミディアムくらいで魚にしっかりと見せる速度で引きます。このときレンジを下げたければ重いジグに替えて対応するといった具合です。

辺見さんの誘いは穏やかそのもの。ルアーの仕事に任せる感じだ。

ターゲットによって誘い方を変えたり、レンジを変えたりしていますか?

そうですね、多少はあります。

例えばサワラやカンパチの場合は、比較的に移動距離の短いアクションを多めに取る。逆にカツオなど足の速い魚はリトリーブ速度を速めます。
レンジはその都度調整します。明らかに上ずっていれば水面直下をトレースしますが、それ以外はボトムが中心。底をしっかり取ってから、レンジを徐々に上げて釣っていくパターンが多いです。

実釣で注意しなければいけないことはなんでしょう?

着底をあやふやにしてはいけません。

回遊魚を狙うには、なんたって潮通しの良さがキモ。ただし場所によっては潮が速くてボトムが取りづらいこともある。
分からないときそのまま続けるんじゃなく、ボトムは確実に取れるようにしたい。海底の起伏が激しいと根掛かりの危険性が高くなるけど、
そういった場所こそ魚もいるんです。

着底が微妙な場合はためらわずにジグのウェイトを重くしよう。これがはっきりしないと、海のなかをどう探ったらいいかも分からない。
少なくても「ボトム」「中層」「表層」の3ブロックは攻め分けるイメージを持ちたいものです。

シイラなど、大型青物とのファイトのコツを教えて下さい。

冷静に相手を弱らせることです。

ラインテンションを緩めず、なおかつ相手の自由にはさせないこと。必要以上にラインを出さず、相手にプレッシャーを与え続けて弱らせることが大切です。相手の思うようにさせていると、テンションが緩んでフックがポロッと外れてしまいますからね。

また、サーフのように障害物のない場所であれば時間を掛け相手を弱らせられますが、磯などはそうもいかない。根ズレを考えると、ある程度魚にパワーが残っていても寄せる必要がある。このとき慌てると一気に走られラインブレイクする可能性が高まる。十分に注意しましょう。

  • 落ち着いて対処しましょうネ!

ショアスロー系との違いを教えて下さい。

巻いて喰わせるか、落として喰わせるかです。

ショアスロー系の場合は、特にフォールで喰わせるように意識します。そのためにはフォールする「縦の距離」をできるだけ長く取る必要がある。
そのために、まずラインスラックをしっかりと巻き取る。次にロッドを頭上に大きく動かし、ロングストロークでしゃくってからフォールします。
ジグが高く舞い上がり、ヒラヒラと沈んでいくイメージを常に持ちましょう。

広いサーフなどでポイントを決める要素はなんですか?どこを狙えばいいですか?

うーん、コレは長くなりますけど……。

まずは海底に変化がある場所を選ぶこと。それはどうやって探すか?まずは陸の地形を参考にしましょう。
陸地の勾配はそのまま海底へ続いていることが多く、急であれば海底も急激に深くなっています。
次に高い場所から海を見る。根がある場合は、その場所が黒ずんで見えるはず。偏光グラス越しならなおさら見付けやすい!
変化に乏しいようなサーフに根を発見できれば、これはしめたものです。

地形の次は潮通し。沖からの流れが岸に向かっている場所はチャンスです。
明確な潮目があれば一目瞭然ですが、なければ多少風があれば波の具合がヒントになります。海風の場合、岸に向かう流れは波立ちません。
逆に沖へ払い出していれば他よりも波立ちます。こういったわずかな変化も読み取りましょう。
あと、潮目には水色の変わり目や流れの違い、そしてこれからの時期は雪代による水質の違いでも生じる。そういった場所は狙う価値があるし、ファクターが多ければ多いほどチャンスも増えますよ。そして、ベイトが水面で追われている場合は言うまでもなく大チャンスとなります。

磯や沖堤などでランディングするときはどうしていますか?

大型の磯用玉網を使います。

タモ枠は最低でも60センチ以上、柄は5メートル以上の長さがあると余裕を持って取り込めます。無事ランディングするまでがゲームですから、確実な道具を用意したいものです。

  • オシア ランディングシャフト550

    軽さと張りを兼ね備えたランディングツール。

海が荒れていなければ玉網が安全確実♪

以上、様々な質問にお答えしましたが参考になりましたでしょうか?海釣りは気持ちが良くて楽しい季節ですから、ぜひ皆さんもトライしてみて下さい。なお、来月は今回の記事を踏まえつつ実釣をご紹介します。お楽しみに!