飛距離119メートルを達成!! 
遠投力テスト

編集部から、突然の打診──。

「前回でやったサイレントアサシン99SPの飛距離テスト企画、反響がすごいです!」

「それは良かった。ロッドは短いしラインも太いベイトタックルなのに、スピニングの飛距離を超えましたからね〜」 「はい。そこで……なんですが、シーバスタックルで100メートルを飛ばせますか?」
ムムッ!? ベイトタックルで100メートル。大遠投をしたことがないのでどうだろう?確かにスポーツキャスティングの 世界では、重いウエイトを250メートルも飛ばす。でも普通のプラグやワームはともかく、重いルアーは経験不足だ。

前回に行ったシーバスプラグの検証企画。
『NEWエクスセンスDC』の飛距離は、スピニングと同等かそれ以上だった。
その延長戦でリールのポテンシャルを引き出せるかどうかだが──。
ショアジギタックルであれば、楽にメタルジグを130メートルは投げる。シーバスタックルでも恐らく100メートルは大丈夫。ということは、確信はないもののその論法からいけばベイトのシーバスタックルでも100メートルを超せるはず。

そこで、編集部のオーダーを引き受けることにしたのであった。

辺見哲也

東京湾ボートシーバスの“伝説のカリスマガイド”として名を馳せ、現在は岸からのキャスティングゲームでも活躍するシーバスエキスパート。多彩なキャスト技術を持ち、どんな状況でも狙ったスポットを正確に撃ち抜く、キャスティングの名手としても知られている。

EXSENCE DC

新たなブレーキ機構「4×8DCエクスセンスチューン」を搭載して新生したエクスセンスDC。外部ダイヤルによる8段階のブレーキ力調整が可能で、スプールの回転を電子制御。
もちろんPEラインでトラブルなくルアーを投げられる「P」モードを搭載している。
まさにトラブルレスで驚異的なロングキャスト性能を誇る!

●ブレーキ:4×8DC EXSENCE TUNE ●自重:225グラム ●ハンドル長:45ミリ
●ギア比:7.8(XG) ●最大巻上長:91センチ ●糸巻き量:PE1.5号-200m/フロロ12lb-100m
●スプール:ナロー ●ベアリング数:10/1 ●本体価格:74,000円

いざ剛竿に、29と40グラムのメタルジグで勝負する!

当日の天候は晴れ。翌日に気象台で発表されたテスト時間の平均風速は3.6メートル。風向きは北だが、現場は東西に伸びている。多少のアジャストはしたとしても、完全に横から風を受ける形になる。風は常に一定の方向に吹くわけではないので、できれば追い風に回り込んでほしいところ。でもそれはあまり期待できそうもない。
まぁ、現場で感じられるのは「そよ風」くらいのもの。できるだけ影響を受けないことを願う。

今回用意したタックルはあくまでシーバス用ということだが、ショアジギ用にも引けを取らない剛竿『エクスセンス B800H/R ビーストプラッガー』を準備。リールはもちろんNEWエクスセンスDCで、ラインは『パワープロZ』の1.5号。先端には『エクスセンスリーダー』の25ポンドを結んだ。そしてルアーは29と40グラムのメタルジグ。このセッティングで100メートル超えを目指す。

ところで、釣り人がよく言う「何メートル飛んだ」は、飛距離でなくラインが出た量であったりする。ラインが放物線を描き、その道のりを距離としてカウントしてしまう。いわゆる「何色出た」というものだ。もちろん今回もレーザー距離測定機を使って、ルアーまでの直線距離を測定する。標高が高く気圧の低い場所やドーム内など乾燥している場所に比べると、今回のサーフというフィールドは飛ばしにくい。しかしより実戦に近いシチュエーションなので、どういう結果であれ参考にしてもらえれば幸いだ。

  • パワーロッドで、ベイトタックルの遠投に初トライ

  • 現場では向かってやや左に流される風が吹いていた

事前予想は、完全なる不可能か楽勝かのどちらか

遠投を意識してベイトタックルを使ったことはないので、まずは肩ならしの意味で軽く練習。そもそも40グラムのメタルジグをベイトでフルキャストした経験はない。正直、未体験の挑戦だ。リールのセッティングはPEラインを使うときの「P」モード、ブレーキ力は最大の「8」でスタート。海岸線にちょうど100メートル間隔で竹杭が立っているのでこれを目安に投げてみる。

事前の予想では、まるで届かないか、100メートルに届くようならあっさりクリアするかのどちらか。使用したのは『コルトスナイパー TGピットブル』の40グラム。多少の緊張とともに、第一投……。
結果は82メートル。微妙な距離だが、なかなか難しいと感じたのは潜在意識があること。バックラッシュのリスクで自然と脳がブレーキを掛けるのか、フルスイングしようとしているのに体がこわばってしまう。

実際はバックラッシュの危険性など微塵もないのだが、これまで投げたことがないルアーの重量感に自然と体が反応。腕が縮こまってしてしまう。
そこで本番までに体を慣れさせるため、スイング速度を意識して少しずつ上げながらブレーキを弱めていく。そして99・5メートルまで数字が伸びたところでいよいよ計測を開始。体も温まったので、ブレーキは「3」で挑むことにする。
そして注目の第1投は、なんとあっさり100メートルを超し104メートル。次も102メートル。とりあえず当初の目標をクリアしたので、ここからは更なる高みを目指す。更にブレーキを弱めていけば、110メートルも不可能ではない手応えを感じた。

あっさり100メートル。潜在能力は110メートルもいける

さて問題は、自分の「能力」。感覚としては110メートルを超せそうだが、まだ「脳」がブレーキを掛ける。バックラッシュを恐れるあまり、どこか体がフルスイングを拒んでいる。
そこで、一度脳のリミッターを外すつもりでブレーキを「5」に上げた。8段階あるエクスセンスDCのブレーキだが、この5から上だとスプールの回転中でもしっかり補正が入る。フルスイングしてもバックラッシュはしないと、脳に安心感を植え付けるつもりだ。
バックラッシュの気配を微塵も感じさせずに出た距離は103メートル。これまでで一番の速さでロッドを振れたはずだが、さすがにブレーキ「5」では飛距離が出ない。つまりどこかで補正が入っているのだろう。

飛ばしの辺見……も新境地に!? テストで分かったロッドの条件

今回は初めてベイトタックルでの遠投力テストを行った。普通に釣りをするのとは大きく違い、ただ飛距離を求めるキャスティングとなると私の技量ではまだまだ道具に追い付かない。今後はベイトタックルのキャスティング技術を磨いていきたいし、それと同時にシチュエーションに応じたロッドの必要性も強く感じた。
というのも、今ここにあるのは技術の粋を集めた飛距離性能に勝るNEWエクスセンスDC。このリールが存在している以上、そのポテンシャルを最大限に生かす各ジャンルのロッドがなくては始まらない。
飛距離と操作性、そして魚をあしらう能力。これらを融合させたベストなセッティングを導くには、飛距離の限界を見極めずには語れない。その上で、トラブルを減らす──。
今回のトライで一つ分かったのは、それは軟らかいロッドではないということだ。

脳のブレーキも解放覚醒のフルキャスト

その後もスイングの速さを重視する「スピニングタックルの飛距離アップ法」でトライを繰り返すが、どうしても飛距離は頭打ち。その代わり力強く振れるようになってきた。繰り返しノートラブルで投げられたことで、私の脳は完全にリミッターが外れた。
このスイング速度を維持したままブレーキを「2」まで落とす。すると、ついに出た110メートルジャスト! そして最終的には119メートルまで記録を延ばすことに成功した。

40グラムの全23投

104(ブレーキ3)→102(ブレーキ3)→103(ブレーキ5)→101(ブレーキ5)→106(ブレーキ5)→96.5(ブレーキ5)→108(ブレーキ5)→99.5(ブレーキ5)→102(ブレーキ5)→110(ブレーキ2)→105(ブレーキ5)→103(ブレーキ2)→101(ブレーキ2)→104(ブレーキ2)→119(ブレーキ2)→105(ブレーキ2)→115(ブレーキ2)→114(ブレーキ2)→117(ブレーキ2)→112(ブレーキ2)→109(ブレーキ2)→109(ブレーキ2)→109(ブレーキ2)

そうなると気になるのは、1オンス程度のルアーがどれほど飛ぶのか? 一般的なシーバスゲームでもよく使われるルアーで計測してみる。
同じく『コルトスナイパー TGピットブル』の今度は29グラムを結び、ブレーキを「3」にして挑戦する。
すると第1投で100メートルジャスト。ブレーキを「2」に下げると105メートル。その勢いでブレーキ「1」まで下げると107メートルという結果。1オンス程度でも優に100メートルを超し、オファーを無事クリアすることができた。

このポテンシャルに見合うロッドが生まれれば……!

実際に正しく飛距離を測ったことで、学んだことは多い。
まず前号でもお伝えした通り、「ベイト=飛ばない」という図式は完全に打ち砕かれた。たとえスピニングでも、8フィートのロッドに1.5号のラインでは100メートルを超すのは簡単ではない。ライン径の影響をモロに受けるスピニングに比べて、ベイトは圧倒的に優位だ。
太いラインの使用を前提とするゲームでの遠投力は断トツで、例えばヒラスズキやショアジギといったゲームはベイトという選択を考えなくてはならない。

しかしながら、現段階では対応するロッドが存在しない。だからこそこの先、新しいロッド作りが始まるかもしれないという予感を抱く。今回使用したロッドも、スイング速度を上げていくとどうしてもリールを支える右手がグラついてしまった。
また、リアグリップの長さも微妙だ。ロングキャストを求めた場合に、引き付けのパワーを生かし切れていない。ただ「ルアーを飛ばす」ということに特化させるなら、グリップをセッティングし直すだけで120メートルは超せると確信した。

最後はブレーキ1

29グラムの全5投

100(ブレーキ3)→104(ブレーキ3)→104(ブレーキ3)→105(ブレーキ2)→107(ブレーキ1)

実験で感じた「飛ばしのコツ」
ロングキャストをする上での注意点をいくつか紹介しよう

01. しっかりと振り切る

ベイトタックルの最大のネックはバックラッシュ。その恐怖があることで腕や体が自然と反応し、縮こまって距離が伸びない。最新のベイトは実によく出来ている。リールを信じて、ルアーを押し出すように強く振り抜こう。

02. 垂らしは短め

今回は垂らしを70〜80センチとした。垂らしを1メートル以上取ると、ルアーをリリースする手前でティップに大きな負担が掛かる。するとリリース後はティップの急反転が起きてしまう。これはまさにバックラッシュの要因で、ロッドがしなったあとの反動は要注意である。
そもそもルアーをリリースする際は、加速を一定に保ったまま放つことがバックラッシュを発生させないキモだ。垂らしを長くすると、よほど硬いロッドでなければ速度管理が難しくなる。エキスパートはロッドのしなりを使わず、遠心力を生かしたキャスティングをするのがその理由だ。これは飛ぶには飛ぶが、釣り場での現実感はない。
今後のタックルの進化にもよるが、今のところ垂らしは短いほうがキャスティングの成功率は高いと見た。

03. 射出角は高く

なかなか難しいと感じたのは、ルアーの射出角度。弾道が低くなりがちで、飛距離を稼げずに着地するケースが多かった。特にメタルジグのような重いものを投げるときは、極力高めの射出を心掛けたい。意識としては45度よりやや上を狙うくらいがベストだ。