「ベイトは飛ばない」とは、
もう言わせない!!

NEW EXSENCE DCがいかほどか
本気でスピニングと投げ比べる

横浜や大阪のフィッシングショーに行かれた皆さん、いかがでしたか?
魅力的な製品はありましたでしょうか。製品と直に触れ、エキスパートからの説明を受け、
ターゲットとの出会いに思いを馳せていることでしょう。さて、シマノブースでも数多くの新製品を展示。
話題性が高まるなか、ソルトアングラーはツインパワーXDとエクスセンスシリーズに注目が集まった。なかでもフレッシュウォーターのアングラーからも高く評価されていたのが『NEW エクスセンスDC』。
現代のフィッシングシーンにおいて、PEラインの使用率はソルト・フレッシュを問わずとても高い。
ブラックバスやトラウトフィッシングにおいても例外ではないのだ。そんなPEを使ったキャスティングゲームが
ベイトでも楽にできるのがこのリール。前回でも軽く触れたNEW エクスセンスDCについて紹介していこう。

辺見哲也

東京湾ボートシーバスの“伝説のカリスマガイド”として名を馳せ、現在は岸からのキャスティングゲームでも活躍するシーバスエキスパート。多彩なキャスト技術を持ち、どんな状況でも狙ったスポットを正確に撃ち抜く、キャスティングの名手としても知られている。

EXSENCE DC ロッドとリールの一体感は
スピニングと比較にならないほど高い。
繊細なゲームにこそ強い!

●本体価格 : 74,000円

シーバスゲームの潮流が
変わろうとしている

電子制御するから
バックラッシュしにくい

エクスセンスDCという名前のベイトリールは以前から発売しているが、今回はスピニング同様に大幅な進化を遂げた。
まずベースモデルが大幅にグレードアップされ、ディスタンス(遠投)性能で注目を集めた『アンタレスDC』がベース。そしてDCはシマノ独自のハイテクシステムで、スプールの回転を電子制御する夢のブレーキシステム。サミングをしなくてもバックラッシュがほぼないと発売当初から大注目を集め、ベイト好きアングラーを湧かせてきた。
ただ我々シーバスアングラーとしては、いま一つしっくりいかない部分もあった。メインラインでPEを使うとライントラブルが起きるケースがあるからだ。そんな我々のニーズに応えて発売されたのが、前作の「エクスセンスDC」。PEラインのセッティングが施されたDCモデルが誕生し、シーバスに限らずPEを使っていたすべてのユーザーから歓迎された。

ブレーキは4モード×8段階に強化された

そして今回登場した『NEW エクスセンスDC』。ご存じ「HAGANE」というシマノの設計思想で作られ、ボディは金属製となっている。マグネシウム合金を採用することで、非常に高いボディ剛性と軽さを手に入れた。もちろんギアはシマノのお家芸とも言うべき『マイクロモジュールギア』を採用。とても滑らかな回転フィールを実現している。
そしてなんといってもベイトリールの要となるブレーキシステムが目玉であろう。新開発の『4×8DCエクスセンスチューン』を搭載し、飛躍的な飛距離アップを達成。具体的にはまずラインの選択モードが4段階あって、「F」がフロロカーボン、「N」がナイロン、「P」がPE、そして「XP」というのがPEの追風遠投モードだ。
この基本設定をそれぞれ8段階の強弱で調整する。前作の4段階から比べると倍の細かさで調整できるわけだ。「3と2の中間があればベストなんだけど……」なんてジレンマを埋めてくれたことで、更なる飛びと安心感を得られる。
なおXPモードは、ルアーを更に飛ばせる追い風という有利な条件で一層の飛距離を求める設定。前作のエクスセンスDCで聞こえてきた、エキスパートアングラーからの「もう少しブレーキが弱くてもいい」という声に応えている。その他スプールをナロー化(幅を細くした)し、レベルワインドへ抜けるラインの角度を小さくして抵抗を少なくするなど飛距離を追求。
またハンドル1回転で91センチというスピニングの4000番クラスに匹敵するハイギアとなり、巻き取りの遅れも払拭した。

スプールの回転はフィネス用に匹敵するほど

NEWエクスセンスDCは、ベイトタックルのビギナーが手にしても使いやすいリールであることは間違いない。その一方で〝エキスパート向け〟とも言える。初めて手にしたのは昨年の11月。まず感じたのは「カッコイイ」で、漆黒のボディは男の武器を思わせた。担当から一通りの説明を受けたあといよいよ実投。新型のベイトリールを初めて使うときは、ブレーキシステムのフィーリングが分からないのでいつも恐る恐る。まずはブレーキを最大の「8」から試したが、軽く投げただけでもその回転フィールは驚くほど滑らか。普段、渓流で使用しているベイトフィネス用『アルデバランBFS』を彷彿させる。
そしてこのリールにメカニカルブレーキは存在しない。正しくは、ブレーキとしての機能はDCに移管しているというべきか。パーミングカバー内部にひっそりと存在しているものの、ただスプールを固定しているだけの存在。担当スタッフからは「イジるな」の一言だった。使用するラインモードに合わせておけば、8段階のツマミを調整するだけのシンプルさ。ルアーをチェンジしたり、キャスト方向を変えたりするときの再設定も至って楽だ。
8から1段ずつブレーキを弱めていくと、4でキャスト時のラインがふわりと浮き始める。そして3まで落とすと恐ろしく回転が滑らかになり、サミングしなければならないレベルに達する。まさに上級者の領域だ。
更に追い風のときに使用する「XP」モードに切り替えると、ブレーキが最も効く8でもエキスパートの領域。私感ではあるが、使うのはかなり条件が限られると感じた。それほど、スプールの回転に全く抵抗を感じない。スプールの回転を極限にまで追求した『スーパーフリースプール』、高速回転時の振動をとことん抑え込んだ『S3Dスプール』『サイレントチューン』も相まって、驚くほどの伸びしろだ。

手放しでもバックラッシュがほぼない!
ナイトゲームの多いシーバスゲームは、ルアーの着水が見えないためベイトタックルが使われることが少なかった。しかしDCならこの通り!

アマモ帯に逃げ込んだシーバスも、持ち前の釣力で難なく引きずり出した!

バイブレーションの飛距離は、ほぼスピニングを上回った

担当から「飛ぶ」とは言われたが、単独で投げている分には正直実感が湧いてこない。そこで、普段使っているスピニングタックルとバイブレーションの飛距離を比較してみた。すると、結果は同等以上の数値。向かい風のなかでもバイブはよく飛び、しかもバックラッシュは着水時のサミングが遅れたときだけ。ルアーが飛行中のトラブルは皆無である。 「すごいリールが誕生したものだ」というのが、率直な意見である。その性能は実釣でも遺憾なく発揮され、これまでに数多くの魚をこのリールで仕留めている。ベイトならクラッチを切れば瞬時にスプールをフリーにできる。しかも親指でブレーキを掛ければラインの放出をコントロールできるため、スピニングリールより繊細なファイトが可能だ。この数カ月、クラッチのオン・オフによるラインコントロールでオープンウォーターでも高いキャッチ率を維持できた。
そもそもこういったファイトでラインコントロールが求められるフィールドは、これまでネックとなっていたのが飛距離。ベイトリールはその点で明らかに遅れを取っていた。しかし、NEWエクスセンスDCの登場でそんな懸念はなくなった。
飛距離が変わらないのであれば、ベイトの優位さが際立ってくる。軽量で重心がグリップに近いタックルが醸し出す一体感は、まるでロッドにリールが内蔵されているかのよう。バランスが非常に高く、操作性も格段に高い。
とはいえ、スピニングの遠投性能に自信を持つ私としては迷いも出る。経験上、どうしてもスピニングのほうが飛ぶ気がしてならない。飛距離の比較をしたのがバイブレーションだったために、ベイトが勝るのは重量のあるルアーに限ってではないか?という疑念……。

  • ベイトは高感度。浮遊するアマモの葉をルアーが拾ってもすぐに感知して回収。つまり、余計な警戒心を魚に与えない!

  • 取材で訪れたのは千葉県内房にある新舞子海岸。シャローエリアでアマモ帯に着くシーバスを狙った

ミノーではスピニングを
完全に圧倒する飛び!

そこで、ミノープラグの飛距離測定をしてみた。標準的なサイズの『サイレントアサシン99SP』を使用。その結果を目の当たりにし、NEWエクスセンスDCの遠投能力は半端でないと確信した。それがこの表組だ!

「スピニング」vs「ベイト」
エクスセンスリール対決
5投ずつの結果

ベイトの追い風
1投目 2投目 3投目 4投目 5投目 平均
48.5m 56.5m 54.0m 57.5m 54.0m 54.1m
スピニングの追い風
1投目 2投目 3投目 4投目 5投目 平均
53.0m 51.5m 54.5m 56.5m 54.0m 53.9m
ベイトの向かい風
1投目 2投目 3投目 4投目 5投目 平均
46.0m 44.0m 44.0m 43.5m 48.0m 45.1m
スピニングの向かい風
1投目 2投目 3投目 4投目 5投目 平均
43.0m 43.0m 44.0m 46.5m 44.5m 44.2m

しかも実は、スピニングには抵抗の少ない8本ヨリの1号が巻いてある。それに対してベイトには4本ヨリで1.5号というハンディキャップ。それなのにベイトが勝ったのは、自分でキャストしておきながら驚くという他ない。
逆に言えばスピニングの場合、ルアーが飛んでいくときのライン抵抗は我々の想像以上に大きいと言うべきだろう。もう本当に、ベイトが飛ばないとは言わせない世界である。向かい風でもその性能が際立つ結果となったことから、この現実を受け入れ自分のセッティングを見直さなければならない。なぜなら、キャスティングゲームでの飛距離は釣果に直結する。だからこそキャスティング技術を磨いてきた。飛距離を求めるなかで結果としてベイトが有利なのであれば、スピニングから持ち替えるべきだろう。ベイトタックルという選択肢は、もはや格好を付けるためのものでもやせ我慢でもない。

  • 風に対して真っすぐ乗せるように投げる。エクスセンスDCの「XP」モードが試されるシチュエーション

  • “不利”と言われる向かい風のなかで、なんとこちらもベイトが最長不倒距離を達成!!