冬の日本海で二人が狙うのは旬を迎えるマダラ。
近畿都心部からはそれほど遠くない京都府宮津へと車を走らせ、養老漁港から出船したのであった。
関西では馴染みの薄い
ターゲット!?
吉田さん初挑戦の
マダラ釣り。
「京都府の丹後半島沖でタラが釣れるよ」と教えてあげたら、えっ!?と意外な顔をされる方が多い。確かにタラといえば寒い地方の魚というイメージが強く、その通りなのだが狙えば近畿地方でも釣れる魚なのだ。マダラは北海道全域と青森県から茨城県にかけての太平洋沿岸、青森県から山口県までの日本海側に生息している。だから、丹後半島の沖で釣れても全く不思議ではない。
旬は冬。脂肪分が少ない白身魚なので、鍋物やフライなどが美味しい。今の季節、丹後半島沖へタラ釣りに出かける釣り人の大半が、秋田県ではダダミ、市場では雲子とか菊子と呼ばれるクリーミーな白子がお目当てなのである。もちろん僕もその一人なのだが、良き相棒となった吉田昇平さんのリクエストもあって、今回の釣りが実現したのだ。出船は午前6時過ぎ。鷲岬を交わして日本海に出ると、少し波高が高くなったが心配するほどではない。ここからタラが待つポイントまでは小一時間掛かる。船尾でウトウトしていたら、船のエンジン音が落ちた。さあ、やるぞとばかりに気合いを入れる。前日に3枚に下ろし塩をたっぷりまぶしたサンマの切り身をハリに刺し、船長の合図とともに150号のオモリを付けた仕掛けを放り込む。潮はさほど速くないので釣りやすそうだ。底取りが終わったら、オモリがトントンと底を叩くぐらいにタナをセットし、後は時々誘いを入れて待つだけ。

この日の好天を約束するかのようにきれいな朝日が昇った。
序盤は不調、
果報は寝て待て!?
良型ばかりの釣果に
一荷も出た!!
タラはあのポットベリーなお腹を見ても分かるように、食いしん坊な魚だ。鱈腹という言葉もこの魚が生み出したものだ。そして食べ過ぎたために胃潰瘍になる魚もいると、ある本で読んだことがある。
スタートからすでに3回もポイントを変えて流しているのに食いしん坊な魚からの返事がない。トモとミヨシで1匹ずつ上がっただけだ。果報は寝て待てというが、睡眠時間が3時間ほどなのでいつの間にかウトウトしていたらしい。「アタリですよ」の声にはっとして竿先を見たら、モソモソと動いている。慌ててリールを巻き始めたが大した手応えもなく50cmほどのタラが腹を上にして水面に浮いた。こうして1匹目は釣ったのではなく、釣れた魚で初陣を飾ったのである。
その後吉田さんとダブルヒットしたのだが、僕のは100mほど巻上げたところでバレた。吉田さんの1匹目はポットベリーな60cmオーバー。お腹の大きさからみて白子が入っていそうだ。
2匹目は竿をあおって誘った直後に竿先が震えて60cm。隣の吉田さんも良型をダブルで上げてご機嫌だ。後半はあちこちで良型が上がり、僕にもと期待していたら、小気味のいいアタリが出たのでしっかりアワせて巻きにかかったら、これが重いこと。ドラグを緩めに設定してあったので時々ドラグが滑る。でも、根に入られる魚ではないのでゆるゆると巻き続けて水面に浮かせたら、1匹ではなく60cmオーバーが2匹喰っていて、めでたくフィナーレを飾ることができた。お目当ての白子は2匹の魚に入っていた。

タラがぽっかり浮き上がってきたところを、すかさずタモで掬い取るのがバラさないコツ。

タラは海底近くで群れになって生活しているため群れにアタるとダブルで喰ってくることも珍しくない。

水圧の変化について行けず、最後にはぽっかりと浮き上がって来るタラを、仕掛けを手繰り慎重に寄せる。

ここまで寄せたら後は慎重にタモに入れるだけ。

良型が掛かったときはタモで取り込んだ方が安心だ。

2〜3kgのタラならタモも入れずにゴボウ抜きだ。

重いと思ったらダブルで喰っていた。

鱈腹という言葉の語源になった大きなお腹をアピールしながら浮き上がってきたマダラと吐き出した細長い魚。こんなエサを鱈腹食べているのだろう。

タラ科マダラ属のマダラ。体側にまだら模様の斑紋があるのが特徴。大型は体長1mを超え、体重も20kgを超える。

大食いの魚なので、口も大きくポットベリーなお腹が特徴。

釣ったタラは美味しく食べるために、血抜きも兼ねてエラの部分から締めておくと楽だ。