夏から秋にかけて大阪湾の船釣りといえば銀色に輝くタチウオが盛期を迎える。
船タチウオの名手とともに船を走らせるのであった。
アタリは出るが掛からない
小タチの群れ。
いかに掛け、
良型を狙うのか。
ベルトほどの太さをした夏タチと呼ばれるタチウオが、大阪湾や紀北の波止で釣れ始めると、少し遅れて船からもテンヤタチウオのシーズンが始まる。今年は少しシーズンインが遅れてタチウオファンをやきもきさせたが、ふたを開ければまずまずのスタートを切った。
そこで遅れてはならじと気まぐれなタチウオのご機嫌をうかがいに大阪湾へと繰り出した。相棒は前号のマダコ釣りでご一緒いただいたシマノフィールドテスター 吉田昇平さんだ。タチウオは彼が最も得意とする釣りだけに、その技を盗めればいいのだが、僕の腕はそこまで良くないのでじっくりと拝見することにした。
ポイントは神戸沖の水深60mライン。船長に近況を尋ねると、底から中層まで小タチがわんさかいてエサを突きに来るので、アタリはあるけど掛からないイライラマックスの釣りが続いているという。
こういう状況の時、吉田さんはどんな誘い方をして、どういう風に掛けるのか、その点に興味があった。
40分ほど船を走らせると、沖の方にタチウオを狙う船団が見え始めた。すでに用意は万全、心だけが逸る。
この日用意した竿は、新たに加わった「サーベルマスターXTUNE テンヤ 91 H173 RIGHT」と、「サーベルマスターSS テンヤ 73 MH185 RIGHT」の2本だ。
73 MH185は、穂先が7:3調子なのにベリーからバットは腰がある調子で、従来にはなかった発想で作られた“喰わせ掛け調子”の竿。91 H173は91 H160のロングバージョンと思われるかもしれないが、使ってみると全く別物だということが分かる。長さも程よくて先調子の特性を活かした誘いやすくて掛けやすい竿だ。

この日は、神戸沖のポイントにタチウオ船団が出来た。
アタリを拾い、
掛けるが指3本。
誘いのパターンを探り
ドラゴン登場!!
タチウオ船団の中へ分け入って、ひと流し目が始まった。とりあえず仕掛けを下ろしてみないことには分からないし、いきなり小タチを掛けにいっても面白くないので、スローな誘いを試してみようと竿先が軟らかい73 MH185 RIGHTでスタートしてみた。
テンヤを動かし過ぎると小タチが寄るので、できるだけ小さなワンピッチジャークで誘ってみると、いきなりコツコツと突き上げるようなアタリが出始めた。結構しつこくアタってくるのでその中から少し大きなアタリを拾って掛けに行くが、やはり掛からない。
ふた流し目まで同じパターンの誘いを続けたが、掛かる様子がないので竿を91 H173 RIGHTに替えてみた。するとこちらの方がアタリがはっきり出るし、テンヤに絡んでくるタチウオが増えたような気がした。
そこで、はっきりしたアタリのときだけ掛けにいってみると、ぽつぽつはかかるが、せいぜい指3本サイズだ。吉田さんは、誘いを大きくしたり、小さくしたり、速くしたり、遅くしたり、止めてみたり、動かしてみたりとパターンを変えながら次々タチウオを掛けにいくが、なかなか納得のサイズには出会えないようだ。
そうこうしている間に潮変わりかパタっとアタリが止まってしまった。こうなるとデッドスローで誘って、やる気のあるタチウオだけ拾っていくしかない。なので、ほとんどアクションはつけず、カウンターの目盛りを1にして底から10mまでのタナをしつこく攻めてみた。
するとこれに反応するタチウオが現れたのだ。1匹目は指4本ほど、長さは90cm余り。2匹目は尻尾まできれいに残っていて1mを超えるデブゴン、これでおしまいかと思ったら、最後に120cmを超えるドラゴンと2年ぶりに再会を果たし納得のタチウオハンティングとなった。
吉田さんは、後半は大型狙いに切り替えたが、誘いのパターンが合わなかったのかサイズは1m止まり。その代わり数は16匹釣っていた。次の小さな潮で小タチが入れ替わってくれることを期待したいですね。

無風、ベタ凪のコンディションで朝からアタリが連発した。

吉田さんはより細かな誘いを行うため手巻きリールタックルも使用した。ロッドは今シーズンに合わせたサーベルマスターXTUNE テンヤ 91 H173 RIGHT。掛け調子だが魚が掛かると竿は綺麗に弧を描く。

エサがなくなるまで突きに来るのだがなかなか掛からない。

メーター級を抜き上げる吉田昇平さん。大型はリーダーをつかんで抜き上げる方がバラシが少ない。

アタってもなかなか追って来ないので掛けにくかった小タチに最後まで悩まされた。フィニッシュ寸前立ち泳ぎを見せた小タチ。

喰い渋りが始まると誘いのパターンを変えアタリを誘発させて掛ける吉田さん。百戦錬磨のテクニックだ。

タチウオ三銃士の一人、吉田昇平さんも小タチに手を焼いていた。

この日はイワシエサによく反応した。

太陽に照らされ表皮のグアニンがまぶしいほど白銀に輝いた。

待望のドラゴンが最後に微笑んでくれた。2年振りの再会だ。

この日のタチウオは指2本半から3本が多かった。