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“サーフ”なひととき
- File.02 -

新保明弘

通い慣れた地元の海で
お手軽シロギス釣行

通い慣れた地元の海で お手軽シロギス釣行

静岡県沼津市・島郷海岸

釣りは大物を仕留めることがすべてではない。小型の魚でも、趣があって奥深い釣りはたくさんある。中でもサーフで人気が高いのが、パールピンクの体色が美しいシロギス。一般的には豪快な投げ釣りが主流だが、人工エサを使って手軽に楽しめるライトゲームもまた魅力的だ。

ANGLER PROFILE シマノ インストラクター

新保明弘(しんぽ・あきひろ)

新保明弘

しんぽ・あきひろ

1966年生まれ。静岡県出身。
駿河湾から伊豆半島をホームグラウンドとし、ライトルアーでのメバルやアジを狙うスーパーロコアングラー。さらにシーバスやヒラメ、青物をメインとしたオフショアのビッグゲームまでと守備範囲は広く、一年を通して多彩なターゲットを追い続けている。

ラインからロッドを通して伝わるシグナルに集中。聞こえるのは、波の音だけ。

シビアな状況に表情が曇る……

サーフのルアーゲームと言えば、ヒラメやシーバスといった大型フィッシュイーターを連想するだろう。ヒットした瞬間に伝わる大きな衝撃と、大物ならではのパワフルな引きが多くの釣り人を虜にする。しかし、サーフの主役は大物に限らない。小さくとも力強く、そして美しい容姿が魅力の“シロギス”も好敵手だ。

「エサ釣りじゃなくて、ルアーでシロギス?」と思うかもしれないが、近年人工エサの開発が進み、イソメなどの虫エサそっくりな疑似餌“ルアー”として使われるシーンが多くなった。もちろんシロギスの投げ釣りでも活躍しており、活きエサを購入・維持する手間が省けるだけでなく、動く虫エサが苦手な人でも扱えるアイテムとして関心が高まっている。

そんなルアーを使ったシロギス釣りを楽しんでいるのが、駿河湾から伊豆半島をホームグラウンドとしている新保明弘さん。シロギスがエサを求めて浅場まで入ってくる夏~初秋は、近所のサーフへふらりと出かけて楽しんでいるという。

「シロギスって平均10~20cmの小型魚ですけど、ライトなタックルで遊ぶとコレがおもしろいんです。“ビビビッ”と手元に明確なアタリを感じますし、20cm級なら引きもなかなか! PEラインの進化で飛距離も出ますので、2m前後のショートロッドでのチョイ投げでも十分釣れますよ。そしてなにより、食べるとおいしい!」

そう魅力を語っていただき、実際に釣行したのは8月下旬。フィールドに選んだのは、新保さんの自宅からほど近い島郷海岸。穏やかな沼津の湾内に位置しているためか、シロギスの着きも安定しており地元の投げ釣りファンも多く訪れる。

日の出とともに入釣したのは、海岸中央にあるヘッドランド周辺。流れに変化が生じるこのあたりはシロギスの実績場なのだが、すでに先釣者がいたため少し離れてキャストを開始。

波は比較的穏やかだが、数日前に低気圧が通過したため若干の濁りが確認できる。「あまり良い条件ではないな~」と不安を隠せなかった新保さんだったが、この予感が的中。シロギスの気配は薄く、唯一竿先を揺らしたのはフグだった。長居をしても好転しそうにないので、もう少し海岸の北側へ移動してみることに。

  • 島郷海岸中央部から沖に突き出したヘッドランド。流れに変化が生じるため、様々な魚が狙えるポイントだ。周囲に釣り人が多かったため、少し離れた場所から釣り始める。

  • 状況がよくないのかシロギスらしきアタリはなく、時折ハリ掛かりしないほどの小さな魚信がプルルッと伝わる程度……。

  • ようやく魚がヒットしたものの、首を振るだけの単調な引き味……。正体はやはりクサフグで苦笑いの新保さん。ハリを外してそっと海にお帰りいただいた。

さわやかな風にあたたかい陽射し。波の音をBGMにロッドを振るのは爽快だが、そろそろ釣果がほしいところ。

釣果は得られず……。しかし、本命の気配が!?

午後からは島郷海岸を北上し、島郷公園付近に到着。当日は朝から北西風がやや強く釣りづらかったが、ここは牛臥山が壁になり平和そのもの。海の濁り具合に差はないが、風がないおかげで波打ち際は先ほどよりも穏やか。付近に河川の流入もあり、他の釣り人の姿もない。こちらは期待できそうだ。

「ひとつポイントがあります。エサ釣りではじっくり待って喰わせる釣りができますが、ルアーの場合は見破られるためこの手が使えません。よって早めにサビき、思わず飛びつくリアクションで喰わせて掛けるのがベストだと思うんですよね。ちょっとコツが必要ですが、この駆け引きも醍醐味ですよ」

しばらくキャストを繰り返していると、川水の流入でできた潮目のあたりで“ゴゴゴッ!”とシロギスらしき明確なアタリが頻発。しかし、アタリはあるもののハリ掛かりすることはなく、もどかしい時間が続く。

「ん~、シロギスだと思うのですが、ハリに掛かるほど喰い気がないのでしょうか。もしかしたら色? それとも、少しルアーが大きくて喰い込みにくいのかも……。でも、止めたところで喰わないし……。難しいですね~」

そう言って新保さんは、ルアーのカラーを変えたり、タラシ(ハリから垂らすエサ「ルアー」の部分)の長さを変えたりと試行錯誤。すると効果が出始め数回ハリ掛かりしたが、やはり掛かりが浅いのか巻いてくる途中で外れてしまう……。

「巻いてくる途中でハリが外れる……。ならば近距離でどうだ!」と波口に仕掛けを通してみる。するとすぐにアタリがあり、すばやく浜辺にズリ上げた。しかし、正体はチンチン(クロダイの幼魚)……。そしてそのうちアタリも遠のき、残念ながらこの日はタイムアップ。

「思った以上に厳しい状況でしたが、今日の釣りを通して確信しましたよ。近日リベンジします!次は釣りますからね~!!」

本命の姿はみれなかったが、何か突破口を見出した様子の新保さん。魚の活性も上がることを期待して、後日再チャレンジすることとなった。

  • 次に訪れた島郷海岸の北側付近。奥に見える牛臥山の手前には河川の流れ込みがあり、シロギスのほか多彩な魚達のエサ場となっている。

  • 牛臥山がちょうど北西方向にあり、風が遮られて波も割と穏やか。ヘッドランド付近よりもゴミが少なく釣りやすいのだが……

  • 気楽なライトスタイルが気になったのか、散歩中の家族が話しかけてきた。小学生の女の子でも軽々扱えるこのタックルなら、ファミリーフィッシングにもぴったり。

  • 細かいゴミが滞留していた波口付近を探ると、元気なアタリに続いて鋭い引き込み! これはいよいよ本命か?

  • しかし、水面を割って出たのは小さくて平たい銀鱗の魚。この日は5~8cmほどのチンチンが多かったが、まれに30cm近いカイズクラスのクロダイがエサを引ったくっていくこともある。

魚種のバリエーションが豊富なため、水面を割るまで正体が分からないことが多いサーフのチョイ投げ。型のいいシロギスが見えた瞬間は、やはりいつも胸が高まる。

狙い通り! リベンジ大成功

リベンジは3日後。訪れたのは、同じ島郷海岸の北側。1回目の釣行よりも海のコンディションはよく、濁りも薄まっている様子だ。

「前回は朝一番の満潮を逃しましたが、今回はこちらでベストタイムを狙います。潮が上げてくると、それに合わせてシロギスの群れが入る傾向がありますからね。居着きの場合も活性が高まりますし、条件はよいハズ! そして前回思ったのが、ルアーの太さの問題。比較的細めのものを用意してましたが、活性が低すぎて喰い込みが浅くなっていたと思うんです。そこで今日は、さらに細身のものを用意しました。これできっと、掛かりますよ!」

今回用意したルアーは、幅が2mmほどの極細タイプ。前回のものも3~4mmと比較的細いタイプだったが、口が細くて小さいシロギスには大きな差だ。生エサほど喰い込ませる効力がないルアーでは、こういった細かな設定が釣果に影響する。

「そして気をつけたいのが、ルアーのタラシの長さ。細くなった分だけシルエットも小さくなっているので、喰い込み重視でタラシを短くしすぎるとアピールが足りなくなってしまいます。魚にルアーを見つけてもらわないと意味がないですからね。まずは2~3cmと長めに取り、反応を見ながら長さを調節するといいでしょう」

沖に目をやると、この日も川水の流入でできた潮目を発見。フルキャストで仕掛けを投入し、サビき始めた途端に激しいアタリが!

「来た来た! ちょっと乗りませんでしたけど、明らかに活性の高い魚がいますね~。もう一度、同じ場所を探ってみましょう」

そして再び投入すると、すぐさまアタリが出て今度はガッチリとフッキング! エサ取りとは明らかに違う引きに期待を膨らませていると、波打ち際からスラリとした魚影が見えた。

「やりました! 一応、狙い通りですかね。20cmはなさそうですけど、このタックルなら十分ドキドキを味わえますよ。いや~、楽しいっ!」

その後、ポツポツながら同サイズがヒット。喰いが立ったのは2時間ほどだったが、18~20cm級が6尾とリベンジは大成功。

「これでもまだ渋いほう。群れに当たれば入れ喰いもありますし、25cm級がドーンとロッドを絞ることだってめずらしくない。このライトスタイルなら子供や女性でも手軽に遊べますから、家族みんなで楽しめますよ。ぜひ、お試しあれ!」

  • 日の出前は風もなくベタ凪だったが、日が高くなるにつれて西風が強まってきた。波が少々気になるが、細号数のPEラインなら難なくかわしてゆく。

  • 川水の流入でできた潮目を狙うと、一投目から早々にアタリが出た。ゴゴゴッ!という大きな手応えに思わず「うおっ!」と声が出てしまった新保さん。

  • 元気なアタリと引きで楽しませてくれたのは18cmほどの本命。ようやく出会えた海の貴婦人に新保さんもご満悦。

  • 今回使用した極細タイプのルアー。ハリは上アゴにガッチリとフッキングしていた。ポイントや攻め方、仕掛けのセッティングなど、考えが合致した何よりの証拠だ。

  • この日最大となった20cm。これほどのサイズがバタバタと釣れてくれば、満足度はかなり高い。

  • 入れ喰いとまではいかないが、パターンにハマったのかシロギスが連続ヒット。波打ち際でシブキを上げながら踊る姿もまた美しい。

  • 島郷海岸は黒っぽい砂で形成されているため、シロギスの体色もやや黒ずんでいるのが特徴。白い砂地では透き通るようなパールピンクで美しいが、この吸い込まれそうなほど澄んだ瞳は変わらない。

  • 飛距離も稼げるライトな組み合わせ

    新保明弘のシロギスタックル

    PEラインの細号数化により、チョイ投げでも2色(50m)は投げられるようになった昨今。投げ竿のようなヘビータックルである必要はなく、身軽で手返しよくサーフを探り歩こうというのがこの釣りのコンセプトだ。
    チョイ投げであれば、ロッドは5~8フィートくらいのシーバスロッドやショアキャスティング用など、10g台のルアーをキャストできるものが最適。硬めの先調子タイプならアタリが取りやすく、振り出し出しタイプならサーフでの携行性もよい。
    ショートロッドに合わせるなら、1000~2000番サイズの小型スピニングリールでOK。歩いては投げるを繰り返す釣りなので、軽量なものを選ぶとより快適だ。
    他にもさまざまなタイプが使えるが、新保さんは振り出しタイプのショートロッド「ボーダレス ショートスペック 180L-T」に小型スピニングリール「ストラディック 1000S」をセッティング。ラインはPEの0.4~0.6号を巻いている。
    • ロッドは、ボーダレス ショートスペック 180L-T。目を見張るほどの細身ブランクスはスパイラルX&ハイパワーXで強化され、穂先には感度に優れたチューブラーティップを採用。リールシートは高感度でコンパクトなブリッジライクシートを搭載しており、取り回しも軽くて実にスムーズ。 関連商品情報:ボーダレス ショートスペック[BORDERLESS SHORT SPEC]

    • リールは、ストラディック 1000S。「永遠に変わらない巻きごこち」をめざすための設計思想「HAGANE」に基づいてつくられており、上位モデルと遜色のない滑らかな回転を実現。高い耐久性と変わらないフィーリングは、過酷なサーフの環境においても頼れる存在。 関連商品情報:ストラディック[STRADIC]

    • チョイ投げの場合、小型の片テンビン仕掛けが一般的。主に使うウエイトは5~6号で、シンプルなL型などがトラブルが少なく使いやすい。

    • 仕掛けは「チョイ投げ」などと明記してある市販品が手軽でおすすめ。ビーズなどがついた派手なタイプだけでなく、シンプルなものも用意しておりたい。全長はロッドの長さに合わせるが、50~80cmほどのものが投げやすい。

    喰い渋り用に細めのタイプは必携!!

    新保明弘の人工エサセレクト術

    無論アオイソメなどの虫エサがベストだが、暑い時期は保存管理にも気を使う。人工エサであれば数年単位で保存ができるうえ、苦手な人も触れるのが利点だ。また、生分解性の素材を使用したものなら海中で外れてしまっても環境への心配がないのもうれしい。
    数ある人工エサのなかでも、シロギスのチョイ投げにはイソメを模したタイプ(細め)がおすすめ。本物のイソメに近い味(うまみ成分)と匂い(フルーツ系など)を備えたものが多々あるので、場所や状況に合わせて使い分けるのもおもしろい。
    カラーは本物に似せたナチュラル系は必須だが、濁り時や朝夕のマヅメ用にホワイトやピンクなどのアピール系を用意しておくと安心。それでも反応が薄ければ、ハリのチモトに集魚玉を仕込むのも手だ。
    • 見た目も色も本物のイソメそっくりな人工エサ。とにかく動かないのでハリに刺しやすく、匂いもフルーティーなものまであって苦手な人でも大丈夫。必要な分だけ手でちぎるかハサミで切って使うが、余った分も保存が効くので経済的。

    • カラーは、アピール系とナチュラル系の両方を用意しておくのが無難。状況に合わせて使い分けるが、2本バリ仕掛けなら異なる人工エサをつけて反応を探るのが釣果への近道だ。

    • 今回、シロギスの喰いがよかった極細タイプの人工エサ。喰い込みとアピールのバランスを考慮し、2~3cm程度にカットしてハリなりに刺し、1cmほどタラシを出しておいた。

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