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「磯」のとある日

File.04

田村 良

沖磯で狙うアオリイカ

兵庫県美方郡香美町・香住沖磯

手軽なタックルで美味しいイカが狙えることで人気のエギング。ライバルの多い堤防で釣果を得るのは難しくなるが、沖磯なら広々釣り場で釣果も期待大!というわけで、兵庫県美方郡香美町・香住の沖磯でアングラー・田村良さんがエギングでアオリイカに挑む。

ANGLER PROFILE シマノ フィールドテスター

田村 良(たむら・りょう)

兵庫県出身。幼少期は家の前に流れていた川で釣りをして育ち、青年期はバスフィッシングを通してルアーの道へ。二十歳から本格的に海のルアー釣りへのめり込み、エギングでは陸っぱりやボートで各地に釣行する日々を送る。釣り好きが高じ、2016年からは地元豊岡で遊漁船業を営んでいる。

水面にブワッっとアオリイカが登場する様子は、何度見ても心躍る瞬間だ。

アオリイカひしめく山陰香住。初秋の状況やいかに。

日本各地で楽しめるアオリイカのエギングだが、釣り場が豊富で魚影も濃い山陰沿岸は特に人気が高いエリア。中でも兵庫県の香住周辺は、起伏に富むリアス式海岸線が続く景勝地。アオリイカの産卵や摂餌に適したワンドが数多く形成されており、毎年好釣果が期待できるフィールドだ。

田村さんと兵庫県美方郡香美町へ訪れたのは、秋も深まり始めた10月の上旬。まだまだ小アオリが多い時期ではあるが、500g級の釣果もチラホラ聞かれるようになってきた頃だ。

「秋のハイシーズンまでもう少しといったところですが、ボチボチと釣果は出ているようですね。連日のように釣り人が入る堤防とは違って、沖磯は一日経てばノープレッシャーです。沖から新しいイカも入って来やすいですし、釣果を効率よく得たいならおすすめです」と田村さん。

暗いうちから準備を済ませ、船に乗り込んだのは午前6時。この日渡ったのは、船長イチ押しのポイント『西赤島』だ。

船長の話によると、陸側のワンドはアオリイカが着きやすく、春は藻場になるため絶好の産卵場所になるという。ここ最近では釣果が上向き始めており、秋の数釣りシーズンが本格化しつつあるようだ。時期的にサイズは望めないが、数を稼ぎつつ、その中から型のよいイカを仕留めたいところだ。

「朝マヅメはフィーディング(摂餌)の時間帯なので、エサを追って来る浅場から探るのがセオリーです。ですので、こちらのワンドから探りましょうか」

そう言って田村さんは、陸向きのワンドからキャスト開始。水面付近で餌木を左右にダートさせていると、早くも後ろからイカが追ってきた! さらに抱くところまで持ち込んだが、運悪く掛かるまでは至らず。その後もアプローチをかけたが、イマイチな反応……。

「やる気のあるイカが浅場にいるみたいですが、フッキングまでは持ち込めないですね〜。ここはひとまず、周囲の状況を探ってみましょう」

ワンドのポイントを少し休ませておき、周囲の様子を探って回る田村さん。沖からの潮が差して来るであろう水道や沖向きの先端など探ったが、釣れそうな雰囲気とは裏腹にイカの気配すら感じられない。時間的には、下げ潮が4分を過ぎた頃。この状況では沖から回遊してくる個体は期待薄のなのだろうか……。

しばらくして、再びワンドでキャストを開始。すると3杯ほど小ぶりのイカが餌木の後を追い始め、その内の1杯がヒット。200gほどのサイズだったが、とりあえずは釣果が得られて一安心。残りのイカも同じパターンと読んだ田村さんは、この後も同サイズをポンポンとヒットさせる。秋らしい数釣りの展開となってきたが、少しサイズがもの足りない。時期尚早とはいえ、もう一声ほしいのが正直なところ。

一杯目を皮切りに、同サイズが次々とヒット。連発するのは楽しいのだが、もう少しサイズアップしたいところ。

  • 香住東港から午前6時に出船。やはり人気のエリアなのか、エサ釣り師のほかに数人のエギンガーの姿も見られた。

  • 春は産卵場になるほか、エサとなる小魚も溜まるため摂餌場にもなる陸向きのワンド。水深は深いところで10mもない。

  • ワンドでの反応が芳しくなく、東赤島との間にある水道を探ってみる。見るからにアオリイカが入ってきそうな場所なのだが……。

  • ポイントを移動するほか、餌木のサイズやカラーをこまめにチェンジする田村さん。なかなか答えが出ないときは、次々と手を変えかえて探るのが釣果への近道。

  • しばらくしてワンドへと戻ってみると、餌木に後ろからイカの群れが追いかけてくるのが見えた。これはチャンス!

  • 表層で餌木を追いかけてきたのは胴長15㎝前後の200g級。このクラスは撮影後すぐにリリースした。

一杯目を皮切りに、同サイズが次々とヒット。連発するのは楽しいのだが、もう少しサイズアップしたいところ。

隣の釣り人を気にすることなく、広い沖磯を独り占め。実に贅沢な時間がゆっくりと流れる。

一瞬の変化に好期が訪れる。

200g級を3杯上げた後、下げ潮5分の午前9時半を迎える。少しザワついていた海面はまったりと落ち着いてしまい、海から生命感が消えてしまった。ワンドにいた居着きのイカの気配もない。さあ、どうする?

「潮が弛みましたね。ここで悪あがきをしても無駄な努力かもしれませんが、潮流や風向き、ベイトの有無など、わずかな変化でイカの喰い気が上がることが多々あります。それを見逃さないよう、悪条件でも意識を集中させることが釣果へのカギですよ」

普通なら心が折れそうなほど活気のない海況だったが、休むことなくロッドを振り続けていた田村さん。餌木にアクションを加えながらも周囲を見渡し、潮や海中の様子を伺う。

そして潮が再び動き始めた午前10時半、まったりとしていた海面に変化が現れ、陸に向かって右手の方向から潮が差し始めた。それを見逃さなかった田村さんは、すかさず流れがヨレた潮目に向かって餌木をキャスト。丁寧にラインメンディングを行い、わずかな変化にも反応できるよう集中する。するとラインがスッと持って行かれ、合わせるとズシッと重みがロッドに乗った。

「やっぱり来ましたね〜! ハッキリとしたアタリがなんとも気持ちいい。沖から入ってきた個体のようですが、手応えからするとサイズアップしてそうですよ」

慎重にリールを巻き、水面にブワリと浮き上がったのは一回り大きいサイズ。腕にしっかりとカンナが刺さっているのを確認し、ゆっくりと手元へ抜き上げる。

「胴長は20㎝くらい、300〜350gといったところですかね。潮止まりと言って休んでいたら、このチャンスを逃していたかもしれません。集中しててよかったです(笑)」

この日最大のサイズをキャッチ。この後も200g級をもう1杯追加し、今回の釣行では合計5杯のアオリイカを仕留めことができた。シーズン初頭としては、まずまずの釣果と言えよう。

アオリイカ釣りにおいて魚影の濃さと低プレッシャーが魅力の沖磯だが、状況によっては多少シビアな釣りが要求される。もちろん、状況がよければ良型が連発することもあり、堤防にはないポテンシャルがあることは確か。今までにない興奮と感動を味わいたければ、沖磯への釣行をぜひおすすめしたい。

  • ワンドで釣れた3杯目のアオリイカ。数釣りとしては順調だが、なかなかサイズアップができず、少し表情が曇り始める田村さん。

  • イカらしきシグナルを感じたので餌木チェックすると、表面に小さな噛み跡が……。アタリがないからイカはいないと決めつけず、餌木を抱いた痕跡がないかこまめに見ておきたい。

  • 潮流の変化を素早く察知し、潮目に餌木をキャストしたところすぐにヒット! 手応えからしてサイズアップの予感。

キロオーバーはタモ入れかギャフを掛けるのが無難だが、500gに満たない場合は抜き上げが手っ取り早い。その際はカンナがしっかりと腕に掛かっていることをよく確認すること。

キロオーバーはタモ入れかギャフを掛けるのが無難だが、500gに満たない場合は抜き上げが手っ取り早い。その際はカンナがしっかりと腕に掛かっていることをよく確認すること。

この日最大となった同長20㎝、300〜350g級のアオリイカ。春の産卵期に比べれば小さいが、超大型は身が硬いため食味がイマイチ。美味しく頂くなら、これくらいがよい。

TACKLES

軽くて取り回しのよい専用タックルが使いやすい

田村良の秋のエギングタックル

堤防とは異なり、沖磯では多少足場の高い場所がある。ラインメンディングや取り回しのよさを考慮すると、エギングロッドは8フィート以上が望ましい。状況によっては餌木の号数も異なるので、ロッドの硬さは2〜3号に適したライトと、3.5号以上も楽に投げられるミディアムライトの2本態勢が理想的だ。田村さんは『セフィア エクスチューン』のS806LとS803MLの2本を用意している。
リールはスピニングが基本。使用するPEラインが150mほど巻けるもので十分だが、シビアな状況で釣果を得る場合は専用モデルが心強い。田村さんはエギングに適したモデルアイテム『ヴァンキッシュ C3000SDH』を使用。巻き取りが軽いためラインのスラックを自在にコントロールしでき、わずかなアタリも逃さず拾える。また、ダブルハンドルは手を離しても無駄な回転が生じにくく、シングルハンドルのように重みで無意味に回ってしまうことが少ない。ライン操作のシビアなエギングにおいては、こういったことが重要になってくる。
  • 田村さんのメインロッド『セフィア エクスチューン S806L』(上)と『セフィア エクスチューン S803ML』(下)。厳選した軽量素材を各所に採用しており、長時間続くロッドワークの疲労を軽くしてくれる。
    関連商品情報:セフィア エクスチューン

  • 『セフィア エクスチューン S806L』に装着しているのは『ヴァンキッシュ C3000SDH』(左)。『セフィア エクスチューン S803ML』に装着しているのは『ステラ C3000SDH』(右)。ラインは『Mission Complete EX8』の0.6号。リーダーは『セフィアリーダー EXフロロ』の2.0号を結ぶ。
    関連商品情報:ヴァンキッシュ ステラ

  • 釣果を新鮮に持ち帰るほか、食べ物や飲み物の保存にも重宝するクーラーは沖磯必須アイテム。田村さんはロッドレストやトレーなど便利な機能が充実した『FIXCEL LIGHT GAMESPECIALII 300(LF-L30P)』を沖磯釣行で愛用している。
    関連商品情報:FIXCEL LIGHT GAMESPECIALII 300


EGIS

オールラウンダーとマヅメ時に効くカラーは必携!

田村良のエギセレクト術

田村さんが秋の沖磯エギングに持参する餌木は、2.5〜3.5号がメイン。春の大型シーズンは3.5号以上が主体になるが、カラーの選択はどのようにしているのか。では、具体的に見ていこう。
  • この日、田村さんが主に使用した餌木。まずはサイズについて。初秋のアオリイカは孵化してから間もなく、サイズは200〜500gとまだ小ぶりが主体。3.5号でも躊躇なく抱いてくれるケースがあるが、反応が悪い場合に備えて2〜3号も用意しておきたい。ただし、必ずしも小さな餌木がよいわけではなく、シルエットが大きいほうがアピールが効く場合がある。その時の状況に合わせ、各サイズを用意しておこう。
    次にカラーの選択について。田村さんの場合、右の写真にある4タイプを必携している。
    金テープがベースのオレンジ系(上から4番目)は、日中の基本カラー。派手な色はイカへのアピール力が高いほか、人の目でも確認しやすいのがメリット。藻場やカケアガリなど、変化のある場所を目視しながら探るのに適している。
    紫や赤テープ(上から2、3番目)は、朝夕のマヅメ時に有効。活発にエサを追う時間帯には欠かせないカラーだ。
    虹色系(上)は困ったときの最終兵器。様々な色の要素が含まれているので、なんと一杯取りたいときに威力を発揮する。
    また、音でアピールするラトル入りの餌木も効果的。水中では小さな音でもイカへの影響が強く、遠くいる個体にも餌木の存在を知らせることができる。

    セフィア エギザイル ラトル 3.0NR/118 ニジテピンクパープルテール(上)
    セフィア エギザイル 4x4 チューン ラウドネス 3.0号/133 ムラテピンク(上から2番目)
    セフィア エギザイル 4x4 チューン ラウドネス 2.5号/131 赤テブラウン(上から3番目)
    セフィア エギザイル ラトル 3.0NR/116 キンテライムオレンジテール (上から4番目)
    関連商品情報:セフィア エギザイル ラトル セフィア エギザイル 4×4 チューン

FIELD GUIDE

魚種が豊富な沖磯群が連なる、風光明媚な海岸線。

兵庫県美方郡香美町・香住沖磯

兵庫県香美町にある香住の海岸線は、山陰海岸国立公園に属する国の名勝地。香住湾を中心として、東西に複雑な海食岸壁が広がる。山陰地方では特に複雑な地形を形成しており、変化に富んだ環境は様々な魚種を育んでいる。
今回の釣行で訪れたのは、香住海岸前に並ぶ兄弟赤島の西側「西赤島」。この周辺はかつて大岩がゴロゴロと沈んでいた海域だったが、香住港建設のために大岩が使われたため、現在はフラットな岩盤が広がっている。ゆえに根掛かりが少なく釣りやすいうえ、春は産卵場、そして秋は良好な摂餌場となるため、アオリイカ釣り場としては一級ポイントだ。
アオリイカ以外では、春にスズキやメバル、夏はイサキ、秋〜冬は回遊魚やメジナ、マダイなど多彩な魚種が狙える。エサ釣りやルアーを問わず、あらゆる釣りが楽しめる魅力的なフィールドだ。
  • 渡船でお世話になったたじま渡船「ひかあ丸」。気さくな船長が釣り場の詳細を丁寧に教えてくれるので、初心者でも安心して磯釣りが楽しめる。出船は日の出、15時帰港。
    【問い合わせ&渡船】
    たじま渡船「ひかあ丸」 TEL:080-6158-8169
    出船場所=香住東港
    渡船料金=3,000~4,000円

  • 西赤島と陸との間に広がるワンド。水深が浅く流れも緩やかなため、アオリイカの産卵場や摂餌場となっている。

  • 西赤島の南先端付近。東赤島(左正面)と陸(右正面)との間から手前に流れる潮流があり、その流れが緩んだあたりで300g級がヒットした。

  • 西赤島と東赤島(正面)の間にある水道。沖から回遊してくるアオリイカのルートとなる場所だが、当日の反応はイマイチだった。

  • 西赤島の北側先端付近。沖からの潮流もあって雰囲気はよかったが、アオリイカが回遊してくる気配は感じられなかった。

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