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「磯」のとある日

File.01

松岡豪之

地磯で狙うヒラスズキ

宮崎県日南市

磯で狙うルアーターゲットの筆頭ともいえるのが「ヒラスズキ」。一般的なスズキとは趣を異にする銀白色の逞しい魚体は、多くのシーバスアングラーの憧れでもある。そんなヒラスズキを狙って、宮崎県宮崎市〜日南市の地磯を地元アングラー・松岡豪之さんが釣り歩いた。

ANGLER PROFILE シマノ インストラクター

松岡豪之(まつおか・ひでゆき)

1971年生まれ、宮崎県宮崎市在住。京都府に生まれ育ち、ヤマメやコイ、ブラックバスなどの淡水魚釣りを楽しむ。17歳のときに宮崎県へ転居したの機にグレ、チヌ、イシダイ狙いで磯へ足を運ぶようになり、26歳で海のルアーフィッシングに夢中になる。ショア、オフショア問わず海のルアーターゲットをマルチに狙うプロアングラー。

曇天でサラシの広がる絶好のヒラスズキ日和に思えたが、まだ条件がが足りていないのか魚からの反応は遠い。

ヒラスズキは足で釣れ!

とにかく、歩く。「釣り歩き」というより、むしろ「歩き釣り」のほうが正解かもしれない。松岡さんのヒラスズキ釣りは、とにかく歩いて、歩いて、歩きまくるのだ。

松岡さんと宮崎県の地磯を訪れたのは12月の初旬。低気圧に覆われ、初日は一日中雨の予報。波は1〜2m。地磯でヒラスズキを狙うにはほどよい荒れ具合ではあるが、日中の潮位が高く、入れる磯が限られていた。

朝の6時に宮崎市を出て、釣り場の様子を見ながら国道220号を南へと下っていく。日南市の海岸線を左に見ながら、波の様子をちらちらと観察していた松岡さん、突然脇道に入ったかと思うと、砂浜海岸を抱えた大きなワンドの見える場所で車を停めた。

「宮崎県は南北に延びる直線的な海岸線なので、障害物のない砂浜海岸の様子を見ておくと、この周辺のエリアに沖からどれくらいの大きさの波が来ているのか、予想を立てやすいんですよ」

松岡さんの頭の中には、これから行こうとしている有望ポイントがいくつかインプットされている。そのポイントにどれだけの波が来ているのか、どれだけのサラシが広がっているのかを、この砂浜海岸に打ち寄せる波を見てシミュレートしているのだ。

「今日は10時47分が満潮ですが、その頃からまた波が高くなると思うんですよ。沖から風が吹いてくるんで、条件的にはベストなんですが、15時くらいまでが釣りのできる限界かもしれません。雨がどれくらい降るかにもよりますが……」

いくつもの釣り場を見て回り、ようやく竿を出したのは午前10時過ぎ。出発からすでに4時間ほどが経過していた。そして、いよいよここから怒濤の進軍が始まるのである……。

最初に竿を出した日南市の南部のポイントは、小高い場所にある駐車スペースを下ってすぐのところに比較的フラットな磯場が広がっている。磯場へ下りた地点の正面沖に広がるサラシへ、まずは一投。そこからポイントをずらして数投探ると、今度は右へ右へとゴロタ石の海岸線を進んでいく。

そして適度なサラシを見つけて数投しては、早々に見切りを付けてどんどんどんどん進んでいく。そして、しばらくするとUターン。スタート地点を通り過ぎ、今度は左へ左へと突き進む。足が止まっているのは、波を見ながら投げる間合いを計っているときと、キャスト〜リトリーブ〜ピックアップの間だけ。ここで竿を出したのは1時間ほどだったが、その8割は歩行に充てられた時間である。これはまだほんのジャブ。

車でやや北上した次の磯場は、最初のポイントまで10〜15分。そこからさらに歩いて歩いて有望なポイントを60〜90分叩いて回る。これを北上しながら“3セット”も繰り返したのである。そして、気付いた頃にはもう宮崎市まで戻っていた。

  • 最初に日南市の竿を出したポイント。条件的にはよさげに見えるが、松岡さんの狙いたかった場所はもっと沖。潮位とウネリの関係で、あまり前に出ることができなかった。

  • 好ポイントを求め海岸をひたすら歩く松岡さん。フィールドを絞り込み、サラシを読み、足を使ってベイトを探す……この一連のプロセスを経て、初めて釣果へと辿り着くことができるのだ。

  • やや北上して次のポイントへ。点々と頭を出す大岩の周りがいい感じにサラしていたが、ここも反応は一切なし。

  • 全体的にフラットな海岸線が太平洋に向いている宮崎県の地磯は、波が突然ドーンと襲ってくることがある。少しでもイヤな気配を感じたら、即座に後ろへ下がるべし。

波との間合いを見ながら、最良の一投を繰り出すためのタイミングを計る松岡さん。ヒラススズキが喰いつく場所、タイミングを熟知する達人だからこそ繰り出せる居合の一撃だ。

微かな流れがヒラスズキを呼び込む

「今日はここが最後ですね……」

15時過ぎ、洗濯板状の岩が広がる宮崎市南部の磯場に到着。まずは沖に長く延びた先端部を目指し、延々と歩いていく。ここまで、ヒラスズキらしいアタリがあったのは2番目に竿を出した釣り場だけ。松岡さんの分析によると、適度な波っ気があり、曇天〜雨模様の空も条件的に悪くないのだが、潮位が高い潮回りということもあって、下げ潮でもヒラスズキの捕食ポイントとなる場所までサラシが広がりにくく、足下付近しか狙い所がない場所が多かったのだという。

「ベイトはパラパラ見えるんですが、結局は流れですよね。はっきりした流れがあって、もう少し下げの潮がぐぐっと効いたら、サラシが沖に広がると思うんですよ」

波風はあっても、潮の流れがほとんどない状況では、サラシが沖へと延びていかない。今日は潮があまり動かず、それが苦戦の要因になっているようだ。波、サラシ、天候、潮流、潮位、ポイント……ヒラスズキは様々な条件が合致しないと、なかなか釣果を出すことができない。

魚が喰う条件のときに、喰う場所へ、喰うタイミングでルアーを入れる。

言葉にするとたったこれだけのことだが、それを実現するのはなかなかに難しい。だからこそ、ヒラスズキという魚には特別の価値があるのだ。

この釣り場へ来てから、ただでさえ少ない松岡さんの手数が明らかに減っている。

とにかく、ムダに投げない。方々を歩き回ってよいポイントを物色するが、キャストするのは狙い澄ました場所、タイミングでの1〜2投のみ。今日一日歩き回って、「掛かる可能性がある」と思える場所が、かなり絞り込まれているのだろう。

そして、それは突然やってきた。

「来ましたよっ!!」

少し離れた場所にいた松岡さんが声を上げたと思うと、すぐさま白銀の魚体が磯の上に抜き上げられた。歩きに歩き、狙いを絞りに絞り込んで仕留めた、値千金の一尾だ。

「ここはかなり沖に出た場所なので、緩いながらも他の磯に比べて流れが通していました。ほんの数カ所ですが、沖の沈み瀬周りに小さなサラシが出ているところがあったので狙ってみたら……来ましたね〜!」

  • この水道で初めてヒラスズキのアタリがあったが、ヒットには至らず。トレブルフック1本ほどの長さしかない極小ベイトに反応しているようで、ルアーにはほとんど口を使わなかった。

  • ヒラスズキが入っていることはわかったので、より反応しやすい条件のポイントを探してひたすら歩くが、以後反応は皆無。この日最後の勝負を懸けるべく、宮崎市まで戻ることに……。

  • 洗濯板状の岩質が特徴的な宮崎市南部の磯場。今にも泣き出しそうな空模様……残り時間はあとわずかである。

  • 最後の最後にようやく出会えたヒラスズキ。沖に出たポイントのため微かに潮が効いていたようだ。限られたサラシを丁寧に探って引きずり出した嬉しい一尾。

掛けたと思うと、一瞬のうちにポーンと抜き上げてしまう。松岡さんのヤリトリはまさに電光石火の早業。

ミッドダイバーで短距離をきっちり探る

そして、翌日。

昨日と打って変わって爽やかな青空が広がったが、風が強い。

西の強風が吹き荒れる全国的に大荒れの一日で、風裏となる東向きの宮崎県の海岸だからなんとか釣りができそう……といったレベルである。

基本的には海へ向けて吹き下ろす背風になるので、前日の波を押さえる格好になるはずだが、例の砂浜海岸で波の様子を見ていると、かなり大きなウネリが入っている。昨夜によほど東っ気の風が吹き荒れたか、ウネリが外から回り込んでいるのか、いずれにせよ地磯での釣りにはかなり厳しい条件である。

「今日は釣れるかどうかより、まず竿を出せる所があるかどうか。天気もピーカンだし、条件的には昨日よりかなり厳しいですね……」

松岡さんの心配していたとおりウネリはかなり大きく、釣り座の確保もままならない場所がほとんど。最終的には日南市を過ぎて串間市の都井岬周辺まで偵察したが、竿を出せるような所はなく、また大きく戻って比較的波の影響が少なかった日南市北部の地磯で竿を出すことにした。

この場所は比較的フラットな磯場で、ときおり波が這い上がってくる場所があるものの、釣りには支障がなさそうで、すでにフカセ釣り師が数名竿を出していた。

松岡さんは所々に切れ込む小ワンドに狙いを定め、ミッドダイバーで狭い範囲を丹念に探る。すると、結果はすぐに出た。

「来た!」という掛け声のあとに、電光石火の抜き上げ。掛けてから取り込みまで、おそらく20秒もかかっていない。

「まだいますから、見ててください。ここで掛けますよ」

ワンド中ほどにある岩の張り出しを指さすと、引き波のタイミングを見定めてルアーをキャスト。すると、予告どおりにロッドにガツン!と衝撃が走り、またもや一瞬の早業で白銀の魚体が宙を舞った。

「ここはノッペリとした変化のない海岸線に見えますが、他のエリアに比べて全体的に少し沖に出ているんです。だから、フラットな地形に見えていても、潮通しが比較的いいんですよ」

潮の流れは、ヒラスズキに限らず魚の活性を左右する重要な条件。特に磯というフィールドではそれが顕著に表れる。

「水の流動性が生まれればサラシが出やすく、このワンドのようなちょっとした変化に魚が着く。こんな場所を足を使って探し当てるのが、ヒラスズキのおもしろさだと思うんです」

そしてもうひとつ、一日中歩き回ると夕食が格別に旨くなることも、地磯のヒラスズキの楽しさとして付け加えておきたい。

  • 2日目もやはり歩きまくる。磯場へ下り、歩き回って、また上る……を繰り返すうち体が次第に慣れてきて、もっともっと歩きたくなる。地磯歩きは健康にもよいのである。

  • 所々にある切れ込み状のワンドを探っていく松岡さん。ムダな手数は極力打たず、数投するとすぐ次のワンドへと移動する。「いればすぐに来るんですか?」と問うと「いれば来る所に入れてますから」……達人は言うことが違うのだ。

  • そして、最初に釣り上げたのがページ冒頭の写真の1尾で、こちらは2尾目のヒラスズキ。「ここで喰いますよ」と宣言して喰わせた文字どおりの予告ヒットである。

  • 狭い範囲を足下までキッチリと探るには、しっかりと水をつかむミッドダイバータイプがおすすめ。引き波を利用してルアーを泳がせ、狙いのポイントにできるだけ長い時間ルアーが留まるように操作するのがコツだ。

TACKLES

自然条件の厳しい磯場では操作性を最重視

松岡豪之のヒラスズキタックル考

磯のヒラスズキ狙いはサラシが出ていることが前提となるため、基本的に荒れ気味のシーンが多くなる。海が荒れているのであれば、当然ながら風も強い。よって、ロッドは風にあおられにくい、硬めのものが必須となる。
「硬いロッドは強風の中でもビシッとキャストが決まり、遠投が可能。着水地点のコントロールもつけやすく、狙ったコースをトレースしやすいなど、操作性にも優れています。今回使用したエクスセンス S1100H/R “Wild Full Contact”は、私がヒラスズキを念頭に置いて開発に携わったもので、強い向かい風の中でも振り抜けるシャープな調子に仕上げています」
また、磯場では根ズレを避けるためスピーディなヤリトリが必要になるが、そういった意味でも硬めのロッドは魚を誘導しやすく有利に働く。それと同じ理由で、リールも巻き取りスピードの速いハイギアのものが有効だ。
「私がヒラスズキ狙いで愛用するツインパワー4000XGは、ギアが従来より強くなって、瞬間的に巻き込まなければいけないときにも、しっかり巻き込める力のあるリールです。それだけの強度があるのに軽い。軽さは操作性のよさに直結するので、非常に大事な要素です」
松岡さんがタックルに“操作性”を重視するのは、磯という自然条件の厳しいフィールドで、できるだけ釣りのしやすい状況を作るため。思いどおりに釣りができないと、どうしても人は無理をしがち。磯での無理は危険につながる。パワーに余裕のあるタックルを使うのは、安全性を考慮した選択でもあるのだ。
  • 松岡さんの磯ヒラ・メインロッドは『エクスセンス S1100H/R “Wild Full Contact”』。ヘビーパワーのロングロッドだが、硬いながらもしっかりと曲がり、操作性に優れているのが特徴。風の強さにもよるが、ベイトが小さく小型のルアーを多用する際はS1000MH/Rを使用することもある。 関連商品情報:エクスセンス NEWエクスセンス

  • 波の影響を受けやすい磯場では、タフな性能はもちろん、糸フケを素早く取ったり、高速でルアーを回収しなければならない場面に遭遇することがよくある。松岡さんの愛用する『ツインパワー4000XG』は、ハンドル1回転あたり99㎝の巻き上げ量を誇るエキストラハイギア仕様。スプールには強度があり、伸びの少ないPEライン『ミッションコンプリート EX8』の1.5号が巻いてある。
    関連商品情報:ツインパワー ミッションコンプリート EX8

LURES

ミノーを主体に様々なタイプを使い分ける

松岡豪之のルアーセレクト術

松岡さんが磯のヒラスズキ釣りに持参するルアーは、ミノープラグ(フローティング&シンキング)、ミッドダイバーミノー、バイブレーション、ポッパー、シンキングペンシル、メダルジグの6タイプ。では、それぞれの用途を具体的に見ていこう。
  • こちらはミノープラグのグループ。
    まず、パイロットルアーとなるのは左上の『エクスセンス サイレントアサシン 140F AR-C』。遠投性に優れており、どんな場所でもオールラウンドに使える。ヒラスズキが喰って来やすい水面下1mのレンジをテンポよく探るのに向いている。
    ベイトがちょっと小さめの場合は、左下の『エクスセンス エスクリム 119F X AR-C』の出番。表層を激しい動きではなく、スーッと引きたいときに使用する。
    右上の『エクスセンス サイレントアサシン 99S AR-C』は、潮の動きがあまりないときなどに使用。この場合のシンキングは沈めるためではなく、「水をつかむ」ことを目的としたセレクトだ。
    右下の『エクスセンス サイレントアサシン 99F AR-C』は初日のヒットルアー。ベイトが小さいときに登場する喰い頃サイズで、ヒラスズキの型にかかわらず反応がよい。使用頻度の非常に高いルアー。

    メインルアーとなるミノープラグ群。
    エクスセンス サイレントアサシン 140F AR-C(左上)
    エクスセンス エスクリム 119F X AR-C(左下)
    エクスセンス サイレントアサシン 99S AR-C(右上)
    エクスセンス サイレントアサシン 99F AR-C(右下)
    関連商品情報:
    エクスセンス サイレントアサシン 140F・S
    エクスセンス エスクリム 99F/119F/139F X AR-C
    エクスセンス サイレントアサシン 99F AR-C
    エクスセンス サイレントアサシン 99S AR-C

  • 2日目のヒットルアーとなったのが『エクスセンス MDアサシン120F AR-C』。水をつかんでしっかりと足下まで泳いでくれるミッドダイバー系ミノーで、手前で喰わせたいときや、ちょっと潜らせたいときに出番となる。これも使用頻度が高いルアー。

    エクスセンス MDアサシン120F AR-C

  • こちらの3タイプはミノーほどの使用頻度はないが、要所要所で活躍する抑えの切り札的アイテム。
    左上の『エクスセンス サルベージ85ES』は下層を探るために使用するエクストラシンキングタイプのバイブレーション。ひととおり他のルアーを使って、最後の最後に投げることが多い。ヒット率は高いのだが、根掛かりしやすく、エラ洗いなどでバレてしまうこともあるので、あくまでも奥の手として活用している。
    左下の『ブレニアス ライズポップ 65F』はブリーム(クロダイ・キビレ)用のポッパー。非常に小さいベイトを食べていて表層にしか反応しないときに効果的。基本的にはただ巻きで、たまに小さなアクションを加えるとよい。
    右の『オシアペンシル 115HS』はオフショア用のシンキングペンシルだが、磯のヒラスズキ狙いにも有効。重量があり遠投性能に優れていることから、シャローエリアなどを攻略する際に用いる。

    エクスセンス サルベージ85ES(左上)
    Brenious ライズポップ 65F(左下)
    オシアペンシル 115HS(右)
    関連商品情報:エクスセンス サルベージ Brenious ライズポップ オシアペンシル

  • 下の『コルトスナイパー』は、小さなベイトを表層で食べていて、なおかつ遠投が必要なときに使用。速い動きをする小さな物体に反応するときには非常に効果的で、青物が回ってきたときにも活躍する。
    上の『コルトスナイパー フォール』は水深のある所でヒラヒラ落とし、じっくりと見せて喰わせるイメージで使う。

    コルトスナイパー、コルトスナイパー フォール
    関連商品情報:コルトスナイパー コルトスナイパー フォール

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