渇水状態の雄物川。そんな厳しい状況下でランカーを狙うというのが、今回のテーマ。
「河川攻略の基本は、流れの変化や地形変化など、シーバスがベイトフィッシュを捕食しやすい場所を中心に展開すること」
ベイト+流れや地形変化を見つけるのがランカー捕獲への近道?
「あと、タイミング。日本海側は干満差がないので、時合は朝夕マヅメが中心。さらにランカー攻略で大切なのが、他のアングラーが攻められない場所を攻めること。雄物川もそうだけど、川のボトムの形状はとても複雑。極端に浅い場所もあれば、流芯は一気に深くなるし流れも強い。そういう場所のボトムをしっかりと攻めるならサルベージ。70と85なら、サイズは同じで重量が違うものを選べるから、地形変化に対してきめ細かく対応できるので、よく使います」
今回、新しくラインナップに加わった、エスクリムシャローは?
「瀬を越えて、その奥の流芯を狙うような場合、深く潜るルアーだと、瀬のかけ上がりで根掛かってしまう。でも、このエスクリムシャローなら、流芯でドリフトさせてから回収しても、根掛かりしない。しかも、弱い水流でもしっかりと動いてくれるんで、河川でのランカー狙いにはなくてはならない存在のルアーです」
流れと地形変化を味方につけるルアー選択と、ローテーション。これが、今回のキーとなりそうだ。
流芯とその脇にある反転流。ボトムの隆起物に流れが当たって湧き上がり水面が鏡状になる部分など、水面の変化は水中の変化でもある。「地形変化や障害物があるから流れが変化。シーバスにとっては隠れ家であり、捕食場所にもなります」
渇水気味の厳しいコンディションの中、岩盤エリアの岸沿いをダウンでエスクリムシャロー119Fを通してバイトを引き出す。「リップが立ち気味で水噛みが良く、ダウンでは超デッドスローで引いても良く泳ぐ。でも、小さい…!(笑)」
「流芯は対岸寄り。岸際は流れが緩んでいる。そこにエスクリムシャロー119Fをダウンクロスでキャスト。ドリフトさせつつゆっくり巻く。デッドスローでもちゃんと動くので、シーバスもたまらずバイトしたんでしょう。ショートバイトだったけど、新しいロッドのバットパワーでフッキングまで持ち込めました」
「レンジは水面下20~30cmを中心に、サオ先の高さや水の当て方で上下に微調整。細身でもよく飛び、通常のミノーでは根掛かりする障害物をかわしてシャローを攻めることができます」
「通常のミノーでは届かないスポットやエスクリムシャローより下のレンジに入れたいときに使います。大河川の下流域など広大なエリアは140Fの独壇場。広範囲を効率良くサーチできます」
「ミノーよりレンジを入れたいときはサルベージ。小さくても良く飛んで喰わせやすい。波動による集魚効果も高いです。1キャストのリトリーブ中に1、2回底を叩く程度の重さを基準に選びます」
実釣は朝夕マヅメを中心に岩盤エリアや橋脚、瀬の落ち込みなど、流れや地形が変化するスポットを徹底的に回り、鈴木さんの言葉どおりベイトフィッシュが絡む場所では魚信を得たり、実際にシーバスを手にすることができた。
「サイズが…… テーマがランカー攻略。80㎝は釣らないと(笑)。手応えはまだつかめていませんが」
何か原因があるんですか?
「渇水で河川に入るシーバスが少なく、河川内の魚も釣られて個体数が少ない気がします。マズメにベイトが水面に居てもボイルがない」
少ないシーバスをどう絞りだすか? ベイトフィッシュ、流れと地形の変化、釣り人が攻めにくい、の3要素を軸に釣り場を探し、とある橋にたどり着く。
「橋の上流側に瀬があって橋脚に向かって落ち込む。対岸側に何本か流れの筋が走り、浅瀬に流木などが沈んでいるはず。夕マヅメにイナッ子の群れが浮けばチャンスですね」
辺りが薄暗くなりはじめると小魚がもじりだし、鈴木さんが動く。
「エスクリムシャロー119Fでも何かに当たる。普通のミノーは引けない浅瀬を通せるのは強いですね」
橋脚の流れのヨレにエスクリムシャロー119Fを流し込むとショートバイト。
魚は居る。次に橋上流の瀬に遠投。落ち込みから開きに小魚が流されるように巻くと、強烈なバイトがグランドバーサタイラーのティップを曲げた。その数分後、鈴木さんの手に美しい魚体が。
「80㎝には届きませんけど、難しいコンディションの中で狙い通りに獲れた。うれしいですね。秋は台風や長雨で増水して、シーバスが河川内に入りやすく、もっとイージーにランカーが釣れますからね」
鈴木さんの戦略とタックルセッティングを参考に河川で80㎝オーバー。秋のランカーを狙え!
「グランドバーサタイラーの特徴を一言で表すとソフトティップ、ハードバット。適度に張りのあるティップでかけて、パワーのあるバットでしっかりハリを貫くことが出来る。川の流れの中でもかけた魚の動きを制御しやすいです」。 実釣ではサイレントアサシン80Sやサルベージシリーズも多用。 「使用できるルアーウェイトの幅が広く、バイブレーションのリフト&フォールなどルアーの操作性が高いのもこのロッドの特徴ですね」
「河川のデイゲームは、シルバーベースのナチュラルなカラーが効きます。あとアユの多い川ではグリーンバック系も強いです」
雄物川もアユが棲息。70cm超もグリーンバック系のカガヤキカタクチで仕留めた。
瀬の下の開きに小魚がたまり、それを捕食するシーバスが居ると推測。浅いのでシーバスに警戒されないように50m以上の距離をとり、瀬から流れ落ちる小魚を演出。「エスクリムシャローは立ち上がりが良く、流れと同調させるように巻いてもしっかり泳ぐ。見切られずに喰わせることができました」