ハードルアーの秋、バンタムの秋。 山木一人×芦ノ湖(神奈川県) パート2・ラウドノッカー&ジジル編

そろそろトップウォーターのタイミングかな。

「こう水面が落ち着かないと、トップウォータープラグはアピールしづらい」。

前回、そう言ってストレージから取り出したラトリンサバイブ70で、山木一人さんは見事に1尾目をキャッチ。強風で激しく波立つ水面では、たとえアピール力の高いトップウォータープラグでも水面下へとその魅力を伝達することは難しく、まずは水中で存分な存在感と共にアピール力を発揮することで正解を得たのは言うまでもない。その一方で、山木さんがこんなことを語っていたのを覚えているだろうか。

「本来なら僕の場合は水面、トップウォータープラグから投げ始める。魚の反応が見えるし、飽きないからね」。

取材地はクリアウォーターの神奈川県・芦ノ湖。放ったルアーでバスに興味を持たせることができれば、その眼で追尾する姿を確認することもできる。水面に出る瞬間こそトップウォーターの醍醐味とも言われるが、チェイスからバイトへ至るまでの過程もまた実にエキサイティングな時間を楽しめる。

「風が若干弱くなってきたかな? じゃ、そろそろトップに替えてみようかな」。

結果はもはや言うまでもない。2尾目、3尾目をトップウォーターで釣り、再び風が強まるや水中を探るルアーへと切り替え4尾目、そして5尾目。この間、わずかに1時間弱。取材は台風の影響により取材時間の短縮を余儀なくされたが、それをもってしても余りある釣果の応酬。いつもながら取材班は驚きを隠せなかったのだった。

風が若干弱まった瞬間を見逃さずに投入したトップウォータープラグの1つが、このペンシルベイト・ラウドノッカー。当連載初登場。その実力や如何に。

遠投性能とサウンド効果を両立する、マグネット重心移動2ノックラトル

2尾目と3尾目のバスを獲ったのはトップウォータープラグ。3尾目をキャッチしたのはラウドノッカーだ。激しいサウンドでノックする、といった意味を持つペンシルベイト。その由来となる最大の特徴は、独自の内部構造に秘められている。山木さんはルアーを手に持つや前後へとゆっくり振った。カコッカコッと、内部で何かが動き内壁へと干渉するサウンドが聞こえてくる。これが「マグネット重心移動2ノックラトル」という構造なのだ。

「遠投性能とサウンドによるアピール力を両立したギミックだね」。

テール側の内部には3つの高硬度なウェイトボール。1つは最後尾で固定。遊動式の2つがキャストの際には後端へと運ばれることで、より重心が進行方向へと集中するため飛距離を格段に伸ばすことに成功している。遥か彼方で着水するや、遊動式ウェイトの前側1つがマグネットで固定。前後で固定されたウェイトに挟まれた真ん中のウェイトは、アクションする度に前後へと動き、接触した際に乾いた金属的なノック音を発生してアピールするという仕組みだ。

「チョンと1アクションすることで、ウェイトは前にぶつかって、後ろに戻ってぶつかって…と2回のノック音を発生」。

通常よりサウンドを発生する回数は多く、なおかつバスを苛立たせる硬いウェイトの金属音は、遠投した先から広範囲でアピールする際に強い味方となることは言うまでもない。だからこそ、多少波だった水面でも山木さんは躊躇なくラウドノッカーを繰り出し、そして釣果を導き出すことにも成功したのだ。

バスが追ってきたら、止めない。むしろ早く動かす。

水面を見てもわかるように「風は若干弱まった」とはいえ、まだまだ波っ気は強い。風を切り裂き十二分な飛距離を発揮した後、水面で存分なアピール力を発揮するラウドノッカーだからこそ、冒頭画像の1尾を導き出すことができたのだ。

山木さんの操るラウドノッカーは、風による波を乗り越えながらも右へ首を振り水面を滑り、次は左へと続いてと繰り返し、美しい航跡を見せる。これがいわゆる、ドッグウォークというアクション。直進するのではなく、右へ左へとうろつく「犬の散歩」を連想させる動きがペンシルベイトの基本アクションだ。左右への首振りを連続して行うのか、その合間に止めてバスが追いつきバイトすることができる時間を作るのか。それはその日その場の状況次第。自身の赴くままに判断したい。

仮に、バスがチェイスする姿が見えたなら、山木さんはどうするのだろうか。

「止めないよ。むしろ、スピードを速くして、ルアーをじっくり見せないで喰わせてしまう。止めたら、見破られるからね」。

山木さんがよく口にするのが「ルアーは所詮、プラスチックの塊」というフレーズ。自然界にない偽物で如何に、バスの目先を撹乱して見切られないうちに口にさせてしまうか。そこがルアーフィッシングの大前提となるのだと山木さんは言う。これはペンシルベイトに限らず、全てのルアーに共通することなのだ。では、そのラウドノッカーを山木さんはどう動かしているのか。動画でご覧いただくことにしよう。

ラインスラック、つまり糸のたるみを活かすことが基本。一度体で覚えてしまえば、ルアーの航跡を確認せずとも美しいアクションを見せることが可能だ。その証拠に動画の後半、山木さんはルアーを目で追わずカメラ目線でアクションさせている!

ドッグウォークのキモは、糸ふけと上手く付き合うこと。

上の動画は風がやや収まった実釣2日目に撮影。水面の穏やかな場所を選び、ラウドノッカーの動かし方を山木さんは解説してくれた。

まず驚くべきは、その飛距離。軽くキャストしただけで、多くのルアーが到達できるかどうかの場所へと着水しているのがわかる。仮にフルキャストしていたらどうだろう。動画で撮影できる範囲を超えていたに違いない。また現場では微かながら、内部から発するノッキングサウンドが聞こえていたことも付け加えておく。

「動かし方で大切なのは、ラインスラックを出しながらアクションをつけること」。

キャスト後のラインはやや多めに出ているため、通常であれば糸ふけを回収してからルアーの操作が始まる。しかし、ペンシルベイトの場合は、完全に回収するのではなく、やや糸ふけは出しておくことが大切だ。動画を見ても分かる通り、山木さんはロッドを水面方向に向け、ラインは水に浮くナイロンラインを使用していた。チョンとロッドを軽くアオってはハンドルを回転させ、ほんの少しラインを回収して次のチョンへ。この連続動作で水面では、右へ左へと首を振る動作を演出可能だ。

「強く引っ張り過ぎると、ルアーは手前にどんどん進んでしまって、キレイに首振りができないので注意」。

最初はその目で確認しながら、どのくらいの糸ふけで、どのくらいのロッド操作で、ラウドノッカーがドッグウォークするのかを試してみるといい。「慣れるまで練習は必要」と山木さんは言うが、アングラーの入力に対してより素直に反応するため、思いのほか早く上達することができるだろう。その一助となっているのが、アゴ下に込められた独自のボディフォルム、そして絶妙な浮き姿勢をキープするボディバランスなのだ。

エラにも見えるアゴ下のデザイン。アクションを開始するや最初に水を受けるのがこの部分だけに、緻密な設計が施されている。

アゴ下に込められた「釣れる秘密」その1

ペンシルベイトを使ったことがあるアングラーが不満に感じていること。それは、おそらくライントラブルの多さではないだろうか。キャストした先でアクションさせるにはそれなりの糸ふけを出す必要がある。水面を滑るペンシルベイトは勢い余って、進行方向とは逆を向き、そのラインをフックが拾ってしまうことも多い。

例えば、それが水面で小魚を追うボイルの瞬間に投入した1投だったらどうだろう。せっかくのキャストが無駄になる上、回収して絡んだラインを解いて再度キャストしてもそこにもうバスはいない。ラウドノッカーはトータルバランスによって様々なトラブルを回避すると共に、バスがバイトしやすい状態を生み出している。例えば、アゴ下のデザイン。水面を受けて滑らかなスケーティングを見せるであろうことは想像に難くない。しかし、狙いはそこだけではない。

「着水すると、水面では45°くらいの浮き姿勢で、1アクション目に最初に水面に当たるのがこの部分。カップのような働きを見せて、まずはパチッというサウンドを発生する」。

その音は「小魚が水面でごく小さな虫を食べている」際の音をイミテートすることで、バスを引き寄せるのだという。また水面での浮き姿勢は、先に内部構造を解説した通りテール側に重心が集中するため、ほぼ45°となることは明解だろう。

「動き始めたら、水面を滑らかにスケーティング。ただし、進行方向とは逆へ頭を向けるほどではない」。

存分な水面アピール力を発揮しながらも、トラブルは皆無。だからこそ、広範囲からバスを呼ぶことができるのだ。

リアフックは最後端ではなく、なぜかボディ下側に設定。両サイドにはポッパーのチャグウォーカーにも採用された、ごく小さな膨らみが見える。単なるデザインではない。そこには釣るための意味が込められている。

リア部のごく小さな突起。「釣れる秘密」その2

ラウドノッカーのテールフック位置は最後端ではない。やや前方に設定されている。これが意味するのは何か。

「バンタムルアーのトップウォータープラグに関して言えば、全ての腹側フックが突き出ていることに気づくはず。なぜか? 答えは簡単。少しでもバスの口にフックを近づけたいからだよ」。

ポッパーのチャグウォーカー、i字系のジジル、それにトリプルインパクトといずれを見てもほぼ同形状。ラウドノッカーも例に漏れず、テール側フックもバスへと近づけるべく、最後端ではなくやや前方へと配置されたのだ。気になるのは、テール側フックのやや上、ボディにごく小さな膨らみ。見逃してしまいそうなほどごく小さい。振り返れば、チャグウォーカーにも同様のデザインがある。

「そこはあまり気にしなくていいよ。単なる僕の思い込みだから(笑)」。

そう山木さんは言うが、必ず何らかの意味があるはずだ。そうでなければ、製品版に採用されるはずがない。取材班が追求していくと、ようやく重い口を開いた。

「例えばサ、バスが水面に出切らないとか、口先でバイトするような活性の低い時、突き上げるようなバイトの時。こんな小さなポッチだけど、水に対して抵抗となってくれるから水面から飛び出しにくくなるんだよ」。

ボディ両サイドにわずか1ミリ程度の突起。一見しただけでは装飾的デザインにしか見えないが、これにも実は存在理由があった。テスト段階では、これがあるかないかで釣果に差が出たのも事実。アングラーが確実に1尾を手にするための努力をバンタムルアー開発陣が惜しむはずはなかったのだ。恐るべし、ラウドノッカー。恐るべし、バンタムルアー。

<ラウドノッカー用>

i字系ルアーの本丸・ジジルの威力をもう一度

3尾目のみならず、今回の釣行で度々登板して最多釣果をマークしたのが、何を隠そうi字系のジジルだ。このモデルに関しては、当連載でかつて山木さんが2回に渡って、その威力をお伝えしたことがある。まずは、当時を振り返ってみたい。

ジジルが切り拓いたi字系の新境地 パート1

ジジルが切り拓いたi字系の新境地 パート2

巻き始めるや「すっ飛んできた!」と、i字系ならではの本来の威力で仕留めた1尾。ジジルというルアーの本領を垣間見た瞬間だった。

水面直下のi字軌道でバスを引き寄せ、巻きを止めると瞬時にボディをクネらせ再び直線状に戻して浮上する摩訶不思議なi字系ルアーのジジル。追うだけでバイトに至らなかったバスを確実に仕留めるべく山木さんが開発したモデルの1つだ。ワグロックジョイントと呼ぶ独自のジョイント構造がその最大の特徴だ。

一定のスロー巻きを実現すべく、山木さんは人差し指のみでスピニングリールのハンドルを回転。通称:山木巻き。手首を使う不安定な巻き方より、回転半径の小さな人差し指の運動能力に着目して編み出した独自のリトリーブ方法だ。

ジジル使用時に覚えておきたい、微かなヒント

ここでは以前にまだ解説し切れていなかった使い方について言及したい。

i字系ルアーを扱う上で、極細のPEライン+フロロカーボンリーダーを使うことは既に解説した。「フロロカーボン4ポンドの直結でももちろんいい」とは言うものの、山木さん自身がPEラインのセッティングだけを使うのは明らかにアドバンテージがある証拠でもある。

その秘密は「細径だからこそ、軽いジジルでも飛距離を稼げる」こと、「カラー付きで水面に浮くからこそ直線軌道を確保でき、またバイトマーカーとして役立つ」こと、そして「透明なフロロカーボンリーダーが気分的にバイトさせやすくなる」ことを挙げていた。そこにプラスして、今回明らかになったのは、フロロカーボンリーダーの扱い方だった。山木さんはキャスト前に何度も足下で泳ぎを確認することは前回のパート1でもお伝えしたが、それは泳ぎの再確認だけではない。実は「フロロカーボンを水に馴染ませる」という意味もあったのだ。

巻き替えたばかりのラインでキャストした時、また久しぶりの釣行での1キャスト目、水中から伝わるルアーの感触に違和感を覚えたことはないだろうか。前者は新品のためまだ浮力が高く、後者は巻きグセによって、それぞれ浮力が高い状態になっている。何度もキャストしていくうちに、いつも通りの感触になっていくはずだ。山木さんはリーダーをセットする際、ラインスプールからフロロカーボンを「一ヒロ」(=約1.8メートル)分を指でなぞりながら引き出し、胸の前で存分に引っ張ってからPEラインにイモムシノットで接続。無論、巻きグセを排除するための動作だ。

また先のキャスト前の泳ぎ確認のみならず、休憩時はリーダー部分を水面に垂らして水に馴染ませていたのだ。「別にやらなくてもいいよ」と山木さんは言うが、だからこそ存分に釣果を引き出すことができているのではないかと深読みもできる。実に細かい部分ではあるが、ちょっとした配慮がi字系ルアーを活かすキモでもあることを知っておきたい。

「ピーカンベタナギってバスがいなくなるって言うけど、逆に増えるよね。ヨシ、ついた!」。ジジルを追うバスの姿を激写!「喰った! ウッ、うぐぅ…」。残念ながらこの1尾は仕留めることはできなかったが、明らかに50、いや55センチに迫る巨体だった。

虫ルアーにも、高速巻きにも対応のチューニング方法

前回は解説のみに留まっていたジジルのチューニング方法についても言及しておきたい。ワグロックジョイント構造からわずかに後ろ側の背部に、両サイドを貫通するホールがあることに気付いただろうか。浮力を確保するわけでもなければ、単なるデザインでもない。このホールは、ラバーを装着することを前提としたものだ。

「速く巻きたいなら、背中の穴にラバーを1本だけ通す。これがスタビライザーの役割を果たしてくれるよ」。

左右から突き出たラバーが抵抗となり、ボディの揺れを抑制。ジジルが本来持つ直進性能をさらに高めることが可能だ。スローよりファストを信条とするならば、まずラバー装着でキャスト。1段階ギアを上げた巻きスピードを求める際には、ラバー本数を増やしてみるのも面白い。このラバーチューニング済みジジルは、現在山木さんが「最高速用」に使用しているもの。左右に4本のラバーが2センチ以内で飛び出している。絶妙な長さと本数で抵抗を増やし、リアボディの揺れを抑えているようだ。

「やや長めに、5〜6本を通せば虫ルアーとしても使えるね」。

巻くのみならず、岸からせり出した樹木などによるオーバーハング下に着水させ浮かせたまま時にワンアクションなど、木から落ちた虫をイミテートしてみるのもいいだろう。

さて、実釣シーンに話を戻せば、1尾目は水面下のラトリンサバイブ70、2尾目はジジル、そして3尾目はラウドノッカーと続き、「また風が強くなってきたね」と水面下のルアーへと戻すや、即座に4尾目をキャッチ! はたして、お次に登場するのはどのバンタムルアーなのか。乞うご期待!

<ジジル用>