ポイズングロリアス172Hラッシュバーン・カバー攻略に必携の1本 秦拓馬×山口県リザーバーその1

はた・たくま 「俺達。」「ダウザー」等の愛称で知られるプロフェッショナルアングラー。独自の発想で魅せるフィッシングスタイルが人気を博し、近年はバス釣りのみならず多方面のメディアで活躍中。最近ではユーチューバーとしても広く知られる人気者だ。

再び起きた「融合と革命」

「CROSS OVER REVOLUTION」(読み:クロスオーバー・レボリューション)という言葉をご存知だろうか。

バスロッドの開発においてシマノの最先端テクノロジーと濃密なノウハウがジャッカルのバスフィッシング経験値を具現化する「融合と革命」を意味したキャッチフレーズだ。

2010年、バス業界を震撼させた両社による業務提携の後、翌年に初代「ポイズングロリアス」がリリース。日々進化を続ける釣法に対応すべく最新技術を惜しみなく注ぎ込んだ基幹モデルは、2016年にNEWグロリアスとして装い新たに登場。初代から圧倒的な軽量化と感度の向上を図りながらもロッドパワーはシリーズ最強値をマークした2代目は、今季さらなる追加モデルを発表して盤石の布陣を整えつつある。新たなキャッチフレーズがこれだ。

「CROSS OVER Re:EVOLUTION」(読み:クロスオーバー・リ-エボリューション)。

融合による進化は、バスロッド界に再び「REVOLUTION」(=革命)を起こす…。

「ジャッカルシマノウェブマガジン」の開幕を飾るのは、雑誌やDVDやインターネットなどメディアの枠を超えて絶大な人気を誇る秦拓馬さん。はたしてどんな釣りを魅せるのか、楽しみでならない。

秦拓馬に与えられたのは4つのミッション

アングラーに幾つかの任務を与え、ミッションをコンプリートするまでの過程を追っていくのが今回の主旨。フィールドは日本全国どこでも選択可能。秦拓馬さんがそれを確実にクリアすべく、フィールド選びにはひどく難航したという。

「明日からフィールド探しの旅に出ます」。

そう取材班に連絡があったのは、実釣初日から2週間前のこと。取材地での宿泊や移動手段の予約をスムーズに行うため、1週間前までの決定を約束に「探さないでください」と秦さんは旅に出た。

今回、与えられたミッションは4つ。いや、性格の異なる4本のロッドで釣果を魅せることだった。

1:ポイズングロリアス172Hラッシュバーン

2:ポイズンアルティマ174MH-G

3:ポイズングロリアス174XH-SBウルトラボルティズム74

4:ポイズングロリアス176XXH-SBマグナムボルティズム76

上記4つのロッドであれば、使用ルアーに制限はない。とはいえ、各モデルの品番を見るだけでかなりのストロングな釣りが求められていることは想像できるはずだ。

ベイトタックルを意味する「1」、続く2ケタはロッドの全長(フィート、インチ)、そして英文字はパワーレンジ。最低でもMH以上、最強で何とXXHの表記が見える。またハイフンで繋がる最後の英文字は「G」ならグラスコンポジットロッドによる巻きの釣り、「SB」はスイムベイトの略で大型ルアーによるダイナミックな釣りを示唆している。

「山口県のリザーバーに決定しました!」。

旅の末にその地を決め、さらには取材前々日に出発して現地を再び下見。秦さんがこの連載のトップバッターとしての使命を完遂するために、いつも以上に力の入った姿を見ることができたのは言うまでもない。

「ウッドチップマット」上を探るべく手にした1本

取材当日、夜も明けぬうちから宿泊地を出発。外気は熱帯夜を過ぎたものの早朝とは思えぬ生ぬるさと湿気が肌に伝わる。目指すはリザーバーに流れ込む河川、いわゆるバックウォーター。もはや真夏の様相を呈した7月下旬、清流からの冷えた水が注ぎ込む上流部でエサを求めて本湖から上がってきた魚、それも大型に狙いを絞って仕留める作戦のようだ。

現場に着いたのはようやく薄明かりが差してきた頃。まだ手つかずのフレッシュな個体が秦さんを待ち受けている…かと思いきや、想定外の出来事が起きてしまった…。まさかの先行者。我々が準備を始める以前に、釣り場へと向かっていくアングラーの後ろ姿を目撃。

「思ったより魚のテンションが低いですね…」。

魚が遡上できる再上限となる落差の激しい落ち込み下。河川で例えるなら堰堤の下で、ビッグベイトから大型スピナーベイト、そして表層系ハードベイトへとローテーションするもバイトには至らず、バイト寸止め状態もしくは浅いバイトが続く。クリアウォーターかつ水深は浅いだけに、激しい流心部や岩陰以外は偏光グラス越しに水中は丸見えだった。

「4回追ってきたのが見えた! けど、掛けるまでに至らない…」。

釣り場に入った2番手の悲劇か。幸先の良いスタートが切れず、1時間ほど攻め手を替えて挑むも答えは出ない。

「少し下ってみます。フロッグ場です。そこで(釣果を)逃したら、このロッドはもう他に出番がない」。

そう言って向かったのは、下見の段階で見つけていた「ウッドチップマット」。立木と流木、そして流れ着いた木屑で水面を覆うカーブのインサイド側。水深は浅いが、その下には確実にシェードを形成している。足場はアウトサイド側。インサイド側、つまり対岸の岸際を探るには飛距離が必要なのは明白だった。

172Hラッシュバーン、PE4号を組んだフロッグ用に投入

「何せビックリするくらい軽い! 初代モデル以上のパワーと操作性を持ちながら、およそ20グラムも軽くなってるんですよ! 存分なレングスなので飛ばす釣りにも最適です」。

「ラッシュバーン」のサブネームを持つポイズングロリアス172H。秦さんは今回、ミッションクリアのためにフロッグロッドとして投入。

「テキサスやジグの1/2オンスクラス、キャロにも抜群。カバー周りに特化したロッドと考えていいと思います。その際はフロロカーボン16ポンドが主軸ですが、今回のフロッグはPE46ポンド(4号相当)を組みました」。

濃密なカバー上であれば55ポンド(5号)、大型バスが潜むビッグレイクのウィードマットであれば65ポンド(6号)を選択するが、今回狙うのはそれらに比べて「シャローの水面にフワッと乗ってる程度なので」と「若干細めになることで飛距離アップにも貢献できる」と46ポンドを選択。秦さんはロッドのみならず、リールやラインの選択に実に細やかな気配りを見せる。釣りだけを見ればストロングに他ならないが、そのタックルセッティングは殊の外に繊細なのがわかるはずだ。

「昨日はココ、水が流れていたんですが…今はほぼ流れていない…」。

朝イチの最上限では「乗り切らない活性の低さ」に続き、ここでもネガティブ要素が懸念された。しかし、秦さんに不可能はない。

遠方のバイトを確実に掛け、カバー周りで主導権を握るために

対岸の岸際には比較的広く濃いマットが広がる。手前に近づくに連れて、マットは薄くなると共に幾つもの塊へと分散。通常なら勝負は対岸側の濃い方に分があると踏むだろう。なぜならマットがフロッグのシルエットを水面下へと明確に伝達することを遮り、正体不明のままに蠢くマット上の存在にリアクション的にバイトを誘発させやすいからだ。しかし、1尾目は先のフロッグ画像が動いている場所、まさにそこでバスは水面を割ったのだ。

「イェーーーーー! フロッグ1本目!! まさかの場所で出ましたね! 通常ならもう出ないやろと思ってピックアップしちゃう寸前ですよね」。

マット上では出ずにオープンを過ぎ、再びマットに到達する寸前でのバイト。フロッグではあまりお目にかからないヒットシーンだった。

「追ってきてようやくバイトできたのか、手前の小さなマット下にいたのか、水中の真実はわからない。ただ流れもないので活性は低いだろうということ、それに今日はミスバイトも多いことを考えてバイトがあった瞬間、これでもかというくらいラインを送り込んでから渾身のフッキングを決めました」。

秦さんは「油断していた(笑)」とは言うものの、目の前に広がるフィールドの条件、そしてそれまでの傾向を瞬時に判断して身体が動いた。これがメンタルとフィジカルが直結する「身体のキレ」というものだろう。秦さんは今まさにバスプロとしての旬、最高潮に到達していると言っても過言ではない。

マット上で軽快な首振りとポッピングで水面下に潜むバスへとややスローにアピール。マットを過ぎ、オープンウォーターに進むや速めの動きで見切らせず、再びマット上でスローに…というのが、この日の秦さんのフロッグ戦略だった。

さらなる172Hの切れ味を見せた、フロッグ2本目

「1尾目、何か変な場所で出ましたね。なんでやろ?」。

そう言いながら、もう数キャスト。反応はない。そしてまた忘れた頃にフロッグの後方でモワンと水面が波を打つ。

「あ、これは下(=水面下)に(バスが)付いてるかも」。

しかし、そのままアピールし続けても2度目がない。

「今度も、もう回収しようかなと思うくらいのところ。マット上ではなくオープンなところで出そうになりましたね。出切らない…」。

やや下流へと下り、水面を望むと不穏な気配が漂う。

「あ…アオコや。この暑さに加え、流れも止まってたらそりゃアオコも湧き始めますよねぇ。バスの活性が今イチ低いのは、そのせいなのかもですね…」。

水面では帯状に、水中では粒子状に現れる緑色の物質。正体は夏場など水温が上昇した際に増殖する植物プランクトン。魚に対してルアーのシルエットを曖昧にするフィルターと考えれば、アングラーにとってアオコはポジティブ要素になる。しかし、通常流れがある場所、なおかつクリアな水質の場所に突如現れたばかりのアオコはおそらくは活性を下げるのではないか。何事の環境変化にも弱いとされるのがバスという生き物。前日から急激に変化した初日である当日は活性が下がったと見るのが妥当だろう。

「マット上でアピールして気付かせると考えていたからこそブラックベリーを使っていましたけど、どうやらオープンでも辛うじて気づいたバスだけが出てくるという感じがしますね。強いシルエットを出す必要はもうないんじゃないかと」。

秦さんはPEラインの先に結ぶフロッグをブラックベリーからパールベリーにローテ。激しいアクションによるアピール力はそのままに水中への視覚効果を弱めたのだ。結果は、即座に、出た!

ロッドを水面方向まで倒した後に渾身のフッキング! ロッドを立てながらの超速巻きで瞬時に魚を浮かせ、水面を波乗りするかのように魚を引き寄せた秦さん。腰を痛めた話はもはや過去の出来事。その均整のとれた体幹が完全復活の証だ。

1尾目を獲ったのは視認性の高いピンクバックに、水面下へシルエットを強くアピールするブラックベリー。秦さんは釣れたカラーを使い続けるのではなく、ヒットした条件を加味してチャートバック&パールベリーにローテーションして釣果を重ねた。

ベストなタックルセッティングが確実な結果を約束する

「今回は結果的にカラーローテーションによって、シビアに結果が現れましたね」。

取材後に秦さんがこう語った通り、実はカラーで結果に差が出たのはフロッグ攻略だけではない。後に続く実釣編でその一部始終はご確認いただきたい。

フロッグを軽快に操り、カバーに負けず、魚にも主導権を与えないカバー攻略ロッド・ポイズングロリアス172Hラッシュバーン。PEラインの強度もさることながら、セッティングしたベイトリールがロッドの特性をさらに際立たせたことは間違いない。普段、秦さんは多くの釣りでDC(=デジタル・コントロール)リールを使い、「トラブルレスな性能と圧倒的な遠投性能を味方に付けることが多い」と語る姿を度々目にしてきたが、ここではメタニウムMGL XGを使用している。

「フロッグって、手首を使ってロッドでトゥイッチを激しく何度も繰り返し、ルアーに生命感を与えてバスにバイトさせる釣り。だからこそ、より軽量なリールで手首への負担を最小限に抑え、軽快な操作性に繋げています」。

その自重、175グラム。ラッシュバーン(120グラム)にセッティングしても、350ミリリットルのペットボトル飲料にも満たない圧倒的軽量感。だからこそ、水面上で美しいドッグウォークやテーブルターン、時にはポッピングを魅せることも可能なのだろう。

秦拓馬流、ギア比と巻き手の選び方とは

「XG」の表記はエクストラギアを意味するギア比8.5の高速ギアで、ハンドル1回転で91センチのラインを回収可能。複雑なカバー際で掛けた魚に走られることなく、瞬時の高速回転で顔を手前に向かせると同時に水面まで魚体を浮かせてしまうのだ。ここでは右巻きを秦さんは使用しているが、用途に応じて左右を使い分けていることを付け加えておく。

「フロッグはトップウォーターの釣りなので、水面に出たらひと呼吸おいてのフッキングが基本。ただし、マット上やカバー周りの釣りになるので、掛けたら瞬時に引き剥がして主導権を握ることも大切。右巻きでパワフルな回転を重視します」。

172Hラッシュバーンの場合、テキサスやジグでの釣りも守備範囲。手返しよく撃ち続けることがキーになるため、秦さんは左巻きにスイッチするという。

「ただし、複雑なウィードを撃っていく場合は右巻き。これもまたフロッグと同様にパワー勝負になるので、右利きの方なら右巻きの回転スピードのほうが確実に速いはずです」。

RIGHTか、LEFTか、使い方は様々。秦さんの解説を今後の参考にするのもいいだろう。

次回は「1ランク上の巻きのバーサタイルロッド」で秦さんが引き続き山口県リザーバーのバックウォーターを攻略。アッと驚く釣果にぜひご期待いただきたい。

<フロッグ用タックル>

●ロッド:ポイズングロリアス172H ラッシュバーン

●リール:メタニウムMGL XG

●ライン:PEライン46ポンド