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強豪対決を制したホバリング操作に迫る
友松信彦、ジャパンカップV3への道のり

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現在のトーナメントシーンで一目も二目も置かれる名手のひとりが友松信彦さんである。24歳にしてシマノジャパンカップの頂点に立ち、先頃行なわれた第34回大会では、数々の強豪に打ち勝って3度目の栄冠をつかむ。「ジャパンカップが自分の釣りを進化させた」と語る友松さんの釣技とはどんなものか。今回は強豪対決での奮闘とその釣技を後押しする強力なロッド、リールに迫る。

ホバリング操作で制した
運命の強豪対決

改めて友松さんがV3を達成した道のりを振り返ると、今大会の抽選では運命としかいいようのない強豪戦のカードを引き当てた。第1戦はディフェンディングチャンピオンの田中修司さんと、第2戦はこれまで全国大会で2度対戦し、いずれも敗れている平和卓也さんと激突する。田中さんも平和さんも友松さんと同じく2度の優勝を経験しており3者は揃ってV3が掛かる大会だった。友松さんは対戦相手を意識するより「目の前のグレに集中すること」だけを考えた。前釣りもしておらず、海の状況は分からない。短時間で答えを出すためには1投1投のデータを読み解き、釣りを大事に組み立てなければいけない。


日の出とともに熱戦の幕が上がる。

初戦の舞台はサザエ島の長瀬。海に向かって右が浅いワンド状で、左は足元から水深が20m以上に落ち込む。本命は左だが優先権のある友松さんはグレとの距離が近い浅場を選択した。田中さんのエサが効いた後半に本命を攻めようという目論みもある。結果的に友松さんのスタートダッシュは速く、25cmクラスを数尾釣りあげると沖の潮目を攻める。トロトロと当てる潮なので、その潮目より沖に遠投。DVCシリンダーを限界までマイナスにしたTYPE-Dの000号を一気に沈める。ラインを巻き取りながら手前の潮目を探り、張っては緩めてタナをホバリングさせていると快心のアタリを得て、40cmクラスの大型を取り込んだ。前半リードで折り返すと後半に立った本命釣り場はイサキが乱舞し苦戦する。その間に田中修司さんが大型を掛け始め、猛追態勢に入るかと思われたが友松さんは後半に貴重な大型を手にして白星で初戦を飾った。

初戦からディフェンディングチャンピオンの田中修司さんと激闘を繰り広げた。

その後の試合もあらゆる局面でホバリング操作が威力を発揮した。

ホバリング操作で小さなアタリを掛け取るとプロテック1.2号が美しい弧を描く。

平和卓也選手、藤原実浩選手、堀尾英輝選手、富永勝美選手と続く4戦すべてをリードした試合展開で勝ち抜くと、決勝の舞台に駆け上がった。

2試合目の対戦相手は平和卓也さん。
終始試合をリードした友松さんは運命の対決を制す。

3試合目は強豪・藤原実浩さんと対戦。
上がった磯では良型がなかなか釣れなかったものの、数でいえば圧倒的に友松さんが釣り勝ち202gの僅差で勝点を重ねる。

決勝の対戦相手は若手トーナメンターとして古くからよく知る竹石航太さん。

竹石航太さんとの決勝。
互いに神奈川県在住で若かりしころから交流の多かったトーナメント仲間との対決となった。

洗練された無駄のない釣りを組み立てる実力者だと知る友松さんは気を引き締めて挑む。桧舞台となったサザエ島の平瀬は過去の大会で友松さんは経験したことがあった。複雑な潮が渦巻くことから非常に釣りにくく苦手意識もあった。特に上げ潮が走りだすと沖に向かって左の釣り座は湧き上がる当て潮となる。優先権を持つ友松さんはまだ潮が緩いうちに釣る目的で左の釣り座に立った。しかし、試合開始と同時に上げ潮が強く流れ始めた。先に掛けたのは友松さんだが足の裏サイズ。今度は竹石さんが優に40cmを超える大型を取り込んでリード。しかし、友松さんは冷静だった。磯際近くの潮目でも良型のグレが湧く瞬間がある。実は予選5試合目でも同じようなシチュエーションがあり、当て潮を釣るヒントを得ていたのだ。20mほど沖に投げ込んだ仕掛けを当ててくる潮に合わせてリーリングし手前に運ぶ。磯にぶつかり生じる潮目で喰わす戦術だ。ウキが速くシモりすぎないようにDVCシリンダーを調整し、絶妙な浮力を見つけると立て続けにグレがヒット。そして当て潮が緩まった一瞬、わずかに沖に動く潮をとらえた。モゾモゾと動いたライン変化を見逃さず、大きく合わせると愛竿「プロテック」1.2号が満月にしなる。数分間の攻防の末に浮上したのは、45cmはあろう大型だ。


当て潮となった左の釣り座で快心の大型をキャッチした友松さん。

前半終了間際に竹石さんが再び40cmクラスを掛けたが、友松さんは落ち着いて後半に7尾を揃えるリミットメイクを達成。友松3983g×竹石2688gで表彰台の頂点に上り詰めた。

良型を2尾揃えた竹石さんに対し、40cmオーバーを含む7尾のリミットメイクを果たした友松さん。

信頼のウィナーズロッド
『プロテック』

ウィナーズロッドは「プロテック」1.2号。友松さんがサオ性能で常に求めているのは魚が暴れない調子である。
「根に付く魚は青物のように常時スピーディーに走るわけではありません。瞬間的に力強くダッシュしますが、ある程度のところでヨタヨタと泳ぐようになります。このヨタヨタ状態にいかに早く持ち込むかが、私が考えるサオのよしあしの判断基準。サオが粘ると暴れない。ただ曲がりっぱなしでもだめ、ちゃんと寄せるだけの反発力も必要です。魚が100%の力を出す前に浮かせることができれば、磯際のやり取りも恐れることはありません」

海中に突き刺さる穂先。
弧を描きながら粘り強く魚を浮かすことができるのがプロテックの真骨頂。

必要なのは粘り。友松さんの表現ではプロテックは「限界地点が分からないほど曲がる」。粘って寄せることができるのである。今大会の上位3名(2位の竹石航太さんは1.2号、3位の田中修司さんは1号)が共通してプロテックの細番手を愛用していることからも、信頼性の高いサオであることはうかがい知れる。


今大会上位3名の愛竿がプロテック。友松さんは1.2号を使った。

SUTブレーキでやり取りが楽に
『BB-Xテクニウム』

そしてリール。愛機「BB-XテクニウムC3000DXG S LEFT」は友松さんが磯釣り用リールで絶対に必要という「高い耐久性」があるのはもちろん、SUT(スット)ブレーキの採用でこれまでの何倍もやり取りが楽になったと話す。

SUTブレーキ以前と以降でやり取りが180度変わったという友松さん。
愛機はBB-XテクニウムC3000DXG S LEFT。

「昔はラインを出したら切られると思っていました。それがSUTブレーキを使うようになって恐れずラインを出すようになりました。SUTブレーキ以前と以降では、やり取りの仕方が180度変わったといってもよいくらいです」
レスポンスよくラインが出せるSUTブレーキは魚が加速する初期段階で「スッ」とラインを送ることが可能で、一気に釣り人が有利な位置までサオを起こせる。魚が100%の力を発揮する前に対応できると、極度なラインの引っ張り合いにはならない。ラインが張り詰めた状態でやり取りをしなければ、根にハリスが擦れても切れにくいのである。

ジャパンカップで進化し続ける
友松さんのグレ釣り

進化し、より洗練された友松さんの釣技を強力なアイテムが後押しした今大会。歴史を刻んだV3の名手にさらなる目標を聞いた。
「ジャパンカップは格別な舞台です。私はトーナメンターとしてよく紹介されますが、近年出場している大会はジャパンカップのみ。グレが濃く豊かな五島の海で味わう真剣試合があってこそ、そこに照準を合わせて普段の釣りも真剣になり、新たな発見も生まれます。連覇ができるのは優勝した年だけ。これからの1年はさらに完璧な釣りができるように腕を磨いていきたいです」
ジャパンカップがある限り、友松さんのグレ釣りの進化は止まらない。

友松信彦
シマノインストラクター
友松信彦

1983年生まれ。
兵庫県神戸市出身で近畿大学進学後はメジナの生態学を研究。そのころ磯釣りにのめり込んだ。
2010年に神奈川県横浜市に移住。現在のホームグラウンドは伊豆半島周辺。

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