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革新をもたらした磯アイテム活用術を大公開
友松信彦、ジャパンカップV3への道のり

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現在のトーナメントシーンで一目も二目も置かれる名手のひとりが友松信彦さんである。24歳にしてシマノジャパンカップの頂点に立ち、先頃行なわれた第34回大会では、数々の強豪に打ち勝って3度目の栄冠をつかむ。「ジャパンカップが自分の釣りを進化させた」と語る友松さんの釣技とはどんなものか。今回はその釣技を支えるライン、ウキ、ヒシャクに迫る。

小さなアタリを掛け、獲るための新戦力
PEライン0.6号+DVC TYPE-D

2度目の優勝から6年の月日が流れ、友松さんは35歳で3度目の頂点に立った。この間に全国大会には4度勝ち上がり、うち2016年と2017年は4位で惜しくも表彰台に立てず。しかしその間に釣技はさらなる進化を遂げた。「より小さなアタリをとる」ことを意識するようになったのである。それは2013年と2017年に優勝した田中修司さんと2012~2017年まで6年連続で全国大会に出場し2016年に準優勝を成し得た小谷さとしさんの影響もある。2人はラインがモタレ、わずかに弾かれ、わずかに震える、そんな小さなアタリを掛け、獲る釣技を展開した。友松さんは’16年に小谷さん、’17年に田中さんの決勝戦を観戦し、アタリの取り方を自身の釣技でも応用し始めた。そして進化した釣技に革新をもたらした新戦力がいくつかある。

小さなアタリを出し、沈めたウキのホバリング操作を容易にする新戦力が「リミテッドプロ PE G5+ サスペンド」。
0.6号を愛用する。

リミテッドプロPE G5+ サスペンド 0.6号活用術

1つは「リミテッドプロPE G5+ サスペンド」。磯釣り専用PEラインの「0.6号」を道糸にする。

友松さんのラインシステムは道糸PE0.6号→ナイロンショックリーダー2号5m→フロロハリス10m。

強度の高い極細PEは遠投性能が高いのはもちろん、格段に水切りがよいのがメリット。上滑りする潮や横風でラインが膨らんでも、抜群の水切りで喰い込みをさまたげにくい。それは取りも直さず仕掛けがポイントからズレにくいことにもつながる。そして今大会における友松さんの操作で目立っていたのはラインをほとんど送らないことだろう。

「今回の五島は小さい潮回りのせいか、非常に潮が緩かったんです。島と島の間の水道周りの磯を除けば、仕掛けがブンブンと流れることがほぼなかった。こんな時に沈め釣りをすると、ウキが速く沈みすぎてタナを通過してしまうことが多々あります。仕掛けを水中に入れてもなるべく一定のタナに粘らせる、仕掛けがホバリングするように心掛けていました」
このホバリング操作をするにはウキの浮力調整はもちろん、ラインの張り加減が極めて大切な操作となる。今大会では潮の動きが緩慢だったことで、ラインを送りすぎずに張りを強め、仕掛けをある程度浮き上がらせるような操作を織り交ぜた。

もちろんこの操作はナイロンの道糸でも可能だ。しかしPEに比べナイロンラインは水切り抵抗が強い。張り加減によってはラインの重みと抵抗で仕掛けが手前に引かれすぎ、タナに留めておくことが難しくなる。だから適宜ラインを送り込む必要も生じる。素材が軽く、水切りのよいPEだからこそ、ラインを送りすぎずとも絶妙な張り加減を調整でき、沈めた仕掛けをホバリングさせやすい。なお、誤解せぬように付け加えるとラインを常時張り続けているわけではない。あくまで張っては緩め、タナをキープしている。前述の「“レギュラー”な動きの中の“イレギュラー”な付けエサの動き」がこの操作でも生じるとイメージしてほしい。

水切りがよく糸フケを最小限にし、張り気味に操作できるPEは小さなアタリを取りやすい。よって、これまで表現できなかったアタリが出てアワセも決まった。これも優勝の原動力と友松さんは断言する。

そのラインシステムはPE道糸とハリスの間に「リミテッドプロ ナイロン ショックリーダー サスペンド」を介す。道糸PE0.6号→ナイロンショックリーダー2号5m→フロロハリス(リミテッドプロ マスターフロロ タフマッド)10mという具合である。ショックリーダーは高切れを防止し、魚が暴れすぎるのを抑制する。また5mとサオ1本分ほど長さをとれば、磯際ではリールにPEが巻き込まれた状態になる。つまりナイロンの道糸と同じ感覚で釣りができて安心感も増す。

PE使いで最もリスキーな高切れを防止すべく、ドラグはズルズルのかなり緩めた状態にするのも決め手。小さなアタリに集中すると合わせも強くなりがち。強い力が瞬間的にラインに掛かれば高切れもしやすい。だから掛けるまではドラグを緩め、やり取りの最中に締め込むのがベター。唯一の発展途上が結束法だ。友松さんはPEを使い始めた当初は「電車結び+ハーフィッチ」でPEとショックリーダーを結んでいたが、現在は自宅で結ぶ時は「ノーネームノット」、現場では「トリプル8の字」で時短結束を行なっている。

コアゼロピット DVC TYPE-D活用術

PEとともに釣技の進化に一役買ったのが「コアゼロピット DVC(ダイビングコントロール) TYPE-D」である。今大会の主力となった浮力は000(トリプルゼロ)。

下膨れでどっしりとした「コアゼロピット DVC TYPE-D」は沈め探り釣りにマッチする形状。
今大会では000(トリプルゼロ)号がマッチする場面が多かった。

DVCシリンダーを回すだけで-G5まで無段階で浮力調整が可能なハイテクウキだからこそ、沈めた仕掛けのホバリング状態を簡単かつ手早く演出できた。実際、予選から決勝まで、潮の加減に応じて頻繁にDVCシリンダーを回し浮力を微調整していた姿が印象に残る。


DVCをフル活用し、ホバリングしやすい適合浮力を見つけ出す。

友松さんは自身の釣りを「ウキに最大限の仕事をしてもらう釣り」と語る。サオさばき、ライン操作以上にウキが担う仕事が大きいのである。ウキは沈めて使うが、付けエサを上に持ち上げ、ハリスを張るだけの余浮力は必ず残す。そうしてウキごとタナを漂わせる。潮の速さや流れ方に応じて微妙なシブシブ浮力に調整することが極めて重要で、DVCで対応できない状況なら、ゼロピットでウキを即座に交換する。限られた試合時間でイトを切らずに交換できるこのシステムは実に強力な戦力なのだ。そして今回愛用の「TYPE-D」は下膨れで体積があり沈下が遅いのと潮をつかみやすい。まさに友松さんの釣りに、ベリーベストな形状のウキなのだ。

ファイアブラッド
コンペエディション遠投ヒシャク活用術

遠投を主軸に釣りを組み立てる友松さんにとってヒシャクは腕の一部ともいえる重要なアイテム。沖にグレを寄せ集めるには第一に大量のコマセを打ち込むことが不可欠。疲労を軽減し、手首に負担の掛かりにくい撒き方を追求した結果、ヒシャクを止める「止め打ち」ではなく「振り抜き」がよいことを長年の経験からつかんだ。そして今大会で使用した「ファイアブラッド コンペエディション遠投ヒシャク」は振り抜くコマセワークを実に行ないやすいという。

遠投釣法はヒシャクが命。愛用するのは「ファイアブラッド コンペエディション遠投ヒシャク」。
友松さんはコマセを止め打つのではなく振り抜いて飛ばす。

このヒシャクはシャフトに対し後方9度に角度が開かれた軽量カップを採用している。


9度に開かれたカップがコマセにホップ回転をかける。

振り抜いた瞬間にコマセにホップ回転が掛かるのと、ブレにくく反発力が強いシャフトによって飛距離もぐんと伸びて正確にコントロールもできる。


グリップ上部は人差し指で支え、中指から小指の3本指で押しやすい形状。テコの原理が活きて軽い力でコマセが飛ぶ。

今大会の決勝時の前半戦は正面からの風向かいで釣ることになった友松さんだが、難なくコマセを飛ばすことができたのはこのヒシャクによるところも大きいだろう。

友松信彦
シマノインストラクター
友松信彦

1983年生まれ。
兵庫県神戸市出身で近畿大学進学後はメジナの生態学を研究。そのころ磯釣りにのめり込んだ。
2010年に神奈川県横浜市に移住。現在のホームグラウンドは伊豆半島周辺。

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