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"完全試合"を成し遂げた釣技を徹底解説
友松信彦、ジャパンカップV3への道のり

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現在のトーナメントシーンで一目も二目も置かれる名手のひとりが友松信彦さんである。24歳にしてシマノジャパンカップの頂点に立ち、先頃行なわれた第34回大会では、数々の強豪に打ち勝って3度目の栄冠をつかむ。「ジャパンカップが自分の釣りを進化させた」と語る友松さんの釣技とはどんなものか。その真髄に迫る。

ジャパンカップで覚醒した
遠投+沈め探り釣り

「初優勝より2度目、さらには2度目よりも3度目の優勝のほうがうれしい」

34回目となったシマノジャパンカップ磯。
友松さんは3度目の頂点に立つ。

そうインタビューで語った友松信彦さん。2018年11月17~18日、五島列島福江地区の磯で繰り広げられた第34回シマノジャパンカップ磯(グレ)釣り選手権。予選5試合と決勝の6試合を全勝し完全試合でV3を成し遂げた釣技は、ジャパンカップで生まれ、進化してきたといっても過言ではない。釣技の根幹を成すのは「遠投+沈め探り釣り」である。

沈め探り釣りの精度を上げた友松さん。
遠投し沖の潮を攻略する「沈め探り釣り」に磨きをかけ続けている。


沖に集めた良型グレのタナを探り当てると、凄まじい爆発力で釣果をだす。
今大会予選5試合の総釣果は21,574g。
田中修司さんの22,628gに次ぐ2位。

初優勝は24歳(2007年)の時だ。全国大会初出場で挑んだ五島列島の桧舞台で予選3試合目に友松さんの釣技は覚醒した。対戦相手が遠投で良型グレを連発し、友松さんは磯際に見えるグレを何とか喰わせようと四苦八苦していた。リードされたまま後半戦に折り返すと、友松さんは追い上げを賭けて遠投釣法を試みる。2号10mのロングハリスに0号ウキを通してシズを段打ちした仕掛けで遠投。タナは深く、サオ2本までずぶずぶとウキを入れ込む沈め探り釣りをすると、面白いように大型グレがヒット。大逆転を果たしたのだった。その釣り方が五島では強いと確信すると、当時の最年少優勝記録を更新する躍進で栄冠を手にした。

初優勝時は2007年。
当時の最年少優勝記録となる24歳でトップトーナメンターに躍り出た。
現在は2016年優勝の藤原誠太選手が23歳で優勝し最年少記録を更新している。

「五島のグレは潮の中で素直に喰う」
と実感した友松さんの後に続くように、その後の全国大会に出場するファイナリストが遠投+沈め探り釣りを踏襲。同じような釣り方で好成績を収める選手は実に多い。

“レギュラー”な動きの中の
“イレギュラー”な付けエサの動きを演出

2度目の優勝は29歳(2012年)。5年の歳月を経て試行錯誤を繰り返し、自身の釣りに磨きをかけて頂点に返り咲く。


2度目の優勝は2012年。田中修司さんとの激闘を制して頂点に返り咲いた。

沈め釣りの弱点であるタナ把握と再現性を「カウントダウン」で精度を高め、さらには喰わせるためのリアクションバイトを引き出す「誘い」を積極的に駆使するようになる。友松さんの表現では、
「“レギュラー”な動きの中の“イレギュラー”な付けエサの動き」
を演出するのが、仕掛けと釣り方のコンセプトにある。
以下に“2度目の優勝時”の友松さんの仕掛け、エサ、釣り方を列挙する。

仕掛け
●ウキは0号(潮をつかみ遠投しやすい12g以上の大型)。板鉛をウキに貼り付け、浮かず沈み過ぎずのシブシブ浮力に微調整。
●道糸はナイロン2号、ハリスはフロロ2号を10mとる。
●ウキはフロロハリスに通し、ウキ止メなし。全遊動ではあるが、長くとった比重のあるフロロがウキに被さるためイトが抜けにくくウキ下はある程度固定される。
●ウキ下部のストッパーは自作。仕掛け回収時や合わせた時にズレにくいもの。
●ハリは遠投時にオキアミがズレにくいケン付き6号を多用。
●コマセはパン粉とオキアミに水分を多量に含ませ、米ヌカで締めて軽く仕上げる。
●付けエサは生オキアミが主体。状況に応じてシバエビのムキ身も使う。

釣り方
●磯際や沈み根をピンポイントでねらうのではなく、遠投して潮の中にグレを集める。
●ウキごと仕掛けを沈めてタナをじっくりと探る。
●沈めたウキでタナを見つけ、そのタナを繰り返し狙い打ちできるように、仕掛け投入時から『1、2、3』とカウントダウンを行なう。
●ウキを沈めて流していく中で、軽く引き戻す要領で何度かラインを“ピン”と張っては落とし込む。

友松さんのコマセは遠投性、視認性、拡散性を重視した独特なブレンド。パン粉とヌカをベースにしてフワフワと軽い。カップの中にオキアミの粒を確実に入れるべく、粉に混ぜない生オキアミを添えておく。エサ箱の上にある袋はシバエビのムキ身。ベースの付けエサは生オキアミだが、深ダナに速く入れ込む時やエサ取りが多い時に重宝する。

コマセと付けエサを同調させるのがウキフカセ釣りの基本だが、友松さんはできる限り軽い仕掛けで同調を行いたいと考えている。0号ベースのウキを沈めて探る仕掛け、軽いコマセにする理由はそのため。潮に漂う拡散しやすいコマセに合わせ、付けエサをじっくりゆっくり沈降させる。それが友松さんの言う「レギュラー」な付けエサの動きである。そこに時おりピンと引く「イレギュラー」な操作を加えると、付けエサは目立ち、誘いとなってグレの喰い気をうながす。また、ラインを張って軽く吹き上がった付けエサは再度流し込む際にフワフワと沈む。仕掛けが馴染むまでのエサの落とし込みは、グレが捕食しやすいノンテンションの状態といえる。この時サオ先からウキまでのラインは張らず緩めずを保つ。ウキ止メがないため喰い込みがよく、フケを最低限に抑えることで小さなラインアタリをとらえやすくなる。

友松さんの釣り方の対比としてウキを水面に浮かべた半遊動仕掛けの釣りを例に挙げよう。ウキ下を固定すればコマセと付けエサの同調時間は短くなる。付けエサよりコマセが深く沈めば当然ながら同調しない。そして水面に浮かぶウキは波の上下でも動く。同時に付けエサも上下するため常に踊った状態になり、グレは違和感を抱いてエサを喰い込みにくくなる。この2点だけでも沈め探り釣りのメリットはわかる。さらにウキ止メを付けるとその抵抗で魚がエサを放してしまうことも多い。また、ウキ止メにウキが引っ掛かるまで仕掛けが馴染まないとアタリは出にくい。結果、アタリを取れないグレが多くなってしまう。

友松信彦
シマノインストラクター
友松信彦

1983年生まれ。
兵庫県神戸市出身で近畿大学進学後はメジナの生態学を研究。そのころ磯釣りにのめり込んだ。
2010年に神奈川県横浜市に移住。現在のホームグラウンドは伊豆半島周辺。

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