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PROFESSIONAL 中・上級者向け解説

只松雄司 九州グレ釣り街道をゆく18

厳寒期のグレ釣りで
やるべきこと、やってはいけないこと
長崎県五島市椛島(かばしま)「奥の院」

五島列島の島々の中程にある椛島(かばしま)は北西風に強く、グレ釣り師にとって頼れる存在である。まずは実績のある「大小瀬の地」という瀬へ上がったが、予想以上に回り込んでくる風に翻弄され、さらに潮が満ちてきて釣り座が狭くなってきた。そこで、東磯の「奥の院」へと移動することに。そこは穏やかな風が吹いていて、一見、グレ釣り場とは思えないほど潮の流れは緩やかであった。

奥の院椛島奥の院は静かな波と緩やかな潮の流れが特徴的。北西風に強く寒グレ狙いの人気のポイント。

釣れない仕掛けを流し続けない

只松さんは瀬替わりして2流しで、全遊動から半遊動仕掛けへと組み直した。あて潮だったため、仕掛けが軽いとツケエがタナに到達する前に足元に押し戻されグレの口元に届けることは不可能。まず竿1本分、およそ5mのタナまでを探れるようウキ止めを付ける。次にライフジャケットからファイアブラッドゼロピットDVC TYPE-A Mサイズの3Bを取り出した。グレ釣りでは浮力0号~00号を使うことが多いが、どんな状況でも対応できるよう只松さんは5Bから00号までいつも持ってきているのだという。

ゼロピット磯釣りはあらゆる状況を想定しておかなくてはならない。ウキも号数違いだけでなく同じものの予備も準備しておきたい。

ガン玉の3Bを道糸とハリスの直結部分にセットして、しっかりと仕掛けを沈めていくことをまずは優先する。
「釣れない仕掛けを流し続けなければ釣れますよ」
とは只松さんのいつもの口癖だ。
この仕掛け変更が好機をものにするのに時間はかからなかった。

仕掛け手直し釣れない仕掛けを流し続けることほど無駄なことはない。只松さんの仕掛けの手直しの多さは引き出しの多さでもある。

変えるポイント、変えてはいけないポイント

潮があててきていたが、まだとろとろと緩い。ガン玉3Bの重みで仕掛けがウキの浮力と釣り合うようになった。5mのタナまでツケエが届いたようだ。その証拠に、1投目でウキがグググッーと海中に引き込まれる。

アタリ使用したのはマスターチューン イソ1.2号5.3m。掛かった魚に合わせて胴まで曲がり対応する。

すかさずアワセを決めマスターチューン イソに託していく。
「ほら的中だよ」
うまく仕掛けが入ればアタってくるという手応えを感じつつタモ入れ成功。さきほどまで漂っていた不安も打破してくれる一尾だ。今日はイケる。そんな気持ちも芽生えてくる。五島の寒グレだ。40cmオーバーはマストだが、可能性としては50cmクラスも射程圏内。だからハリスはリミテッドプロ マスターフロロ タフマッドの2号で挑む。

良型仕掛けを替えて一投目にヒットしたのはジャスト40cm。「俺ってやればできるじゃん」とはご謙遜。

ゼロピットファイアブラッドゼロピットDVCは付け替えも浮力調整も簡単。
だからシビアな状況のときほど威力を発揮する画期的なウキだ。

「シビアな状況だけど掛かる魚は大きい。それが冬の釣りだからハリスはあくまでもターゲットに合わせた号数を使い続けることが大事ですよ」
仕掛けや釣り方は状況に応じて変えても、ラインやハリの強度は安易に下げてはならないのだと只松さんは言う。

リールとロッド潮が足元にあててくるときはラインメンディングがやりやすいフロートタイプのラインが使いやすい。
海面直下を漂うZEROフロート設計のリミテッドプロ ハイパーリペルα ナイロン ZEROフロート1.7号を使用した。

寒波、あられも愉しむ余裕

首尾よく本命のグレをヒットさせた只松さん。だが今度は潮の流れが速くなり、あててくるスピードが速まってきた。状況が変化したのを感じ取り、仕掛けを調整していく。ハリ上30cmにガン玉G6を打ち、ハリスを先行させて潮をとらえてみたり、遠投して仕掛けがなじむ時間を稼いだりと手を尽くして寒グレに挑み続ける。突然のあられ。だがそんなことはおかまいなしにフードを被り釣りに集中する。
「このウェアを着ていると霰でも気にならないよ」

アラレ只松さんが着用していたNEXUS GORE-TEX® ULTIMATE WINTER SUIT LIMITED PRO/リミテッドブラックは
厳寒期の釣りにおける突然のあられも防いでくれる完全防寒ウェア。

タモイン40cmクラスのグレがコンスタントにヒット。仕掛けの手直しが功を奏した。

やかましく打ち付ける霰の中、静かにウキが消し込んでいった。
幸いにも悪天候は一過性で、再び青空が広がってくれた。
潮が速くなったおかげでサラシから払い出される潮と横に流れる潮が交差する部分が明確になっていく。つまりマキエがその潮に挟まれた部分に溜まっていることに気づいた。ただならぬ集中力は、あるひらめきを釣り人に与える。

マキエ潮の変化を見逃さない。潮の壁とサラシの払い出しにマキエを効かせていく。

デカバンを射止めるマスターチューン イソ

潮のわずかな変化を感じ取り、ハリスに打ったガン玉を外す只松さん。仕掛けを潮の壁とサラシの間を通すように流していく。案の定、ウキの動きに変化が。一瞬の隙に余分なラインを巻き取り、タイミングを見計らう。
よし、ウキが消し込んでいった。
「これは今までと違うぞ」
確かにロッドの5番から曲線を描いている。
鋭いアワセを入れると大きく胴からしなり、魚を怒らせないマスターチューン イソ LIGHT TUNE。

アタリ5番から曲線を描くマスターチューン イソ。この柔の性能が魚を暴れさせない。怒らせない。
だから1.2号でも50cmが獲れるのだ。

グレの顔をこちらに向かせじんわり誘導していく。浮かび上がってきたのは尾ヒレが半端ない大きさの口太だ。瀬際での抵抗も慎重なロッドワークでかわしネットイン。
サラシと潮の流芯の狭間にマキエが滞留しているであろうと推測できる。こんなところであればグレの警戒感はあまりない。だからゆっくり仕掛けを落としていくことで違和感なく喰わせることができたのではと振り返る只松さん。その直前にハリスにセットしてあったガン玉を外していた。そのわずかな仕掛けの調整で51cmの大台を突破するデカバンを仕留めることができたのだ。喰ってきたタナは2ヒロというから、ガン玉を付けたままならこのヒットはなかったであろう。
「グレ釣りは深く入れすぎてもダメだし、潮が上手く流れれば浅く浮いてくることもあるから」と厳寒期の難局に只松さんの妙技が光った。

デカグロ51cmの堂々たる口太。こんなグレだったら名手の顔もほころぶというもの。

只松雄司さんのタックル

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